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国をつくるという仕事 Kindle版
貧困のない世界を夢見て・・・23年間の闘いから見えてきたもの
◆初めて訪れたエジプトの貧民街。少女ナディアが自分の腕のなかで息をひきとったとき、自分の人生が決定的に変わった――。基本的な医療があれば救える病気で命を落とす子どもたち。想像を絶する貧困の一方で、富があふれる都会があり、貧しい人々の苦しみを気にもかけない政治がある・・・。衝撃と怒りで一睡もできなかった帰路、著者は貧困と闘う仕事に取り組むことを決意する。
世界銀行に入った著者は、南アジア各国、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュなど数多くの途上国を担当。貧困地域に自らホームステイして現場の問題を探り出し、安易に援助を行うのではなく、地元のリーダーを支援することで自律的な貧困脱却を促す。民衆を顧みない権力者には、「それでもあなたは政治家か」と怒り、一歩も引かずに闘い抜く。現場を軽視した施策は改め、ほんとうに必要な支援を追求する。
貧困や悪政と闘いつづけた23年間。それは、この世界を変えたいと願う、あらゆる職場のリーダーたちと共に歩んだ道のりだった。農民や村長、貧民街の女性たちや売春婦、学生、社会起業家、銀行家、ジャーナリスト、政治家、中央銀行総裁、将軍や国王に至るまで――。本書は、「国づくり」の現場で出会った本物のリーダーたちの姿を情感込めて綴った回想記であり、今なお貧困や悪政の渦巻く世界を変えていくための、未来に向けたメッセージである。
◆著者・西水美恵子氏は、女性としても日本人としても初めて世界銀行地域担当副総裁となった人物です。貧困との闘いにおいて、現地の人々自身のリーダーシップを支援することで成果をあげた他、自ら貧村にホームステイを行うなど、つねに「現場」に根ざした「国づくり」を推進しました。また、各国の為政者と信頼関係を築き、時には喧嘩も挑むなど積極的に政治改革を支援。ブータン国王・雷龍王4世やパキスタンのムシャラフ元大統領はじめ、多くのリーダーのエピソードが本書に綴られています。貧困との闘いの一方で、世銀内部の組織改革にも取り組み、その手法はピーター・センゲ教授はじめ経営学界でも高く評価されています。
◆著者の意向により本書の印税はすべて「雷龍の国」ブータンのタラヤナ財団に寄付され、貧しい家庭の児童の教育費等に役立てられます。
- 言語日本語
- 出版社英治出版
- 発売日2009/4/7
- ファイルサイズ6463 KB
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出版社より
【前・世界銀行副総裁が語る リーダーシップの真実】
貧困のない世界を夢見て・・・23年間の闘いから見えてきたもの
◆はじめて訪れたエジプトの貧民街。少女ナディアが自分の腕のなかで息をひきとったとき、自分の人生が決定的に変わった――。基本的な医療があれば救える病気で命を落とす子どもたち。想像を絶する貧困の一方で、富があふれる都会があり、貧しい人々の苦しみを気にもかけない政治がある・・・。衝撃と怒りで一睡もできなかった帰路、著者は貧困と闘う仕事に取り組むことを決意する。
世界銀行に入った著者は、南アジア各国、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュなど数多くの途上国を担当。貧困地域に自らホームステイして現場の問題を探り出し、安易に援助を行うのではなく、地元のリーダーを支援することで自律的な貧困脱却を促す。民衆を顧みない権力者には、「それでもあなたは政治家か」と怒り、一歩も引かずに闘い抜く。現場を軽視した施策は改め、ほんとうに必要な支援を追求する。
貧困や悪政と闘いつづけた 23年間。それは、この世界を変えたいと願う、あらゆる職場のリーダーたちと共に歩んだ道のりだった。農民や村長、貧民街の女性たちや売春婦、学生、社会起業家、銀行家、ジャーナリスト、政治家、中央銀行総裁、将軍や国王に至るまで――。本書は、「国づくり」の現場で出会った本物のリーダーたちの姿を情感込めて綴った回想記であり、今なお貧困や悪政の渦巻く世界を変えていくための、未来に向けたメッセージである。
西水美恵子 Mieko Nishimizu
大阪府豊中市に生まれ、北海道美唄市で育つ。中学3年から上京。東京都立西高校在学中、ロータリークラブ交換留学生として渡米し、そのままガルチャー大学に進学。1970年に卒業後、トーマス・J・ワトソン財団フェローとして帰国。千代田化工建設に席を借りて環境汚染問題の研究に従事した後、再度渡米。1975年、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程(経済学)修了。同年、プリンストン大学経済学部兼ウッドロー・ウィルソン・スクールの助教授に就任。1980年、世界銀行に入行。開発政策局・経済開発研究所、産業・エネルギー局、欧州・中東・北アフリカ地域 アフガニスタン・パキスタン・トルコ局、国際復興開発銀行リスク管理・金融政策局局長、南アジア地域アフガニスタン・バングラデシュ・パキスタン・スリランカ局局長などを経て、1997年に南アジア地域副総裁に就任。2003年退職。現在、米国ワシントンと英国領バージン諸島に在留。世界を舞台に執筆や講演、さまざまなアドバイザー活動を続ける。2007年よりシンクタンク・ソフィアバンクのパートナー。
商品の説明
著者について
大阪府豊中市に生まれ、北海道美唄市で育つ。中学3年から上京。東京都立西高校在学中、ロータリークラブ交換留学生として渡米し、そのままガルチャー大学に進学。1970年に卒業後、トーマス・J・ワトソン財団フェローとして帰国。千代田化工建設に席を借りて環境汚染問題の研究に従事した後、再度渡米。1975年、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程(経済学)修了。同年、プリンストン大学経済学部兼ウッドロー・ウィルソン・スクールの助教授に就任。1980年、世界銀行に入行。開発政策局・経済開発研究所、産業・エネルギー局、欧州・中東・北アフリカ地域 アフガニスタン・パキスタン・トルコ局、国際復興開発銀行リスク管理・金融政策局局長、南アジア地域アフガニスタン・バングラデシュ・パキスタン・スリランカ局局長などを経て、1997年に南アジア地域副総裁に就任。2003年退職。現在、米国ワシントンと英国領バージン諸島に在留。世界を舞台に執筆や講演、さまざまなアドバイザー活動を続ける。2007年よりシンクタンク・ソフィアバンクのパートナー。
登録情報
- ASIN : B00MRRF3HO
- 出版社 : 英治出版 (2009/4/7)
- 発売日 : 2009/4/7
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 6463 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 288ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 238,786位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,705位国際政治情勢
- - 2,075位政治 (Kindleストア)
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著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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読み始めて4ページ目に女性経済学者の筆者が世界銀行に
入ったきっかけが語られる。
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週末のある日、ふと思いついて、カイロ郊外にある「死人の町」に足を運んだ。邸宅を模す大理石造りの霊廟がずらりと並ぶイスラムの墓地に、行きどころのない人々が住み着いた貧民街だった。
その町の路地で、ひとりの病む幼女に出会った。ナディアという名のその子を、看護に疲れ切った母親から抱きとったとたん、羽毛のような軽さにどきっとした。緊急手配をした医者は間に合わず、ナディアは、私に抱かれたまま、静かに息をひきとった。
ナディアの病気は、下痢からくる脱水症状だった。安全な飲み水の供給と衛生教育さえしっかりしていれば、防げる下痢・・・。糖分と塩分を溶かすだけの誰でも簡単に作れる飲料水で、応急手当ができる脱水症状・・・。
誰の神様でもいいから、ぶん殴りたかった。天を仰いで、まわりを見回した途端、ナディアを殺した化け物を見た。きらびやかな都会がそこにある。最先端をいく技術と、優秀な才能と、膨大な富が溢れる都会がある。でも私の腕には、命尽きたナディアが眠る。悪統治。民の苦しみなど気にもかけない為政者の仕業と、直感した。
脊髄に火がついたような気がした。
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この時点で既に打たれた。そこから怒涛のように、南アジアの元首たちや草の根の人々とのつかみ合いの日々がつづられる。ムシャラフ・パキスタン大統領、マンモハン・シン・インド首相、クマラトンガ・スリランカ大統領、ワンチュク雷龍(ブータン)王4世・・・。
僕は蒙が開かれた。貧しき発展途上国には問題多々あれど我々日本が学ぶことは少ないと。全くの大間違いである。学ぶことだらけだ。何を?リーダーシップだ。文字通り命を賭けたリーダー達の生きる様から、われわれは何と多くのものを学べるのだろうか。
僕自身、日本の政治家には何も期待しておらず、彼らとがっぷり四つに組むことなんて考えたくもなかった。
しかしこの本を読んで変えられた。ハンガリーでは、パキスタンでは、インドでは、改革の同志達が、政治家・官僚・NGO・学者・ジャーナリストが激しく議論し、ぶつかりあいながら、長い長い闘いを行い、大きな変革や革命に身を投じている。
自ら距離を取ってどうするのだ。日本の何十倍も深刻な貧困が慢性化し、腐った政権と不条理に覆われた国々の中ですら、希望を失わず連帯をしていこうという志士が生まれ、傷つき命奪われながらも祖国の未来を想いもがいているにも関わらず、我ら日本でそれができないなんてことがあろうか。
政治家であれ、官僚であれ、学者であれ、ジャーナリストであれ、草莽の民であれ、多くの志ある人と心の底からぶつかりあって、手をにぎり合って、この社会を変えよう。
貧困なき日本に。貧困なき世界に。
この一言に尽きるのだろうか?
まとめ役のあり方について書かれた一冊。
ブータンのすばらしさ、アジアの持つ底力を感じさせてくれる一冊。
なぜ日本に女性指導者が少ないのかについても理解できたような気がする。
やはりやる気と度胸が必要なのだろう。
一体何をするところか分からなかったが、国家に金を貸し付けるのが仕事のようだ。
国家をなすものは国民。そうすると、世銀の顧客は目の前の貧困者でもある訳だ。
融資する側からすると国家トップは経営者、国は経営母体と考えられます。
融資するにあたって組織運営が適正に行われているか、
西水さんは草の根で国を見て回り、国家元首に迫る。
「あなたは自分の国の国民がどんな暮らしをしているか知っているのか」と。
とてもスケールの大きな仕事ですが、
やってる事は至極当たり前の事。
しかし、腐った世の中では正論は権力や政治より力を失ってしまう事がある。
その時にいかに国家元首級の人間と渡り合えるか、
西水さんの自分のするべき仕事と役割への徹底したブレのなさは、
彼女の心に沈み込んだ貧困の中で死んだ少女の姿に常に還元される。
人間には常にそうやって戻るべき原体験が必要なのかもしれない。
思想の核と言えるような、その人を成す根源といえるようなものが。
娘が言うには「ノンフィクションは苦手だったけれど、
エッセイ風で、とても読みやすかった。最初は『正義の味方』という
言葉のこっぱずかしさに退いたけれど、段々と惹かれていった」らしい。
現場と為政者との感覚の差について書かれてある部分は、
彼女が、教室で感じている違和感とその原因を考える上で、大きなヒントになり
解決に至ったらしいので、☆5つとしました。
実は、恥ずかしながら西水さんについて知らなかった。
事前にどんな人なのかをネットで調べた。
その情報収集段階で感動してしまい、込み上げてくる涙を抑えるのが大変だった。
職場でいい歳のジジイが涙を流していたら周りから変な目で見られる。
目薬を差したりしてカモフラージュに苦心した。
そして、当日の講演を迎えたが、言葉というよりもハートで聴いてしまったのか、これまた溢れて来る涙をメガネの調節のふりをして拭うのにひと苦労した。
ということで、講演内容の詳細をメモすることなど不可能であり、本書を購入することにした。
内容は、もちろん期待通りのものだった。
経済学者としてプリンストン大学で教鞭をとり、1年間だけ世界銀行で働く予定が、カイロ郊外の貧民街で幼女ナディアの死に直面。その瞬間に悪統治、民衆を気にもかけないリーダーたちの仕業と直感したことをきっかけに23年間世界銀行にとどまることとなり、数々の権力者の腐敗と悪統治との戦いが始まる。
その中で草の根の本物のリーダーたちとも出会う。
中でもブータンという国とその国王(雷龍王3世と雷龍王4世)に多くを学んだとある。
そして、正に戦って来られた数々の戦いが、臨場感のある迫力で伝わって来る。
リーダーシップの良し悪しが国づくりに決定的な差を生む。
危機感を共有し、ビジョンと価値観を共有する。
ぶれない頭とハートと行動。
リーダーシップの本気さが未来を切り開く。
どんな仕事でも、素晴らしいリーダーの仕事には夢と情熱と信念がある。
まわりの人々をやる気にさせる。
何をすべきかではなく、すべきことをどう捉えるかが大切と。(これは凄い言葉だった。立ち位置と姿勢が決定的に違う。)
西水さんとの出会いが、これからの私の生き方に影響を与えてくれたことに感謝しつつ。
ザンビア人モイオ女史の開発援助に関する対照的な考え方として
紹介されていたので読んでみました。
筆者が世銀の副総裁を務めた日本人女性ということで、実務者として
実際の援助が国づくりにどのような影響を与えることができるのか、
良い統治を生み出すにはどのようなメカニズムが必要なのか、何を
正していくべきかといった話が経験から語られるのかと
期待を持って読んだのですが、話が浅くて正直がっかりしました。
リーダーシップ云々という話は、なるほどーという感じで読んでいけますが
開発学を勉強したことがある人や、そういった現場で働いたことが
ある人にとっては、善悪の単純な図式構造等はうんざり。。。と思うかも
しれませんね。確かに、専門が経済学だということで、なんとなく納得しましたが。
頭でわかったつもりになって、ハートとつながっていないのではないか。
自分に問いかけられている思いでいっぱいになった。
ムシャラフ将軍との対話の部分が心に残った。
『彼は知っていた。
人間が人間として生きるために最低限の「安全保障」は、
心身の健康と、胸にともす希望なのだと。
貧しさとは、この保証を知らぬ権力者の搾取にあるとき、
貧民がもつ捨て身の鬱憤の恐ろしさも知り抜いていた。
暴動、犯罪、過激思想にはけ口を見つける人口が増える国。
その行く末は、国体消滅の危機なのだと。』
心身の健康と胸にともす希望というのは、
人間が人間であるために必要なことであり、
今現在の日本においても非常に重要なのだと再確認をした。
頭にもハートにも響くステキな本でした。
ぜひ、多くの人に読んでもらいたい!