僕はチャールズ・ミンガスの大ファン。僕をジャズの世界に引き込んでくれた大恩人である。彼が亡くなった後、彼の遺志を継いで、ミンガス・ビッグバンドが誕生するが、その前身と言えるのがこのミンガス・ダイナスティである。チャールズ・ミンガスに同じタイトルのアルバムがあるけれど、日本語に訳せば「ミンガス王朝」というところだろうか。ミンガスが成し遂げたことあるいは志半ばだったことを継いでいくという意味ではとても意義深い名前ではないかと思う。選曲の妙も素晴らしい。特に最後の『Goodbye Pork Pie Hat』はジャズの歴史の上でも必聴に値する名曲だと今も思う。ここでも名演奏を繰り広げている。大好きなジョニ・ミッチェルも歌詞をつけて演奏している。そして僕が特に伝えたいのは、後に大ファンになり、愛聴盤も数多いチャーリー・ヘイデンが参加していることだ。ミンガス・ファンなのでどうしてもベーシストが気になって来たけれど、チャーリー・ヘイデンはまさに屈指のヴァーチュオーゾだと思う。その彼が参加し、ミンガスの名曲を演奏している、それだけで嬉しくなった。加えて、チャールズ・ミンガス、ジョニ・ミッチェル、チャーリー・ヘイデン、大好きなミュージシャンがいつの間にか僕の中で繋がって来たことに不思議な縁(えにし)を感じるのだ。そう言えば。生前チャールズ・ミンガスは自分のことをチャーリー・ミンガスと言われることが嫌いだったらしいのだが、唯一そう呼ぶことを許したのが、ジョニ・ミッチェルだったと言う。そして今僕のもう一人のお気に入りのベーシストの名はチャーリー・ヘイデン。こんなことも
他愛もないことなのかも知れないが僕には大事なこと。いろいろな音楽やミュージシャンがひょんなことでひとりの人間のミュージックライフの中で結びつく。これは僕だけのことではない。そんな気がするのだ。