実のところわたしはこの作品の著者の他作品(コメディジャンル)があまり得意では無く、この作品もあまり期待せずに手に取ったのだが、たいへんな名作だった。というより、コメディよりこちらの方が向いているのでは…と思ってしまうほど。高校生の生々しい、しかし甘酸っぱい恋愛事情は絶妙だし、作品全体に流れる「昼夜逆転」というテーマも面白い。昼間に寝すぎて夜に眠れなくなったり、あるいは早い時間に眠くなったりしたときの、あの奇妙な感覚は馴染みのものだけれど、こんなに可愛いヒロインと一緒にいられるならそれも良いなあ、と思うなどした。
ラストはいわゆるバッドエンドでは全くないものの、どこか切なく、ありきたりの悲恋物語よりよほど胸を締め付けられた。間違いなく名作だと思うーーもっとも、この気持ちはひょっとすると、ある種のノスタルジーなのでは無いかと思わなくもないのだけれど。
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ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫) Kindle版
人間と吸血鬼が、昼と夜を分け合う世界。山森頼雅は両親が営むコンビニを手伝う高校生。夕方を迎えると毎日、自分と同じ蓮大付属に通う少女が紅茶を買っていく。それを冷蔵庫の奥から確認するのが彼の日課になっていた。そんなある日、その少女、冴原綾萌と出会い、吸血鬼も自分たちと同じ、いわゆる普通の高校生なのだと知る。普通に出会い、普通に惹かれ合う二人だが、夜の中で寄せ合う想いが彼らを悩ませていく……。夏の夜を焦がすラブストーリー。
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2013/12/30
- ファイルサイズ10156 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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登録情報
- ASIN : B00FB4S7H8
- 出版社 : KADOKAWA (2013/12/30)
- 発売日 : 2013/12/30
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 10156 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 289ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 261,910位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 408位ファミ通文庫
- - 28,509位ライトノベル (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コメディー成分が少なめです。落ち着いた雰囲気を持つ序盤にいったいどういう作品なのだろうと不安半分期待半分でしたが、
見事にいい意味で裏切られました。
ヴァンパイアとの恋愛。ヴァンパイアが普通に存在する世界。ヴァンパイアと結婚する人のいる世界。
その世界の中で、ヴァンパイアをほとんど知らなかった少年が恋をして、色々なことを知っていく。
恋愛したがゆえにそれまで苦痛だったことが楽しくなったり、恋を知ったゆえに今まで嬉しかったことが悲しくなったりと、
その心の動きを見せるのが上手でした。
そして時たま挟まれるギャグも相変わらずクオリティーが高い。一冊できれいに完結していて、終わり方も切なさもありつつハッピーエンドになっている。
石川博品の作品を今まで読んだきた人はもちろんのこと、これまで読んだことがないひとも楽しめる作品だろう。
ネルリシリーズよりも万人に受ける作風になっていると思う。
見事にいい意味で裏切られました。
ヴァンパイアとの恋愛。ヴァンパイアが普通に存在する世界。ヴァンパイアと結婚する人のいる世界。
その世界の中で、ヴァンパイアをほとんど知らなかった少年が恋をして、色々なことを知っていく。
恋愛したがゆえにそれまで苦痛だったことが楽しくなったり、恋を知ったゆえに今まで嬉しかったことが悲しくなったりと、
その心の動きを見せるのが上手でした。
そして時たま挟まれるギャグも相変わらずクオリティーが高い。一冊できれいに完結していて、終わり方も切なさもありつつハッピーエンドになっている。
石川博品の作品を今まで読んだきた人はもちろんのこと、これまで読んだことがないひとも楽しめる作品だろう。
ネルリシリーズよりも万人に受ける作風になっていると思う。
2013年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読んでる最中からじたばたと身悶えするほど、叙情的に直球に、照れ隠しの無い本気の恋愛小説。
一人称でテンション高くネットミームを散りばめられたコメディ小説、の書き手として筆者を評価する向きも
あるでしょうが、恐らくは僕を含め石川博品のファンは、それだけじゃないところに魅力を感じ惹き込まれているのでしょう。
本作は、「それだけじゃないところ」を純粋に抽出して原液95%くらいの濃度で叩き付けられた作品で。
それはもう身悶えするのもやむなし。
ネルリでは「王と平民」
カマタリさんでは「リア充とクズ」
平家さんでは「妖怪と人間」
そして今作では「吸血鬼と人間」
その隔絶を間に挟んでの交歓を、じっくりゆっくり、丁寧に描いたものとなっています。
僕は筆者の作風の中でも、この部分が一番好きです。
ラブコメのヒロインと主人公だから恋愛するのだ、と言わんばかりの記号的なやりとりや、ご都合のよろしい事件とその解決。
そういったものが無く、彼らが彼女らを好きになる理由、想いを深める描写、通じ合えないもどかしさが本当にしっかり描かれていて、
だからこそ読んでいて彼らを好きになり、幸せになってほしいと願い、読後感の何とも言えない爽やかに後引く感じが残るのでしょう。
人と吸血鬼であること、そこをテーマにした作品はそれなりに沢山ありますが、意外と「昼と夜の隔絶」をテーマに切り取った作品は
多くないように思います。読者として想像しやすい、しかし目を向けてみればそこは確固たる「異世界」。
異世界を舞台に描かれる人外との恋愛、という字面とは全く裏腹なその身近さこそが今作の仕掛けとしての秀逸さかと思います。
仕掛けといえば、過去作では一人称だった語り口が、今作は三人称でしたね。
そのお陰でヒロイン側の視点も描かれるようになったことが、異質さと身近さを一層引き立てることに一役買ってるのではないかな、と。
ラノベという大枠を否定したり卑下する気は毛頭無いのですが、しかし「ラノベらしさ」として求められる領分があることは
間違いない事実で、最早この作者はそこに納まる器ではないのではないかな、ともちらりと思います。
何にせよ良い作品でした・・・ 青春小説、と題して何ら恥じる事のないまさに直球の青春小説。堪能しました。
こういう思いは半年に一回くらいは味わいたいものなので、是非とも、是非とも定期的に作品出して頂きたいと
かしこみかしこみお願い申し上げます。いやもう本当。
一人称でテンション高くネットミームを散りばめられたコメディ小説、の書き手として筆者を評価する向きも
あるでしょうが、恐らくは僕を含め石川博品のファンは、それだけじゃないところに魅力を感じ惹き込まれているのでしょう。
本作は、「それだけじゃないところ」を純粋に抽出して原液95%くらいの濃度で叩き付けられた作品で。
それはもう身悶えするのもやむなし。
ネルリでは「王と平民」
カマタリさんでは「リア充とクズ」
平家さんでは「妖怪と人間」
そして今作では「吸血鬼と人間」
その隔絶を間に挟んでの交歓を、じっくりゆっくり、丁寧に描いたものとなっています。
僕は筆者の作風の中でも、この部分が一番好きです。
ラブコメのヒロインと主人公だから恋愛するのだ、と言わんばかりの記号的なやりとりや、ご都合のよろしい事件とその解決。
そういったものが無く、彼らが彼女らを好きになる理由、想いを深める描写、通じ合えないもどかしさが本当にしっかり描かれていて、
だからこそ読んでいて彼らを好きになり、幸せになってほしいと願い、読後感の何とも言えない爽やかに後引く感じが残るのでしょう。
人と吸血鬼であること、そこをテーマにした作品はそれなりに沢山ありますが、意外と「昼と夜の隔絶」をテーマに切り取った作品は
多くないように思います。読者として想像しやすい、しかし目を向けてみればそこは確固たる「異世界」。
異世界を舞台に描かれる人外との恋愛、という字面とは全く裏腹なその身近さこそが今作の仕掛けとしての秀逸さかと思います。
仕掛けといえば、過去作では一人称だった語り口が、今作は三人称でしたね。
そのお陰でヒロイン側の視点も描かれるようになったことが、異質さと身近さを一層引き立てることに一役買ってるのではないかな、と。
ラノベという大枠を否定したり卑下する気は毛頭無いのですが、しかし「ラノベらしさ」として求められる領分があることは
間違いない事実で、最早この作者はそこに納まる器ではないのではないかな、ともちらりと思います。
何にせよ良い作品でした・・・ 青春小説、と題して何ら恥じる事のないまさに直球の青春小説。堪能しました。
こういう思いは半年に一回くらいは味わいたいものなので、是非とも、是非とも定期的に作品出して頂きたいと
かしこみかしこみお願い申し上げます。いやもう本当。
2013年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
誰あろう石川博品氏の作品なので、あらかじめ石川作品に何らかの「ラノベを突き抜ける別の何か」を求めている方には、間違いなく完璧な作品です。
これまでの作品と比べると、ネルリの古典文学の煙たさもなければ、カマタリさんの躁めいたテンポ、若者読者へのおもねり(私はかなりツボでしたが、おそらく、ターゲットにとっては外していた)もない、
切符先生の綺麗なイラストが付いて、ヴァンパイアというぎりぎりラノベでも通用する「記号」を使っているだけの、素晴らしい叙情小説です。
(もちろん、再読に耐える深みを持った作品なので、「素晴らしい○○」の○○に当てはまる表現は、他にいくつもあると思います)
人物造形、レトリック、展開に記号性は全く見当たらず、ダイアログだけではない人物の交感全体を描くにも文学的技法を駆使していて、根底のジャンルとしては純文学です。
ただし、ジャンル・志向間の垣根を大きく跨ぐ作品であるだけに、またしても売れにくいかもしれません…。
ですが、こうした古典から未来までを一息に通底させる作品こそが、新しいジャンルを作っていくのだと思います。面白いです。
例えば私は、石川氏の対極にある(と勝手に私が考えるところの)鎌池氏のラノベも大好きです。
鎌池氏の作品は、まさにラノベであって、ラノベというジャンルが培ってきた有効性を凝縮し、もはや小説では無く記号の集まり、プログラミングみたいになっていて、
どこを切り取ってもすぐにわくわくしたり、萌えーとなったり、一発でツボを刺激してくる、そんな名人芸のような DJ ミックスなわけです。
石川氏のやっていることは、まだジャンル内で共有されていない、何の感情と結びつくのか確立されていない、いわゆるジャンルの辞書に載っていない、
そういう人物、そういう表現、そういう展開、そういうレトリック、そういうユーモアを、どこか私たちの知らないところから絞り出してくる作業です。
さらにそれを、古典から通じる強い文章力によって記号的で無くあくまで文学的に表現しているため、
私たちは、時に細かく、時におおざっぱに、何度も読んで、
その結果自分一人にとってのみ有効な何らかの具体化できない回答のようなものを獲得する、という体験をすることになります。
同じ本を読んでいる他の読者と、共感したり、何かを共有して所属意識を得るような、そういう効能は少ないです(でも、この作品には、物語設定を探る楽しみがちょっとありますね)。
読書という体験が好きな方に、是非お勧めします。
これまでの作品と比べると、ネルリの古典文学の煙たさもなければ、カマタリさんの躁めいたテンポ、若者読者へのおもねり(私はかなりツボでしたが、おそらく、ターゲットにとっては外していた)もない、
切符先生の綺麗なイラストが付いて、ヴァンパイアというぎりぎりラノベでも通用する「記号」を使っているだけの、素晴らしい叙情小説です。
(もちろん、再読に耐える深みを持った作品なので、「素晴らしい○○」の○○に当てはまる表現は、他にいくつもあると思います)
人物造形、レトリック、展開に記号性は全く見当たらず、ダイアログだけではない人物の交感全体を描くにも文学的技法を駆使していて、根底のジャンルとしては純文学です。
ただし、ジャンル・志向間の垣根を大きく跨ぐ作品であるだけに、またしても売れにくいかもしれません…。
ですが、こうした古典から未来までを一息に通底させる作品こそが、新しいジャンルを作っていくのだと思います。面白いです。
例えば私は、石川氏の対極にある(と勝手に私が考えるところの)鎌池氏のラノベも大好きです。
鎌池氏の作品は、まさにラノベであって、ラノベというジャンルが培ってきた有効性を凝縮し、もはや小説では無く記号の集まり、プログラミングみたいになっていて、
どこを切り取ってもすぐにわくわくしたり、萌えーとなったり、一発でツボを刺激してくる、そんな名人芸のような DJ ミックスなわけです。
石川氏のやっていることは、まだジャンル内で共有されていない、何の感情と結びつくのか確立されていない、いわゆるジャンルの辞書に載っていない、
そういう人物、そういう表現、そういう展開、そういうレトリック、そういうユーモアを、どこか私たちの知らないところから絞り出してくる作業です。
さらにそれを、古典から通じる強い文章力によって記号的で無くあくまで文学的に表現しているため、
私たちは、時に細かく、時におおざっぱに、何度も読んで、
その結果自分一人にとってのみ有効な何らかの具体化できない回答のようなものを獲得する、という体験をすることになります。
同じ本を読んでいる他の読者と、共感したり、何かを共有して所属意識を得るような、そういう効能は少ないです(でも、この作品には、物語設定を探る楽しみがちょっとありますね)。
読書という体験が好きな方に、是非お勧めします。
2014年6月14日に日本でレビュー済み
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視点はいいのですが、なんだが淡々と進みすぎという感じがします。
もう少し、展開がほしかった。
もう少し、展開がほしかった。
2015年5月29日に日本でレビュー済み
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初めて石川博品先生の本を読んでみました。
他の作品は知りませんが、この本を読む限り他の作品もすごいのだと思い知らされたくらいです。
内容を簡単に説明すると、日が昇る間に起きている人間と月が昇る間に起きている吸血鬼とのラブストーリー。
主人公は人間で夜遅くまでバイトをしている高校生。そんな彼は必ず夜に何かを買っていく吸血鬼のヒロインに恋に落ちる。単にこれだけ。
だがしかし、単にこれだけだと言って断じてつまらないわけではない。いや、つまらないわけがない!
同じ時間を共有できる時間が少ないためどんな短い時間でも大切にしようとする二人を見ているだけでも、正直もう腹は埋まってしまう。
あと、個人的に良かったのは、他のレビューでも書いてあったけれども、吸血鬼の存在が日常化しているところですかね。普通のラノベとかだった場合、吸血鬼っていつも特別な存在とか、珍しい存在で特別視されてるけれど、今回の吸血鬼は違くて普通の日常に溶け込んだ吸血鬼。これがまた新鮮で溜まらない。
あとは自分で読んで確かめるべし。
(注)暇な時間に読むこと。手放せない症候群に苦労しますんで。
他の作品は知りませんが、この本を読む限り他の作品もすごいのだと思い知らされたくらいです。
内容を簡単に説明すると、日が昇る間に起きている人間と月が昇る間に起きている吸血鬼とのラブストーリー。
主人公は人間で夜遅くまでバイトをしている高校生。そんな彼は必ず夜に何かを買っていく吸血鬼のヒロインに恋に落ちる。単にこれだけ。
だがしかし、単にこれだけだと言って断じてつまらないわけではない。いや、つまらないわけがない!
同じ時間を共有できる時間が少ないためどんな短い時間でも大切にしようとする二人を見ているだけでも、正直もう腹は埋まってしまう。
あと、個人的に良かったのは、他のレビューでも書いてあったけれども、吸血鬼の存在が日常化しているところですかね。普通のラノベとかだった場合、吸血鬼っていつも特別な存在とか、珍しい存在で特別視されてるけれど、今回の吸血鬼は違くて普通の日常に溶け込んだ吸血鬼。これがまた新鮮で溜まらない。
あとは自分で読んで確かめるべし。
(注)暇な時間に読むこと。手放せない症候群に苦労しますんで。
2016年10月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
具体的な作品のあらすじは諸兄に任せるとして、
読んだ上で気になったのは、如何せん文章のリズムが良くない。
具体的には、同じ文末の連続が何連にも続く箇所が多いのは読んでいて違和感を持った。
また、恋人になるまでの経緯部分が冗長に感じられたのは、
「すっと入ってくる」地の文でなかったからだと思う。
さらに、巻末のクライマックス部分では突然のカギカッコの連続シーンは、
書き手が面倒くさくなったのでは?などと邪推するくらいの突飛さがあった。
本作の結末は別れたわけではない、むしろ互いに強く想いあっているにも関わらず悲恋的である。
種が異なる故の根本的な問題による2人が出した結論としての付き合い方に、読み手としては感傷を禁じえない。
話の展開も、高校生のボーイミーツガールものとしては恋人になるまでのやり取りや順序は非常に丁寧に描かれており、
部分部分がなかなかに現実的な点は昨今のライトノベルにおいては貴重だと思う。
それだけに、もう少し「恋人になる」という点での繊細な描写が欲しかった。
恋人になるまでの経緯は事細かに描かれているのに、なったときが非常に素っ気無い印象である。
読んだ上で気になったのは、如何せん文章のリズムが良くない。
具体的には、同じ文末の連続が何連にも続く箇所が多いのは読んでいて違和感を持った。
また、恋人になるまでの経緯部分が冗長に感じられたのは、
「すっと入ってくる」地の文でなかったからだと思う。
さらに、巻末のクライマックス部分では突然のカギカッコの連続シーンは、
書き手が面倒くさくなったのでは?などと邪推するくらいの突飛さがあった。
本作の結末は別れたわけではない、むしろ互いに強く想いあっているにも関わらず悲恋的である。
種が異なる故の根本的な問題による2人が出した結論としての付き合い方に、読み手としては感傷を禁じえない。
話の展開も、高校生のボーイミーツガールものとしては恋人になるまでのやり取りや順序は非常に丁寧に描かれており、
部分部分がなかなかに現実的な点は昨今のライトノベルにおいては貴重だと思う。
それだけに、もう少し「恋人になる」という点での繊細な描写が欲しかった。
恋人になるまでの経緯は事細かに描かれているのに、なったときが非常に素っ気無い印象である。