エビ中こと私立恵比寿中学の2ndアルバムは、前作「中人」と比べ、様々な意味で"攻め"に出た印象の作品。
前山田健一によるぶっ飛んだ歌詞・サウンドでまさに"攻め"の姿勢を見せるM2や、自由奔放な青春を描いたM4、タイトル通り可愛げなRiot(暴動)を想起させるハードなM5に象徴されるように、前半8曲は疾走感あるアップテンポな曲が並び、アグレッシブなエビ中の一面を見せている。
後半は攻撃性が鳴りを潜め、内面描写に磨きをかけたセンチメンタルな楽曲が目立つ。ティーンエイジャーの無垢な気持ちを写す爽やかなM9、日常の素晴らしさを歌うM12が心に沁みる。女子の恋心をテーマにしたM10、M13が彩りを添える。壮大なM11でぐっと深淵に引き込まれる。
そして、EpilogueのM16が素晴らしい。「金八」という作品をパズルに見立てたとき、この曲がまさに最後の1ピースとなる。
アルバム全体を俯瞰すると、前半がやや飛ばし気味なせいか、中盤で少し疲れを感じることは否めない。しかし、それがInterludeや後半の楽曲をより一層引き立てているともいえ、アルバムを通して聴いたときの心地良さは前作「中人」を格段に上回る。「中人」のInterludeは少しダレるのが難点だったが、「早弁ラップ」はエビ中的な"ゆるさ"を表現しながらそれを上手くリカバーしたように思う。
他にも、既存の枠からはみ出すような楽曲の多彩さが顕著に示されているのが印象的。正統派バラードから、ゆるラップ、テクノ、ラテン歌謡、はてにはソーラン節(?)まで。
WK1(鈴木慶一+曽我部恵一)がアナログレコーディングを手掛けたM12や、メンバー全員が一列に並び録音したというM16のように、聴き手を飽きさせない創意工夫や実験的な要素も面白い。
初回盤のみ付属のBlu-ray Discには、舞浜アンフィシアターで行われた「エビマニ vol.1」の模様を一部収録。収録見送りが惜しい曲もあるが、8人体制で初めて映像化される"干され曲"を収録しただけあって、その価値は高い。
ジャンルに囚われず縦横無尽に変化するメロディ、そして思春期らしく動き回る心の機微を描いた歌詞。それでも一貫して根底に流れているのは、「King of 学芸会」「永遠に中学生」というコンセプト。ともすればバラバラになりかねない多種多様な楽曲たちが1つの作品にまとめあげられているのも、本質がブレないからなのだろう。
反抗期も、成長期も。そして楽しいおふざけも。そんな青春が詰まった作品です。興味を持った方はぜひ。