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"名盤"と呼ばれる「告白」のリリースから約５年、くみこんの脱退やメンバー編成などを経て完成したチャットモンチー6thアルバム。
最初に一通り聴いて感じたのは、とにかく完成度が高い。
曲の展開や歌詞の深み、えっちゃんの声の幅。
様々な色をした曲が縦に横にじわりじわり広がって行く、
YOU MOREや変身を最初に聴いたときにも感じた「チャットモンチーらしくないけどチャットモンチー」な曲の数々。
今回のアルバムを一言で表すなら「大人になったチャットモンチー」。
恋するあの人に...女の子っぽい甘酸っぱい青春の模様をストレートに表現してきたチャットモンチーが
シングルでもリリースされた名曲トラック10のいたちごっこでこう言うのだ。
「うたいたいうたが なくなっていくのが こわいだけなんだよ」
東京で歌を歌うということ、それは常に批判や中傷と共にあるということを皮肉交じりに明るい曲に乗せた上述の「いたちごっこ」や、
心と頭が離れていると生き辛いからずっと寄り添っていてと歌う疾走する曲調の「こころとあたま」、
何歳になっても女であること、女というのはたとえ恋人ができたとしてもときめきたいもの、複雑な心境を歌った「ときめき」、
女という生き物をこれでもかというほど醜く表現した「隣の女」の４つのシングルを筆頭に、
チャットモンチーには珍しいラップ調の「ぜんぶカン」や、直木三十五賞を受賞した西加奈子の作詞曲「例えば、」など
今までのチャットモンチーのアルバムになかった新しい試みや挑戦を感じることができた。
バンドというのは進化するものである。
このチャットモンチーも例外なく、それが良い方にか悪い方にか関係なく、彼女らはアルバムが出るたびに変身していく。
告白や生命力は確かに名盤だった。心を抉るような世界観とえっちゃんの声はチャットモンチーの全盛期と言えばそうなるのだろう。
その頃が好きだったファンからすればこのアルバムは好みの範囲から外れるかもしれない。
だが、彼女らの曲をどれも100回以上聴いた自分にとっては先入観や贔屓になってしまうかもしれないが、
このアルバムも名盤としか言いようがない。
どんな声を浴びたとしても、自分達のやりたい音楽を好きなようにやる、その決意。
結婚に出産、育児を片手に音楽を創造し続けるえっちゃんの曲はそれでも彼女らのファンと１つのアルバムで繋がる。
そう、まるで共鳴するかのように作り手と聴き手お互いの人生が輝きだすアルバムではないかと思った。
このアルバムを聴いた人が数年後、
「告白は名盤だった。だが共鳴もそれに劣らない名盤だった」と口にしていてほしい。
いや、させてくれ。させてくれるはず、このチャットモンチーなら。
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