第6章の坂口のシーンは偏見ではないかというレビューや意見も見かける。
それまでの章とまるで別人のような感情の入った章で、この本が生まれた原動力にもなっている。
ただ最後まで読んで欲しい。
「おわりに」の章でこのような文体になった理由や心情が汲み取れる。
作者自身が介護の現場に立ちながら見た生々しい状況や感情そのものなのである。
私も介護の現場にいたことがあるのでその心情も汲み取れる。
私自身も30を超えるまで童貞で、各章に出てくる人物の心情はとてもよくわかる。
後半に出てくる母親との関連については
昨今、愛着障害や発達障害と呼ばれている精神分析的な見解であると私は思った。
個人の認知の歪みによって不幸を塗り重ねてしまう懸念を示している。
私自身もそうである。
単なる個人的な性の問題ではなく、社会全体の問題や個人の認知の問題、そしてパーソナリティ障害とも関連があり
単なる奥手の悲哀ですまない、社会に一石を投じるルポとなっている。
また私のような当事者にとっても、他人事とせず自身の人生と向き合うきっかけを作ってくれる一冊だと思う。
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