60年代後半から主に作曲家として活動していたマイケル・マーフィーが、コロンビアでボブ・ディランなどを手がけたプロデューサー・ボブ・ジョンストンとテキサスで出会ってA&Mで2作出したのちに、エピックで出した最初のアルバムがこの自分の名前を冠した1974年作です。
はじまりからレーナード・スキナードを少し思わせるワイルドなサザン・ロックにストリングスとクワイヤーを重ねた意欲的な作りで、マイケル・マーフィーのすっきりした声質に合ったミディアム・テンポからバラードの曲まで、従来のラフなカントリー・ロックに新味を加えたところがあります。歌詞に対訳がついていて、自作曲の言い回しに神話や文学や宗教の素地があるのを感じさせます。
ヒットした次作の「
ブルー・スカイ・ナイト・サンダー
」でのスッキリとまとめられたカントリー・ロックと比べると、制御しきれていない荒々しさが魅力であります。表によく出てくるその時代の代表作はあくまでも氷山の一角だというのがよく分かる、名もなき佳作が今になってこうやってこぼれ出てくるのがなんともはやすごいです。