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強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書) Kindle版

4.4 5つ星のうち4.4 349個の評価

宇宙には「四つの力」が働いている。私たちを地球につなぎとめる「重力」と電気や磁石の力である「電磁気力」は古くから知られていた。二十世紀に入り「強い力」と「弱い力」が発見され、この新しい力を説明するために考え出されたのがヒッグス粒子だ。その発見により、人類が叡智を傾けて築き上げてきた理論の、最後のピースが埋まった。それは、ヒッグス粒子の魔法によって覆い隠された、自然界の美しい法則を明らかにする営みでもあった。やさしくロマンあふれる語り口で宇宙創成の謎に迫る、知的冒険の書。
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商品の説明

著者について

1962年生まれ。京都大学理学部卒業。理学博士。現在カリフォルニア工科大学カブリ冠教授および数学・物理学・天文学部門副部門長、東京大学カブリIPMU(数物連携宇宙研究機構)主任研究員。超弦理論の研究に対し、2008年アイゼンバッド賞(アメリカ数学会)、高木レクチャー(日本数学会)、09年フンボルト賞、仁科記念賞、12年サイモンズ研究賞受賞。アメリカ数学会初代フェロー。著書に『重力とは何か』(幻冬舎新書)などがある。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B00B97HCMC
  • 出版社 ‏ : ‎ 幻冬舎 (2013/2/8)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/2/8
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 4588 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで
  • 本の長さ ‏ : ‎ 298ページ
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 349個の評価

著者について

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大栗 博司
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東京大学 特別教授。カリフォルニア工科大学 フレッド・カブリ冠教授およびウォルター・バーク理論物理学研究所所長。アスペン物理学センター理事長。

京都大学大学院 修士課程卒業後、東京大学理学部助手、プリンストン高等研究所研究員を経て、1989年東京大学理学博士号。シカゴ大学助教授、京都大学 数理解析研究所助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授を歴任。2000年にカリフォルニア工科大学に移籍し、現在に至る。

紫綬褒章、アメリカ数学会アイゼンバッド賞、ドイツ連邦共和国フンボルト賞、ハンブルク賞、サイモンズ賞、グッゲンハイム・フェローシップ、韓国ベンジャミン・リー栄誉教授賞、仁科記念賞、中日文化賞などを受賞。アメリカ芸術科学アカデミーとアメリカ数学会のフェロー。

ブルーバックス『大栗先生の超弦理論入門』ではに対し、講談社科学出版賞を受賞。科学監修を務めた3D映像作品『9次元からきた男』は、国際プラネタリウム協会最優秀作品賞を受賞。

ホームページ:ooguri_dot_caltech_dot_edu/japanese

YouTube チャンネル:www_dot_youtube_dot_com/@Hirosi_dot_Ooguri

X(旧ツィッター):twitter_dot_com/PlanckScale

ブログ:planck_dot_exblog_dot_jp

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上位レビュー、対象国: 日本

2022年8月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ありがとうございました。
2024年1月12日に日本でレビュー済み
物資の質量の99%は、E=mc2でエネルギーを質量に翻訳したものとあったので、要素?としての質量の実感がなかった。残りの1%も、対称性の自発的破れにより、光速より遅い粒子が生まれる結果、質量(慣性?)を持つに至った、場の中での関係性?で、質量を説明するのように感じた。
実体的根拠が無く虚無感を覚えた。

なお、同著者は「素粒子物理学の50年」という文章の中で、「・・陽子の構成要素であるクオークの質量は陽子自身の質量のたった2%程度にすぎない。・・陽子の質量の98%はカイラル対称性の自発的破れによって生成されていると考えられて・・・・}と書いています。この意味がわかりません。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「場の量子論の暗黒時代」の最中にも、将来の発展の種がひっそりとまかれていた。
ヤンーミルズ理論。
1915年にアインシュタインが完成させた一般相対論を研究した数学者のヘルマン・ワイルは、一般相対論とマクスウェルの電磁気論の類似に気が付いた。
この話を聞いたヤンと、ミルズが考え出した理論。
ヤンーミルズ理論でも、電場や磁場のような場を考えるが、これは、粒子の運動状態だけでなく、粒子の種類も変化させる。
たとえば、電場に対応するヤンーミルズ場があって、その中を粒子が通過すると、粒子が加速されるだけでなく、出てきた粒子が違う種類になっているというのである。
この理論は、弱い力を説明するのにお誂え向きである。
弱い力によって中性子が陽子に変化し、そのときに放出される電子がセシウム137からのベータ線の正体である。
このような反応が「力」によって起きるというのは奇妙な感じがするかもしれないが、ヤンーミルズ理論が関与すると自然に説明できる。
同じ理論を完成させていたパウリも、それを論文として発表していない。その理論が、「質量のない粒子」を予言するように思えたからである、
マクスウェル理論は、電磁波の存在を予言するものだった。のちに発見された電磁波は光子という粒子であることがわかり、これには質量がない。
ヤンーミルズ理論はマクスウェル理論を拡張したものであるから、光子に似た質量のない粒子を予言する。この理論を強い力の説明に使う時には、この質量のない粒子とは、強い力を伝えるグルーオンになるわけであるが、当時はまだ光子以外に質量のない粒子は知られていなかった。
素粒子の標準模型では、電磁気力、強い力、弱い力が、もともとは同じ理論で説明できる三つ子の兄弟のようなものだと考える。
この「同じ理論」とは、実はヤンーミルズ理論のことである。
そうすると、強い力と弱い力についても、電磁気力の光子と同じような「質量のない粒子」が予言されるように思える。
しかし、実験で見つかっている素粒子は、光子以外はすべて質量を持っている。
結論から言うと、ヤンーミルズ理論は強い力と弱い力の両方に使えることがわかった。
しかし、パウリの問題への解答は、強い力と弱い力でまったく別なものであった。
クォークを区別する名前をつけると、uuuからできているといったデルタ・バリオンは、実はu(赤) u(青) u(緑) の組み合わせとなり、「同じ粒子二個は、同じ状態にはなれない」というフェルミオンの性質との矛盾が解消する。
たとえば、デルタ・バリオンの中にクォーク u(赤) u(青) u(緑)があったとする。そこで、たとえばu(赤)がグルーオンを放出すると、その色が変わる。このグルーオンを別なクォークが受けとると、またその色が変わる。このグルーオンのやり取りによって、クォークの色が変わるだけでなく、その間に引力も働くのである。
このように、クォークに色があり、そこにヤンーミルズ理論が働くと考えることで、クォークを閉じ込める強い力を説明できる可能性が生まれた。 
そこにある天才が現れる。
その名は、ヘラールト・トフーフト。
その卓越した数学的才能によって、不可能とも思われていたヤンーミルズ理論の「くりこみ」に成功した。それまで電磁場にしか使えなかったくりこみ理論が、ヤンーミルズ場にも使えるようになったわけである。
トフーフトの活躍は、これだけでは終わらない。
当時、場の量子論の大家として知られていたジマンチックは、会議場までの道中で、トフーフトにこんな話をした。
「クォークは強い力によって閉じ込められているのに、SLACの実験では自由に動き回っているように見えるのが不思議だ。私は思いつくかぎりすべての場の量子論で計算してみたが、どうしても距離が短くなると力が強くなってしまう。これでは、実験の結果を説明することができない」
するとトフーフトは、ノートを取り出してジマンチックに見せた。
「ヤンーミルズ理論で計算したらこんな式になったのですが、何か意味がありますか?」
「この符号はマイナスだというのかね、トフーフト君!」
「これが本当なら、SLACの実験はヤンーミルズ理論で説明がつくということだよ。これは大発見だ。」
この「マイナスの符号」が意味しているのは、強い力の「漸近的自由性」と呼ばれる性質であった。重力や電磁力は距離が遠いほど弱くなるが、強い力は距離が遠いほど強く、近づけは近づくほど弱く(つまり粒子が自由に)なる。トフーフトの式にあったマイナスの符号がそのことをしめしていたのである。
ヤンーミルズ理論によると、グルーオンはそれ自身が色を持っている。
もっと正確に言うと、クォークのように赤・青・緑の単一の色ではなく、(赤→青)、(青→緑)なとど二色の色の組み合わせで区別される。
この色の組み合わせは、グルーオンの働き方に関係がある。
たとえば、赤色のクォークは、(赤→青)のグルーオンを放出すると、青色のクォークに変身する。グルーオンの色の組み合わせにより、クォークの変化の仕方が決まるのである。
グルーオン自身が組み合わせを持つとすると、グルーオンは、クォークを閉じ込めるだけでなく、グルーオン同士がお互いに影響を及ぼし合って、自分自身を閉じ込めてしまう。
陽子などの中では、クォークもグルーオンも漸近的自由性の原理によって自由に動き回れるけれど、どちらとも外には出ることはできないわけである。
グルーオンは、理論が予言するとおり質量がないが、取り出すことができないのである。

第1の謎 Wボゾンの質量
電磁気の力は、遠くに行くほど弱くなるが、すぐにゼロになるわけではない。そのため、たとえば磁石の力も離れたところに働くことができる。
また、原子の電場の中では、電子は原子核の大きさの10万倍の範囲を動き回っている。
ミクロのレベルで見れば、はるか彼方まで力が届いているのである。
それに対して、弱い力はきわめて近い距離でしか働かない。これは、中性子がベータ崩壊を起こすときに、陽子が出てくる場所と電子が出てくる場所がほとんど同じであることからもわかる。
これは、弱い力を伝えるWボゾンが質量を持つことを意味する。実際、弱い力の働き方から、Wボゾンの質量は陽子の90倍程度と見積もられた。
しかしWボゾンが、電磁気を伝える光子の親戚のようなものだとすると、本来は質量がゼロのはずである。そのWボゾンが質量を持った仕組みを考えなればならない。
ちなみに当時は、Zボゾンの存在は知られていなかった。その存在と質量が予言されるのは、弱い力の隠された対称性が明らかになった後のことである。

第2の謎 対称性のないものを入れ替える
 理論物理学者は、対称性を理論の美しさの目安と考える。この見方からすると、弱い力は醜い。まず、リーやヤンが発見したように、弱い力はパリティの対称性を破る。弱い力が働く様子を鏡に映すと、異なった働き方をしているように見えるのである。
しかし、この第2の謎ではもう1つの対称性が問題になる。それは、素粒子の種類を入れ替える対称性である。
強い力が働くと、まったく同じ性質を持つ三色のクォークが入れ替わる。この場合にはヤンーミルズ理論はうまく使えた。
しかし弱い力は、アップクォークとダウンクォーク、電子とニュートリノのような、異なる種類の粒子を入れ替える。
ヤンーミルズ理論は、対称性があるもの同士を入れ替えるようにできているので、そのままでは弱い力の説明には使えない。

第三の謎 フェルミオンの質量
弱い力がパリティの対称性を破るのは、時計回りのスピンの粒子だけがWボゾンを放出したり吸収したりできるからだという説明が考えられた。
しかし、電子やクォークなどのフェルミオンは質量を持っていて、光速よりも遅いので追い越すことができる。
時計回りのスピンの粒子を追い越して振り返ると、反時計回りスピンを持っているように見える。
時計回りのスピンの粒子だけを特別扱いする法則は、矛盾しているように思える。
1911年に、オランダのカメルリング・オネスが、温度を下げて個体になった水銀をさらに冷やしていくと、絶対温度4.19度になったところで電気抵抗が突然ゼロになってしまったのである。
これが超電導と呼ばれる現象である。
1933年に、超電導状態の物体の中に磁力線が入り込めなくなる現象「マイスナー効果」が発見される。そのため、超電導物質の上に小さな磁石を置くと、入り込めない磁力線がその下に詰まってしまうので、ぷかぷかと浮かぶ。(もし下にも磁石があって、N極同士、S極同士の反発で浮いているとしたら、浮いた磁石はすぐにひっくり返って、下の磁石とくっついてしまうはず。)
マイスナー効果が発見された2年後に、フリッツとハインツ・ロンドンの兄弟は、超電導物質の中では「光が重くなる」と主張した。
もし超伝導体の中では光子が質量を持つとすると、遠くまで飛べないので、光子が超伝導体に入ったとたんに、電磁気の力で急ブレーキをかけたように弱まり、磁力線は超電導物質の中に入り込めなくなるのである。
この現象を基本法則から説明する理論が打ち立てられたのは、発見から半世紀近くも経った1957年のことだった(BCS理論)。
金属の温度を下げていくと、原子の振動で伝わる力が重要になるのである。
金属の中では原子がきちんと並んでいる。電子が通るとその原子が少し振動し、この振動が別の電子に届くことで力が伝わるのである。温度が高いと熱振動のためこの効果はかき消されてしまうが、温度が低くなると電子の間にこのような力が働くことになる。
しかも、この振動による力は、電子の間に反発力ではなく引力として働く。
電子の間にこのようなこのような引力があるときに、電子の状態はどうなるだろうか。
BCS理論では、超電導状態の物質は、電子の数が異なる状態に同時に存在しているというのである。超電導状態では電子の数が分からないというのである。そして、電子の間の引力を計算に入れると、このような奇妙な状態の方が、電子の数が決まっている状態よりも、全体のエネルギーが低くなることを示したのである。

BCS理論に魅惑された南部陽一郎は、超電導の本質が、対称性の自発的破れにあることを見抜いた。
そのヒントの1つとなったのは、エネルギーや粒子の数などの物理量が保存する場合には、その背後の自然法則が対称性を持っているという一般法則(ネーターの定理)ではないか。
ネーターの定理によると、電子の数が保存するときには、それに関係する何らかの対称性があるはず。そうすると、超電導で「電子の数が保存しない」のは、この対称性がこわれてしまったからではないか。このように考えたのかも知れない。
光速よりも遅い波の揺れ方は、観測者によって横波にも縦波にもみえる。物理学の法則は、どのように観測しても同じようになっていなければいけないので、光が質量を持つなら、光には横波だけでなく、縦波も必要になるのである。
光速で伝わる光には横波しかなくても問題は起きないが、質量を持つのなら縦波も必要になる。
そうすると、超電導のマイスナー効果を、「光が重くなった」として説明するためには、横波だけだった光に、どのようにして縦波が起きるのかを考えなければならない。
南部は、超電導状態のように対称性が自発的に破れると、新しいタイプの波が現れることに気が付いた。対称性が自発的に破れている状態ならば、どのようなものであっても、ちょっと揺らしてやれば簡単にさざ波が伝わる。そして、このさざ波が最小単位として、質量のない粒子が必ず現れることに気が付いた。
この粒子は、別の発見者との二人の名を冠して「南部ーゴールドストーン・ボゾン」と名付けられた。質量のない粒子は、必ずボゾンの性質を持つので、このように呼ばれているのである。
さざ波は小さなエネルギーでも起きるので、電磁波が超電導物質の中を伝わろうとすると、簡単に発生してしまう。
つまり、超伝導体の中では、電磁波とさざ波が絡み合って、一緒に伝わることになる。
光子は素直に伝わることができず、南部ーゴールドストーン・ボゾンと混ざり合うような格好になる。このよう形なプロセスがあるために、光子の速度が光速よりも遅くなる。つまり光子が質量を持ってしまうのである。
つまり、超伝導体の中の光とは、電場と磁場が作る横波と、南部ーゴールドストーン・ボゾンが、光子の縦波に変身して辻褄を合わせるといってもよいだろう。
光にも南部ーゴールドストーン・ボゾンにも質量がなかったのであるが、二つが組み合わさって横波と縦波をを作ると、質量を持つようになるのである。

それだけではない。ここで、南部はさらに偉大な跳躍をする。
対称性の自発的破れの考えを、素粒子論に応用しようというのである。
電子やクォークは、スピンを持っている。
この回転の方向には、進行方向に向かって時計回りと反時計回りの二種類がある。
ところが、こうした粒子に質量があると、時計回りのスピンの粒子と、反時計回りのスピンの粒子の区別が曖昧になる。進行方向に向かって時計回りのスピンを持つ粒子があったとしても、それよりも速く走って追い越してから振り返ると、反時計回りのスピンのように見えるからである。つまり、観測の仕方によってスピンの向きが変わってしまうのである。
しかし、もし粒子に質量がなく、常に光速で走っているのなら、追い越すことができないので、二種類のスピンを区別することができるようになる。
同じ性質を持つフェルミオンが何種類かあって、それらを入れ替える対称性があったとしよう。さらに、これらの粒子に質量がなければ、時計回りのスピンだけを入れ替える対称性、反時計回りのスピンだけを入れ替える対称性を別々に考えることができる。
このように、どちらか一方のスピンの粒子だけを入れ替える対称性のことを「カイラル対称性」という。
ところが粒子に質量があると、もはや時計回りと反時計回りの粒子を別々に考えることはできない。カイラル対称性も破れてしまう。
南部はそれを逆手にとってこう考えた。
フェルミオンが質量を持つとカイラル対称性が破れるなら、逆に、カイラル対称性が自発的に破れる理論を作れば、粒子が自然に質量を持つようになるのではないか。
南部陽一郎の対称性の自発的破れの理論は、弱い力をめぐる三つの謎の解明に大きく道を開いた。
しかし、難問が残されていた。
対称性が自発的に破れると、質量を持たない南部ーゴールドストーン・ボゾンが現れる。
自然界には質量のない素粒子は光子しか見つかっていないので、質量を持たない粒子を何とかしなければ素粒子の理論には使えない。
超電導の中では、マイスナー効果によってこの問題が解決した。
質量を持たない南部ーゴールドストーン・ボゾンが消えて、その代わりに光が質量を持つようになるのである。

ヒッグスたちのアイデアは、対称性を破るために、新しい場を付け加えるというものであった。
超電導状態で対称性が自発的に破れる時に、光が質量を持つ仕組みは分かっている。そうだとしたら、ヒッグス場を使って対称性を自発的に破っても、同じようなことが起きるはずである。
これは、弱い力の第1の謎、Wボゾンの質量の問題を解くためにお誂え向きだった。
しかし、ヒッグスたちが論文を発表したときには、このことに気が付く人はいなかった。
ほとんどの研究者がヒッグス場を強い力の説明に使おうとしていたからである。
強い力の「漸近的自由性」の発見によって強い力の謎が解けたのは、1970年代前半のこと。ヒッグスたちの論文が発表された60年代には、強い力を伝えるグルーオンが遠くに届かない理由が分かっていなかった。そのため多くの研究者たちが、ヒッグス場を「グルーオンに質量を与える仕組み」として使おうとしていたのである。実際には、グルーオンは強い力で閉じ込められているだけで、強い力の対称性は自発的に破れてはいなかった。

ところが、1967年になってスティーブン・ワインバーグが
この理論は、強い力ではなく、弱い力と電磁気力に使うべきだ!
と突然ひらめいた。
ワインバーグの理論によると、電磁気力はもともと弱い力と同じ力だった。それが、真空が対称性の自発的破れを起こしたことによって二つの力に分かれる。
この二つの力はまったく異なる性質を持つように見える。
電磁気力は遠くまで伝わるのに、弱い力は電磁気力よりはるかに弱く、近くにしか伝わらない。
ところが、ヒッグスたちの理論を使うことによって、この一見異なる二つの力が、一つの力を起源とするものとして統一されたのである。
電磁気力に関する理論は、19世紀にマクスウェルが電場と磁場を統一した時点で完成したと思われていた。
しかしこのワインバーグの考えによれば、マクスウェルの電磁気理論も、弱い力を含む、より大きな枠組みの一部に過ぎないということになる。
ワインバーグのひらめきによって、電磁気力を伝える光子には質量がないのに、弱い力のWボゾンが質量を持つ理由が分かった。超伝導体の中で光が重くなったように、ヒッグス場の働きによる対称性の自発的破れによってWボゾンが質量を持つのである。
第2の謎は、ベータ崩壊でダウンクォークがアップクォークに変化するように、弱い力は性質の違う素粒子を入れ替えるという問題であった。
また、第3の謎はクォークや電子などのフェルミオンが質量を持っているということ。これは、時計回りのスピンを持つフェルミオンのみが、Wボゾンを放出したり吸収したりできるということと矛盾しているように見える。
質量があるとフェルミオンは光よりも遅くなるので、追い越して振り返ってみると、時計回りだったスピンが、反時計回りになっているからである。
第2と第3の謎は、いずれもカイラル対称性の破れの問題と考えることができる。
もし、アップクォークとダウンクォークを入れ替えたり、電子とニュートリノを入れ替えるカイラル対称性があれば、弱い力にヤンーミルズ理論を使うことに問題はない。
もちろん、現実の世界では、このカイラル対称性は破れている。
そこで、もともとの基本法則はカイラル対称性があったのだが、ヒッグス場を使うことで、自発的に破れたとしたらどうだろうか。
ワインバーグは、ヒッグス場を使うことで、電子とニュートリノを入れ替えるカイラル対称性が自発的に破れる仕組みを考えた。
ヒッグス場をうまく設定することで、カイラル対称性が破れても、弱い力にヤンーミルズ理論が使えるように工夫したのである。
たとえば、強い力ではクォークの「色」を入れ替える対称性が破れていないので、ヤンーミルズ理論を使うことができる。
しかし、この理論の中に、「色」の入れ替えで変化する状態があることはかまわない。
たとえば、赤色のクォークが一つだけある状態を考えると、色を入れ替えると違う状態になる。
しかし、そのような状態であっても、ヤンーミルズ理論を使っても矛盾は起きないのである。
すなわち、カイラル対称性が自発的に破れるのであれば、理論自体は、時計回りのスピンを持つアップクォークとダウンクォークを入れ替える対称性がある。電子とニュートリノを入れ替える対称性もある。
ただ、ヒッグス場の働きで、この対称性が隠されているだけである。
ワインバーグはこのように考えたのである。
このように、ヒッグス場による対称性の自発的破れを使うことで、弱い力の三つの謎が克服された。
電磁気力、強い力、弱い力の三つの力が、すべてヤンーミルズ理論を基礎にしていることがこれで明らかになったのである。

標準模型では弱い力と電磁気力は統一されているが、強い力は少し別扱いになっている。
どちらもヤンーミルズ理論で記述されることは同じであるが、力の強さが違うからである。
しかし、標準理論よりも根源的な理論では、この三つの力は統一されていると考えられている。このような理論のことを「大統一理論」と呼ぶ。
この理論によると、宇宙開闢から10の36乗分の1秒までは3つの力が同じ性質を持っていたが、その時点で相転移が起こり、強い力だけが分かれた。そして、さらに一兆分の1秒になったときに、今度はヒッグス場による相転移で弱い力と電磁気力も分かれたと説明されている。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
が、容易に素粒子の世界、質量の世界をひも解いてヒッグス粒子の本質に迫らせてくれます。
4つの力については興味があったのですが、この本で弱い力は強い力についてよくわかりました。
新書なので価格も手ごろですし、知ったかぶりもできるでしょう。
電弱統一、標準モデルときて、後は重力の統一ですが、物理好きはそこまで追いかけるのなら、この本を読んでみるのもよいかと。
専門書は値段が張るし、数式のレベルが時間をかけないといまいち理解できないのでこの本がその橋渡しをしてくれるかもしれませんね。
星は5つです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりでこのような分野の本を読みましたが、大変分かりやすく、数式無しでも概略が分かったように感じます。良く書かれていると思います。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
興味深く読ませて頂きました。
NHKの「サイエンス・ゼロ」で竹内薫氏がヒッグス粒子を磁場の話に置き換えて説明をしていましたが、
やっぱり、この説明では???って感じでした。
でも、この本を読んで、理解したとは言いませんが、分かった気がします(^^v)
説明で、よく分からない物もありましたが、素粒子の話を新書1冊にまとめる事は不可能・・・
でも、この不可能な事に真剣に取り組む著者の姿勢には魅せられます(^^)
だけれど、やっぱり、物理になじみの無い方には結構難しい本だと思います。
そういう方は、いろいろな著者の本を読んでから、またこの本に戻ってくると良いかもしれません。
ヒッグス粒子の事が分かるとスカッとしますので、爽快感を楽しんで下さいね
★4つにしたのは、物理になじみの無い方には難しいだろうという理由からです。
本としては読む価値、十分にアリ(^^o)
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第一線の物理学者として素粒子物理学の目覚ましい発展の場に身を投じている著者が、振り返ってその感動や興奮を綴った著作です。言わば体験談や自伝の持つ説得力のようなものがあって、うっかりそのペースに乗せられてしまうので、物理学的内容はほとんど理解出来なくても読み通せてしまいます。ですので読み物としては良く出来ていると思います。
悪く言えば、素粒子の振る舞いの仕組み等の面倒な部分を、どのような疑問が生まれどのように解決されたかという歴史的な解説に解消して済ましている、という事です。歴史的解説に必要なだけの説明しかないのが実態ですので、何度読み返そうとも、結果だけが並べられた発展史のお勉強にしかなりません。
慎重に文章を辿れば、「そのため」「同じように」といった接続詞で前後を関連付けるのは無理な箇所が目に付きますし、ていねいに解説すると宣言された箇所も何を解説したことになっているのかはっきりしません。とはいえ、簡単に説明できるようなお話ではありませんから、はぐらかし方と言うか見切り方は上手いと思います。
走る車からは縦にスリットの入った防音壁の向こう側の景色が見えますが、そんな風にサッサと読み通せば、素粒子の世界が垣間見えた気になります。でも、自然界の不思議よりも物理学者の挑戦を伝える方に力点が置かれていますから、得られる知識にはこの著作の外へ広がっていくような理解度が伴いません。この紙幅ではやむなしでしょう。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本を読んでいて、思考・イメージの限界が広がっていく感覚が心地よいです。巷にあふれる不正確な説明ではなく、科学者も共有するイメージを使って説明されているとのことで、信頼が置けます。

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