対象に、縄文時代からの日本の国勢調査を試みた本。たくさんの発見があって面白かった。
1. 江戸時代の平均初婚年齢は男性 27 歳、女性 22 歳。
大河ドラマを観たりすると、昔の人は10歳から15歳くらいで結婚していたようなイメージがあるが、それは一部の上流階級だけの話。
今みたいに女性も大学を卒業して 22 歳で社会人という時代ではなく、寺子屋があったか無かったかの江戸時代に、男性 27 歳、女性 22 歳という初婚の年齢は予想外。
2. 江戸時代以前、バツ3バツ4当たり前
バツ1などと行って離婚歴を殊更に気にするようになったのは、どうやら明治以降のようである。
日本の『伝統的』習慣と思われている事で、実は明治以降の習慣でしか無い事って、案外に多い。
3. 江戸は人口超過密。
現代の東京23区の人口密度が、1平方キロメートルあたり約1万人。しかもマンション等の高層建築があって、尚この数字。
江戸時代、町人が住んでいた居住区の人口は1平方キロメートルあたり6万人。今と違って2階建て建築すら珍しい、貧乏長屋での数字。
それだけ過密な人がいて、上水や下水などのインフラを、どう管理し、衛生状態を保っていたのか?
汚物は、堆肥とする為に農村に売られていたとは言われているけど、どう考えても、100万人都市の江戸で発生する汚物の量は、農村で必要とされる堆肥量より多い。しかもトラックも無い時代、100万人のウンコをどうやって運び去ったのか?
4. 日本人は過去何度も人口減少を経験
少子高齢化や人口減少は現代日本の課題かと思いきや、日本人は過去何度も人口減少を敬虔してきた。
過去に未経験なのは高齢化。日本人の平均寿命は 1920 年ですら男性 42 歳、女性 43 歳。平均寿命が倍近く伸びた事が、現代日本の、過去の歴史には無かった課題。
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人口から読む日本の歴史 (講談社学術文庫) Kindle版
増加と停滞を繰り返す、4つの大きな波を示しつつ、1万年にわたり増え続けた日本の人口。そのダイナミズムを歴史人口学によって分析し、また人々の暮らしの変容と人生をいきいきと描き出す。近代以降の文明システムのあり方そのものが問われ、時代は大きな転換期にさしかかった。その大変動のなか少子高齢化社会を迎えるわれわれが進む道とは何か。(講談社学術文庫)
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2000/5/10
- ファイルサイズ17183 KB
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商品の説明
著者について
1947年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。現在、上智大学経済学部教授。専攻は日本経済史、歴史人口学。著書に『日本経済史2 近代成長の胎動』『人口学の現状とフロンティア』『地球人口100億の世紀』(すべて共著)、主要論文に「江戸時代の米食」「徳川時代農村の乳児死亡」「近世農村における家族形態の周期的変化」など。
登録情報
- ASIN : B016O8V0HS
- 出版社 : 講談社 (2000/5/10)
- 発売日 : 2000/5/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 17183 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 261ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 139,529位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 518位歴史学 (Kindleストア)
- - 650位歴史学 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
おそらく誰もが一回くらいはあの時代の日本の人口はどの位だったのだろうと思ったことはあるのではないか。縄文時代は、弥生時代には…‥‥戦国時代は、江戸時代は、明治維新の時は、などと。
それは人口学であるようで、大雑把であるが一覧表も提示してくれているのがこの本である。ただし、この分野は何を根拠に、どういう手法で推定値を出すかは相当難しい分野である様で、何せ、きちんとした記録が全くないか、時代が進むにつれて手掛かりになる材料は出てくるが、そもそも、全人口をとらえようという発想そのものが無いし、他の目的に使った一部の記録から類推、推量して大まかな数字を出すしかない分野であるようだ。現代の様な戸籍があるわけでもないし、国勢調査があるわけでもないのであるから。
それと驚くのは「人生50年」と織田信長は謡い踊るが、それはとんでもないことで、「ほぼ国民の80%が50歳生存を超えるのは1947年(昭和22年、戦争直後)であり、江戸時代が始まらんとしている関ケ原の戦い【1600年】の頃は、せいぜい平均寿命は30歳程度であったであろう」と書かれている。どうしてそうなのかが、江戸時代を中心に多くのページを割き、色いろな原因・分析が行われている。へーと思うような多くの発見がある。一読はしておく本であろう。
それは人口学であるようで、大雑把であるが一覧表も提示してくれているのがこの本である。ただし、この分野は何を根拠に、どういう手法で推定値を出すかは相当難しい分野である様で、何せ、きちんとした記録が全くないか、時代が進むにつれて手掛かりになる材料は出てくるが、そもそも、全人口をとらえようという発想そのものが無いし、他の目的に使った一部の記録から類推、推量して大まかな数字を出すしかない分野であるようだ。現代の様な戸籍があるわけでもないし、国勢調査があるわけでもないのであるから。
それと驚くのは「人生50年」と織田信長は謡い踊るが、それはとんでもないことで、「ほぼ国民の80%が50歳生存を超えるのは1947年(昭和22年、戦争直後)であり、江戸時代が始まらんとしている関ケ原の戦い【1600年】の頃は、せいぜい平均寿命は30歳程度であったであろう」と書かれている。どうしてそうなのかが、江戸時代を中心に多くのページを割き、色いろな原因・分析が行われている。へーと思うような多くの発見がある。一読はしておく本であろう。
2018年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在の世界人口は73億人です。
1900年は16億人、1950年は24億人、1975年は40億人、2000年は57億人です。
過去110年間で4.5倍です。
日本でも明治6年は3500万人だったのが、今は1億2700万人で、3.6倍です。
信じられないスピードの人口増加で人間は歴史始まって以来の繁栄ぶりです。
それでは過去の日本の人口変動を歴史的に考察したのがこの本です。
若い学問である「歴史人口学」に基づいています。
非常に巨視的な視点で日本を眺めています。
考古学、古文書などの豊富な資料をもとに日本の歴史を見ています。
いろいろと新たな知見が得られました。
日本は、古来よりまわりを海に囲まれていたこともあり領土が異民族の侵略、支配を受けることなく同一民族が長く居住していました。
戸籍も古くからあり、特に江戸時代からは宗門改帳などが整備され、人口動態が正確に把握することが出来ます。
著者は人口変動には4つの波があるとします。
1.縄文システム時代(縄文中期人口 26万人)
生活様式は狩猟、漁労、採取で自然環境の影響をモロに受けた。
2.水稲農耕システム時代(弥生時代から鎌倉時代 10世紀頃人口700万人)
水稲農耕システムで耕作地増加・人口増加、その後、化耕地の減少・荘園経済化で成長停滞)
3.市場経済社会化システム時代(室町時代から江戸時代 1823年人口3,258万人)
市場経済の発展で人口増加、土地利用の高度化で世帯所得増大、その後、人口成長と土地のバランスの悪化で制度疲労)
4.工業化システム時代(明治から現代 2007年人口1億2,778万人)
エネルギー革命、工業化で人口増大、文明の大変換
明治期以降は人馬によるエネルギーが石炭・石油に代わり生産が飛躍的に発展しました。
前工業化社会とは比べ物にならない人口増加、年齢構造、職業構成、人口動態、地理的分布、世帯・家族の規模と構造など違っています。
平均寿命が短かったこともあり、一昔前は子育てが終わると夫婦とも死期まで今のうように何十年と生きることはありませんでした。
日本人は今、これまでになく夫婦で過ごす年月が長くなっており、また配偶者の死後、ひとり暮らしの期間が長い時代です。
いろいろと課題が生じるのも当然かと考えます。
衣食住の充実、医療の貢献、予防衛生充実、福祉の進展でかってない繁栄の長寿社会が現代の日本です。
著者の鬼頭さんは、将来について化石エネルギーの枯渇を心配しています。
この点については、私はそう考えません。
武田邦彦先生の研究によりますと石油は、この先、数万年以上、枯渇することはありません。
石油が枯渇する恐れがあると主張するのは石油会社とそれをよく調べないで垂れ流すマスコミと、それで不安を煽られ踊らされている人々だけです。
石油会社が、毎年毎年、石油がなくなると騒ぐのは年中行事です。
オオカミ少年ならぬオオカミおじさんです。
また少子化についてのマスコミのから騒ぎも笑止です。
70年代は人口爆発だ、人口増加にブレーキをかけろと世論をあおっていたのはマスコミです。
その声に従って人口抑制作を奨励し実施したのが厚生省です。
計画通りに少子化が実現しました。
今度は少子化をネタにまたマスコミは騒いでいます。
タチの悪いマッチポンプ屋です。
人口増大を前提の諸制度が立ち行かなくなるのは当たり前で、制度を変えればいいだけのことです。
1900年は16億人、1950年は24億人、1975年は40億人、2000年は57億人です。
過去110年間で4.5倍です。
日本でも明治6年は3500万人だったのが、今は1億2700万人で、3.6倍です。
信じられないスピードの人口増加で人間は歴史始まって以来の繁栄ぶりです。
それでは過去の日本の人口変動を歴史的に考察したのがこの本です。
若い学問である「歴史人口学」に基づいています。
非常に巨視的な視点で日本を眺めています。
考古学、古文書などの豊富な資料をもとに日本の歴史を見ています。
いろいろと新たな知見が得られました。
日本は、古来よりまわりを海に囲まれていたこともあり領土が異民族の侵略、支配を受けることなく同一民族が長く居住していました。
戸籍も古くからあり、特に江戸時代からは宗門改帳などが整備され、人口動態が正確に把握することが出来ます。
著者は人口変動には4つの波があるとします。
1.縄文システム時代(縄文中期人口 26万人)
生活様式は狩猟、漁労、採取で自然環境の影響をモロに受けた。
2.水稲農耕システム時代(弥生時代から鎌倉時代 10世紀頃人口700万人)
水稲農耕システムで耕作地増加・人口増加、その後、化耕地の減少・荘園経済化で成長停滞)
3.市場経済社会化システム時代(室町時代から江戸時代 1823年人口3,258万人)
市場経済の発展で人口増加、土地利用の高度化で世帯所得増大、その後、人口成長と土地のバランスの悪化で制度疲労)
4.工業化システム時代(明治から現代 2007年人口1億2,778万人)
エネルギー革命、工業化で人口増大、文明の大変換
明治期以降は人馬によるエネルギーが石炭・石油に代わり生産が飛躍的に発展しました。
前工業化社会とは比べ物にならない人口増加、年齢構造、職業構成、人口動態、地理的分布、世帯・家族の規模と構造など違っています。
平均寿命が短かったこともあり、一昔前は子育てが終わると夫婦とも死期まで今のうように何十年と生きることはありませんでした。
日本人は今、これまでになく夫婦で過ごす年月が長くなっており、また配偶者の死後、ひとり暮らしの期間が長い時代です。
いろいろと課題が生じるのも当然かと考えます。
衣食住の充実、医療の貢献、予防衛生充実、福祉の進展でかってない繁栄の長寿社会が現代の日本です。
著者の鬼頭さんは、将来について化石エネルギーの枯渇を心配しています。
この点については、私はそう考えません。
武田邦彦先生の研究によりますと石油は、この先、数万年以上、枯渇することはありません。
石油が枯渇する恐れがあると主張するのは石油会社とそれをよく調べないで垂れ流すマスコミと、それで不安を煽られ踊らされている人々だけです。
石油会社が、毎年毎年、石油がなくなると騒ぐのは年中行事です。
オオカミ少年ならぬオオカミおじさんです。
また少子化についてのマスコミのから騒ぎも笑止です。
70年代は人口爆発だ、人口増加にブレーキをかけろと世論をあおっていたのはマスコミです。
その声に従って人口抑制作を奨励し実施したのが厚生省です。
計画通りに少子化が実現しました。
今度は少子化をネタにまたマスコミは騒いでいます。
タチの悪いマッチポンプ屋です。
人口増大を前提の諸制度が立ち行かなくなるのは当たり前で、制度を変えればいいだけのことです。
2013年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
縄文〜弥生〜古墳時代にかけての日本の実像を知る上で最も必要な事は、いつ、どこで、どれくらいの人が生活していたかであるが、「いつ」は、 絶対年代の測定によって、「どこで」は古地層の発掘によって 或る程度確かめられるのに対して、どれくらいの人達が生活していたかは、日本の酸性土が多くの有機物や金属類を溶かすのでなかなかその痕跡を確かめられないという難しさがある。現代は、区役所の戸籍を見ればどこの誰がいつ生まれ、転入し、亡くなったかは一目瞭然であるが、近代のような厳密な戸籍も住民台帳もない太古の昔の人間の人口動態を調べるのは至難の業に等しい。
本書では、著者の先人達の努力や研究の上にどの様にして奈良時代以前の人口調査が行われたが簡潔に分かり易く記してある。大ざっぱに言って人間の人口の増減の元になっているのは、その時代、その地域の地理的環境であり、気温の状態である。ここでは、紀元前8000年前は現在より2度低く、紀元前4000年では1度高、前500年で1度低、紀元300〜600年にかけては寒、800〜900が暖、11〜12世紀は温暖且つ乾燥となっている。又、列島の人口バランスは縄文以前にいく程、東高西低で縄文中期には東日本が25.2万人、西日本が9500人で その比率差は96:4となっている。それが縄文中期〜晩期にかけて東西の逆転現象が生まれ、東日本では9割減、西日本では2倍の増加となったらしい。その理由としては先程の気候の温暖化と共に焼畑農業の普及や大陸からの渡来人による伝染病の蔓延が上げられるという。平均年齢は、縄文で男30〜35、女20〜24歳が、弥生時代には45才、古墳時代には55才に伸びたという小林和正の説を紹介している。世代構成としては、奈良時代(702年)の美濃国の資料として0〜15才までが全体の41.6%、16〜60才までが55.6%、61才以上が僅か2.9%であったという興味深い数値が提示されている。あと、婚姻形態は今と違って一夫多婦制であったことや、稲作と共に大量の渡来人が流入し、弥生時代から奈良時代にかけて150万人もの人間が朝鮮半島を経由して日本に移住、定着した(533年に十数万人が大量移民)というのは衝撃である。そして一番気になる日本全体の人口は、縄文の早期に2万人、中期に26万人、後期16万人、晩期が7万6千人で気候の変動の影響が大きく、邪馬台国記述が180万人、弥生後期が220万人、奈良時代で600万人、平安時代で684万人程度となっている。(平城京が7万4000人、平安京が12万人) いずれも用いる統計資料と計算方法によってかなりの誤差は出るが、今から1500年以上昔の日本の人口動態をこれ程、綿密に調査研究された努力と労力には頭が下がる。
後半にはそれ以降、鎌倉〜室町、江戸、明治と近世に繋がる人口調査がその基本資料の紹介と共に述べられているが、日本の歴史、特に縄文〜弥生〜古墳時代の謎を解こうとしておられる諸氏には、日下雅義氏の「地形からみた歴史 古代景観を復原する 」と並ぶ 日本の古代史を探る際の必読書といえる。
本書では、著者の先人達の努力や研究の上にどの様にして奈良時代以前の人口調査が行われたが簡潔に分かり易く記してある。大ざっぱに言って人間の人口の増減の元になっているのは、その時代、その地域の地理的環境であり、気温の状態である。ここでは、紀元前8000年前は現在より2度低く、紀元前4000年では1度高、前500年で1度低、紀元300〜600年にかけては寒、800〜900が暖、11〜12世紀は温暖且つ乾燥となっている。又、列島の人口バランスは縄文以前にいく程、東高西低で縄文中期には東日本が25.2万人、西日本が9500人で その比率差は96:4となっている。それが縄文中期〜晩期にかけて東西の逆転現象が生まれ、東日本では9割減、西日本では2倍の増加となったらしい。その理由としては先程の気候の温暖化と共に焼畑農業の普及や大陸からの渡来人による伝染病の蔓延が上げられるという。平均年齢は、縄文で男30〜35、女20〜24歳が、弥生時代には45才、古墳時代には55才に伸びたという小林和正の説を紹介している。世代構成としては、奈良時代(702年)の美濃国の資料として0〜15才までが全体の41.6%、16〜60才までが55.6%、61才以上が僅か2.9%であったという興味深い数値が提示されている。あと、婚姻形態は今と違って一夫多婦制であったことや、稲作と共に大量の渡来人が流入し、弥生時代から奈良時代にかけて150万人もの人間が朝鮮半島を経由して日本に移住、定着した(533年に十数万人が大量移民)というのは衝撃である。そして一番気になる日本全体の人口は、縄文の早期に2万人、中期に26万人、後期16万人、晩期が7万6千人で気候の変動の影響が大きく、邪馬台国記述が180万人、弥生後期が220万人、奈良時代で600万人、平安時代で684万人程度となっている。(平城京が7万4000人、平安京が12万人) いずれも用いる統計資料と計算方法によってかなりの誤差は出るが、今から1500年以上昔の日本の人口動態をこれ程、綿密に調査研究された努力と労力には頭が下がる。
後半にはそれ以降、鎌倉〜室町、江戸、明治と近世に繋がる人口調査がその基本資料の紹介と共に述べられているが、日本の歴史、特に縄文〜弥生〜古墳時代の謎を解こうとしておられる諸氏には、日下雅義氏の「地形からみた歴史 古代景観を復原する 」と並ぶ 日本の古代史を探る際の必読書といえる。
2017年2月3日に日本でレビュー済み
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人口減を食い止めようと、政府は結婚・妊娠・出産・育児の支援策を次々に打ち出す。しかし効果は疑問だし、私生活への干渉になりかねない。歴史を振り返ると、もっとスマートな人口増加策が見えてくる。それは市場経済の拡大である。
本書によれば、日本は過去1万年に人口の波が4つある。(1)縄文時代(2)弥生時代以降(3)14~15世紀以降(4)19世紀~現代――である。(1)(2)(4)はそれぞれ気温上昇、水稲農耕、工業化を支えに人口が増えた。
興味深いのは、室町時代に始まる(3)の波だ。人口成長を支えた原動力は「市場経済の展開」だと著者は指摘する。具体的には、隷属農民の労働力に依存する名主経営が解体し、家族労働力を主体とする小農経営への移行が進んだことだ。
室町時代には貨幣の普及とともに利潤獲得の機運が高まり、農民はよりよい生産方法を求めて選択的に行動するようになる。衣食住などの費用がかさむうえ、勤勉な労働が期待できない隷属農民に依存する名主経営は、生産効率が悪かった。
晩婚や生涯独身の多かった隷属農民が自立することで、社会全体の有配偶率が高まり、出生率が上昇した。一方で食生活の充実や住生活の向上により死亡率も改善する。この背景にも、生産力向上や流通の拡大など市場経済の発展があった。
現代の隷属農民といえば、さしづめ稼ぎの多くを税金で奪われる企業家や労働者だろう。社会保険料を含む税負担を大きく引き下げ、市場経済を活性化すること。小手先の少子化対策よりはるかに効果が大きいはずだ。
本書によれば、日本は過去1万年に人口の波が4つある。(1)縄文時代(2)弥生時代以降(3)14~15世紀以降(4)19世紀~現代――である。(1)(2)(4)はそれぞれ気温上昇、水稲農耕、工業化を支えに人口が増えた。
興味深いのは、室町時代に始まる(3)の波だ。人口成長を支えた原動力は「市場経済の展開」だと著者は指摘する。具体的には、隷属農民の労働力に依存する名主経営が解体し、家族労働力を主体とする小農経営への移行が進んだことだ。
室町時代には貨幣の普及とともに利潤獲得の機運が高まり、農民はよりよい生産方法を求めて選択的に行動するようになる。衣食住などの費用がかさむうえ、勤勉な労働が期待できない隷属農民に依存する名主経営は、生産効率が悪かった。
晩婚や生涯独身の多かった隷属農民が自立することで、社会全体の有配偶率が高まり、出生率が上昇した。一方で食生活の充実や住生活の向上により死亡率も改善する。この背景にも、生産力向上や流通の拡大など市場経済の発展があった。
現代の隷属農民といえば、さしづめ稼ぎの多くを税金で奪われる企業家や労働者だろう。社会保険料を含む税負担を大きく引き下げ、市場経済を活性化すること。小手先の少子化対策よりはるかに効果が大きいはずだ。