“マスウェル・ヒルビリーズ”というのが、デイヴィス兄弟の出身地であり、バンドを結成したロンドンの地区ということから、この作品にかけた二人の思いが感じられます。収録された曲のジャンルも多岐にわたり、オープニングを飾る『20th Century Man』はギターとドラムで引っ張っていくシンプルなサウンドももちろんですが、“I'm a 20th century man, but I don't want to be here(俺は20世紀の男、でもここには居たくないんだ)”という歌詞も非常にロック的です。『Alchol』がミュージック・ホールにインスパイアされたというのは有名な話しですし、アルバム・タイトル曲の『Muswell Hillbilly』は露骨にカントリーですよね。まるで二人の音楽体験を辿るかのように感じられます。
それ以外では、キンクスっぽいな〜と感じられる間の抜けたようなサウンドの『Acute Schizophrenia Blues』、オールド・ロックンロールなギターが炸裂する『Here Come the People in Grey』、キンクスらしいメロディににやりとさせられる『Have a Cuppa Tea』、個人的には“ホワイト・アルバム”の頃のビートルズを連想させられる『Holloway Jail』などなど。