カヴァード
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商品の説明
Japanese pressing. 2015.
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 製品サイズ : 12.5 x 14.2 x 1.3 cm; 96.1 g
- メーカー : ユニバーサル ミュージック
- EAN : 4988005895639
- 時間 : 1 時間 21 分
- レーベル : ユニバーサル ミュージック
- ASIN : B00VXMUNZG
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 208,202位ミュージック (ミュージックの売れ筋ランキングを見る)
- - 5,271位モダンジャズ
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やはり最新作はトリオだったRobert。二つのExperimentを経て、初心に帰ったとも言えるが、醸し出す音はかなり新鮮で彼らしいNu Jazzに仕上がったのかもしれない。天下のCapital Studioの一発録りは「巨匠」としての証なのか。曲目は以下の通り。
01. Introduction
02. I Don't Even Care
03. Reckoner
04. Barangrill
05. In Case You Forgot
06. So Beautiful
07. The Worst
08. Good Morning
09. Stella By Starlight
10. Levels
11. Got Over feat. Harry Belafonte
12. I'm Dying of Thirst
CoveredとタイトルにあるようにRobertが自分の好きなアーティストの曲を選んでカヴァーしたと思われがちであるが、実は彼自身のBlack Radioからのリメイクもあるように新たなJazzファンにトリオの面白さを聞かせるコンセプトなのかなあとも感じさせる。2曲目では原曲のリズムをスネアとトムトム(Drumsのね)中に残しながらも前半部は美しく中盤は緊張感を伴ってピアノを聞かせている印象。3曲目のRadioheadではメロディラインのメリハリぶりが際立っていて、最近では異色と言えるが、実はRobertは美メロの聞かせ方が巧かったりする。4曲目Joni Mitchell曲では陽光が似合うFusion的なメロディにスネアが複雑に絡み合うアレンジが僕は気に入っている。この曲は「陽光の下」と「夜」が似合う二面性を持っているように感じるね。5曲目はちょっとJazz版印象主義とも言える雰囲気を感じた。メロディアスになると見せかけてドラムソロになるのが良い。6曲目はExperimentでも演奏した曲であるが、このトリオ版はBassとDrumsは控えめにRobertのピアノの美しさが光る。ただ、少し気だるさもあるので、午後も似合う二面性がこの曲にもあるね。7曲目Jhene Aiko曲は6曲目の雰囲気を引き継いでいるようにも感じるが、若干底辺に残るR&Bらしさがとても良い。対称的に8曲目のJohn Legend曲はModernとしても、いやRobertオリジナル曲としても聞けてしまうトラック。確かにJohn LegendはJazz Singerとも言えるからかなあ。中盤からの美メロが美しい。9曲目Victor Young曲は前半部のJazz版印象主義?的な解釈と中盤からのブラシが際立つトリオのメローぶりが良い対比だ。意外とアフタヌーンジャズ的と感じるのであるがいかがであろうか?さて10曲目の盟友Bilal曲はこのアルバムの中では一番メロディアスなトラック、コアにあるR&Bらしさは7曲目と同じ解釈と感じるが、感情を込めて奏でるPianoがとてもSoulだ。シンプルにシンバルとトムトムで刻むリズムのドラムも心地よい。11曲目はIn my elements的な心地よいテンポのテーマに「Harry Belafonteの魂の語り部」がシンクロしているトラック。ちょっと短い?12曲目のは原曲のバックのサウンドをRobertらしい美テーマで再構築した印象だ。Rapの部分を少女に代読させると言う解釈も彼らしいと言うか、感心してしまった。全体的にIn my elementの頃のような心地よいながらも、満腹感を感じさせるアレンジと聴かせ所があるのが良い。
ともかく彼は凄い、すっかり「若き俊英」はJazzのスーパースターとなったが、ここしばらくはこのトリオ Piano:Robert Glasper、Bass:Vicente Archer、Drums:Damion Reidで続けて欲しい。小さいハコでのライブも継続して欲しかったりもするなあ。
01. Introduction
02. I Don't Even Care
03. Reckoner
04. Barangrill
05. In Case You Forgot
06. So Beautiful
07. The Worst
08. Good Morning
09. Stella By Starlight
10. Levels
11. Got Over feat. Harry Belafonte
12. I'm Dying of Thirst
CoveredとタイトルにあるようにRobertが自分の好きなアーティストの曲を選んでカヴァーしたと思われがちであるが、実は彼自身のBlack Radioからのリメイクもあるように新たなJazzファンにトリオの面白さを聞かせるコンセプトなのかなあとも感じさせる。2曲目では原曲のリズムをスネアとトムトム(Drumsのね)中に残しながらも前半部は美しく中盤は緊張感を伴ってピアノを聞かせている印象。3曲目のRadioheadではメロディラインのメリハリぶりが際立っていて、最近では異色と言えるが、実はRobertは美メロの聞かせ方が巧かったりする。4曲目Joni Mitchell曲では陽光が似合うFusion的なメロディにスネアが複雑に絡み合うアレンジが僕は気に入っている。この曲は「陽光の下」と「夜」が似合う二面性を持っているように感じるね。5曲目はちょっとJazz版印象主義とも言える雰囲気を感じた。メロディアスになると見せかけてドラムソロになるのが良い。6曲目はExperimentでも演奏した曲であるが、このトリオ版はBassとDrumsは控えめにRobertのピアノの美しさが光る。ただ、少し気だるさもあるので、午後も似合う二面性がこの曲にもあるね。7曲目Jhene Aiko曲は6曲目の雰囲気を引き継いでいるようにも感じるが、若干底辺に残るR&Bらしさがとても良い。対称的に8曲目のJohn Legend曲はModernとしても、いやRobertオリジナル曲としても聞けてしまうトラック。確かにJohn LegendはJazz Singerとも言えるからかなあ。中盤からの美メロが美しい。9曲目Victor Young曲は前半部のJazz版印象主義?的な解釈と中盤からのブラシが際立つトリオのメローぶりが良い対比だ。意外とアフタヌーンジャズ的と感じるのであるがいかがであろうか?さて10曲目の盟友Bilal曲はこのアルバムの中では一番メロディアスなトラック、コアにあるR&Bらしさは7曲目と同じ解釈と感じるが、感情を込めて奏でるPianoがとてもSoulだ。シンプルにシンバルとトムトムで刻むリズムのドラムも心地よい。11曲目はIn my elements的な心地よいテンポのテーマに「Harry Belafonteの魂の語り部」がシンクロしているトラック。ちょっと短い?12曲目のは原曲のバックのサウンドをRobertらしい美テーマで再構築した印象だ。Rapの部分を少女に代読させると言う解釈も彼らしいと言うか、感心してしまった。全体的にIn my elementの頃のような心地よいながらも、満腹感を感じさせるアレンジと聴かせ所があるのが良い。
ともかく彼は凄い、すっかり「若き俊英」はJazzのスーパースターとなったが、ここしばらくはこのトリオ Piano:Robert Glasper、Bass:Vicente Archer、Drums:Damion Reidで続けて欲しい。小さいハコでのライブも継続して欲しかったりもするなあ。
2015年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先日ビルボードライブ東京で行われたエクスペリメントの演奏を観に行きましたが、KCベンジャミンとマークコレンバーグとの絡みは最高で、R&BとJAZZの融合を間近に見た矢先だったので、今回のアルバムがトリオに戻り、かつR&BチックなJAZZをやるということから、期待半分の不安半分でした。
そんな感情を抱きながらいざCDを開封。
イントロを聞いて・・・
あれ、これライブ版じゃん!
なんとも嬉しい誤算。
このイントロでグラスパーが語ることを書き出すのはネタバレになってしまうので書きませんが、個人的にはニンマリ。
肝心の内容ですが、まさにJazzとR&Bの間を攻めています。もちろんエレクトリックなサウンドはほとんど使われていません。
聴いていてとても気持ちいい。ダミオンリードのドラムがR&B寄りでグラスパーがJazzのテイスト。その間を埋めるヴィセンテアーチャー。
2曲目のI Don't Even CareはBlack Radio2からのセルフカバー。この曲を一曲目に持ってきたあたり、ニクいね!なんて個人的には思いました。こちらの方が個人的には好きです。うねるベースラインとドラムの上でグラスパーが奏でるソロはまさにJAZZそのもの。カッコいい。
全曲まずは一回聴きましたが今回はなんというか、肩に力の入っていない、貫禄のある演奏に思えました。また、前作のトリオ作品などに比べ、少しダークな選曲が多かったのもエクスペリメントからのリスナーへのサービスかな?なんて思ったり。
アコースティックサウンドでもグラスパーのエクスペリメントは大成功なんじゃ無いでしょうか?
個人的には、またクリスデイブを連れてきて、もっと変態リズムなJAZZをやって欲しい気はしますが(笑)
グラスパーの才能に感謝です。
そんな感情を抱きながらいざCDを開封。
イントロを聞いて・・・
あれ、これライブ版じゃん!
なんとも嬉しい誤算。
このイントロでグラスパーが語ることを書き出すのはネタバレになってしまうので書きませんが、個人的にはニンマリ。
肝心の内容ですが、まさにJazzとR&Bの間を攻めています。もちろんエレクトリックなサウンドはほとんど使われていません。
聴いていてとても気持ちいい。ダミオンリードのドラムがR&B寄りでグラスパーがJazzのテイスト。その間を埋めるヴィセンテアーチャー。
2曲目のI Don't Even CareはBlack Radio2からのセルフカバー。この曲を一曲目に持ってきたあたり、ニクいね!なんて個人的には思いました。こちらの方が個人的には好きです。うねるベースラインとドラムの上でグラスパーが奏でるソロはまさにJAZZそのもの。カッコいい。
全曲まずは一回聴きましたが今回はなんというか、肩に力の入っていない、貫禄のある演奏に思えました。また、前作のトリオ作品などに比べ、少しダークな選曲が多かったのもエクスペリメントからのリスナーへのサービスかな?なんて思ったり。
アコースティックサウンドでもグラスパーのエクスペリメントは大成功なんじゃ無いでしょうか?
個人的には、またクリスデイブを連れてきて、もっと変態リズムなJAZZをやって欲しい気はしますが(笑)
グラスパーの才能に感謝です。
2015年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ロバート・グラスパーの素晴らしさはやはりオリジナル曲で最大限発揮される。そう思わされてしまった。In my elementがロバート・グラスパーの最高傑作だと思っている私のようなファンは、この久々のトリオアルバムに期待をし過ぎてはいけない。そもそもロバートはハードコアなジャズファンをあえて無視してこのアルバムを制作したらしいので、期待するほうが間違っているのだ。
今回のアルバムの目的はBlack RadioでグラミーのベストR&Bを受賞して注目してくれたファン達をジャズに目を向けさせる事らしい。ジャズを敬愛する彼の計画通りに事が進んでいるようにも見えるが、このアルバムで本当にジャズを聴かない人たちがジャズに関心を示すのかどうかは疑問である。それはよいとして、ロバートの視野の広さとジャズ愛によってこのアルバムが作られたのだと思えばまた聴き方も変わる。
それでもやはり残念ではある。
In my elementを繰り返し何度聴いても飽きない私にとって、このアルバムは正直言ってしまえば毎日聴こうとは思わない。ただし、毎日何度も聴けるアルバムなど他には無いので、In my elementが良過ぎたと言える。だからこのCoveredの星の数をいくつにするのか悩んだ。このアルバムが悪い訳ではない。期待し過ぎた自分も悪いし、In my elementなんて出来る事ならいくつでも星をあげたいくらいだし、既に惚れ込んでしまったロバートグラスパーに星を少なく与えるなんてしたくない。でも盲目の愛ではない。片目閉じて5スター。
今回のアルバムの目的はBlack RadioでグラミーのベストR&Bを受賞して注目してくれたファン達をジャズに目を向けさせる事らしい。ジャズを敬愛する彼の計画通りに事が進んでいるようにも見えるが、このアルバムで本当にジャズを聴かない人たちがジャズに関心を示すのかどうかは疑問である。それはよいとして、ロバートの視野の広さとジャズ愛によってこのアルバムが作られたのだと思えばまた聴き方も変わる。
それでもやはり残念ではある。
In my elementを繰り返し何度聴いても飽きない私にとって、このアルバムは正直言ってしまえば毎日聴こうとは思わない。ただし、毎日何度も聴けるアルバムなど他には無いので、In my elementが良過ぎたと言える。だからこのCoveredの星の数をいくつにするのか悩んだ。このアルバムが悪い訳ではない。期待し過ぎた自分も悪いし、In my elementなんて出来る事ならいくつでも星をあげたいくらいだし、既に惚れ込んでしまったロバートグラスパーに星を少なく与えるなんてしたくない。でも盲目の愛ではない。片目閉じて5スター。
2020年7月21日に日本でレビュー済み
ロバート・グラスパーを聴くと、いつも感心してしまう。
ジャズの世界に入ってきて、有能で、若いミュージシャンだと、これまでのジャズ史を継承しながら、
自分はどれほどの(新しい)ことができるのか、音楽シーンを刺激できるのか。みたいなところに
突っ込んでいきがち。ジョシュア・レッドマンやコートニー・パインなども、だんだんと力が入ってしまう。
でもロバート・グラスパーの力の抜け具合はすごい。それは自信の裏返しでもあり、新しい音楽が作られて
いる祝福感に満ちている。
このアルバムも、ピアノトリオ演奏だが、音の広がりと立体性が素晴らしい。グラスパーのピアノは、
硬質なグランドピアノではなく、エレピに近い音感(ヤマハ)で、軽やかで、叙情的で、郷愁を誘う。
聞こえてくる「音楽」としては、幸福な、穏やかな気分が保たれている。ジャズというと、今までは、
壮絶さ(ビバップ)、緊張感(マイルス)、攻撃性(ミンガスなど)、高度で複雑で音楽性(フリーなど)
といったものに彩られてきた。『カヴァード』から聴こえてくるのはそうしたものではない。
クラシック、R&B、ヒップホップ、ジャズなど、単一の音楽ソースではなく、複数の水脈が流れ込んでは
いるが、それらは自然に消化され、グラスパーの指先で奏でられる。しかしその音楽は、明らかにジャズであり、
ジャズという音楽が持っている豊かさの継承と再生になっている。
M1は、スタジオ・ライブ感を強調するようなグラスパーのくだけた語りで始まる。「最近どう? 『ブラック
レディオ』でグラミー獲っちゃったよ」と会場のオーディエンスと気軽に会話する。
M2はセルフカバー。波のように繰り返されるパターンの中を、グラスパーのピアノが自由に美しく泳いでいく。
それをダミオン・リードのドラムスが、ドラムンベースのリズムでフォローする。
このバンドの素晴らしさは、自分の演奏が沈黙している時の豊かさ。アーマッド・ジャマルのトリオでも、
段取り的にソロが受け渡されていくのではなく、ピアノの手がふと止まると、わずかな間合いがあって
ベースソロが始まる。そうすることでベースのソロの裏側に、ピアノの沈黙がはりつくという音楽的豊かさが
生まれる。グラスパー・トリオでも、そういう音楽性が共有されている。
アルバム全体としても、穏やかな午後の残照のような雰囲気で一貫しているのだが、M2では途中でフェイド
アウトし、またフェイドインしてくるなど、随所に工夫があり複雑な構成になっている。そして曲の方は、
どの曲でも、コード進行としては格段凝ったことをせずに、単純なループ進行を基本としている。
M5で、アルバムは1つの区切りを迎える。曲はグラスパーのオリジナルで、無調のピアノソロが続き、
それをドラムスとベースの決めがブレイクする。何度かそれが繰り返され、急にリリカルになったと思ったら、
「タイム・アフター・タイム」を弾きだし、また無調の現代音楽風となる。音楽の解体と構築。ジャズの
リズムと、無調の問題、インプロヴィゼーションが曲の中で解決されていく。
ベース・ソロも含まれ、それを聴くと、このベーシストのバンド内の役割が明確化する。次でドラム・ソロが
始まるが、これでもピアニストの沈黙が感じられるし、ソロの終了も、引いて帰っていく波打ち際の気配に似た
自然さがある。この曲がアルバム中最長で13分以上あるが、その長さを感じさせない。
硬質な肌触りの曲の後には、M6頭に、グラスパーのライブでのナレーションが入り、雰囲気を和らげる。
M6「So beautiful」は、R&Bのカヴァーで、終わり近くに、ラフな音声が流れる。これはグラスパーに
かかってきた電話の会話を録音したもの。「”美しい”とか”愛”という言葉を口にすることは、荒んだ時代の中で
大切なことだ」と話している。これがM6とM7「The worst」を貫くメッセージとなっている。
それはラストに向かう”メッセージ性”の布石でもある。柔らかなメッセージを受けとめるようなグラスパーの
ピアノと、マレットで演奏されるドラムス。M8「Good morning」でもその気配は持続するが、ドラムスの
シンバルの刻みと、強調されているスネアの音がアクセント以上のものとなって音楽を際立たせる。
M9ではスタンダード曲「ステラ・バイ・スターライト」を演奏するが、ドラムスはブラシを使って、ハウスの
リズムをキープする。M10は静謐感ただようピアノ・ソロで始まる。それはウィンダム・ヒル的と言っていい
ほど素朴なメロディ。これに心臓のパルスのようなバスドラのリズムキープが重なり、ピアノとドラムス間を
見事にベースが橋渡しする。
5曲続いた美と静けさの世界の後を引き継ぐのは、M11冒頭の”しゃがれ声”。それは黒人有名歌手のハリー・
ベラフォンテ。「自分が何者か、話させてほしい」と語りだす。その中で繰り返される「colored」の単語。
ここでリスナーは、アルバム『Covered』が「colored」のことでもあることに気づく。
グラスパーたちが紡ぐ音楽はどこまでも静かで美しいが、彼らが黒人であり、ジャズが黒人の音楽であり、
今もそうであることが刻み込まれている。なごやかなライブ会場の雰囲気で始まったアルバムは、終始美しい
トーンで進んできたが、音楽は深いところに到達する。
強烈なのはラストの「I'm dying of thirst」で、ケンドリック・ラマーの曲をカヴァーしている。それを
バックトラックとして、子供の声(グラスパーの実子たち)が入ってくる。彼らが淡々と読み上げていくのは、
公民権運動などで警官に射殺され、犠牲となった黒人の名前。この犠牲(ヴィクティム)という言葉は、
アルバムのジャケット裏に書かれている、グラスパーの謝辞にも明記されている。
子供たちが犠牲者たちの名前を呼び続ける単純さは、収録曲が単純なコード循環で成り立っていることとも
重なっている。それらは実は、アメリカが抱える「問題」が、今に続き、繰り返されていることを示している。
ジャズの世界に入ってきて、有能で、若いミュージシャンだと、これまでのジャズ史を継承しながら、
自分はどれほどの(新しい)ことができるのか、音楽シーンを刺激できるのか。みたいなところに
突っ込んでいきがち。ジョシュア・レッドマンやコートニー・パインなども、だんだんと力が入ってしまう。
でもロバート・グラスパーの力の抜け具合はすごい。それは自信の裏返しでもあり、新しい音楽が作られて
いる祝福感に満ちている。
このアルバムも、ピアノトリオ演奏だが、音の広がりと立体性が素晴らしい。グラスパーのピアノは、
硬質なグランドピアノではなく、エレピに近い音感(ヤマハ)で、軽やかで、叙情的で、郷愁を誘う。
聞こえてくる「音楽」としては、幸福な、穏やかな気分が保たれている。ジャズというと、今までは、
壮絶さ(ビバップ)、緊張感(マイルス)、攻撃性(ミンガスなど)、高度で複雑で音楽性(フリーなど)
といったものに彩られてきた。『カヴァード』から聴こえてくるのはそうしたものではない。
クラシック、R&B、ヒップホップ、ジャズなど、単一の音楽ソースではなく、複数の水脈が流れ込んでは
いるが、それらは自然に消化され、グラスパーの指先で奏でられる。しかしその音楽は、明らかにジャズであり、
ジャズという音楽が持っている豊かさの継承と再生になっている。
M1は、スタジオ・ライブ感を強調するようなグラスパーのくだけた語りで始まる。「最近どう? 『ブラック
レディオ』でグラミー獲っちゃったよ」と会場のオーディエンスと気軽に会話する。
M2はセルフカバー。波のように繰り返されるパターンの中を、グラスパーのピアノが自由に美しく泳いでいく。
それをダミオン・リードのドラムスが、ドラムンベースのリズムでフォローする。
このバンドの素晴らしさは、自分の演奏が沈黙している時の豊かさ。アーマッド・ジャマルのトリオでも、
段取り的にソロが受け渡されていくのではなく、ピアノの手がふと止まると、わずかな間合いがあって
ベースソロが始まる。そうすることでベースのソロの裏側に、ピアノの沈黙がはりつくという音楽的豊かさが
生まれる。グラスパー・トリオでも、そういう音楽性が共有されている。
アルバム全体としても、穏やかな午後の残照のような雰囲気で一貫しているのだが、M2では途中でフェイド
アウトし、またフェイドインしてくるなど、随所に工夫があり複雑な構成になっている。そして曲の方は、
どの曲でも、コード進行としては格段凝ったことをせずに、単純なループ進行を基本としている。
M5で、アルバムは1つの区切りを迎える。曲はグラスパーのオリジナルで、無調のピアノソロが続き、
それをドラムスとベースの決めがブレイクする。何度かそれが繰り返され、急にリリカルになったと思ったら、
「タイム・アフター・タイム」を弾きだし、また無調の現代音楽風となる。音楽の解体と構築。ジャズの
リズムと、無調の問題、インプロヴィゼーションが曲の中で解決されていく。
ベース・ソロも含まれ、それを聴くと、このベーシストのバンド内の役割が明確化する。次でドラム・ソロが
始まるが、これでもピアニストの沈黙が感じられるし、ソロの終了も、引いて帰っていく波打ち際の気配に似た
自然さがある。この曲がアルバム中最長で13分以上あるが、その長さを感じさせない。
硬質な肌触りの曲の後には、M6頭に、グラスパーのライブでのナレーションが入り、雰囲気を和らげる。
M6「So beautiful」は、R&Bのカヴァーで、終わり近くに、ラフな音声が流れる。これはグラスパーに
かかってきた電話の会話を録音したもの。「”美しい”とか”愛”という言葉を口にすることは、荒んだ時代の中で
大切なことだ」と話している。これがM6とM7「The worst」を貫くメッセージとなっている。
それはラストに向かう”メッセージ性”の布石でもある。柔らかなメッセージを受けとめるようなグラスパーの
ピアノと、マレットで演奏されるドラムス。M8「Good morning」でもその気配は持続するが、ドラムスの
シンバルの刻みと、強調されているスネアの音がアクセント以上のものとなって音楽を際立たせる。
M9ではスタンダード曲「ステラ・バイ・スターライト」を演奏するが、ドラムスはブラシを使って、ハウスの
リズムをキープする。M10は静謐感ただようピアノ・ソロで始まる。それはウィンダム・ヒル的と言っていい
ほど素朴なメロディ。これに心臓のパルスのようなバスドラのリズムキープが重なり、ピアノとドラムス間を
見事にベースが橋渡しする。
5曲続いた美と静けさの世界の後を引き継ぐのは、M11冒頭の”しゃがれ声”。それは黒人有名歌手のハリー・
ベラフォンテ。「自分が何者か、話させてほしい」と語りだす。その中で繰り返される「colored」の単語。
ここでリスナーは、アルバム『Covered』が「colored」のことでもあることに気づく。
グラスパーたちが紡ぐ音楽はどこまでも静かで美しいが、彼らが黒人であり、ジャズが黒人の音楽であり、
今もそうであることが刻み込まれている。なごやかなライブ会場の雰囲気で始まったアルバムは、終始美しい
トーンで進んできたが、音楽は深いところに到達する。
強烈なのはラストの「I'm dying of thirst」で、ケンドリック・ラマーの曲をカヴァーしている。それを
バックトラックとして、子供の声(グラスパーの実子たち)が入ってくる。彼らが淡々と読み上げていくのは、
公民権運動などで警官に射殺され、犠牲となった黒人の名前。この犠牲(ヴィクティム)という言葉は、
アルバムのジャケット裏に書かれている、グラスパーの謝辞にも明記されている。
子供たちが犠牲者たちの名前を呼び続ける単純さは、収録曲が単純なコード循環で成り立っていることとも
重なっている。それらは実は、アメリカが抱える「問題」が、今に続き、繰り返されていることを示している。
他の国からのトップレビュー

EBEME23
5つ星のうち5.0
Good buy if you like covers
2021年3月11日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Delivered in time, came in good condition. Great record. Listen to them on YouTube first before buying

giorgio cecchetti
5つ星のうち5.0
Jazz
2021年2月11日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
L'articolo è arrivato provato ed in perfette condizioni ottimo disco

noherie
5つ星のうち5.0
merci
2019年7月26日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
génial super album reçu dans les temps

DareBak
5つ星のうち5.0
Amazing album
2018年8月10日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Came across this album by pure chance. A friend of mine sent me a link thinking I might like it. Boy was he right! It's quickly become one of my fave albums of all time...

H. - Dieter Döll
5つ星のうち5.0
Ein Traum von Musik
2017年4月16日にドイツでレビュー済みAmazonで購入
die muss man hören und sie gehört zu einem es eine einmalige Musik die man jedem Empfehlen kann und alle sind überrascht wie gut die ist und wer sie spielt.