クリアしたので、追記します
このゲームの魅力は、細かさに有ると感じました。
敵であるゴーストの呼称の組み合わせやステータス画面の上司の所見等、とにかく細かい。
そして、それらが驚くほどシステマティックに組み合わせられています。
何かをすれば何かが変わる。それが楽しい。ゲームの世界へ自分が影響を与えているという事を、いつでも何をしても実感させてくれる。ゲームが、プレイヤーに対して極めてフレンドリーに作られています。
ただ、このゲームは、こういったシステム的な所が本質で、やはりお話をメインディッシュとして作ってはいないのだな、と感じました。
例えば、可愛いあの娘へ出会った時から熱烈アプローチを続けても、頼れる親友と楽しい思い出を沢山作っても、選択肢を一つ外すだけで、エンディングには何となく戦闘に連れてってただけのキャラが駆けつけて主人公の為に熱い思いと涙を迸らせたりするのです。
しかしながら、こんな”システムにストーリーが負ける”出来事も、物凄く厚くドラマティックなお話が描かれた挙句のコレだと、最後の最後に話を盛り下げる余計な演出を配置しやがってと憤りの対象になるのですが、ストーリーが薄い為、実際に遭遇したときは、初プレイだったにも関わらずイベントの一つとして割り切って鑑賞できました。
とにかくキャラとシステム!その為に意図的にストーリーを薄めているならば、監督の手腕は時とともに鋭さを増したのだなと舌を巻いて平伏せざるを得ません。
8ヶ月という開発期間でも、やれる事をちゃんとやってちゃんと纏めるとこんな作品ができるのだな、と。
さて、演出的な終わりは見せられたものの物語りの完結を迎えた描写が無い(と、言い切らせてください)ため、エンディングを迎えても、これからも続いていく夕隙社の物語の一編が終わっただけという感覚になりました。
従って、告白イベントに深舟さんが出なくても八汐さんが駆けつけなくても悲しくありません。(山河サンキューな!)
ゲーム世界では、次の金曜日あたりには、新たな重要依頼が編集長から渡されていることでしょう。
私のゴーストハントライフは、この先も、高校生活が終わっても、続いていくのですから・・・
という事で、攻略本で言及されている追加シナリオが現実の物となるように、皆このソフトの良い所を見つけて沢山勧めて沢山遊ぼう。
---追記ここまで---
他のレビュワーの皆さん同様、今井監督の大ファンです。
昼食代呑み代飲み物代込み込みで月3万円の小遣いをやりくりし、vita版と、本体を所有していないPS3版両方を予約購入しました。
ここに書くのは、購入から数日の冷却期間を置き、更にここでの酷評レビューを読んで期待値をマイナスにしたうえでプレイした感想です。
読み込みは回数が気になるものの快適で、戦闘のテンポは悪くなく、テキストも戦闘中の一部の文字が小さいものの潰れている箇所は見られませんでした。
結論から言うと、”言われているほど悪くない”という感じです。
ただ、この作品は人を選ぶとは思いました。
この”人を選ぶ”というのは、システムが複雑とか新しいという意味ではありません。
平凡な設定およびゲームシステムだけをポンと渡されて”さあ好きに遊んでください”と言われたときに、愛と妄想だけで延々と遊び続けられるか否か、という感覚が近いかもしれません。
非常に質の低い格闘ゲームでも、キャラを動かすのが楽しいという理由だけで延々と遊び続けられる(私のような)人は、絵や声優さんを決め手に購入しても良いと思います。
(フルボイスではなく会話も量が乏しいので、声優目当ての購入は大きな愛が必要かもしれませんが...)
個人的な見解ですが、このゲームは”バイト生活シミュレーター”ではないかと思いました。
インターミッションがメインで、アドベンチャーはオマケという解釈です。
お気に入りのキャラとゲームで遊んだり共に戦ったり、時には忙しそうにしている彼彼女を敢えて特訓に誘ってかまってもらったり...
セリフや反応が少ない中で妄想上のバイト生活を満喫できれば、このゲームは、手軽な戦闘やボードゲーム、合成によるアイテム蒐集等の要素によって、短時間でサクっと遊べるお気に入りのゲームになる可能性を秘めています。
今井監督の真骨頂、数多の少年少女を異なる道へと叩き込み、新作無しで10余年も引き摺りまわした日本ゲーム業界屈指のリーサルウェポンであるところのドラマ要素は、最初から無いものと考えればダメージはありません。
アドベンチャーパートは仲間を増やすための特殊イベントくらいに考えておくのが良いと思います。
そう、繰り返しますが、このゲームは、今井監督が紡ぐドラマに導かれる事を楽しんだり、深いキャラクター性に一喜一憂するような”今井作品”ではないかもしれません。
でも、それで良いんです。
暮綯學園に転入した僕は、周囲に一目置かれるカッコいい男友達や都内屈指の可愛い女子高生達にチヤホヤされ、綺麗な年上のお姉さんに頼りにされつつゴーストハントで大活躍して世間の役に立ち、後ろ盾の無い無名のルーキーから実力だけで若き業界の重鎮に成り上がり、世間を脅かす陰謀を阻止し、某トレジャーハンターにも引けを取らない 充 実 し た 青 春 を送っているんです。
夢が広がりすぎて、第二話半ばのインターミッション(ゲーム中はじめて登場するインターミッション)で10時間近い時間を浪費しており話を進めていない為、ストーリー要素等については一切言及できません。
ただ、今井作品が叩き込んでくれた”ストーリーの裏を想像する力”で、私はこのゲームを他の作品同様に遊び続けられると思いますし、遊んでいきたいと思います。
最後になりますが、このレビューを読んだ事で、購入を見送るつもりだったのがちょっと欲しくなってしまった人へ、アドバイスを。
もし貴方が今井作品を未体験なら、まずは東京魔人学園剣風帖か九龍妖魔学園紀のいずれかを遊んでみてください。もし面白いと思ったら、もう片方も遊んでみてください。
もし貴方が今井監督のファンなら、過去作品を遊びなおし、想いを再確認してください。
もし貴方が、いま過去の今井作品を遊び、両方面白いと思えたら、この作品は、迷わず新品で購入すべきです。
作品が売れて今井監督の実績が膨らめば、今度こそ、多くの仲間が10年以上待っている”今井作品”の新作が作られるでしょうから。
…でも、
…10年待って…
…辛いよなぁ〜