僕は原作を読んで以来、姫野カオルコのファンになり、
このたびの映画化を祝杯を挙げて喜んでいる者です。
この奇想天外なお話しをどのように映画化するのか。
あらかじめ知りたいようでもあり、映画館で確認したくもあり、迷ったのですが購入しました。
なお、僕が住んでいる地域の近くでは上映予定が無く、正月の帰省の際に映画を鑑賞する予定です。
感想は、、
先ず、映画が原作のスピリッツを忠実に再現しているらしいことが確認出来て一安心です。
原作が発表されてから十六年経ちましたが、今でも、例えば「婚活」と言えば、「イケている女」「イケている男」になることを勧められるような気がします。
でも、別に男女交際が得意でなくても、結婚生活を上手く行かせることは出来るし、どちらかというと、映画のフランチェス子のようにまじめで謙虚な人の方が(相手も同様に謙虚でまじめなら)うまく行くような気がするのです。
そう言う意味で、イケていない女=岩佐真悠子が演じるフランチェス子(あだ名ですよ)が、紆余曲折を経て、ハッピーエンドを迎えるストーリーがそのまま映画になっている事がわかり、一安心でした。(ただ、最後に失神する人は、「顔はCGにするんでしょ?」と勝手に期待しています(古舘寛治さん、ゴメンなさいっm(v_v)m)
なお、直木賞候補になったこの作品以前でも、原作者は処女をテーマに作品を書いています。でも、それまでの作品は、主人公の女性が、その境遇に悲壮な決意で臨んでみたり、結末もようやく親から独立した程度で、男性との良好な関係を築くまでには至りませんでした。
この作品で、ようやく主人公の女性がニュートラルに、普通の人として悩みに対して取り組み、ハッピーエンドを迎えるストーリーになった、著者にとっても会心の作だったと思います。
次に、メイキングビデオらしく、映画撮影の現場の雰囲気が面白かったです。
芸能人と言えば、僕にとっては華やかな世界で楽しく生きている人でした。
でも、このDVDで映し出される撮影現場は朝早くから、夜暗くなってまで。
演技は、難しく、寒くて痛い。
テレビや映画館のスクリーンでできあがったものしか見たことのない僕にとっては、
「芸能人のお仕事も、楽しいばかりではなく、難しく辛い事も多そうだな。」
と、作り手側の一所懸命さに触れることが出来ました。
岩佐真悠子が役者として監督に演技の提案をしたり、人面瘡に操られて歩く演技指導を受けているところなど、見所が増える切っ掛けになったと思います。
エロという観点で言えば、原作者が2008年に発表したエッセイ集「すっぴんは事件か?」ちくま文庫2012/9/10で解説されている女性向け、男性向けの典型分類では、あきらかに「女性向け」であり、男性にとってのエロは期待できない事が理解できました。
下手に期待して映画館に行かずに済みました。
最後に価格ですが、なけなしのお小遣いをはたいて映画館に行く人にとっては、約三千円の価格は高価だと思います。
原作が好き、または吉田監督の作品が好き、または岩佐真悠子のファンで応援するつもりで購入する余裕がある大人買いのつもりで購入するのが良いと思います。