ここまでのレベルに辿り着いた3人に、まず最大の賛辞と感謝の言葉を送りたい。
待望の10thアルバム。内容的にはこれまでのACIDMANらしさを全面に出した音作り・アレンジで、こだわりと細部まで目が行き届いた繊細さには目を見張る。
さらには、大木の描く世界観が素晴らしい。正に絵画を描くが如し。「有と無」=「生と死」を
様々な角度から描き切ろうという大木の信念に脱帽する。
空と海、月と花、太陽と風、宇宙と細胞……そんなミクロとマクロを「僕と君」の関係に落とし込むという、恐ろしいまでに稀有な表現力を身に付けた大木は、この先どれ程の表現者になっていくのだろう。
しかし、哲学的ではあるが難解ではない。M2「永遠の底」とM12「最期の景色」という地続きの2曲の間に、様々な景色を見せてくれる。ある意味カラフルであるとも言える。“音が楽しい”からこそ、開かれた世界観を堪能できる。
pre - debut singleの「造花が笑う」から追い続けてきて10年余り、ついてきて良かったと心の底から快哉を叫びたい気分だ。