近所の図書館の本棚でたまたま見かけて借りた一冊。
東京から埼玉へ移住した著者が、イオンモール与野への初訪問(注)をきっかけにショッピングモールとそこでの消費行動にスポットを当てて、『ファスト風土化する日本:郊外化とその病理』(三浦展;2004年)をベースに纏められたルポルタージュ作品。
映画『翔んで埼玉』(第一作)のラストでも埼玉発祥のモノが紹介されていたが、本書でもエキュート等のショッピングモールや安楽亭等のチェーン店が埼玉発祥として全国展開されていること、「ダサイタマ」という言葉がこの頃(本書出版は2014年)から使われていたのを本書で初めて知った。
「小江戸」川越は埼玉の人気観光スポットの一つでそれを成し得たのは「商店街のショッピングモール化」であるのだが、そこから学べる教訓は、歴史の再確認も大事ではあるが瀕死の時はもイマドキに合わせた早急なイノベーション(それも誰かに任せるのではなくなるべく実際に営んで来た店主・店員達自身の手で!)こそ肝要だということが理解出来た。
しかしながら、個人的に本書で一番良かったのは「おわりに」で述べられている「3・11」直後の著者の心境と行動で、それらは驚異的でなんだか感動すらおぼえた・・・あの時浦和パルコで買ったネックレスは今もまだ所持しているのだろうか。
ところで、著者以外の対談者が名字のみで誰だか分かりにくい対談記事の引用等、やや不親切な点が見受けられること、題名からもっと大掛かりなものを想像していたことから、評価はやや甘いのは承知の上で☆4つ。
さて、本書出版から今年(2024年)で十周年となった。
今までのような近隣諸国からではない中近東出身の埼玉の定住者達、そして近未来に日本全体へと広がるであろう移民社会にスポットを当てた続編が出ることを期待して、一先ず筆を擱く。
(注)これが著者の人生で初めてのショッピングモール訪問とのことである。
Kindle 価格: | ¥947 (税込) |
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埼玉化する日本 (イースト新書) Kindle版
埼玉には「何もない」。たいした観光地もなく、のっぺらぼうな郊外と、ありがちな風景が広がるファスト風土……。しかし、埼玉には三大ショッピングモールがある。また、ショッピングモールにはないような東京の高感度ショップにも、簡単にアクセスできる位置にある。つまり、マス消費も高感度消費も手に入れられる理想の地方であり、普通の人が心地良く無理なく暮らせる装置と環境が揃っているのだ。ちょっといい、ちょうどいい、それが埼玉。埼玉から見える日本の消費の行方を、埼玉在住の著者が愛と毒舌たっぷりに考察した一冊。
- 言語日本語
- 出版社イースト・プレス
- 発売日2014/12/15
- ファイルサイズ3202 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
著者について
中沢明子
1969年東京都生まれ。ライター、出版ディレクター。女性誌、ビジネス誌など幅広い媒体でインタビュー、ルポルタージュ、書評を執筆。延べ1800人以上にインタビューし、雑誌批評にも定評がある。得意分野は消費、流行、小売、音楽。著書に『それでも雑誌は不滅です! 』(朝日新聞出版)、共著に『遠足型消費の時代』(朝日新聞出版)、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』(mucco/プレジデント社)、『深読みフェルメール』(朽木ゆり子+福岡伸一/朝日新聞出版)などがある。
1969年東京都生まれ。ライター、出版ディレクター。女性誌、ビジネス誌など幅広い媒体でインタビュー、ルポルタージュ、書評を執筆。延べ1800人以上にインタビューし、雑誌批評にも定評がある。得意分野は消費、流行、小売、音楽。著書に『それでも雑誌は不滅です! 』(朝日新聞出版)、共著に『遠足型消費の時代』(朝日新聞出版)、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』(mucco/プレジデント社)、『深読みフェルメール』(朽木ゆり子+福岡伸一/朝日新聞出版)などがある。
登録情報
- ASIN : B0151GZGXS
- 出版社 : イースト・プレス (2014/12/15)
- 発売日 : 2014/12/15
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 3202 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 153ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 428,034位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 152位イースト新書
- - 15,490位社会学 (Kindleストア)
- - 16,619位社会学概論
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自称高感度消費者である筆者が、ショッピングモールやブランドを主観のみで気持ち良さそうに語る本。
タイトルは的はずれだし、まったく論にはなっていないが、それ自体が低評価の理由ではない。モノやブランド語りというジャンルは一定の需要があるので、それ自体は悪くない。しかしそれで本を書くには、最低限のセンスが必要だと思う。著者近影を見て驚いた。この髪型と化粧で人前に出られる人が、高感度だの最先端だのを語って、そこに説得力を感じる人がいるのだろうか?
(誤解のないよう申し上げておくと、作者の容姿の批判ではない。髪型と化粧という装いの問題である)
上から目線も鼻持ちならないのも、センスと雰囲気を持っている人なら様になるが、鈍感な著者がやってもこちらが恥ずかしくなるだけ。読み通すのに忍耐が必要な一冊。読む価値なし。
タイトルは的はずれだし、まったく論にはなっていないが、それ自体が低評価の理由ではない。モノやブランド語りというジャンルは一定の需要があるので、それ自体は悪くない。しかしそれで本を書くには、最低限のセンスが必要だと思う。著者近影を見て驚いた。この髪型と化粧で人前に出られる人が、高感度だの最先端だのを語って、そこに説得力を感じる人がいるのだろうか?
(誤解のないよう申し上げておくと、作者の容姿の批判ではない。髪型と化粧という装いの問題である)
上から目線も鼻持ちならないのも、センスと雰囲気を持っている人なら様になるが、鈍感な著者がやってもこちらが恥ずかしくなるだけ。読み通すのに忍耐が必要な一冊。読む価値なし。
2014年12月24日に日本でレビュー済み
女性ならではの視点から消費を解説している点は面白いと思いました。但し日本が埼玉化するのか?という点では賛同できません。埼玉の強みは何と言っても日帰りで何時でも東京に行けることです。そこから埼玉ならではの余裕が生まれるのです。地方の中核都市 札幌 仙台 金沢 福岡 は東京の代わりにはなり得ません。よって日本の地方都市が埼玉のようになれる可能性はありません。今後益々、東京近県への一極集中の傾向は強まるでしょう。高感度ショップを47都道府県へとの提案も机上の空論に聞こえます。スタバが県内に数店舗の地方に高感度ショップと言ってもそれを支える消費者はいないでしょう。
この本は「モール化する日本」(ファーストフード化の疑似語見たいですが)とか「埼玉の消費を見習え」ならもう少し評価は高く出来ました。
最近、本を少しでも多く売るためか?内容と異なってもわざと人目を引くような題名をつける本が多いのが気になります。そのようなことをすれば、読者の信頼を失うと思いますが。
この本は「モール化する日本」(ファーストフード化の疑似語見たいですが)とか「埼玉の消費を見習え」ならもう少し評価は高く出来ました。
最近、本を少しでも多く売るためか?内容と異なってもわざと人目を引くような題名をつける本が多いのが気になります。そのようなことをすれば、読者の信頼を失うと思いますが。
2015年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品は素晴らしい。埼玉県に住んでいる自分としても
この本は笑い転げます。
なんと痛快で明快でいて嘘のない作品。
この作品はマイルドヤンキーに便乗している数々の作者をぶったぎります。
この本は笑い転げます。
なんと痛快で明快でいて嘘のない作品。
この作品はマイルドヤンキーに便乗している数々の作者をぶったぎります。
2015年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世の中には既に成功しているパターンをそのまま取りいれたり、少しだけアレンジしてほぼコピーした個性のないモノであふれている。また、モノだけでなく、ファストフードのレストラン、ファストファッションの店、そしてそれらを複合化した街並みにも表れている。駅開発を考えるとき、「感度の高い」消費者視点でつくりこむということ。従来の「大衆」という視点でないところに、今後の成功はあるのだろう。
2016年1月28日に日本でレビュー済み
埼玉に高感度なモノが集まるというが、すでに「高感度」という意味がわからない。
それは筆者のかなり狭い感性とみえの産物では??
そして当然それは全国に拡大していくものではない。
現代日本を生きる一つの症例としては参考になる。
それは筆者のかなり狭い感性とみえの産物では??
そして当然それは全国に拡大していくものではない。
現代日本を生きる一つの症例としては参考になる。
2016年4月14日に日本でレビュー済み
埼玉化、名古屋化が言われている。
要は、「東京でもど田舎でもない土地でまったり暮らすライフスタイル」で
いわゆるマイルドヤンキーとも符合する。
ひと昔前なら”中途半端”と揶揄された生き方を是とし、
新たな美徳として合理化する風潮がはびこっている。
言い得て妙だろう。
「暮らしやすければ何でもいい」
当事者たちは、アメリカナイズした合理主義を気取っているつもりだ。
この裏には地域性や精神性の低下が潜んでいる。
埼玉はともかく、地方経済都市の名古屋ならどうか。
だが、この開き直りによって、日本人は極度に経済偏重し、個人主義化した。
伝統や謙虚さ、助け合い精神といった拠り所を失った結果、
モラルの喪失が引き起こす事件が至る所でみられるようになった。
あるべき”正しい”コンプレックス、もしくは倫理観を失ったためだ。
実は日本じゅうで起こったことだ。
なぜ埼玉や名古屋が名指しにされるのか。
固有性や地域性がなく、文化的に貧困な地帯の象徴だ。
人も街もそこそこだが、これといったものもない。
実感にも合っている。
グローバル世界において経済的にも縮み始めた日本。
「世界のなかの日本」がまるで「日本のなかの埼玉や名古屋」のように
存在感を失いつつあるのは当然の帰結だろう。
要は、「東京でもど田舎でもない土地でまったり暮らすライフスタイル」で
いわゆるマイルドヤンキーとも符合する。
ひと昔前なら”中途半端”と揶揄された生き方を是とし、
新たな美徳として合理化する風潮がはびこっている。
言い得て妙だろう。
「暮らしやすければ何でもいい」
当事者たちは、アメリカナイズした合理主義を気取っているつもりだ。
この裏には地域性や精神性の低下が潜んでいる。
埼玉はともかく、地方経済都市の名古屋ならどうか。
だが、この開き直りによって、日本人は極度に経済偏重し、個人主義化した。
伝統や謙虚さ、助け合い精神といった拠り所を失った結果、
モラルの喪失が引き起こす事件が至る所でみられるようになった。
あるべき”正しい”コンプレックス、もしくは倫理観を失ったためだ。
実は日本じゅうで起こったことだ。
なぜ埼玉や名古屋が名指しにされるのか。
固有性や地域性がなく、文化的に貧困な地帯の象徴だ。
人も街もそこそこだが、これといったものもない。
実感にも合っている。
グローバル世界において経済的にも縮み始めた日本。
「世界のなかの日本」がまるで「日本のなかの埼玉や名古屋」のように
存在感を失いつつあるのは当然の帰結だろう。
2015年2月23日に日本でレビュー済み
東京生まれの東京育ち、最先端の時代の空気を吸って育ってきた生粋の都会人が、思うところあって埼玉に移り住み、現代日本の消費社会を鋭く分析する慧眼の一冊・・・ を編集者は目論んだのだろうが、大外れ。「ヤンキーとファンシー」を下流と見下し、上流の高感度消費者たる著者、実は薹が立って都落ちした大して可愛くもないオバサンが、本当の消費ライフを教えてア・ゲ・ルと息巻く残念な本だった。
好感度消費とは、「花ふきん」や「mt(マスキングテープ)」や「空也のもなか」だそうだ、ああそうですか。艶有りJRC4558や80年代のJCM800 2204を探し求める消費行動は、最先端ではないからね。
軽快でキャッチーな文体で、一見意味ありげな考察を書き連ねてはいるが、実は大したことは考えていないことは「最先端でエッジーな」のような軽薄なトートロージー(同義語反復)を書いて恥じないことで分かる。「路面店のような」に執拗に噛みつきながら、同じ口が同じページで「フラグシップショップとは、ブランドを代表する旗艦店を意味する」と、ここでもトートロジー。「シネマは映画を意味する」程度のことを何をドヤ顔で言っておるのか。きっと英語が苦手なのだろう。
ファッションもまた人類の文明の産物である。芸術、思想は元より、経済、政治、技術革新など様々な社会の動きに呼応した結果としての最先端アイテムだ。著者は高感度消費を最上流に位置づけ、大衆消費を下流に置いて良しとしているが、更に上流にある生産者が、歴史と文化という巨人の肩の上に乗っていることに想像が及ばない。また下流の大量消費の担い手たる大衆が、職場では生産者としてサプライチェーンの最上流を担っているかもしれないことに想像が及ばない。金を払えば誰でもできる消費という行為だけで自分を上流に位置づけて悦に入る著者の姿勢は余りに稚拙だ。
本書は新書本である。新書本は教養を深める意欲を持った読者が対象の商品だ。著者は、時代の最先端を捉える感性を売り物にしておまんまを食べているのだろうから、せっせと雑誌記事でも書いていればいいのだ。新書本は場違いだ。
好感度消費とは、「花ふきん」や「mt(マスキングテープ)」や「空也のもなか」だそうだ、ああそうですか。艶有りJRC4558や80年代のJCM800 2204を探し求める消費行動は、最先端ではないからね。
軽快でキャッチーな文体で、一見意味ありげな考察を書き連ねてはいるが、実は大したことは考えていないことは「最先端でエッジーな」のような軽薄なトートロージー(同義語反復)を書いて恥じないことで分かる。「路面店のような」に執拗に噛みつきながら、同じ口が同じページで「フラグシップショップとは、ブランドを代表する旗艦店を意味する」と、ここでもトートロジー。「シネマは映画を意味する」程度のことを何をドヤ顔で言っておるのか。きっと英語が苦手なのだろう。
ファッションもまた人類の文明の産物である。芸術、思想は元より、経済、政治、技術革新など様々な社会の動きに呼応した結果としての最先端アイテムだ。著者は高感度消費を最上流に位置づけ、大衆消費を下流に置いて良しとしているが、更に上流にある生産者が、歴史と文化という巨人の肩の上に乗っていることに想像が及ばない。また下流の大量消費の担い手たる大衆が、職場では生産者としてサプライチェーンの最上流を担っているかもしれないことに想像が及ばない。金を払えば誰でもできる消費という行為だけで自分を上流に位置づけて悦に入る著者の姿勢は余りに稚拙だ。
本書は新書本である。新書本は教養を深める意欲を持った読者が対象の商品だ。著者は、時代の最先端を捉える感性を売り物にしておまんまを食べているのだろうから、せっせと雑誌記事でも書いていればいいのだ。新書本は場違いだ。