クロスバイクを買った時に“とりあえず必要”だったので購入した。正直なところ、よく考えないで買って失敗したという感想だ。説明文にもあるように、このLEDは、公称値15ルーメンという明るさだ。これは、暗闇を明るく照らすには到底不十分な明るさだ。したがって、そのような用途（例えば、街路灯の少ない地域で安全に自転車に乗りたい、サイクリングで夜、真っ暗な道も通る予定があるといった用途）には向いていない。もっとも、街路灯のある市街地など、前照灯なしでも運転に十分な明るさが確保されている地域で、“周囲に自分の存在を知らせるための用途”としては、本品でもその役割は一応果たすだろう。結果、暗い道路で運転することがないのであれば、まあ、買ってもまったくの無駄というわけではないとは言える。しかしながら、決して暗闇を照らすようなライトではないし、明るさも不十分なため夜間は危険であることは、忘れない方が良い。自分の用途も踏まえ、安全第一で商品を選択したい。以下、明るさや投射光の形状、その他を若干詳しめに書いていこうと思う。少し長くなるのだけれど、暇だったら付き合って下さい。▼明るさ　先にも書いたが、本ライトの明るさは公称15ルーメンだ。これは今時のLEDライトとしては極めて暗い数値だ。本品は単3乾電池を2本使用するが、1本使用でも本品よりも何倍も明るい懐中電灯は山ほどある（写真も参考して欲しい）。さらに、後に述べる投射光の形状とも相まって、前方を十分に認識するための明るさは確保できない。投射範囲も極めて狭いため、ごく近くの一部だけしか照らすことができず、通常の自転車のスピードにおいて前方の安全を確認するのは困難だ。直裁に言ってしまえば、暗がりの中、本ライトだけで自転車を運転するのは極めて危険だ。したがって、街路灯のない、あるいは少ない場所を安全に走りたいというのであれば、別の商品を考えた方が良いだろう（これより明るい前照灯はいくらでも売っている）。以上は、街路灯の少ない地域での話だが、街路灯の多い都会では、あまりスピードを出さなければ、そもそもライトを点灯しなくても運転自体は問題ないという場合も多い。しかしながら、自転車の前照灯は、必ずしも暗闇を照らし出すことだけが役割ではない。むしろ、自転車の前照灯は、周囲に自分の存在を知らしめることが第一義的な役割だろう。そういう意味では、このライトにも意味がないわけでもない。対向車が視認できる程度の光量はあるので、前方に自分の存在をアピールすることはできる。街路灯の多い都会では、一定の役割は果たすと言えるだろう。また、サイクリング用途でナイトライドが予定されている場合は、事前にコースを良く確認したい。田舎の道路を走るのであれば、本ライトでは危険だ。サイクリング用途であれば、別の明るいライトを買っておいた方が後で後悔することもないだろう。▼投射光の形状　極めて限られた範囲（非常に狭い範囲）しか照らさない。さすがにこれはちょっとどういう意図なのか、メーカーに伺ってみたいところなのだが、これだけ狭いと一点集中型と言っても良いだろう（実際にはだるまを横にしたような形状だが）。参考までに他のライトの照射形状も含めた写真を掲載しておくが、このライトの照射範囲が極めて狭いことがよく分かるだろう。正面にいる車はこちらの存在に気付くだろうが、交差点などで車が正対していない場合は気付かれない場合もあるだろう。十分に注意したい。▼操作性　後部のボタンを押して、点灯。さらに、押すことによって、点滅→点灯を繰り返す。長押しで消灯する。持ち運び時における鞄の中などでの不意の点灯を予防するためにも、点灯を長押しにすべきだろう。消灯の長押しはあまり意味がないし、面倒だ。普通に、長押しで点灯、さらに普通押しで点灯→点滅→消灯で良かったのではないだろうか。▼品質　筐体はプラスチック。正直に言って安っぽい。また、本体上部が電池の蓋になっているが、精度が甘い。しっかりと取り付けたつもりでも、カチッと上手くはまらず、蓋が浮いてしまって今にも外れそうだ。振動で蓋が取れると困るので、自転車に取り付ける時は、ビニールテープで固定しているが、貧乏臭いし、面倒だ。ハンドルへの取り付けは、一般的なモノで、ハンドルにステーを取り付け、それに本体を取り付ける方式だ。ロック機構も付いているので、今まで一度も不意に外れた経験はないし、そのような心配はなさそうだ。▼その他　単三電池が使えるというのは大きい。充電式のライトは、外出先でバッテリーが切れると非常に困るが、単三電池はどこのコンビニでも売っている。エネループ等の充電池も問題なく使用できる。また、明るさが抑えられているためか、電池のもちは良い。電池交換は、先にも少し述べたが、本体上部の蓋を後ろにずらすと、蓋が外れる。簡単だし、硬くはないが、それだけに脱落の不安がある（しかも自分の個体は蓋がちゃんとはまらない）。こういったタイプの前照灯は盗難の危険があるので、長く駐輪する場合は取り外して持ち歩くのが一般的だが、本体が軽いので負担にならないのは良い。防水機能は皆無だ。事前に対策を施すか、ビール袋等を持ち歩いておきたい。雨が降ったら、ビニール等をしっかりと被せないと壊れることになるだろう。▼まとめ　正直なところ、このライトだけで夜間自転車を運転するのは若干危険なような気がしている。自分は都市部で運転することが多いので、1ヶ月ぐらいはこれで間に合わせていたが、早々に新しいものを買った。最近も別のモノを買ったが、やはり明るい方が運転しやすいし、安全だ。このライトは、とにかく暗い。自転車の前照灯としては、明らかに光量不足だ。「JIS前照灯規格適合品」を謳っているので、JIS規格の400カンデラはクリアするらしいが、おそらくギリギリで、電池が弱ったら下回りそうだ。実際、明るさで言えば、100円ショップよりはマシという程度だ。“前方を照らす”ということを重視するのならば、安全も考えて、他の商品も併せて検討することを強くオススメしたい。ライトを装備しないで自転車に乗ると警察に引き留められるので、「とりあえずカタチだけでも」ということで、安さに惹かれてこのライトを検討している人もいるだろう。気持ちは分かる。しかしながら、自転車の事故はとかく大きな事故に繋がりやすく、多くの場合は自転車側の被害が甚大だ。ほんの1000円、2000円をケチって人生を台無しにする危険を冒すような真似はして欲しくない。確かに安い製品であるが、安全に直結する製品でこの性能であれば、これをコスパがいいとは誰も言えないのではないだろうか。まったく使えない商品というわけではないので、星2つという評価にするが、皆さんにはご自身やお子さんの安全を第一に考えて欲しい。