かってソフト化されていたようですが、現在は廃盤になっているようなので、ここでレビューします。
1964年6/3公開の東映作品で、監督は工藤栄一です。
時代は徳川時代の前半期で、4代将軍徳川家継の治世下、
権勢を誇った酒井忠清の突然の死、綱重の変死にヒントを得て創作されたものと思われます。
以下ネタバレがありますから未見の人は注意して下さい!!!
山鹿素行も出てきますが、この辺りは完全に創作です。
しかし、大老酒井による権力の横暴、それが徳川家重襲撃のラストへとつながり、
最後の集団の大立ち回りは、すごい迫力です。
そしてこれで終わりかと思った瞬間、あっけないラストが待っています。
しかし、このストーリー展開、「柳生一族の陰謀」とクリソツですよ!
つくられたのは本作品のほうが早いので、パクったたのは、「柳生一族の陰謀」のほうです。
ラストの大老酒井が、亡くなった綱重を生きている狂乱するのも、
錦之助が首を抱えて狂乱するシーンとほぼ発想は同じです。
また、これな時代劇ですが、時代を現代に変えれば、そくやくざ映画にもなり、
東映実録路線の先駆けのような作品でもあると思います。
ともかくとても面白いです、ぜひともDVDの再発を望みます!
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隔週刊 東映時代劇 傑作DVDコレクション(47)[大殺陣] DVD-ROM – 2010/1/1
登録情報
- ASIN : B00ICMZ12A
- 発売日 : 2010/1/1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,813,634位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
3グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年6月24日に日本でレビュー済み
救いはない…
が…言うまでもないと思うが…それが圧倒的な魅力なのである。
主人公は、江戸時代の官僚的な(サラリーマン的な)武士。新妻と平和な日々を送っていたようだが一瞬で崩される。要人暗殺に突き進むテロに巻き込まれてしまったのだ。彼はテログループのメンバーと誤認され…妻は殺され…幕府に狙われ…テログループ匿われ…生まれてはじめて人を切る…。冒頭、柔和で没個性だった主人公の表情は急速に歪み…狂気を帯びていく…。
本作は‘集団抗争時代劇’の一本として制作された。同ジャンルの傑作と名高い『十三人の刺客』と同じ工藤監督作なのだがやや地味な印象があった。しかし観て負けず劣らずの力作であることを知った。『十三人の刺客』はどこか『七人の侍』の影響を受けていると思われる作り(各キャラクターの描写や宿を丸ごと罠にする準備過程やトリッキーさ)だったが、本作もっとオリジナルだ。その核は、テログループと幕府側の狂気。
上記のように主人公の荒み方が凄いが、他のテログループの面々も既に狂気に支配されている。出色は頭巾を被ったヒロインだろう。表情を変えず暗躍する姿は異様であり主人公とも男女間の感情的交流は一切ない。通常のヒロインとまるで違う。他のメンバーも大なり小なり狂気に生きている。例えば…テログループ内には家族を愛する(一見)穏やかな人物が含まれており、暖かな家庭が描写されたりもする。が、しかし…その和むような家庭の行く末ときたら…。彼もまた狂気に支配されていたのだ。決起の日、早朝フラフラと歩く小さなシルエットに『おとーちゃん』と幻聴(?)が響くカットは冥府のようでゾッとする。
そう…この映画には心を和ますような面はないのだ。荒々しくシャープで明暗のハッキリした白黒画面は…美しいが…息が詰まるような圧迫感を撒き散らし続け…物語はどこまでいっても絶望的なのだ。その頂点はラストの圧倒的な‘大殺陣’…。タイトルにもなった死闘シーン。ラスト約30分、手持ちカメラの荒々しい白黒映像のなか市街地や水田地帯で血塗れ泥塗れになって繰り広げられる。そこは‘チャンバラ’などと呼ぶような美しさや鮮やかさはない。荒々しく異様なクライマックス。そして…打ちのめされたような気分のまま映画は終わる。乱暴に投げ出されてしまう。
何を目指してこの映画が作られたのか…。本作にメッセージ的(又は説明的)な部分はないし、私にはよく判らない…。判るのは、虚脱感…荒々しさ…救いのなさ…。胸にズドーンとくる迫力…重苦しさ…。
が…言うまでもないと思うが…それが圧倒的な魅力なのである。頭をつかまれ揺さぶられるのである。狂気に覆われた傑作だと私は思う。
暗黒の魅力に溢れているのだと。
本作は、運良くレンタルDVDを見つけたので観る事ができた。それは映像特典どころかメニュー画面もない…という簡素なソフトだった。しかし画質・音質ともに比較的良好。販売用のDVDはない様子だが、ここにあるように探せばDVDを入手できるかもしれない。ただこれほどの傑作が通常の販売ルートに乗っていないのはいかがなものか。仕様面を調整して発売してほしいと願う。
が…言うまでもないと思うが…それが圧倒的な魅力なのである。
主人公は、江戸時代の官僚的な(サラリーマン的な)武士。新妻と平和な日々を送っていたようだが一瞬で崩される。要人暗殺に突き進むテロに巻き込まれてしまったのだ。彼はテログループのメンバーと誤認され…妻は殺され…幕府に狙われ…テログループ匿われ…生まれてはじめて人を切る…。冒頭、柔和で没個性だった主人公の表情は急速に歪み…狂気を帯びていく…。
本作は‘集団抗争時代劇’の一本として制作された。同ジャンルの傑作と名高い『十三人の刺客』と同じ工藤監督作なのだがやや地味な印象があった。しかし観て負けず劣らずの力作であることを知った。『十三人の刺客』はどこか『七人の侍』の影響を受けていると思われる作り(各キャラクターの描写や宿を丸ごと罠にする準備過程やトリッキーさ)だったが、本作もっとオリジナルだ。その核は、テログループと幕府側の狂気。
上記のように主人公の荒み方が凄いが、他のテログループの面々も既に狂気に支配されている。出色は頭巾を被ったヒロインだろう。表情を変えず暗躍する姿は異様であり主人公とも男女間の感情的交流は一切ない。通常のヒロインとまるで違う。他のメンバーも大なり小なり狂気に生きている。例えば…テログループ内には家族を愛する(一見)穏やかな人物が含まれており、暖かな家庭が描写されたりもする。が、しかし…その和むような家庭の行く末ときたら…。彼もまた狂気に支配されていたのだ。決起の日、早朝フラフラと歩く小さなシルエットに『おとーちゃん』と幻聴(?)が響くカットは冥府のようでゾッとする。
そう…この映画には心を和ますような面はないのだ。荒々しくシャープで明暗のハッキリした白黒画面は…美しいが…息が詰まるような圧迫感を撒き散らし続け…物語はどこまでいっても絶望的なのだ。その頂点はラストの圧倒的な‘大殺陣’…。タイトルにもなった死闘シーン。ラスト約30分、手持ちカメラの荒々しい白黒映像のなか市街地や水田地帯で血塗れ泥塗れになって繰り広げられる。そこは‘チャンバラ’などと呼ぶような美しさや鮮やかさはない。荒々しく異様なクライマックス。そして…打ちのめされたような気分のまま映画は終わる。乱暴に投げ出されてしまう。
何を目指してこの映画が作られたのか…。本作にメッセージ的(又は説明的)な部分はないし、私にはよく判らない…。判るのは、虚脱感…荒々しさ…救いのなさ…。胸にズドーンとくる迫力…重苦しさ…。
が…言うまでもないと思うが…それが圧倒的な魅力なのである。頭をつかまれ揺さぶられるのである。狂気に覆われた傑作だと私は思う。
暗黒の魅力に溢れているのだと。
本作は、運良くレンタルDVDを見つけたので観る事ができた。それは映像特典どころかメニュー画面もない…という簡素なソフトだった。しかし画質・音質ともに比較的良好。販売用のDVDはない様子だが、ここにあるように探せばDVDを入手できるかもしれない。ただこれほどの傑作が通常の販売ルートに乗っていないのはいかがなものか。仕様面を調整して発売してほしいと願う。