◆ B.J.Ward(vo)
◆ Lynn Dolin(vo)
◆ Gene Di novi(p,dulcitron,arr)
◆ Jerry Scheff(fender bass)
◆ Robert Lanning(ds)
◆ Barry Zweig(g)
【Rec.c.1969】
♪「長く音楽を生業としてやってきた者は、聴衆や購買層の変化に直面するものさ。もし業界に居続けようとするならば、ミュージシャンは最新のマーケットに向けた曲作りや演奏にトライしなきゃなんない―自身の音楽性を損なわないようにしつヽね。僕は'60年代にそんな困難に出くわした。で、その解決策が“インナー・ダイアログ”なるグループを創ることだったんだ」
♪本作のCD化に際し、リーダーのジーン・ディノヴィが2001年に新たに書き下ろした解説の冒頭部分の拙訳である―ディノヴィといえば、僕の大好きなペギー・リー畢生の名盤『貝がら』で絶妙なチェンバロを奏でていた唄伴の名手であり、本業(?)のジャズ・ピアニストとしても、齢70を過ぎてから(!)『ハウ・ビューティフル・イズ・ナイト』などトリオでの佳作をモノしているが、ポップス方面でもこうして活躍してたんですね!!
♪そんなジャズ畑の人らしい、フォービートを効果的に織り込んだアレンジが印象的な1枚だが、主役はやはり清涼感溢れる女声のツイン・ヴォーカルだろう。先行レビューではフリー・デザインを引き合いに出してあったが、コーラスというよりは基本二人のデュオという形態だ。全曲ディノヴィの自作(作詞は「あめん棒とバラ」のT.ヴェローナ)だが、純正ソフトロック・ファンをも魅力するかのような繊細かつ知性の閃きを感じさせる至極チャーミングな楽曲群が並ぶ―なかでもフランシス・レイみたくクロマティックなコード展開を見せる、メランコリックなワルツ・チューン#9は傑作!!