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でんぱ組.incの「唯一無二」の強烈な個性、メンバーのカラーの違いから来るコントラストと調和が生む「でんぱサウンド」とライブビデオ(オマケ！)がすばらしい芸術品(アルバム)です。
アルバムとライブビデオから感じられるのは、彼女たちの途方もない「表現力」と「対応力」です。
宇宙船のワープのような超スピードから、止まってしまいそうなスローにまで変化するバリバリのでんぱソングから、切なくも愛くるしいラブソング、かわいさ溢れるポップ、火を噴くような激しさで暴れまわるライブまで、信じられない程の振幅と深さで、かわいく、切なく、おもしろく、カッコよく、楽しく、どこかほろっとした感傷すら込めて演じています。
積極的に前に進む意思・勢いを感じさせる「FD2〜レゾンデートル大冒険」、まるで古い8ビットのテレビゲームで浦島太郎のおとぎ話をプレイするような「Neo Japonism」、新しい感覚の抒情表現が深くも切ない「イロドリセカイ」などの新曲、神ライブと言われているロック・フェス2014での火を吹き暴れまわるような「VANDALISM」や「でんでんパッション」などのライブDVDまでオマケに付く、アルバムよし、ライブよしの「お宝」です。
さらに言えば、アルバムジャケットや歌詞カードなどのデザインもアーティスティックで、すべてに手抜きがありません。
それにしても、見れば見る程、知れば知るほどに彼女らはアイドルらしくないと感じます。
そう、彼女らが演じているものは、だれがどう見てもアイドルよりも上を行くもの、アートです。芸術です。
歌、ファッション、アルバム、ライブ、MV、ポスター、どれもこれも圧倒的な情報量と表現力・破壊力が見る人の脳みそを直撃します。ハッキリ言ってシビレます。中毒になります。依存症になります。
芸術とは、それを見聞きする人の感情を普遍的に揺さぶるものだと言われていますが、その定義から見れば、彼女たちは間違いなくアーティストです。アーティストを自称する音楽家は沢山いますが、どこがアートなのかと感じる事が少なくありません。
まるでオペラのようなWWDや、二次元と三次元を融合させたバリ3共和国のMV、ステージから炎や弓矢が飛んで来てファンの脳髄をぶち抜くようなライブまで、どうしてこんなにいろんなものが面白く、しかもDEEPに表現できるのかと思ってしまいます。
普通なら強烈な個性を持つ「アクの強い」メンバーが集まったアイドル・グループがそれぞれの個性を調和させて、力を発揮させる事は難しいのですが、「でんぱ組.inc」はそれぞれの全く方向性の異なる個性の相乗効果で既存のアイドルやアーティストにはない新しいイノベーションを作り上げています。(逆に言えば、ひとりでも欠ければ魅力は半分以下になってしまう)
ひとつひとつを見れば、どこかで誰かが既にやっている事かもしれません。しかしでんぱ組.incは今までだれもやっていなかった組み合わせでやっています。彼女たちはJ-POP界の古い価値観や枠組みを破壊しています。新しい組み合わせでイノベーションしています。
アイドルは、「若くなくてはならない(年齢不詳はダメ)」、「明るい(ネアカ)でなければならない」、「従順で素直な存在でなければらない」、「ヲタクであってはならい」、「恋愛感情の対象でなければならない」、「か弱く男性の力を必要とする存在でなけばならない」、「反逆的な存在ではならない」等、気が付かないうちにこういうものだと「決めつけていた」ものを見事に破壊しています。
※その意味では特典のライブDVDの一曲目がVANDALISM(文化破壊運動)というのは、意味深です。既存の「団体アイドル」や「体育会系ジャンプアイドル」に対する挑戦状かもしれません。もしかすると「ねむきゅん」あるいは「もふくちゃん」の企みかも・・・・・
とにかく買って損のないアルバムです。「神ライブ」が収録されたおまけDVDだけでも買う価値があります。前アルバムのWWDに続く「でんぱ組.inc」の前衛性を感じさせる尖ったアルバムです。
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