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問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書) Kindle版
現代最高の知識人、トッドの最新見解を集めた“切れ味抜群”の時事論集。
テロ、移民、難民、人種差別、経済危機、格差拡大、ポピュリズムなど
テーマは多岐にわたるが、いずれも「グローバリズムの限界」という問題に
つながっている。英国EU離脱、トランプ旋風も、サッチャー、レーガン以来の
英米発祥のネオリベラリズムの歴史から、初めてその意味が見えてくる。
本書は「最良のトッド入門」でもある。知的遍歴を存分に語る第3章「トッドの
歴史の方法」は、他の著作では決して読めない話が満載。
「トッドの予言」はいかにして可能なのか? その謎に迫る 日本オリジナル版。
「一部を例外として本書に収録されたインタビューと講演はすべて日本で
おこなわれました。その意味で、これは私が本当の意味で初めて日本で
作った本なのです」(「日本の読者へ」より)
【目次】
日本の読者へ――新たな歴史的転換をどう見るか?
1 なぜ英国はEU離脱を選んだのか?
2 「グローバリゼーション・ファティーグ」と英国の「目覚め」
3 トッドの歴史の方法――「予言」はいかにして可能なのか?
4 人口学から見た2030年の世界――安定化する米・露と不安定化する欧・中
5 中国の未来を「予言」する――幻想の大国を恐れるな
6 パリ同時テロについて――世界の敵はイスラム恐怖症だ
7 宗教的危機とヨーロッパの近代史――自己解説『シャルリとは誰か?』
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2016/9/21
- ファイルサイズ3950 KB
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
アングロサクソンの世界に変化がはじまった
日本で自分の本がこんなに売れるなんて信じられませんが、その後の動きを見ると、英国EU離脱を評価し、これをネオリベラリズムとグローバリズムとの決別と見た私の見解は、基本的に間違っていませんでした。ところが変化のスピードは、私の予想をはるかに上回っています。
10月5日の保守党大会でのメイ英首相の演説は驚くべきものでした。「特権と権力のある人々によって労働者が無視されている」「過去の保守党は国家の市場介入を控えてきたが、政府として雇用を守り、適正に機能しない自由市場は修理するつもりだ」「そして保守党こそが『普通の労働者階級の人たちの党』になるべきだ」と。まるで左翼政党の主張です。私は本書で「イギリスでは、『右』のエリートの一部分が、エリート層に反発する民衆の指導者になり得る」という期待を表明しましたが、英国保守党の変貌は期待以上です。
歴史家として2016年をこう定義したい。「英米仏という民主主義の三大国において左派が右派でしかなくなった年である」と。英国の労働党、米国の民主党、仏国の社会党という左翼政党は、グローバリゼーション――ヒトとカネの移動の自由――から恩恵を受ける高学歴のエスタブリッシュメントの声を代弁し、これに反発する大衆を「ポピュリズム」として批判する。各国のリベラル派メディアもこれに追随しています。どの先進国でも高等教育の進展に伴う階層化によって社会が分断され、そこで「高学歴の左派」が「アンチ大衆」の態度を取っている。英国EU離脱とトランプ旋風は、グローバリズムとネオリベラリズムにこれ以上耐えられないという大衆の「民意」の現われです。
英米におけるこの“左右"転換は、グローバリズムとネオリベラリズムの終焉を意味します。英国では、右派であるはずの保守党が大衆の声を受け止め、見事に変貌している。私はトランプ礼賛者ではありませんが、グローバリズムとネオリベラリズムに固執する民主党のエスタブリッシュメントに反発するトランプの支持者は、トランプ本人以上にリーズナブルです。変化にすばやく柔軟に適応できるのが、アングロサクソン社会。またもや英米社会は、世界に先んじて変化を遂げようとしているのです。
これに対し、ドイツに支配された大陸ヨーロッパには死があるのみ。当初、遅れていたヨーロッパは、経済的グローバリゼーションの上に、諸国家の政治的廃止というイデオロギー的な夢を重ねることでグローバリゼーションの作用をいっそう悪化させています。
それに比べて、日本は「国家」として機能している。政治的に何ら決断できないEU諸国と異なり、貿易の依存度も適正水準で、独自の通貨政策もある。
しかし、そんな日本にも問題はある。それは経済問題ではありません。むしろ問題は「人口」と「安全保障」です。高度なロボット技術でも人口問題は解決できない。より多く受け入れるべき移民も根本的な解決策にはならない。女性が仕事と育児を両立できるよう国家が介入し、出生率を上昇させなければ日本は存続できない。愛する日本の消滅など見たくありません。
評者:西 泰志
(週刊文春 2016.11.06掲載)出版社からのコメント
登録情報
- ASIN : B01LZ5RKNG
- 出版社 : 文藝春秋 (2016/9/21)
- 発売日 : 2016/9/21
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 3950 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 209ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 206,689位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 682位文春新書
- - 6,309位社会学概論
- - 6,883位社会学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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まれている本です。
まずは、日本の読者に向けた前書きから始まります。
今日の世界が、第二次世界大戦後の三つ目の新たな局面に入ろ
うとしている、との見解が示されます。
英国のEU離脱や米国のトランプ現象は、アングロサクソン社会
の「グローバリゼーション・ファティーグ(疲労)」であると
見做されます。
経済主義が知的ニヒリズムであると断罪されています。
「1」は英国EU離脱に関する、英国のインタビュー記事となり
ます。
アナール学派に連なる歴史家として、「長期持続」という観点
が強調されます。
東西冷戦終結後の独露のネイション回帰が語られ、英国議会の
主権回復として、英国EU離脱が解かれます。
欧州よりも大きな英語圏、ビスマルク様式とヴィルヘルム様式
という二つのドイツ、排外主義に陥らない移民のコントロール、
少子化問題解決策としてのドイツの移民政策、英国における「右」
よりエリートのあり方等々、鋭い視点が続々と登場します。
「2」は、同じく英国EU離脱に関する、日本の雑誌への論稿で
す。
ほぼ「1」の内容に重なりますが、日本への言及が興味深い処
となります。
「グローバリゼーション終焉」の始まりが宣言され、エリート
の無責任さが嘆かれます。
「3」は歴史家としての著者自身を振り返った、日本における
インタビューです。
以外にも内容が濃厚であり、且つ分量的にも多く、ここが本書
の肝となると考えます。
著者のこれまでや、歴史人口学の独特さが、よく伝わって来ま
す。
著書「第三惑星」や「シャルリとは誰か?」が本国で被った反
応からは、自由という信仰への盲信ぶりが示されます。
「自由でないことができない」絶対的自由の不自由さが看破さ
れています。
第一次世界大戦は中産階級の集団狂気、識字率と高等教育の進
学率、核家族こそが最も原始的な家族形態、場所のシステム、
調査における日本人の無回答の多さ、日独の違い、個人主義は
国家を必要とする、家族の過剰な重視が家族を殺す、国家の再
評価、エリートのナルシスト化、英国の断絶文化と仏国の継続
文化、シーア派の方が西洋に近い等々、重要事項満載で、目か
ら鱗が落ちまくりました。
その後も、「4」人口学からみた2030年、「5」中国の未来、
「6」パリ同時多発テロ、「7」宗教的危機と、日本での講演や
日本への論稿が続いて行きます。
何れも独特の視点による刺激的なものとなっています。
全般を通して著書の思考を満喫できる、満足の一冊でした。
編集者の言によれば、著者が数々の「予言」を的中させた理由を知りたいとの意図があった由で、それに呼応するかの様に、「トッドの歴史の方法」という章(講演)を用意している。日本人にとっては一番興味深い章なのではないか。著者の専門は歴史人口学なのだが、元々は理系に強く、統計的手法を駆使している点が斬新である。家族構造とイデオロギ-(国家体制)との強い相関、個人(の自由)と国家とは対立関係ではなく相互互恵関係といった自論を、様々な投票結果・デモの参加者と地政学的分布とを重ね合わせる事によって、主観ではなくデータ分析によって導いている事が良く伝わって来た。また、多様性と普遍性という一見相反する概念を弁証法的手法で飲み込む姿勢は、著者が徹底した"プラグマティスト"である事を如実に示している。この「トッドの歴史の方法」という章を中心に、本書は著者の入門書と言って良いのではないか。
採り上げている話題が多岐に渡るので、全ては論評出来ないが、近い将来の安定極として米国とロシア、不安定極として中国、ヨーロッパを挙げている点が印象に残った。著者は「ロシア脅威論は幻想」としているが、これはロシア(特にプーチン)の野望を過小評価していないか ? 日本に防衛力強化(最近の週刊誌を読むと、核武装も)を提言しているのも如何なものか ? 著者が自称する客観性に反して、やはりフランス人特有の"ドイツ恐怖症"に陥ってはいないか ? これらの疑問は残るものの、主張が過激に映って一部で毀誉褒貶の激しい著者が、実はデータ分析に基づいた"プラグマティスト"である事が良く分かる好著だと思った。
第一は、英米国民こそが、英米が始めて拡大したグローバリズムの弊害に疲れたという「グローバリズム・ファティーグ」の現象を指摘し、その概念でBrexitとトランプ現象を説明すること、
第二は、しかしながら、いや、だからこそ、Brexitの原因は英国政府や英国民にあるのではなく、そして(書名に反して)EUにあるのでもなく、ドイツの権力志向にあるとドイツを批判すること、
第三は、家族制度研究と人口社会学の切り口で、イスラム教徒の地域で国民国家が成立しにくい原因を説明すること、
第四は、同様の方法でドイツ、ひいてはEU、ならびに中国とサウジアラビアの崩壊ないし危機への懸念を表明すること、
第五は、「宗教的危機」という概念で、カトリック信仰崩壊後の宗教的空白が「私はシャルリ」と言ってイスラム教を危険視するにいたる安直な反テロ運動につながっていることを指摘し、フランス人の自省の深まりとそれによる思想的解放をうったえること。
すべて、多くの日本人に新しく、有用な概念だろう。本書がよく読まれる理由がよくわかる。トッドの最近の書物の多くのエッセンスをカバーしているかもしれない。もちろん、それぞれを精密に読む方がよいに決まっているが、導入としての本書の価値も大きい。そして、本書も数度読むとよりわかってくる。批判もできる。
また、日本語が正確で読みやすい。これは、訳者の堀茂樹教授の大きな功績だ。ただ、「若い熟練労働者」(p32、43)
という言葉は意味が分からない。また、内婚というのは従妹間の結婚という意味である(43、181)。
第三章の「トッドの歴史の方法」というインタビューは、平易な話し言葉でトッドの来歴と方法論を解説しており、楽しいうえに情報量が多い。
グローバリズムは、市場を世界に求めるという点で、小国の日本にとって大切な原則だ。一方、他国同様、グローバリズムによって日本が受容しなければならないコスト増も大きい。多様性と普遍性、競争と平等、公平と効率バ、すべてバランスの問題だと言えば簡単だが、ではどこがバランス点なのか、誰がどうやってバランスをとっていくのか、課題は大きい。
私にとって実に多くの新しい知識を与えてくれる本なので、注目すべきフレーズばかりだが、中でも以下は重要()内はページ番号:
(英米が)三〇年間にわたって歯止めなき個人主義をプロモーションした果てに、ネオリベラリズム的であることに自ら耐えられなくなっている(4)、
(ドイツは)若年層の三分の一が不足しているのですが、…大国にふさわしいパワーを持つことを諦めず、信じがたいほど冒険主義的な労働力輸入政策に打って出て(7)、
(イギリスは)ヨーロッパでもっとも個人主義的で、最も開放的(25)、
代表制による統治を発明したのはフランスではなく、イギリス(27)、
イギリス人にとって政治哲学上の絶対原則は議会の主権にあるのですが、EU離脱を選択するまで、イギリス議会は主権を失っていた(28)、
反ロシア政策をとったことで、米国はドイツに対するコントロールを失った(33)、
(スコットランドに)ロンドンへの服従をやめてベルリンに服従する必要があるか?(ないから、スコットランドはUKを離脱したりEUに単独加盟したりしない)(53)、
自分の方法は、単に経験主義(78)、
フランスとドイツの哲学に対する敵愾心(86)、
学問的にはイギリスの方がフランスよりも優越(89)、
ニザン(祖父)風マルクス主義(88)
自分自身の内に平同を重んじる「フランス人性」の存在を自覚(89)、
農村社会の家族構成によって近代以降の各社会のイデオロギーを説明できる(92)、
共産主義革命は…プロレタリアート主導(でなく)…「外婚制共同体家族」の社会で生起(93)、
「自由」を重んじているはずのフランスで、自由にものが言えない(98)、
「自由」に対して一定の諦念があるという意味で、日本人は…内面的により自由(100)、
(中産階級が)歴史の変動を左右している(104)、
「中産階級」を定義するとすれば、高等教育を受けた層(107)、
外婚制共同体家族において、親子関係は権威主義的で、兄弟関係は平等主義的です。それが共産主義の特徴を成す権威主義的な平等主義と一致する(123)、
学校、街、近所、企業など(で)…漠然とした軽い模倣プロセスによって再生産される「弱い価値」(が大事)(124)、
場所ごとの価値観が永続化(125)、
個人の自立は…公的な援助制度(国家)なしにはあり得ません。(131)、
「世代」ごとに大きく変化するのが、アングロサクソン社会の特徴(142)、
日本の防衛力の強化を、日本の過去と結びつけない(197)、
日本は中国に対して、科学技術上、経済上、そして軍事技術上の優位性を保ち続けていかなければなりません。(200)
精神的な空白から、拠り所を失ったフランスの支配階級は、自己陶酔的肯定の場を「反イスラム」に求めている(209)、
集団的な信仰としての宗教という現象が消失してしばらくすると大きな危機が到来し、極端なイデオロギーが生まれてくる(230)。
何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制限をしたいという英国側の思惑も報道がありましたが、筆者の言わんとするのは英国の「主権の回復」です。英国はこれまでも通貨発行権も手放していませんでしたが、より自国を中心に考えるという事のようです。まあ主権の話も社説等でチラチラ出ていたりしますが、実際EUに住まう学者から説明されると、真偽はともかく「やっぱりそうかぁ」的に思いました。
ちなみに、ここから敷衍して、自由主義を標榜する英米二大巨頭が一方はBrexitとして他方はトランプ元大統領が行った保護主義として自己否定しているという事を述べており、行き過ぎた自由主義にはちょっと反対な私としては、心のなかで激しく同意した次第です。
他方で、いまいちだなと感じたのは、まとまりのなさ。
7つほどのインタビューや論説の寄せ集めであり、余り深さを感じませんでした。人口学や家族論が専門の方ですが、そうした方が移民について語ったり、フランス国内のテロが移民家系の国民が起こした点について語るのはなるほどと思うのです。ただ、そうした学者が米国政治の行方とか、中東情勢について語るのは、あたっていることもあるかもしれませんが、ぱっと見、テレビのコメンテーター的な雰囲気を感じてしまいました。
・・・
上にも書きましたが、ちょっとコメンテーター的ではありましたが、言っている内容は割と同感する部分が多かったです。家族論が専門とのことで、うちのように国際結婚した家からすると筆者がどんなことを考えているのか他の専門書も読んでみたいと思いました。
欧州やEUについて学びたい方、フランスの現代社会の歪みや移民政策に興味のあるかた、政治全般に興味のあるかた、人口学・家族論に興味のある方にはおすすめできる本だと思います。