神林長平初期短編集を再読。当時は、才気に溢れSFマインドも濃厚な作品を次々に発表する脅威の新人で、将来を大いに嘱望されていたと思うが、その後期待通り日本を代表する最強SF作家に成長した。彼の作品をリアルタイムで読む事が出来たのは、SFファンとしては僥倖の一語である。
今読んでも十分評価に値する傑作揃いと思ったが、表題作に顕著な、小説と言う文系的なものに理系的なアプローチを試みる斬新さが彼の武器であり、魅力である事を再認識した。余計な情緒的主観を排除したハードボイルドな文体が彼の特徴で、その文体自体がSF迪なのだ。
どの後の名作群を知っているので満点評価とはしないが、大物の片鱗を十分にうかがわせる作品種で、今でも一読の価値はあると思う。
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言葉使い師 Kindle版
秩序を乱し、破壊するものとしてすべての言語活動が禁止されている無言世界を舞台に、言葉を生き物として操る言葉使い師によって、いやおうなく反社会行為者となった男の行手には……言葉に対するSF的アプローチを意欲的に試み、星雲賞を受賞した「言葉使い師」をはじめ、神林長平の才気を伝える六篇を収録。
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2009/8/25
- ファイルサイズ272 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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登録情報
- ASIN : B00GJMUMYC
- 出版社 : 早川書房 (2009/8/25)
- 発売日 : 2009/8/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 272 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 216ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 266,481位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 995位SF・ホラー・ファンタジー (Kindleストア)
- - 28,591位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953年新潟県生まれ。1979年、第5回ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選作『狐と踊れ』で作家デビュー。
第1長篇『あなたの魂に安らぎあれ』以来、独自の世界観をもとに「言葉」「機械」などのテーマを重層的に絡みあわせた作品を多数発表、SFファンの圧倒的な支持を受けている。『敵は海賊・海賊版』、『グッドラック 戦闘妖精・雪風』などの長短篇で、星雲賞を数多く受賞(以上、早川書房刊)。1995年、『言壺』で第16回日本SF大賞を受賞した。
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2017年11月26日に日本でレビュー済み
レポート
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2001年2月7日に日本でレビュー済み
いきなり舞台は火星で、主人公は描けなくなった画家。心理治療士の勧めで、スフィンクス=マシンに会いにゆく。 --語り口のテンポがよく、冒頭からのめり込んでしまった。
(余談:神林作品全般の特徴だが、この仮想生物の生態などが、一定の科学的法則にきっちり従うものとして、その科学側面がきっちり説明される。感情表現の言葉ではなくて、物理や科学理論の言葉で法則が説明される。この感触をして私はSFを感じる。)
この短編集のなかでは、「甘やかな月の錆」が内容も文章も一番好きだ。 多少ネタバレになるが…
文章としては、前半の小学生としての自我を描く文体が醸し出す「甘い日々の追憶」に心を動かされる。この主人公は母を好きになり、大人になれない自分を悔やむ。しかし、自分自身はそのことを理解しておらず、どうして変な感じがするのか思い悩む。
通常であれば、「大人になれない自分」は、幼少の焦りにすぎない。しかしこのお話では、ここをSFにした。--彼(を含む全員)は、実際に年を取っていない、という設定で物語りは続く。具体的にどうなのかは、本文を読んで欲しい。
しっかりとした現実法則がありながら、それでいてちょっとだけ現実と違う。その違いは、本の中では科学的に説明しつくされている。--これこそがSFの面白さだと思う。
(余談:神林作品全般の特徴だが、この仮想生物の生態などが、一定の科学的法則にきっちり従うものとして、その科学側面がきっちり説明される。感情表現の言葉ではなくて、物理や科学理論の言葉で法則が説明される。この感触をして私はSFを感じる。)
この短編集のなかでは、「甘やかな月の錆」が内容も文章も一番好きだ。 多少ネタバレになるが…
文章としては、前半の小学生としての自我を描く文体が醸し出す「甘い日々の追憶」に心を動かされる。この主人公は母を好きになり、大人になれない自分を悔やむ。しかし、自分自身はそのことを理解しておらず、どうして変な感じがするのか思い悩む。
通常であれば、「大人になれない自分」は、幼少の焦りにすぎない。しかしこのお話では、ここをSFにした。--彼(を含む全員)は、実際に年を取っていない、という設定で物語りは続く。具体的にどうなのかは、本文を読んで欲しい。
しっかりとした現実法則がありながら、それでいてちょっとだけ現実と違う。その違いは、本の中では科学的に説明しつくされている。--これこそがSFの面白さだと思う。
2004年10月16日に日本でレビュー済み
1981-83年に『SFマガジン』に発表された短篇6作をまとめたもの。神林の初期短編集の一冊。
陰鬱で出口のない話が多く、気分の落ち込んでいる時などに読むと、実に暗い気分になれる。しかしSFとしての魅力には凄まじいものがある。人類の心に潜む闇が、ふとしたSF的設定で露わになる。人類の未来は絶望的である。
しかし、こうした陰鬱さは、やはり初期作品ならではであろう。キャリアを積むに連れて、SF作家は陰鬱さに糖衣をまとわせる術に熟達していく。一見、読みやすくなっていくのである。私もそちらの方が好きだ。とはいえ、どちらを好むか、それは読者次第なのだろう。
陰鬱で出口のない話が多く、気分の落ち込んでいる時などに読むと、実に暗い気分になれる。しかしSFとしての魅力には凄まじいものがある。人類の心に潜む闇が、ふとしたSF的設定で露わになる。人類の未来は絶望的である。
しかし、こうした陰鬱さは、やはり初期作品ならではであろう。キャリアを積むに連れて、SF作家は陰鬱さに糖衣をまとわせる術に熟達していく。一見、読みやすくなっていくのである。私もそちらの方が好きだ。とはいえ、どちらを好むか、それは読者次第なのだろう。