表題作はじめ4本のSF短編と、1篇の旅行小説?で構成された著者初の短編集。それぞれ好みはあろうかと思いますが、特に表題作『オニキス』が持つ、P.K.・ディックを想起させる斬新な着想は、秀逸です。また、旅行小説『満月(フルムーン)』は、アジアへのバックパック旅行が好きな人なら、共感を持って楽しめると思います。作者の処女作ということもあり、説明的なセンテンスが多い点、よく読むと気になる表層的な形容詞の使い方、猿の進化や海水熱帯魚の種類の一部にみられる考証の甘さなど、小説技術的に気になる点もなくはないのですが、作者の表現のみずみずしさには好感が持て、楽しく読むことができました。今後が非常に楽しみです。
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オニキス Kindle版
時間SFの新機軸として絶賛を浴びたハヤカワSFコンテスト最終候補作ほか5篇を収録
マナという物質により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが――
改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作、自室の混沌と秩序を反映したミニチュア異世界が重ね合わされた男の日常「神の創造」、他人には見えない類人猿の進化を幻視する男の困惑「猿が出る」など、現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集/掲出の書影は底本のものです
マナという物質により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが――
改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作、自室の混沌と秩序を反映したミニチュア異世界が重ね合わされた男の日常「神の創造」、他人には見えない類人猿の進化を幻視する男の困惑「猿が出る」など、現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集/掲出の書影は底本のものです
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2014/2/15
- ファイルサイズ592 KB
登録情報
- ASIN : B00JRYHL5C
- 出版社 : 早川書房 (2014/2/15)
- 発売日 : 2014/2/15
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 592 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 249ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 467,124位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 50,634位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正直なところ、期待なんかしていなかった。
しかし、読んでみたら、ストーンと衝撃が走った。
なんだ、この自由な感じ。
数多くあったはずの代替世界を、無意識的に無視して継続されがちな現存世界において、下永聖高の作品には、代替世界の存在をしっかりと浮き彫りにしつつも、結果として時間と空間という二つの要素が、劇的な出会いによって実を結んだ、この現存世界を、ひたすらに、一所懸命生きていこうとする、いわば、代替世界を意識しながら、現存世界とポジティブに付き合っていく為の、完璧なレシピが詰め込まれている。
もうすこし、早く、この作品に出会っておきたかった。
彼の第二作品に期待するばかり。
ほんとに凄いと思う。
しかし、読んでみたら、ストーンと衝撃が走った。
なんだ、この自由な感じ。
数多くあったはずの代替世界を、無意識的に無視して継続されがちな現存世界において、下永聖高の作品には、代替世界の存在をしっかりと浮き彫りにしつつも、結果として時間と空間という二つの要素が、劇的な出会いによって実を結んだ、この現存世界を、ひたすらに、一所懸命生きていこうとする、いわば、代替世界を意識しながら、現存世界とポジティブに付き合っていく為の、完璧なレシピが詰め込まれている。
もうすこし、早く、この作品に出会っておきたかった。
彼の第二作品に期待するばかり。
ほんとに凄いと思う。
2014年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アイデアには多少面白いものもあったが、医学、生物、言語、歴史等に関しての知識、考察が決定的に不足しており話のリアリティを殺いでいる。適当に調べて出てきた事柄を大して理解もせずに、作中に使用しているのだろうと感じた。なぜ自分のよく知らない題材を取り上げてしまったのだろうか?話のオチも陳腐でがっかりさせられるものが多く、せっかくのアイデアが昇華するということが無い。
辛辣で申し訳ないが、このレベルの作品がSFコンテストのいい所まで残ったということが意外であり、残念に思う。
辛辣で申し訳ないが、このレベルの作品がSFコンテストのいい所まで残ったということが意外であり、残念に思う。
2014年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初は図書館で立ち読みのつもりが、おもしろくて、ついつい購入となりました。表題作が、見たことのない世界観で、とてもおもしろかったです。何気ない日常の描写から、さりげなくSF的世界へ導かれていき、最後まで一気に読みました。この作者は追っていきたいなあ、と思います。
2014年2月22日に日本でレビュー済み
『第1回ハヤカワSFコンテスト』で最終候補作となった表題作を含む全五篇の作品集です.
その表題作は一篇目.何気ない通勤風景からの始まりにスッと中へと入り込める印象で,
ちょっと詰め込みすぎに思える部分もありましたが,それも三編目あたりからは落ち着き,
デビュー作にありがちな粗なども目立たず,最後までスムーズに読み進めることができます.
また,二つの篇で共通の設定を用いるも,くどさのないほどほほどの繋がりが却ってよく,
旅を描く最後の篇では物語の終わりをも漂わせ,感傷的な空気が心地のよい余韻を残します.
どの篇も粒ぞろいで楽しく,ぜひ二作目も読みたいと期待をさせられる作品と作家さんです.
その表題作は一篇目.何気ない通勤風景からの始まりにスッと中へと入り込める印象で,
ちょっと詰め込みすぎに思える部分もありましたが,それも三編目あたりからは落ち着き,
デビュー作にありがちな粗なども目立たず,最後までスムーズに読み進めることができます.
また,二つの篇で共通の設定を用いるも,くどさのないほどほほどの繋がりが却ってよく,
旅を描く最後の篇では物語の終わりをも漂わせ,感傷的な空気が心地のよい余韻を残します.
どの篇も粒ぞろいで楽しく,ぜひ二作目も読みたいと期待をさせられる作品と作家さんです.
2014年4月21日に日本でレビュー済み
表題作オニキス。
ふとした瞬間に世界が少しだけ書き換えられ、人々は変わってしまったことそのものを認識することができないが、それを観測することが可能な装置を装着した人物達のお話。その人物達は、書き換えられる前と後の差分の記憶を持ち生活することができる。
書き換えに法則性や意味はなく、次の瞬間にはAであったことがBとなり、そのBが真実となる。
その書き換えを軸に話はすすむが、Aであったことが次の瞬間には無意味にBとなりそれが真実となってしまうということは、ミステリーで言えば、証拠を積み上げていって今までAが犯人であったはずが、最後になっていきなり何の前触れもなく真犯人Bが登場してしまうような、ミステリーとしては御法度な構造だ。
それをさらに敷衍して物語として考えてみると、今までAですよとしてすすめてきたものが、ここからやっぱりBですよとしてすすむとしても、読者としてはそこからBとして切り替えて読んでもAの記憶は残り続け、物語に読者の脳内で重層性が生まれることとなる。
本書はそのような可能性の契機となる設定であると思わされた。単なるSFのアイデアを超える、文学的な可能性にも満ちあふれた小説であった。
この後に収められた作品も、同様に文学の冒険的な面を感じたが、長くなるので割愛する。本書は、現実の世界の一側面をSF的な感性でビビットに反映しているという意味での文学性というものは無く、エクリチュールの実験という意味での文学性があるように思う。
また、本レビューは若干ネタバレ気味であるが、読み始めればすぐ分かることであることと、設定が先に知られているくらいで面白くなくなるのは凡作であるので、敢えて配慮をしなかった。
ふとした瞬間に世界が少しだけ書き換えられ、人々は変わってしまったことそのものを認識することができないが、それを観測することが可能な装置を装着した人物達のお話。その人物達は、書き換えられる前と後の差分の記憶を持ち生活することができる。
書き換えに法則性や意味はなく、次の瞬間にはAであったことがBとなり、そのBが真実となる。
その書き換えを軸に話はすすむが、Aであったことが次の瞬間には無意味にBとなりそれが真実となってしまうということは、ミステリーで言えば、証拠を積み上げていって今までAが犯人であったはずが、最後になっていきなり何の前触れもなく真犯人Bが登場してしまうような、ミステリーとしては御法度な構造だ。
それをさらに敷衍して物語として考えてみると、今までAですよとしてすすめてきたものが、ここからやっぱりBですよとしてすすむとしても、読者としてはそこからBとして切り替えて読んでもAの記憶は残り続け、物語に読者の脳内で重層性が生まれることとなる。
本書はそのような可能性の契機となる設定であると思わされた。単なるSFのアイデアを超える、文学的な可能性にも満ちあふれた小説であった。
この後に収められた作品も、同様に文学の冒険的な面を感じたが、長くなるので割愛する。本書は、現実の世界の一側面をSF的な感性でビビットに反映しているという意味での文学性というものは無く、エクリチュールの実験という意味での文学性があるように思う。
また、本レビューは若干ネタバレ気味であるが、読み始めればすぐ分かることであることと、設定が先に知られているくらいで面白くなくなるのは凡作であるので、敢えて配慮をしなかった。
2014年11月1日に日本でレビュー済み
「こんな世界を作ってみた」みたいな感じがぷんぷんするだけで、物語としての楽しさが少しもなかったです。
まるでyoutubeに掲載される「歌ってみた」系と同じというか、オリジナリティというよりも、
器用に真似して見せたような書き方と、矛盾を多くはらんだ物語にはSFの可能性も感じられずにガッカリしました。
頭の中の論理ばかりで血が通ってません。
理系大学生が講義中に妄想するような話の域を出ていない。
これならもう少しページ数を増やして、マンガ原作にした方が質が上がるのではないでしょうか。
まるでyoutubeに掲載される「歌ってみた」系と同じというか、オリジナリティというよりも、
器用に真似して見せたような書き方と、矛盾を多くはらんだ物語にはSFの可能性も感じられずにガッカリしました。
頭の中の論理ばかりで血が通ってません。
理系大学生が講義中に妄想するような話の域を出ていない。
これならもう少しページ数を増やして、マンガ原作にした方が質が上がるのではないでしょうか。
2014年2月7日に日本でレビュー済み
SFマガジンを購読しているのですが、以前読んだ『オニキス』の読み切りが大変印象に残ったため、購入して一気読みしました。どの短編もクオリティーが高く、久々に硬派なSF作品に出会えました。特に『三千世界』は必見であります。今後楽しみな新人です。