実は、この本を読む前と後では、すごくギャップがありました。
いい意味で裏切られた、と。
それはなぜか。
著者の石原左知子さんのプロフィールを調べましたら、
70年代〜80年代流行を牽引した、いわばファッションリーダー。
BASSOというパイオニア的ブランド、
ピテカントロプスという伝説のライブハウス、
sabbygenteelという代官山のセレクトショップ、
などなどのプロデュースを経て、現在も活躍中、
業界の中でも一目置かれる存在とのこと。
スタリッシュで都会的で、近寄り難い、憧れの存在、
というイメージを持って、読み始めました。
セレブのカッコいい指南書なんだろうな、と。
しかし、その浅はかな考えは、見事に打ち砕かれていきました。
もちろん、どのページをめくっても、感心できるアイデアが満載ですし、
ここは本当に日本なのか？と思うほどオシャレな家、
カッコいい暮らしぶりに、ため息も度々出ちゃうほどなんですけど、
その根底に流れている「石原左知子さん流の暮らし」は、
特別なことは何もない日常に、ワクワクと感動が溢れていました。
自分のスタイルを押し付けるのではなく、
「こうしてみたら、楽しいんじゃない？」とか
「こうやったら、すごく快適！」とか、
石原さんは、「心地よさ」を作り出す天才なんです。
「物に執着しない生き方をすると、結局、心地よく暮らせるんだ」
この本を読んで、そう思いました。なんとも清々しい気持ちになりました。
それと、執着するのは「物」に対してだけじゃなく、「考え方」にも当てはまるようです。
例えば、「これはこうしなけばならない」とか「みんながこうしているから」とか、
「常識ではこうだからこのようにしなさい」というような発想は、
石原さんには一切ありません。
自由に柔らかく考えたら、こんなに楽に幸せなんだ!!!と、
とにかく元気が湧いてきます。
「半世紀生きた私なりのテキスト」
と、石原さんが本の中で表現した通り、分かりやすくまとまっています。
生活術の保存版としても、着る服に困ってる40歳代以降の女性にも、
石原さんのエッセンスを堂々と盗める絶好のテキストです。
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