英語ではなくて英国史に興味があって買いました。
イギリスの王統は激しくぶった切れる上に、統治する民族もいろいろあって、このあたりを知りたかった次第。
なので序盤はちょっとつまらなかったんですが、ヴァイキングが上陸して古代英語が変化するあたりからガゼン面白くなります。というかそれまでの退屈と思っていた初期の英語についての記述が、活き活きと輝いてくる。
全体を通して 何度も語られていますが、コレは「大和言葉」を軸にした言語の成長の物語、と言えます。著者は万葉時代の日本語、という意味だけでなく、「その国の基礎になった原始のことば」という意味で「大和言葉」を使ってる。英語と日本語の比較のうちに、あらゆる土地の「国語」が持っている裸の姿というか、子供時代というか、言語の根になる部分がある事を気付かせてくれる(ただ、具体的な日本の大和言葉感覚については井上ひさしの「私家製日本語文法」の方がよくわかります。本書はそこから先を語ってる感じです)。
その上で英語というモノが、日本語の歴史では想像もできないようなぶっ壊れ方をし、何度も何度も作り直され、拡張され、貪欲に取り込んで世界へ広がっていった、力強い言語だというのを知ることになります。
権力の管理がなく、一貫して野放しの言語だった事も、著者は何度も強調します。権力の代わりに、その言葉を使う人々の総意と権威付けで決まっていったんだと。今の日本では一線を引きづらい「権力」と「権威」、このふたつがイギリスでは別々のものとして存在し、作用しているんだというのも納得しつつ理解できました。
外来語に好意的で、大胆な変化も嫌わず、大きな器でなんでも受け入れていく。規則性がなくて汚いけど、気にしない。言語ってのは使えてなんぼじゃ! でも汚れのないキレイな部分は譲らないぜ…という英語圏 ネイティヴ達が持ってる芯に気づかされたのが、最大の収穫かな。隣の芝生は青く見えます。コレだからまったくいい本は…。
本書は廉価版の無印 Kindle で読みまして、校正大変だったろうによくリフローで出したなあ、と各所で舌を巻きました。電子版を編集された方も大変だったと思いますが、自分 Kindle 史上で最上の読書経験ができた事を、最後にご報告です。
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講談・英語の歴史 (PHP新書) Kindle版
今や世界の国際語。その英語も元々はゲルマンの一方言に過ぎなかった。ブリテン島に進出した後も、方言が多く統一感に欠け、スペリングと発音はバラバラで、言語としての完成からはほど遠い状態。しかも歴史的には、ヴァイキングの襲撃、フランス語の公的使用など、常に外国語の脅威にさらされてきた。このように言語としても未完成で、英国内における地位も不安定な英語が、いかに成り上がっていったのか。古英語・中英語・近代英語とは何か。時代を経るにつれ、いかに簡略化し文法が確立されていったか。地名や人名の歴史、その言葉のできた時代背景まで理解できる語源の魅力とは? 印刷技術の発達と標準英語の普及との関わり……。最後に、国語教育のための英語教育のすすめ、文法とボキャブラリーの重要性を強調するなど、これからの語学教育のあり方にも一石を投じる。1500年に及ぶその波乱万丈の歴史を英国史と絡めて解説。英語通・歴史通になる一冊。
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2007/7/23
- ファイルサイズ2507 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
商品説明
口述筆記で英語の歴史をたどった1冊。門外漢にとってはかなり高度な内容も含まれているが、柔らかな語り口調と、「講談」に擬せられた自由な「脱線」とが、本書を素人にもなじみやすいものにしている。
著者は、英語史を学ぶにあたって、ドイツ留学を経験したという。なぜドイツだったのか。本書の記述はこのあたりの説明からスリリングに開始され、以降ほぼ全編にわたって、ヨーロッパ世界での英語の履歴紹介に費やされている。
一読して感じるのは、言語というものに否応なく現れた、現実世界の痕跡に対する驚きであり、また我々が英語にこれだけコミットしていながら、ヨーロッパ世界のリアルな姿について、いかに無知のままで生きてきたかという驚きである。「まえがき」に、「英語という現在の国際語が、いかに卑小な起源を持ち、不幸な歴史を持ちながら今日に至ったか」という1句がある。歴史地図を手に本書を通読すれば、読者は通史を概観する楽しみに加えて、物事を相対化するという歴史の重要な役割について、あらためて実感することができるだろう。
著者は、全編を通じて、英語に「大和言葉」にあたる部分が存在することも指摘している。その記述に従いながら、既知の英単語を、目から鱗の驚きで見直すことができれば、著者も弁士冥利につきるに違いない。そして、そうなってこそはじめて、終章の英語教育に関する簡略な提言が、実質的な説得力をもつのである。(今野哲男)
登録情報
- ASIN : B00KLY4VQO
- 出版社 : PHP研究所 (2007/7/23)
- 発売日 : 2007/7/23
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2507 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 181ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 96,866位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 313位PHP新書
- - 999位英語よみもの
- - 1,097位英語 (Kindleストア)
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2016年3月20日に日本でレビュー済み
レポート
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10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2007年2月11日に日本でレビュー済み
英語というインドヨーロッパ語族の中では傍流に過ぎなかった一言語がいかにして世界語となったか。その歴史は波乱万丈で、物語性にあふれている。
本書は、親しみやすい講談調で、様々なエピソードをおりまぜて、いかに英語という言語がゲルマン語から成立し、フランス語やラテン語の影響を受け、現在の姿となり、世界語となったか、非常にわかりやすく説いてくれる。
なぜ英語にはフランス語が多いのか、つづりに問題が多いのか、ドイツ語との違いなど、様々な英語学習の疑問点を解いてくれる。
英語学習や教育には大いに資するところがあるだろう。ただし、厳密な学術的な根拠に疑問がある点や、政治的に必ずしも本書の趣旨と関係ない話題などにおいて、好き嫌いがわかれるだろう。
本書は、親しみやすい講談調で、様々なエピソードをおりまぜて、いかに英語という言語がゲルマン語から成立し、フランス語やラテン語の影響を受け、現在の姿となり、世界語となったか、非常にわかりやすく説いてくれる。
なぜ英語にはフランス語が多いのか、つづりに問題が多いのか、ドイツ語との違いなど、様々な英語学習の疑問点を解いてくれる。
英語学習や教育には大いに資するところがあるだろう。ただし、厳密な学術的な根拠に疑問がある点や、政治的に必ずしも本書の趣旨と関係ない話題などにおいて、好き嫌いがわかれるだろう。
2018年6月17日に日本でレビュー済み
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英文法史で著名な渡部先生の本です。英語の歴史に関しては、大まかな流れをつかむことができます。
2014年6月20日に日本でレビュー済み
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英語教師必読ともいえる、英語に関する教養を深めてくれる本です。渡部講談ともいえる語り口は軽妙ですが、内容は非常に濃いものです。
2006年1月2日に日本でレビュー済み
言語とは本来、総合的なものであるはずのものです。その単語の意味、綴り、使われ方一つ一つに歴史や文化はもちろん、それを使う人々の性格やその当時の思想まで、無数の要素を織り込んで現代に至っているものです。それはただ、この単語の来歴は、とかこの用法の変遷は、などを問うばかりであっては甚だしくその本質を見誤ることになることは必至であり、必ずその歴史的な条件への言及が不回避に求められるものであると信じます。特に本書のような、新書版の入門書に於いては、歴史と言葉がどのように有機的に結び合い、互いに影響され合っているかを示すだけで十分刺激的で、好奇心を満たすこと不足なく、その点から言って、著者はとても痒いところに手の届く題材を選んで英語史を編んでおられると思います。又、私としては、英語史理解の難点だった発音の推移。特に「大母音推移」の説明が簡単であっても分かり易く、その母音の移動を使えば、綴り字と発音の関係からその単語が英語に入ってきた時期が推測できるなど、発音変化からただ音の動きのみが分かるに止まらないことを知り、新鮮な驚きを覚えました。他にも著者の言うところの「雑談」には啓発されるところ多く、印欧諸語に見られる共通の言葉から、その故郷を探り出そうという試み。これを知れば人の名を知るのも数倍楽しくなるであろう、一目でアングロ・サクソン系かケルト系かとその人の系譜が読み取れてしまう、それぞれの名前に見られる特徴。スティーブンソンが作ったゲルマン系単語のみの詩と、その背景にある心情との関係。みな非常に興味深いものばかりであります。
たしかに私でも何が出典なのか疑問に思う箇所もあるにはありますが、それは著者一流の放言として敢えてそのまま受け入れるとして、本書は非常に有意義な教養書であると言えると思います。
たしかに私でも何が出典なのか疑問に思う箇所もあるにはありますが、それは著者一流の放言として敢えてそのまま受け入れるとして、本書は非常に有意義な教養書であると言えると思います。
2015年8月26日に日本でレビュー済み
ぼくは高校で教えていた時に,人気のある先生の特徴を盗みまくった。いろいろあったが,「雑談がうまい」というのがある。芸能界の話題などで,人気を取る教員もいたが,学問的な知識をわかりやすくしかもおもしろく語れる教員は人気があった。英語だけでなく,考え方や知識が得られることを生徒は歓迎し,その先生について勉強をしようと思うのだ。渡部氏も「私が英語を専攻しようと決心するまでに英語に牽かれたのは,佐藤先生の授業中の脱線---教科書と直接関係のない雑談---のおかげであった。つまり人文学の神髄は座談,いや雑談ができることにあるのではないか。幸田露伴や夏目漱石の魅力もそんなところにあったのではないか。そう思うようになっていたので,私は自分が教壇に立つようになってからは,雑談に入ることを恐れない教師になろうと思ってきた」。この本が「講談」と名付けられたのは,語り口が軽妙だからという点と,やはり英語の歴史自体が波瀾万丈で,物語としてもおもしろく読めるからであろう。全編を通して一気(at a sitting)に読めるが,とくにノルマンの征服のくだりはおもしろい。ぼくは英語史には疎かった。征服によってフランス語を話す王様が統治したので,宮廷でフランス語が話されて当然だろうくらいにしか思っていなかった。この本にはその時代の政治的流れがきちんと書いてある。王様だけがフランス人に代わったのなら,フランス語の影響も宮廷の一部での影響にとどまっただろう。この本によると「貴族があくまでも反抗し続けたので,反乱の掃討が5年も続いた。この結果,アルフレッド大王以来のアングロ・サクソン系貴族,クヌート大王以来のヴァイキング系貴族など,土着の貴族はほとんどいなくなってしまった。かわりにイギリスの貴族になったのはノルマン人,すなわちフランス語を話す人間だった。今でもイギリスでもっとも格の高い貴族はノルマン貴族である。貴族が入れ代わると,貴族についてくる騎士も代わるし,商人も代わる。それから,教会関係では田舎の修道院は元のままだったけれども,大修道院はウィリアムがフランスから連れてきた修道院長を置くようになる。こうして,上層階級はフランス語を話す人たちになった。これが1066年のノルマン・コンクエストが大事件であることの最大の意味である」。その結果,英語にはフランス語が大量に入ってくることになり,元々あった英語の単語との棲み分けが始まる。つまり社会的二重言語の国になった。その結果,もとからある英語の単語が使われなくなった場合や,生き残った場合がある。例えば,「贅沢な料理がでる場はdinner(正餐),supper(夕食)というフランス語系の言葉になり,あまりごちそうがでない場はbreakfast(朝食)というアングロ・サクソン系の言葉が使われている」と書いてある。つまり文化的な言葉は,貴族が使ったフランス語系,一般の人々が使う贅沢に関係のない言葉は,アングロ・サクソン系が使われるのだ。この視点を持つことは単語習得を大いに助けるだろう。ここにあがっている例は,どれもすぐ雑談のネタに使えるものが多い。この例以外にも「目から鱗」の話は満載である。難しいことを難しく話すのは,ある程度の人ならできるだろう。真の実力を備えたものは,難しいことをわかりやすくしかも簡単に解説できる。自分が勉強して理解したことをできるだけわかりやすく雑談をして生徒を鼓舞して力をつけてあげたいとずっと心がけてきた。自分が勉強していない英語史の知識があれば,いいと思うことはたびたびあった。本書はためになっておもしろいだけでなく生徒を雑談で鼓舞するのに大いに役立ってくれる。
2005年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
英語史を簡潔にまとめ、且つ様々な小ネタを交えた本書は、著者の狙い通り、読み物としてはお勧めである。英語の知識を増やしたい人や、英語学を志す人は目を通しておきたい一冊である。
反面、歴史の記述には不快な点も見られる。例えば細かい話であるが、ノルマン・コンクェストに関する記述において、なんの断りもなしに「神聖ローマ皇帝ハインリッヒ四世」と表している。しかし当時のハインリヒは皇帝戴冠はしていなかった(戴冠は十年以上先の話)。ここは「国王」とするべきであろう。
以上のようなことを総合して、これくらいの評価が妥当といえようか。
反面、歴史の記述には不快な点も見られる。例えば細かい話であるが、ノルマン・コンクェストに関する記述において、なんの断りもなしに「神聖ローマ皇帝ハインリッヒ四世」と表している。しかし当時のハインリヒは皇帝戴冠はしていなかった(戴冠は十年以上先の話)。ここは「国王」とするべきであろう。
以上のようなことを総合して、これくらいの評価が妥当といえようか。
2009年9月22日に日本でレビュー済み
まえがきで筆者が述べているように、これは、講演等の内容を
そのまま文章におこしたような本になっている。さしずめ、
英語の歴史の「実況中継」といった色彩になっている。
したがって、数多く出版されている筆者の著作の中でも、非常に
気軽に易しく読める本である。もちろん、筆者の深い学識や造詣
も感じ取れる内容にも仕上がっている。
ゲルマン民族の一言語であった英語がどのようにブリテン島に
もたらされ、今や世界語として認知される大言語に発展してきた
のか、その流れを簡単に知りたい人にはおすすめの一冊である。
そのまま文章におこしたような本になっている。さしずめ、
英語の歴史の「実況中継」といった色彩になっている。
したがって、数多く出版されている筆者の著作の中でも、非常に
気軽に易しく読める本である。もちろん、筆者の深い学識や造詣
も感じ取れる内容にも仕上がっている。
ゲルマン民族の一言語であった英語がどのようにブリテン島に
もたらされ、今や世界語として認知される大言語に発展してきた
のか、その流れを簡単に知りたい人にはおすすめの一冊である。