10年前に購入したものの途中までしか読んでいなかったので、あらためて読み直して上下巻を読破した。
普段慣れ親しんでいる感情や感覚に対する言語化能力は見事で、中でも反復に関する考察には深く納得した。
以下、気を引いた箇所。
・ルールに従う、比較する、熟慮の末に選ぶのができるのはシステム2(遅い思考)だけ
・チクセントミハイが最適経験と呼ぶフロー状態は、タスクへの集中、注意力の意識的なコントロール、という2種類の努力を切り離す
・認知的に忙しい状態では、利己的な選択、挑発的な言葉使い、表面的な判断をしやすい
・反復は認知を容易にし、なじみがあるという心地よい感覚を与える
・単純接触効果が起きるのは反復的に接しても何も悪いことが起こらなかったから
・人間は物理的な因果関係と意志的な因果関係を区別する、普遍的に宗教信仰が見られる理由
・自分は報酬の配分以上の貢献をしたと感じている時は、チームメンバーも同じ思い
・人間より高精度でもアルゴリズムのミスは人間のミスよりも耐え難い、よって人間の判断を好む
・リスクを完全に無視するかむやみに重大視するかの両極端になり中間がない
・スキルとは大量の情報を素早く効率的に処理する能力。
・一縷の望みと引き換えに絶望的な賭けに出て、対処可能な失敗を大惨事に変えてしまう
・利他的な報復では脳の快楽に関する部位が活性化する
・計画の成功は特定された事象なのでイメージしやすい、失敗の形は無限にあるので注意の対象が分散しがち
・ワクチンのリスクが0.001%という表現だとリスクを小さく感じるが、10万人に1人という表現だと小さく感じない。
・腕利きの弁護士はDNAの誤鑑定率は0.1%とは言わず、1000件に1件と言う
・デフォルトから離れた行動で悪い結果が出た場合は苦痛を味わう
・エラー防止に関しては個人より組織が優れている。思考のペースが遅く、手続きに従うのを強制できるから
・長期的な結果を伴う決定を下す際は、徹底的に考え抜くかいい加減に決めるか、中途半端が一番よくない。
・新しい状況に適応することとは、その状況について考えなくなることである
・リスクの軽減より排除のほうが、保険の魅力は増す。
物語では重要な瞬間に代表され、始まりとピークと終わりに代表され、持続時間は無視されるピーク・エンドの法則も紹介されている。幸せや不幸について考える時、楽しい時間や辛い時間を過ごす時、このことを知っていると効用を高めて負荷を減らすことが出来るのではないかと思う。
本書は長大で読むのはなかなか大変だが、読後感がとても良い理由は、持続時間が無視されているからではないか。早速証明された。
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ファスト&スロー (下) Kindle版
我々の直感は間違ってばかり? 意識はさほど我々の意思決定に影響をおよぼしていない? 心理学者ながらノーベル経済学賞受賞の離れ業を成し遂げ、行動経済学を世界にしらしめた、伝統的人間観を覆す、カーネマンの代表的著作。2012年度最高のノンフィクション。待望の邦訳。
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2012/11/22
- ファイルサイズ1131 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
出版社からのコメント
松井彰彦氏(東京大学経済学部教授)
人間は必ずしも合理的でない。では、どう合理的でないのか。
本書を片手に、人間のファストな「直感」とスローな「論理」を科学しよう。
森山和道氏(サイエンスライター)
自分の心が思いどおりにならない理由は何だろうか。
意思決定のメカニズム、心の成り立ちを知りたい全ての人に。
西内啓氏(統計家/『統計学が最強の学問である』著者)
本書を読めば新たな視座から、人間を、そして自分自身を理解出来るようになるだろう。
柏野雄太氏(バクフー代表取締役)
職業人がより良い意思決定をするための実践的指南書。
バイアス研究の世界的権威が噛み砕いて伝授!
人間は必ずしも合理的でない。では、どう合理的でないのか。
本書を片手に、人間のファストな「直感」とスローな「論理」を科学しよう。
森山和道氏(サイエンスライター)
自分の心が思いどおりにならない理由は何だろうか。
意思決定のメカニズム、心の成り立ちを知りたい全ての人に。
西内啓氏(統計家/『統計学が最強の学問である』著者)
本書を読めば新たな視座から、人間を、そして自分自身を理解出来るようになるだろう。
柏野雄太氏(バクフー代表取締役)
職業人がより良い意思決定をするための実践的指南書。
バイアス研究の世界的権威が噛み砕いて伝授!
著者について
認知心理学者。プリンストン大学名誉教授。専門は意思決定論および行動経済学。 1934年テルアビブ生まれ。幼少期をパリで過ごし、その後、家族とともにパレスチナに移住。エルサレムのヘブライ大学で心理学と数学を学んだ後、イスラエル国防軍心理学部門に勤務した。1958年にはアメリカに移住し、カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を取得。その後、ヘブライ大学などで教鞭をとり、1993年より現在も在籍するプリンストン大学の教授となった。2002年には、著者が確立した、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合したことが画期的な業績として評価され、心理学者ながらノーベル経済学賞を受賞。2011年および12年にはブルームバーグ選出の「国際金融で最も影響力のある50人」に選ばれている。 2011年発表の本書は著者初めての一般向け著作である。《ニューヨーク・タイムズ》《ウォールストリート・ジャーナル》《エコノミスト》の各紙誌で年度ベストブックに選出された他、《ロサンゼルス・タイムズ》ブック・プライズの栄誉にも輝いた。
登録情報
- ASIN : B00ARDNMDC
- 出版社 : 早川書房 (2012/11/22)
- 発売日 : 2012/11/22
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1131 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 465ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 6,074位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 187位心理学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
Kindle版をお勧めします。本書の理論を深く理解し、直感的に利用するため、読み上げも含めて繰り返し読むために、Kindleでのご購入をおs
2023年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上巻では所謂直観や素早い判断を得意とするシステム1(早い思考)と、熟慮担当のシステム2(遅い思考)についてフォーカスが当たっておりました。
下巻では上記のシステム1とシステム2が混在するいわゆる『ヒューマン』と経済学が措定する合理人『エコン』とを対照的に描き、結局我々が『エコン』でいられない、結局『ヒューマン』であることを多くの事例や心理学理論から例証しています。
・・・
面白い理論が沢山ありました。
なかでも参照点という概念は印象的でした。
これは同じ効用の二つの事例でも、参照点によって効用が変わり得るというもの。たとえが適切かわかりませんが、私は自分の年収に相当不満です。きっとそれは、アジアの辺境ではそこそこの年収でも、私の参照点が日本の同程度の年齢や同業種の方々にあるからです。他方で、同じくらいの年収を得ている当地の同僚は何だか裕福な消費をし、なんとも楽しそうに生きています(性格の違い!?笑)。
ボーナス×カ月分とか、ベース×%アップというのも同じ料率・数量の複数事例があっても参照点の置き方で効用が変わるということです。とするとこれは、いわゆる『エコン』の一貫性が保たれなくなるというわけです。
謂われてみれば当たり前な感がありますが、コンベンショナルな経済学の前提が崩れている点が認められ始めている点が重大なのかもしれません。
・・・
あと、本作の終わり数章で「経験」と「記憶」について記述しており、こちらが非常に興味深かったです。
我々は多くのことを経験するのですが、結局我々が経験したと思っていることはその「記憶」が構成しているという話です。そしてその「記憶」の良しあしで「経験」は言わば歪められるというもの。
日本語で終わり良ければすべてよし、とありますが、人間の認知システムも同類であり、一生悪いことが続いても、死ぬ前に飛び切りいいことがあって亡くなった物語なぞを読むと、まあよかったじゃんと思ったりします。逆に概ね楽しい人生でも、その最後に良くない終わりであったら、その人の人生は大分ネガティブになります。つまり、経験している多くの事は近接した時間の良しあしに大きく左右されるという分析です。
ちょっとSFっぽいんですが、厳しい人生の苦難続きでも、最後の彩りがあることで幸せな人生だったと感じながら死んでいくことができるかなとかちょっと思いました。
他にも、損失回避の性質や、メンタル・アカウンティングなど、ヒューマン独自の特徴が事例とともに説明されておりました。
・・・
ということで、心理学から経済、意思決定論、果ては哲学的なトピックも包含する非常に幅広く面白い本でした。通読一回では十分に味わいきれない内容だと思います。また日を置いて再読したいと思います。
下巻では上記のシステム1とシステム2が混在するいわゆる『ヒューマン』と経済学が措定する合理人『エコン』とを対照的に描き、結局我々が『エコン』でいられない、結局『ヒューマン』であることを多くの事例や心理学理論から例証しています。
・・・
面白い理論が沢山ありました。
なかでも参照点という概念は印象的でした。
これは同じ効用の二つの事例でも、参照点によって効用が変わり得るというもの。たとえが適切かわかりませんが、私は自分の年収に相当不満です。きっとそれは、アジアの辺境ではそこそこの年収でも、私の参照点が日本の同程度の年齢や同業種の方々にあるからです。他方で、同じくらいの年収を得ている当地の同僚は何だか裕福な消費をし、なんとも楽しそうに生きています(性格の違い!?笑)。
ボーナス×カ月分とか、ベース×%アップというのも同じ料率・数量の複数事例があっても参照点の置き方で効用が変わるということです。とするとこれは、いわゆる『エコン』の一貫性が保たれなくなるというわけです。
謂われてみれば当たり前な感がありますが、コンベンショナルな経済学の前提が崩れている点が認められ始めている点が重大なのかもしれません。
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あと、本作の終わり数章で「経験」と「記憶」について記述しており、こちらが非常に興味深かったです。
我々は多くのことを経験するのですが、結局我々が経験したと思っていることはその「記憶」が構成しているという話です。そしてその「記憶」の良しあしで「経験」は言わば歪められるというもの。
日本語で終わり良ければすべてよし、とありますが、人間の認知システムも同類であり、一生悪いことが続いても、死ぬ前に飛び切りいいことがあって亡くなった物語なぞを読むと、まあよかったじゃんと思ったりします。逆に概ね楽しい人生でも、その最後に良くない終わりであったら、その人の人生は大分ネガティブになります。つまり、経験している多くの事は近接した時間の良しあしに大きく左右されるという分析です。
ちょっとSFっぽいんですが、厳しい人生の苦難続きでも、最後の彩りがあることで幸せな人生だったと感じながら死んでいくことができるかなとかちょっと思いました。
他にも、損失回避の性質や、メンタル・アカウンティングなど、ヒューマン独自の特徴が事例とともに説明されておりました。
・・・
ということで、心理学から経済、意思決定論、果ては哲学的なトピックも包含する非常に幅広く面白い本でした。通読一回では十分に味わいきれない内容だと思います。また日を置いて再読したいと思います。
2023年11月26日に日本でレビュー済み
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私たちを導いてくれる名署です。
実生活での実践のイメージも取れる実学。
実生活での実践のイメージも取れる実学。
2017年12月19日に日本でレビュー済み
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上巻に続いて下巻では、合理的な思考と行動をする経済人モデルとごく間違い、自信過剰の普通の人間をそれぞれ「エコン」「ヒューマン」と呼んでその行動の特徴、貢献を描きます。
新しい概念と特性を、自信過剰,プロスペクト理論,保有効果,心理会計,フレーミングなどの言葉で説明します。
それぞれの裏付けとなっている実験はさすがに説得力があります。
ノウハウ本ではないので、実験結果を使って、成果のあるような方法については書かれていません。
ビジネスマン、経営者、消費者、政策立案者、教育・司法関係者など日々、選択・判断を迫られている人たちの思考範囲を広げるには参考になる本だと感じます。
この本は、ドラッカーの「マネジメント」やアドラー心理学のように様々な解説本・関連本・ノウハウ本となって裾野が広がり一般的な支持を得て人気が定着するとは考えられません。
学者が書いたスキのない大部な本で、「システム1、システム2」とか「エコン」「ヒューマン」とか目新しそうな造語で人目を引こうとしていますが、だから何?、どんな役に立つの?という点から見るとあまりにも風呂敷を広げすぎてフォーカスしにくいです。
一過性の話題本に終わるでしょう。
新しい概念と特性を、自信過剰,プロスペクト理論,保有効果,心理会計,フレーミングなどの言葉で説明します。
それぞれの裏付けとなっている実験はさすがに説得力があります。
ノウハウ本ではないので、実験結果を使って、成果のあるような方法については書かれていません。
ビジネスマン、経営者、消費者、政策立案者、教育・司法関係者など日々、選択・判断を迫られている人たちの思考範囲を広げるには参考になる本だと感じます。
この本は、ドラッカーの「マネジメント」やアドラー心理学のように様々な解説本・関連本・ノウハウ本となって裾野が広がり一般的な支持を得て人気が定着するとは考えられません。
学者が書いたスキのない大部な本で、「システム1、システム2」とか「エコン」「ヒューマン」とか目新しそうな造語で人目を引こうとしていますが、だから何?、どんな役に立つの?という点から見るとあまりにも風呂敷を広げすぎてフォーカスしにくいです。
一過性の話題本に終わるでしょう。
2023年9月10日に日本でレビュー済み
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巷でも耳にすることが多くなった行動心理学の草分け。
原点を知っておくのは大事だと思う。
原点を知っておくのは大事だと思う。
2023年8月6日に日本でレビュー済み
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やっちまったマヌケな日本人を予言してたような、、、
年功者がテレビの一時情報で大騒ぎする地獄絵図、どうせ何の反省もしないんだから、また新しい何かが言霊になったら最初っから大騒ぎするのが目に見えるな
年功者がテレビの一時情報で大騒ぎする地獄絵図、どうせ何の反省もしないんだから、また新しい何かが言霊になったら最初っから大騒ぎするのが目に見えるな
2022年10月31日に日本でレビュー済み
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本を日常的に読まれており、かつ「行動経済学」とは何?と気になられている方には大いにオススメできます。読み易いように、個人のエピソードも含めて書かれてあります。内容詳細は他の方のレビューにお任せしますが、かなりの情報を読むことになりますから、諦めた方もいらっしゃると思われます。わたしも何度もページをめくりかえして再確認しながら読み終えました。
多分即効性はないですが、今後なにかを思案し決断しなくてはいけない時にはきっと思い出しながら意思決定をしていくと思います。
多分即効性はないですが、今後なにかを思案し決断しなくてはいけない時にはきっと思い出しながら意思決定をしていくと思います。