メディアを読み込めませんでした。
タイトルは「民警」と言って民間の警察と書いてみんけいですね なんじゃそりゃって思うかもしれないけど 簡単に言えばアルソックとかセコムのことです 実際にこの本ではアルソックやセコムの成り立ちがテーマとして扱われてます
もう最近だとショッピングモールでも当たり前のように警備員を見かけますが じゃあ日本でどうやって警備業って呼ばれるものが発展してきたかっていうのが本では丁寧に書かれてます 猪瀬さんがすごいのは東京オリンピックを誘致して知事をやめてちょっと時間ができたと そこで何か書こうとなった時に選ぶのが この警備業っていうのは慧眼と言っていいのかすごい嗅覚ですよね だって「東京オリンピックをテーマにしよう」と言われて警備業はなかなか選ですよ でも大きなイベントではテロの心配があるので警備は隠れた重要な要素なんですよね
こういう隠れた重要要素をあぶり出させたら猪瀬さんの右に出る者はいないんじゃないでしょうか 皇族の土地取引や公益法人やマスメディア 無意識にスルーしてしまっている部分に彼の著作はスポットライトを強烈に浴びせていくので痛快ですね 読んでいて
■ 公権力のすきまを縫うように発展を遂げた警備業
警備業の話に戻ると 警備業は30兆円産業とも呼ばれていて 警備員の数は50万人ほどがいると言われています
日本に警察官は24万人自衛隊が23万人ほどいるので 警備員は警察と自衛隊を合わせた数の警備員がいることになります
もうすこし具体的な話をすると2020年に日本でオリンピックがありますよね 東京オリンピックですね その東京オリンピックでは当然警備員が大勢必要になるわけですが誘致の時に都が提出した資料によると全部で5万人が必要だと言われてます 5万人って言ったら1つの市ができるレベルですよ おじいちゃんおばあちゃんから生まれたての赤ちゃんまで含めて1つの市になることを考えると膨大な人数です それでこの5万人の人員のうち半分ぐらいは警察官が担うと計画されています その次に多いのが民間の警備員で その後にはセキュリティ関連のボランティアと続きます ボランティアには多分警察官を引退した人とかも運ばれてると思うんですけれども そう言った属性のひとびとが警備員に携わると言われてます 警備員なしにはオリンピック運営もままならないわけです
こうして数字を見てみると警備員の大切さがわかります 警備員がいないとオリンピックが開催できなくなります それで面白いのがちょうど日本に警備業が広まってきたのが前回の1964年の東京オリンピックの頃だということです 本で紹介されています オリンピックを契機に警備業が広まってきたかというとオリンピックの選手村があるしゃないですか その選手村に警察官が入ると外国人選手のなかから逮捕者が出るんじゃないかという風に外国政府に心配されて民間警備員の出番になったそうです やはり才能のある人をたくさん日本に送り込んで日本の警察官と触れさせるのは外国の政府からはあまりいいように思われてなかったみたいですね
すごくこのオリンピックの例がすごくわかりやすいんですけれども警備業はこの公権力が入っていくと問題になりがちな場所に上手く張り込んで行きます 結構色々あるんですよ 例えば海外で 警備が流行りだしたのは新しく鉄道っていうものが出てき始めたころに 駅には保安官はくるけど列車の中には保安監がいなくてなかなか治安が行き届いていないという状況がありました そこで警備員ですよね 今だと鉄道警察がありますがまさにわざわざ特殊な組織が設置されるほど列車の中っていうのは特殊な警備が必要だったわけです
本でも 触れられてますが今のアメリカ軍とかが訓練とかあと物資の輸送とかに民間のブラックウォーターが有名ですけど軍需企業を活用している話を思い起こさせられますね そして民間ならではの発想で操作手法が考案されていきます 例えばよく警察24時とかで「おとり捜査」ってやってますよね これも猪瀬さんによると民間発祥だと紹介されてます 有名な例だと偽装通貨が流行っていた頃におとり捜査でその偽装通貨で払おうとした犯人を現行犯逮捕したのが始まりだそうです 効率的ですよね 民間ならではって感じがします あと工作員とかもいまだと CIA とか FBI で当たり前の捜査ですけどこれも民間発祥とのことです
もう一つ面白い 民間の活躍でいうと大学の学生運動の鎮圧に昔のアルソックが 駆り出されたと紹介されています これもかなり面白くて というのは大学というのは「自治」を重視します 自分のことは自分で完結してやり通すっていう思想があるので公権力の介入を あまり好まないんですね そこでこの民間の警備会社がうまく入り込んで行ったっていうのはすごく興味深いと思います これは現代でも例えば大使館とかは内政干渉にならないように民間の人が採用されたりしています
僕たちはなんとなく 全国こう津々浦々に行き渡ってるのは警察とか公共的なもののほうが 手広いと勝手に思いがちだけど 意外と民間はしぶといですね いいものです 本を読んでいてこういう発見があるのは
■ 警備業の将来
それでですね 最近の警備業の流行で言うと刑務所の運営っていうのはニュースとかで目にしたことがあるのではないかと思います 確かにこの法務省とか公の機関として運営するよりも かなりのコスト削減になるという風に言われてますね 実際に運営してみて分かったことなんかも書かれてるんですが この本で書かれてて民間ぽくていいなと思ったの面白いなと思ったのが 実は刑務所の運営っていうのはホテル業に近いっていう風に書かれていて この捉え方はすごく面白いなと思いました
将来的にはこの陸上の警備だけじゃなくて海の警察にもなろうとしているそうです 海で何を警備するのかって思うかもしれないですが 実は現代でもアフリカなどでは海賊がいます 海賊と言ってもワンピースとかパイレーツオブカリビアンみたいな豪勢な海賊じゃなくて原始的な感じで襲いかかってくるやつです 本当にその辺のやんちゃな若者が小さいボートを持っていて仕事がないから 盗品の自動小銃で大きい船を襲うっていう構図ですね やはりコンテナ船でもそうですけれど船はたくさんの価値のある 製品を積んでいるので襲われやすいそうです 映画で言うとトムハンクス主演のキャプテンフィリップスがちょうど このアフリカの海賊を描いています
■ 関連作品
今回は猪瀬直樹『民警』を紹介しました 猪瀬さんは代表作の『ミカドの肖像』のほかにも道路公団と闘った実務の本や変わりダネだと漫画の原作『ラストニュース』などもあります
多作で引き出しがおおいので気になる一冊を読んでみて そこから広げて掘っていく楽しみはあると思います 猪瀬沼ですね
ぜひぜひ読んでみてください