前作「Ekstasis」からわずか一年。
欧米で喝采を浴びているLAのアヴァンポップ・シンガー、Julia Holterの3rd「Loud City Song」。
今までどおり、荘厳なドローンとHolterのささやくようなボーカルが恍惚的な「Hello Stranger」、ドラムマシーンを使ったシンセポップ風の「This is a True Heart」など、「Ekstasis」系統のトラックが基本。
しかし本作は58年公演のミュージカル「Gigi」にインスパイアされたそうで、明らかに20世紀中盤を意識したチェロ・ベース等の弦楽器、サックスやキーボードなんかが随所で用いられていて、良い意味で「古臭い」ショウビジネスの香りを感じます。
本作中でも特に生音志向が強い「In The Green Wild」冒頭のベースは卒倒しそうになるくらいクール。
10秒くらいサンプルを聞くと「音も綺麗だし、けっこうポップなのかな?」なんて錯覚しそうになりますが、真剣にフルで聞くとやっぱり偏執狂じみていてアヴァンギャルド。でも聞き流していると癒される。
まさにJulia Holterの真骨頂です。
今までのドローンに拘り抜いたHolterのサウンドも好きですが、今作で新しい境地に到達したのではないでしょうか。
次にどの路線に向かうのかはまだわかりませんが、また聞いたこともないようなアヴァンポップを作ってくれることを期待しています。