本書『白鯨(上)』の挿絵の画家は、ロックウェル・ケント(1882-1971)。
白と黒のイラストです。白黒映画のよう。白と黒のグラデーション。
白い鯨を描くのに、夜の星空はうってつけ。
本書の表紙カバーには、
黒い夜の星空を背景に、海面から突き出して潮を吹き上げる白鯨が描かれています。
本文中には、黒い鯨(74頁)も描かれています。
地獄の「暗闇の黒さ」(465頁)の先には、死。
そして白骨化して、天国の神のもとへ。
同じ鯨でも、昼に見れば黒く見えるし、夜に見れば白く見える。
皮膚の黒い黒人もその歯や骸骨は白く、一方、心の中が腹黒い白人もいます。
この物語を語るのは「わたし」
「わたし」では、気取っている感じがします。《おれ》でお願いします。
船長でもなく、捕鯨船のただの平水夫なんだから。
水夫の世界は、男の世界。男ばかりの地獄の世界。
さて、『白鯨』の書名の由来について。
1810年にチリ沖で発見された凶暴な白いマッコウ鯨「モチャ・ディック」。
「19回にわたり銛を打ち込まれ、30人以上の人命をうばい、三隻の捕鯨船と十四艘の捕鯨ボートを破壊し、二隻の商船を沈没させた」(492頁)
話は少しそれますが、日本のこと。本書『白鯨』自体、話がそれてばかりです。
「もしあの二重にかんぬきをかけた国、日本が外国に門戸を開くことがあるとすれば、その功績は捕鯨船にのみ帰せられるべきだろう。事実、日本の開国は目前にせまっている」(289頁)
日本の開国と捕鯨船の関係の話に、かなり大きくそれちゃいます。
1843年(天保14年) 米国捕鯨船、108隻、日本近海に出没(477頁)
1846年(弘化3年) 米国捕鯨船、292隻、日本近海に出没
1851年 『白鯨』発表
1854年 日米和親条約、調印
本書『白鯨(上)』には、上巻であるにもかかわらず、巻末に詳しい「訳注」があって、
読者にはありがたい。たいへん参考になります。
巻頭には、詳しい「主要登場人物」の紹介があります。
「ピークオッド号の航跡」の図まであって、実話のようなリアルさです。
「捕鯨ボート」の図を見て、不安で恐ろしくなりました。
銛が刺さった鯨が水中深く潜っていったら、
こんな小さな「捕鯨ボート」は、ひとたまりもなさそう。
海中深くに一緒に引きずり込まれて行ってしまいそう。
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白鯨 上 (岩波文庫) Kindle版
巨大な白い鯨〈モービィ・ディック〉をめぐって繰り広げられる,アメリカの作家メルヴィル(1819―1891)の最高傑作.本書は海洋冒険小説の枠組みに納まりきらない,法外なスケールとスタイルを誇る,象徴性に満ちあふれた「知的ごった煮」であり,およそ鯨に関することは何もかも盛り込んだ「鯨の百科全書」でもある.新訳(全3冊)
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2004/8/19
- ファイルサイズ20454 KB
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登録情報
- ASIN : B00RF1QDM6
- 出版社 : 岩波書店 (2004/8/19)
- 発売日 : 2004/8/19
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 20454 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 593ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 27,697位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 116位英米文学研究
- - 169位岩波文庫
- - 586位評論・文学研究 (Kindleストア)
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2023年12月16日に日本でレビュー済み
レポート
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2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2021年6月16日に日本でレビュー済み
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かなり壮大な物語らしいので思い切って上中下3巻購入したがなかなか読まずに
本棚の素敵なインテリアと化している。
しかし試しに目を通してみると注を読むだけでもなかなかおもしろいことが書いてあると思った。
かなり宗教色の強い作品らしくそういった宗教的な背景を知るために購入してもいいと思った。
本棚の素敵なインテリアと化している。
しかし試しに目を通してみると注を読むだけでもなかなかおもしろいことが書いてあると思った。
かなり宗教色の強い作品らしくそういった宗教的な背景を知るために購入してもいいと思った。
2024年3月29日に日本でレビュー済み
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独特の世界観。面白く読んでいます。個人的感想ですが夏目漱石の文体に少し似ている?知識をひけらかす感じとか。岩波さんの訳の感じもあるのでしょうか?
面白いですが、途中ちょっと飽きるので、一気読みする感じではないです。数日おいてまた読み進めると丁度良いので、皆さんが書いてるように読み終わったら読破した!って感じる気がします。、
面白いですが、途中ちょっと飽きるので、一気読みする感じではないです。数日おいてまた読み進めると丁度良いので、皆さんが書いてるように読み終わったら読破した!って感じる気がします。、
2022年4月5日に日本でレビュー済み
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状態もとても良く綺麗でした。
2016年3月3日に日本でレビュー済み
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私が本作品を読もうと思ったきっかけは、最近、劇場公開された映画「白鯨との戦い」(ロン・ハワード監督:2015年)を鑑賞したことです。
この映画は、本作品そのものを原作とするものではありませんが、著者のメルヴィルが、本作品執筆のため、現実の捕鯨船エセックス号に乗船し、巨大クジラに遭遇、生死をさ迷った生き残りの男性を取材するというお話でした。
それを観て、この「白鯨」という物語が単なる著者の想像の産物ではなく、モデルがあるのだと気づき、興味が湧いてきたのです。
なお、事前情報として、「白鯨との闘いの場面」に期待すると、なかなか白鯨が現れず、がっかりするということは把握していましたので、そのつもりで、全3巻のうちの、この上巻を読み進めました。
上巻では、第1章から第41章までが収録されていますが、モービィ・ディックと呼称される白鯨が本格的に言及されるのは、最後の第41章になってから。
もちろん、その姿が実際に現れるのは、もっと後のことのようです。
しかし、だからといって、それまでの描写が冗長であるようには感じませんでした。
私は、本作品は、19世紀の捕鯨が盛んだった時代を舞台にした社会小説の側面を持っていると思います。
だから、視点人物であるイシュメールが捕鯨船に乗り込むまでは、捕鯨の拠点であった、米国の町、ニュー・ベッドフォードやナンターケットのことや、それらの町に集う人々について丹念に描写されているのでしょう。
また、捕鯨船に乗り込んでからは、鯨学、捕鯨の意義、捕鯨船内での仕事の仕組みなどがしっかりと描写されており、あの時代について、文章を通して知ることができます。
そして、物語性として面白みを加えるのは、何といっても、エイハブ船長という架空の人物の強烈な存在感でしょう。
上巻の後半から、その人物像が次第に明らかになってくる様は読みごたえがあります。
それでは、エイハブとモービィ・ディックの二大キャラクターが出揃ったところで、中巻の読書の旅に出かけることとします。
その結果は中巻のコーナーにレヴューするつもりです。
この映画は、本作品そのものを原作とするものではありませんが、著者のメルヴィルが、本作品執筆のため、現実の捕鯨船エセックス号に乗船し、巨大クジラに遭遇、生死をさ迷った生き残りの男性を取材するというお話でした。
それを観て、この「白鯨」という物語が単なる著者の想像の産物ではなく、モデルがあるのだと気づき、興味が湧いてきたのです。
なお、事前情報として、「白鯨との闘いの場面」に期待すると、なかなか白鯨が現れず、がっかりするということは把握していましたので、そのつもりで、全3巻のうちの、この上巻を読み進めました。
上巻では、第1章から第41章までが収録されていますが、モービィ・ディックと呼称される白鯨が本格的に言及されるのは、最後の第41章になってから。
もちろん、その姿が実際に現れるのは、もっと後のことのようです。
しかし、だからといって、それまでの描写が冗長であるようには感じませんでした。
私は、本作品は、19世紀の捕鯨が盛んだった時代を舞台にした社会小説の側面を持っていると思います。
だから、視点人物であるイシュメールが捕鯨船に乗り込むまでは、捕鯨の拠点であった、米国の町、ニュー・ベッドフォードやナンターケットのことや、それらの町に集う人々について丹念に描写されているのでしょう。
また、捕鯨船に乗り込んでからは、鯨学、捕鯨の意義、捕鯨船内での仕事の仕組みなどがしっかりと描写されており、あの時代について、文章を通して知ることができます。
そして、物語性として面白みを加えるのは、何といっても、エイハブ船長という架空の人物の強烈な存在感でしょう。
上巻の後半から、その人物像が次第に明らかになってくる様は読みごたえがあります。
それでは、エイハブとモービィ・ディックの二大キャラクターが出揃ったところで、中巻の読書の旅に出かけることとします。
その結果は中巻のコーナーにレヴューするつもりです。
2019年3月23日に日本でレビュー済み
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大学の英語の講義のひとつが、講師が良いと思うところをコピーした白鯨の原文のプリントを読み、訳す、というものでした。講義がきびしくなかったので、文庫の日本語訳を頭に入れて講義にのぞむ、という発想は当時なかったですが、今ならこの岩波版が一番早く読めそうな感じです。もう少し字が大きくて、印字が濃いとさらに良いのだが・・・
2018年2月1日に日本でレビュー済み
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『白鯨』は、会話も心理描写も情景描写もトップクラスに面白い、世界一の小説だと言えます。
そしてこの傑作を、八木敏雄氏の素晴らしい翻訳で読めることに、喜びを隠しきれずにいます。
生きている内に読んでおいて、損はありません。
私はこの小説を、一生涯大切にし続けます。
そして、何度でも読み返し、自らの血潮にしてきたいです。本当にありがとうございました!
そしてこの傑作を、八木敏雄氏の素晴らしい翻訳で読めることに、喜びを隠しきれずにいます。
生きている内に読んでおいて、損はありません。
私はこの小説を、一生涯大切にし続けます。
そして、何度でも読み返し、自らの血潮にしてきたいです。本当にありがとうございました!
2024年3月15日に日本でレビュー済み
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電子版に限った評価です。
2倍ダーシや一部の漢字が右に寄って表示されて、非常に読みづらいです。
2倍ダーシや一部の漢字が右に寄って表示されて、非常に読みづらいです。