1961年のギル・エヴァンス・オーケストラとマイルスが共演したカーネギーホールでのライブ演奏が
収録されている。オレンジ色のジャケットのCDと対になっている。「モア」の意味はそこにある。
それら2枚を合わせた「コンプリート盤」も、同一のオレンジ・ジャケットで出ている。
こちらはロドリーゴの「アランフェス協奏曲」をマイルス とギル・エヴァンスがアレンジし直した
ライブ演奏が冒頭にあり、その後に3曲、マイルス・クインテットの演奏が収められている。
「アランフェス協奏曲」は、マイルス が「これを聴き始めたら、頭から離れなくなった」ということで、
ギルとコラボレーションして吹き込んだ曲。スタジオ録音『Sketches of Spain』に収録。
マイルスはスモール・コンボのストレートなジャズ表現を突き詰めながら、ジャズ以外の要素をいかに
自分の音楽の中に取り込んで消化し、提案できるかに生涯取り組み続けた。
後半冒頭の「Teo」は、フラメンコの熱い曲調で「アランフェス」とのつなぎになっている。マイルスは、
トランペットの音が割れるほど激しくブローしている。曲名はマイルスのプロデューサーから来ているが、
皮肉なことに、ふたりはこの後、アルバム『クワイエット・ナイト』がきっかけで口も聞かない絶縁状態
となってしまう。続く「Walkin'」は9分を超える演奏。途中一旦ポーズがあり、終わったのかと思うと、
そこからウィントン・ケリーのピアノソロとなり、ポール・チェンバースが続き、中山康樹氏がいう
「山火事の真ん中で花火をぶち上げているような」エンディングとなる。主役はジミー・コブのドラムスと
マイルスのトランペット。その火を消すかのように、バラード「I thought about you」が入ってくる。
この1枚ものとコンプリート2枚組は、曲順が違い、テオ・マセロの編集術がそれぞれに施されている。
単純な分売CDとは言えない。テオ・マセロは、デジタル・リミックスのプロデュースまで担当している。