くるり主宰のノイズマッカートニーより突如として現れ、マイペースな活動を続けていた土井玄臣(どいもとおみ)の全国デビュー盤。
しかもwegやserphの所属するnobleから!
無料配布(メールで住所を教えるとCDが封筒で送られてくるというアナログっぷり)の『んんん』には数曲エレクトロニカ風の曲が入っていたが、なんと本作は弾き語りの一曲を除いて全編エレクトロポップ。
土井の中性的な歌声と、通奏低音として常に漂う夜の匂いは聴く者を優しく包み込む。
宇宙の玩具箱とでもいうような箱庭的世界観は寸分の狂いもなく構築され、エレクトロニカ作品としての美学がある。
それでいて、日本語で丁寧に紡がれる言葉はきちんと「うた」として機能している。
うたとエレクトロニカの両立、背筋が凍るような戦慄と至福の安らぎが同居している稀有なミュージシャン。
ここ数年男性シンガーブームが来ているが、彼の才能は間違いなく突出している。
初期の七尾旅人、長谷川健一、麓健一、ジェイムス・ブレイクあたりが好きなら必聴。