ジェイムズ・アイボリー監督による数多くの女性遍歴もあった天才画家パブロ・ピカソと、ピカソに最も長年付き添った、40歳近くも歳が離れた女性との恋を描いた作品。アンソニー・ホプキンスが強烈な個性の持ち主ピカソを熱演し、ジュリアン・ムーアとは後に「ハンニバル」でレクターとクラリスという間柄で再び共演を果たした。原作はアリアーナ・S.・ハフィントンの「ピカソ 偽りの伝説」。ドイツ占領下のパリ。絵画を学ぶ22歳の女学生のフランソワーズ(ナターシャ・マケルホーン)は、61歳の天才画家パヴロ・ピカソ(アンソニー・ホプキンス)と運命の出会いを果たし、彼に絵を習うようになる。40歳近い年齢差を越えて次第にピカソを愛するようになるフランソワーズだったが、ピカソには長く別居中の妻オルガ(ジェーン・ラポテア)、さらに2人の愛人マリー=テレーズ・ワルテルと芸術家であるドラ・マール(ジュリアン・ムーア)がいた。ピカソはフランソワーズをかつてドラと暮らした南フランスにある家に連れて行く。そしてさらにマリー=テレーズから毎日送られて来るラヴレターを彼女に読んで聞かせる。ピカソの女性に対する倣慢さと理解しがたい行動に恥辱を感じ、フランソワーズは家を去るが、ピカソは彼女を連れ戻し、永遠の愛を誓わせるのだった。だが愛する苦しみは引き続き感じながらも、やはり天才芸術家の元で啓発されることは多く、長男クロード、長女パロマが生まれてからは、南フランスの陶器工房が二人の生活の拠点となっていた。ピカソの友アンリ・マチス(ジョス・アックランド)との付き合いも始まったが、一方でピカソは新しい愛人ジャクリーヌ・ロック(ダイアン・ヴェノーラ)の元へ通い始めたため、フランソワーズとの仲は急速に冷えていく。ついに祖母の葬儀のためパリへ赴いたフランソワーズは、浮かれ騒ぐピカソを見て、彼との別居を決心する。子供たちとパリで暮らすというフランソワーズにまるで子供のようにピカソは泣きわめいた。その純真に触れたフランソワーズは再び愛し合うようになり元のさやに納まったが、妻も二人の愛人もいるピカソの存在は強烈な個性と主張を放ち、二人の生活は困難を極めていく……。
画面サイズ:16:9ヴィスタ(1996年アメリカ)