秦郁彦先生の古臭い論文をメインに据えた構成だが、センセ、やっぱり、軍の慰安所研究の水準から、どんどん置いていかれて、近年では、完全に政治的な発言しか、行っていないってのが、こうしてみると、まる分かりですな。藤岡信勝だの西岡力だの、西尾幹二だの、西村幸祐だの往年の「諸君」が蘇ったかのような本で、確信的な右派メディアのアサヒ攻撃の狂騒の裏に、何か我々の知らない事実でもあるのではないかと言う期待は、するだけ無駄。この本にまとめられていることが、彼らの全てである。かろうじて現代史研究者と言えるのは、秦先生ただ一人であるが、そもそも慰安所研究を専門にしていたわけではないし、後の人間は、皆、完全なシロウトである。
この本に収められている論文の執筆者は、慰安所を公娼施設の戦地版と矮小化する人ばかりで、その理論的支柱となってるのが、秦先生なわけだが、これはとんでもない話である。近年の研究は、規模、内実とも軍の慰安所が、巨大な国際売春シンジケートと言うべきものであったことを明らかにしている。慰安所「経営者」は、「売春婦」の調達を条件に、軍と契約したフランチャイズの雇われ店長であり、実際に契約書も存在する。彼らは軍の指示に従って、後方の兵站から、前線まで転勤させられる。この差配をするのは、軍、師団の後方参謀と言われる士官達であるが、この士官達とてシンジケートの歯車であり、内地や朝鮮でどのようにして、慰安婦が「調達」されたのかを知らない。
昨年、韓国の安秉直による「慰安所管理人の日記」の解題が発表された。ビルマ占領後、釜山港から703人の朝鮮人女性が、慰安婦となることを知らされないまま、ラングーンに向けて出港した事は、米軍調書によって知られていたが、これが歴史的事実として確定した。女性達は、ビルマ到着後、軍の兵站はもとより、師団、連隊といった単位に振り分けられ、前線の玉砕必至の部隊にまで送られた。他の地域からの朝鮮人慰安婦の振り分けがあったことも分かっている。最近、毎日新聞が、「慰安所管理人の日記」からも、「強制連行」の証拠は得られていないと言ったトンチンカンなことを書いていたが、「強制連行された女性達」が、「騙されていることに気づいていない女性達」と、輸送船に同乗していたら、騒ぎだすことになるのは必至である。これは、あくまで集団でダマして国外に連れていった例なのだ。安の解題の重要性は「強制連行」とは何の関係もない。むしろ、ビルマでの巨大国際売春シンジケートの全体像が、誰にでも分かる形で鮮明になったことにある。
システムの話だけではない。初期のビルマだけでも千人近い朝鮮人慰安婦がいたのは確実であるが、秦理論によると、朝鮮人慰安婦の総数は、中国戦線、南方戦線通じて、四千人程度と言うことだから、この事実を知って、どういう修正をするのか、注目していたのだが、お歳ということもあるのだろうか、完全に無視である。まあ、慰安婦の数などは、慰安所での「強制売春」、「性暴力」に比べれば、本質的な問題ではない。しかし、秦先生がひねくり出した150人に一人と言う数字だろうが、通説に準じた吉見義明が妥当とする100人に一人だろうが、慰安所が、軍の兵站、師団、連隊といった単位に、必須の施設として設置されたことが、紛れも無い事実であると世間に広まれば、あっぱれ秦郁彦、よくぞこの俺様をたばかったと言う人間が続出することは疑いない。慰安婦は、従軍看護婦よりもずっと広範囲に配置され、戦場での動員数は彼女らよりはるかに多いのだ。
数値のインチキをもう一つ。もともと秦先生は、慰安婦の交替率を1.5と見積もっているが、これでは軍が交替する目安としていた2年よりはるかに長く、慰安婦を務めることになる。この1.5という交替率は、吉見義明のように慰安所の強制性を強調する論者にとっては、妥当な数字だが、秦センセの立場からは、むしろ不都合な数字なのであるが、おそらくは、これも慰安婦の総数を2万とはじき出すための、涙ぐましい数字合わせの産物であろう。
妖怪じみてきたとは言え、秦先生とて人間である。先生は、のらりくらりのゴマカシで、残りの人生を乗りきるだろうが、200歳まで生きるわけではなかろう。将来、先生のデタラメな理論の尻拭いをさせられるのは、文春や読売など、今回のアサヒ誤報騒動で、ろくに検討もせずに先生を利用したメディアなのであるが、先生亡き後、どんな人間が、キッカイな秦理論を継承して、自分らの弁護をしてくれるのか、今から真剣に考えておいた方がいいのではないすかね。
ちなみに、安秉直に歪曲・ねつ造記事であるから法的対応を取ると言われた「慰安婦『調査担当』韓国人教授が全面自供!」という、今年4月の大高未貴の記事は載っていない。
載せろよな(笑)。
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週刊文春臨時増刊 「慰安婦」捏造と「朝日新聞」 2014年 10/3号 [雑誌] 雑誌
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2015年1月14日に日本でレビュー済み
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外野からの批判はわかりますが、次はその真相をより掘り下げて、どうしてそうなっていってしまったのかを知りたいですし、今後の行方のための対策が重要と思いました。
2014年10月6日に日本でレビュー済み
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ということが論客の記事からよく判る。
嘘つきに乗せられて虚報の報道を続け、
フィクションと史実の区別がつかず、
また単に金が欲しいだけの韓国人の論拠となった朝日新聞。
新聞は、真実を報道する媒介ではなかったのか。
虚報を認めた際の反省の態度にも批判が集まっている。
朝日新聞は新聞の名に値しない。
速やかに廃刊にするべきである。
読者離れで経営不振で廃刊に追い込まれる前に。
嘘つきに乗せられて虚報の報道を続け、
フィクションと史実の区別がつかず、
また単に金が欲しいだけの韓国人の論拠となった朝日新聞。
新聞は、真実を報道する媒介ではなかったのか。
虚報を認めた際の反省の態度にも批判が集まっている。
朝日新聞は新聞の名に値しない。
速やかに廃刊にするべきである。
読者離れで経営不振で廃刊に追い込まれる前に。
2014年10月26日に日本でレビュー済み
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従軍慰安婦に関する記事の誤報発表で朝日新聞の罪深さが露呈することとなった。
報道の自由を掲げて擁護する向きもあるが、別次元である。初めての報道から22年経った今になって誤報と判断できるのであれば、もっと証人がたくさんいて記憶も生々しいであろう昔に誤報の証拠を掴めないはずがない。
朝日新聞社は日本国を貶めるためには嘘も厭わないという犯罪集団である。犯罪集団に報道の自由など与えてはならない。
どれだけ日本と日本人に苦しみを与えてきたか、怒りを通り越して悲しみすら感じる。
読んでいて気分が悪くなる記事であるが、その内容は朝日新聞社の存在を許してきた日本人として見つめなければいけない日本の恥部であると思う。
報道の自由を掲げて擁護する向きもあるが、別次元である。初めての報道から22年経った今になって誤報と判断できるのであれば、もっと証人がたくさんいて記憶も生々しいであろう昔に誤報の証拠を掴めないはずがない。
朝日新聞社は日本国を貶めるためには嘘も厭わないという犯罪集団である。犯罪集団に報道の自由など与えてはならない。
どれだけ日本と日本人に苦しみを与えてきたか、怒りを通り越して悲しみすら感じる。
読んでいて気分が悪くなる記事であるが、その内容は朝日新聞社の存在を許してきた日本人として見つめなければいけない日本の恥部であると思う。
2015年10月16日に日本でレビュー済み
読む必要もない特集本。朝日新聞がなくなったときに、なにが残るの?と聴きたい。あの劣等人種のネトウヨとヤクザの変形の街宣車だぜ。
2014年11月1日に日本でレビュー済み
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未だ完読していないが参考になった、東京都大森に有った米軍相手の慰安所を思い出した。
2014年10月19日に日本でレビュー済み
この本は、文藝春秋が慰安婦の報道に対して、いかに朝日に対応していたのか知ることができる。
過去の報道を知ることによって、今が見えてくる。
はじめて知ることも多く記載してあり、一読の価値はあります。
過去の報道を知ることによって、今が見えてくる。
はじめて知ることも多く記載してあり、一読の価値はあります。
2014年9月25日に日本でレビュー済み
週刊文春の広告を掲載拒否した「言論弾圧メディア」の朝日新聞。
文春の姿勢を全て肯定するものではないが、少なくとも朝日が報道してきた
『いわゆる従軍慰安婦』問題については20年にわたり疑問と否定を繰り返し呈してきたことを評価したい。
再録が殆どを締め、古くは1996年頃の記事なのだが、吉田証言の訂正、朝日社長の会見以後に
書かれた記事と上手く組み合わせることで、全体を通じて違和感のない構成に仕上がっている。
なによりも朝日の報道姿勢、その記事への疑問は20年前から全く変わっていないことが分かる。
サンゴ事件から朝日の変わらぬスタンスは『日本を貶める』である。
その目的のためには手段を選ばず、記事の歪曲、捏造、嘘も100回繰り返せば真実だ
そんな空気が社に充満しているから「世界に冠たる日本の落書き」だの、吉田証言に飛びつき、
吉田所長の調書を曲解して世界中に「日本はこんな悪い国なんですよ」と吹聴して回るのだ。
任天堂社長のインタビューを無理矢理に作り上げたのも、考えてみれば相当に悪質な所行である。
今後金輪際、朝日の記事など、どのページを持ってしても信用に値しないと天下に知らしめたであろう。
それだけの大罪を犯してきたのに、いまだに謝罪したのは「読者と関係者」だけである。
朝日が謝るべきは全国民であり、訂正するならば全世界に向かって発信しろというのだ。
致命的な過ちを犯し、廃業した会社も多い。
第三者機関でなにを検証しようが、今さら朝日の報道スタンスが変わるとは到底思えない。
朝日を今のまま存続させておくことはただ国益を損ない続けるだけであり、
この悪質なプロパガンダ機関は、一刻も早く我々国民の手で解体に追い込むしかない。
文春の姿勢を全て肯定するものではないが、少なくとも朝日が報道してきた
『いわゆる従軍慰安婦』問題については20年にわたり疑問と否定を繰り返し呈してきたことを評価したい。
再録が殆どを締め、古くは1996年頃の記事なのだが、吉田証言の訂正、朝日社長の会見以後に
書かれた記事と上手く組み合わせることで、全体を通じて違和感のない構成に仕上がっている。
なによりも朝日の報道姿勢、その記事への疑問は20年前から全く変わっていないことが分かる。
サンゴ事件から朝日の変わらぬスタンスは『日本を貶める』である。
その目的のためには手段を選ばず、記事の歪曲、捏造、嘘も100回繰り返せば真実だ
そんな空気が社に充満しているから「世界に冠たる日本の落書き」だの、吉田証言に飛びつき、
吉田所長の調書を曲解して世界中に「日本はこんな悪い国なんですよ」と吹聴して回るのだ。
任天堂社長のインタビューを無理矢理に作り上げたのも、考えてみれば相当に悪質な所行である。
今後金輪際、朝日の記事など、どのページを持ってしても信用に値しないと天下に知らしめたであろう。
それだけの大罪を犯してきたのに、いまだに謝罪したのは「読者と関係者」だけである。
朝日が謝るべきは全国民であり、訂正するならば全世界に向かって発信しろというのだ。
致命的な過ちを犯し、廃業した会社も多い。
第三者機関でなにを検証しようが、今さら朝日の報道スタンスが変わるとは到底思えない。
朝日を今のまま存続させておくことはただ国益を損ない続けるだけであり、
この悪質なプロパガンダ機関は、一刻も早く我々国民の手で解体に追い込むしかない。