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陛下(新潮文庫) Kindle版
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1999/3/1
- ファイルサイズ1241 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
天皇に恋い焦がれる異常な情熱=「恋闕(れんけつ)」に潜むエロスに浸る
今では死語に近いが「恋闕(れんけつ)」という言葉がある。天皇に対して忠誠心以上の情熱で恋い焦がれることを示す言葉だ。およそ思いつくうちで最も危険な日本語だと思う。いかに危険かは、久世光彦の『陛下』から察せられる。
主人公の若き陸軍中尉・剣持梓は、大陸で戦死した兄が五・一五事件に関わっていたことを知る。兄に影響を与えた革命家の「魔王」こと北一輝、馴染みの娼婦、気のふれた姉……武骨な梓を囲繞(いにょう)する、危うく艶めかしい人間関係。やがて、彼は新たな叛乱へとのめり込んでゆく。
忠君だの愛国だのという言葉にはストイシズムのイメージがまつわるけれども、本書にはそんなものはかけらもない。ここにあるのは、「恋闕」という言葉が孕む熱っぽい情念でありエロスである。梓は子供の頃から見る夢の中の天皇を思い返しながら「陛下! 」と叫び、娼婦を抱きながら「陛下! 」と叫ぶ。もはや尊皇なのか不敬なのかわからない。昭和天皇について「男みたいに見えますが、実は女なのかもしれませんね」ととんでもないことを語る北一輝も、やけに中性的な雰囲気の人物として描かれる。史実の彼は隻眼だったが、本書に登場する彼は、なんと義眼の裏に天皇の写真を貼りつけているのだ。その一方で逞しく素直に生きる娼婦たちの姿が、男たちの狂おしい倒錯ぶりを更に際立たせる。
禁断の恋やクーデター計画といったモチーフから、三島由紀夫の小説『豊饒の海』を想起する読者が多そうだが、三島よりずっと混沌としており、遥かに官能的なのが本書の世界だ。不敬と背中合わせである恋闕の恍惚を、耽美を極めた文章で描ききった著者の魔的な筆力に惚れ惚れする。(百)
評者:徹夜本研究会
(週刊文春 2017.07.06号 掲載)内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- ASIN : B01CSBIG6I
- 出版社 : 新潮社 (1999/3/1)
- 発売日 : 1999/3/1
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1241 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 247ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 391,160位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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単行本の雰囲気が出ているのは新潮文庫版の方だと思います。
例外は匂いでしょうか。とにかく匂いに関する描写がたくさん出てくる。金木犀の香り。女郎部屋の消毒薬や体臭。文章は匂うけれど、テレビドラマでにおいを表すのは難しい!。だからそのうっぷんを晴らすかのようにやけに文章は匂うのかな。
それにつけてもすべてが美しく明るい。女郎も然り、主人公の狂った姉も然り、きわめつけは義眼の裏に天皇陛下の肖像を入れているという革命家なのだが、そういった人たちが決して陰鬱でもなく、不気味でもなく、美しく描かれている。そういうのを嘘だと言う人もいるかもしれないけれど、私は小説なんてフィクションなのだから嘘は当たり前、美しいだけの世界があってもいいと思うんです。