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ぼくたちが本当にシタかったこと (ガガガ文庫) Kindle版
シタいことなら、何でもできるの……。
この学校に入って数か月。
友達も、少ないけどそこそこできて、女の子とも少しは仲良くしている。
僕の周りには魅力的な女の子ばかりで、少々戸惑うけれど、まあ贅沢な悩みなんだろう。でも、仲良くなればなるほど、僕には気になることがある。
それは、この学校が「成年向けコンテンツ」つまりアダルトなコンテンツを作るための勉強をする学校であり、アダルトなビデオの現場の実践学習もあり、あれやこれやをシテしまう可能性があるということ。
好きになった女の子が、「女優志望」だったら、どう考えてもハートが耐えられる自信がない。
成年向けコンテンツを作る専門学校での青春とは……!?
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
この学校に入って数か月。
友達も、少ないけどそこそこできて、女の子とも少しは仲良くしている。
僕の周りには魅力的な女の子ばかりで、少々戸惑うけれど、まあ贅沢な悩みなんだろう。でも、仲良くなればなるほど、僕には気になることがある。
それは、この学校が「成年向けコンテンツ」つまりアダルトなコンテンツを作るための勉強をする学校であり、アダルトなビデオの現場の実践学習もあり、あれやこれやをシテしまう可能性があるということ。
好きになった女の子が、「女優志望」だったら、どう考えてもハートが耐えられる自信がない。
成年向けコンテンツを作る専門学校での青春とは……!?
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2016/10/23
- ファイルサイズ7776 KB
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登録情報
- ASIN : B01M7RP4G7
- 出版社 : 小学館 (2016/10/23)
- 発売日 : 2016/10/23
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 7776 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 277ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 165,572位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 421位ガガガ文庫
- - 19,357位ライトノベル (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年8月31日に日本でレビュー済み
レポート
Amazonで購入
中身を読んでからまずレーベルを確認。「美少女文庫」でも「二次元ドリーム文庫」でもなく「ガガガ文庫」だった。……普通のライトノベルレーベルですけど、この中身で編集者は止めなかったんでしょうか。いや、面白かったんですけど。かなりきわどい内容なので、直接的なエロ描写が苦手は人は注意してください。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2023年3月1日に日本でレビュー済み
濡れ場が官能小説的にたっぷりあるなら鬱ボッキを楽しめるんですけど、あくまでラノベレーベルなのでそういう場面もなくて割と嫌な気持ちが続くお話でした。
ストーリー自体は面白いです。別のレーベルでもうちょっとエロい描写を加筆してリライトしてくれたらきっとエグさとエンタメのバランスが取れて星五つくらい。
ラノベでこのエグさをだしたことに斬新さで星四つ。ただしこれを成人向けじゃなく出版している状況はアウトだと思います。すぐにでも別レーベルでレーティングを成人向けに変更するべき。
プロローグでいきなりヒロインが場の雰囲気に流されてAV出演を合意するところとかエグい。そういう女の子に恋愛感情を向けたくないですよね。
ヒロインがAV女優になりたい動機がそれぞれもっと厚みがあったら楽しんで読めたかも?
ストーリー自体は面白いです。別のレーベルでもうちょっとエロい描写を加筆してリライトしてくれたらきっとエグさとエンタメのバランスが取れて星五つくらい。
ラノベでこのエグさをだしたことに斬新さで星四つ。ただしこれを成人向けじゃなく出版している状況はアウトだと思います。すぐにでも別レーベルでレーティングを成人向けに変更するべき。
プロローグでいきなりヒロインが場の雰囲気に流されてAV出演を合意するところとかエグい。そういう女の子に恋愛感情を向けたくないですよね。
ヒロインがAV女優になりたい動機がそれぞれもっと厚みがあったら楽しんで読めたかも?
2019年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
AV製作の専門学校が舞台です。もちろん架空です。描写とか、会話とか、細かいところに神経を使われている印象です。純粋に刺激を求めるなら、そっち系のレーベルがオススメです。本作はあくまで人間模様がメイン。撮影現場に立ち会うシーンとかは楽しく読めました。ただ一点……タイトルからも分かる通り、特に目的意識もない主人公なので、文章の端々に倦怠感のようなものが漂っており、人によっては読むのに疲れると思います。少なくとも爽快感が期待できる話ではないです。AVとAV女優に対するリスペクト精神は良かった。
2016年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
設定はぶっ飛んでいる。
でも、そこでの日々のあれやこれやに主人公が真摯に向き合って何かを得ていくという展開に、いつの間にか設定の特異さを忘れて引き込まれました。
設定が特異なだけに、最後には登場人物のみならず、この世の人全て対して優しくなれるしなやかさと強さが与えられたような気持ちにさせてくれる素敵な本です。
主人公の「僕」という一人称が庄司薫を思い出させる、お薦めの青春物語です。
でも、そこでの日々のあれやこれやに主人公が真摯に向き合って何かを得ていくという展開に、いつの間にか設定の特異さを忘れて引き込まれました。
設定が特異なだけに、最後には登場人物のみならず、この世の人全て対して優しくなれるしなやかさと強さが与えられたような気持ちにさせてくれる素敵な本です。
主人公の「僕」という一人称が庄司薫を思い出させる、お薦めの青春物語です。
2016年10月28日に日本でレビュー済み
もはや世の中にどれほどのアダルトメディアが存在しているのか、
考えるだけで空しくなる様な状況があるにも関わらず、
そして少なくとも日本人の半数は確実にお世話になっている(もしくは「なってきた」)にも拘わらず、
そのアダルトメディアに映し出される女性の存在を「個人」として捉える事はひどく少ない。
「実用」に用いる場合、鑑賞者の側が捉えるのは誰かが構えたレンズの向こう側に存在する
「被写体」としての彼女たちであって、様々な人生を背負った「個人」ではない。
たまに「〇〇さんはAVに出演したことがあるらしい」という噂話を耳にする事があると、
自分の知っている人物とAVという特殊なメディアの中に納められた存在を重ね合わせる事が難しい
不思議な距離感に戸惑いを隠せなくなる人がほとんどであろうかと思われる。
本作は世の中の男性諸氏にとって決して縁遠い存在ではないアダルトメディアの製作を通じて、
この不思議な距離感に戸惑い続ける若人の姿を描いた青春群像劇となっている。
物語の主な舞台は成人映像専門学校、略して「成専」と呼ばれる専門学校。
国内市場が頭打ちとなり海外市場へと目を向けた製作から製造・流通までを一手に引き受ける
日本最大のアダルトビデオメーカー「ホットサン」が次代のアダルトメディア製作者、そして出演者を育てるべく
格安の授業料を売りに立ち上げた育成機関である。
主人公の渡戸愁は懐具合と家庭の事情に端を発した若干特殊な女性観・恋愛観ゆえに成専の門を
叩いた18歳の高校を出たばかりの青年である。
最初に申し上げれば、この主人公、ひどく不安定な人間である。
18歳の、つい最近まで高校に通っていた半分子供みいな人物が安定している筈も無いのだが、
こと他人との距離感という点においては戸惑い続きで読んでいる側が
「この青年はこの後無事に社会を渡っていけるのだろうか?」と不安になるぐらいに悩みっぱなしなのである。
世に溢れているライトノベルにおいては「オタク」「ニート」「引きこもり」とコミュニケーションに難を抱えるタイプに
カテゴライズされる主人公は決して珍しくもないのだが、意外なほどにコミュニケーションという点において
困難に陥る場面が描かれることは多くない。
しかし本作の主人公・愁は常に、特に女性相手に「なんで彼女はこんな事をしているのだろう?」、
「どうして彼女はこんな態度で自分に接するのだろう?」と戸惑い続けるのである。
同時に自分自身に対しても、どこかしら突き放した様な姿勢を撮り続けている所が特徴的でもある。
物語自体は愁の一人称で語られるのだけど、視点そのものは終始どこかしら愁を含めた風景を
一定の距離を置いた点から眺めているような不思議な雰囲気が漂っていた。
要するに愁自身も自分自身が成専というアダルトメディア製作者の育成機関に入学したものの、
自分が何をしたいのか、アダルトメディアというものやアダルトメディアの製作者や出演者と
どう向き合えば良いのかを掴み損ねている様な部分があり、
それ故の愁自身の不安定さに悩み続ける姿こそが本作を通じて作者が描こうとしたものなのかもしれない。
特に上で書いた愁の女性観に関しては大いにブレ続けている。父親の記憶が無く、
母親が常に男を取り換え続け家に様々な男たちが入れ代わり立ち代わり出入りしながら、
男の事で泣き続ける母親の姿を目にし続け、
しかも自分自身はなぜか中高生の間、女生徒から恋愛関係の相談を受け続けた結果
女性の心変わりというものに晒され続け、
大切なものを思う気持ちが簡単に覆る事が自分には理解できないと思うに至り、
決して自分の恋愛には足を踏み入れようとせず
ネット上に無数に存在するアダルトサイトでサムネイル越しに決して心変わりする事のない
「被写体」としての女性を見続ける事を良しとしてきた、
そんな青年が初めてアダルトメディアの出演者や制作者を目指す女性たちに囲まれて
自分自身の女性観のブレに戸惑い続けるのである。
登場人物の多くは愁と同じ成専の学生なのだが、現実に存在する多くの専門学校がそうである様に、
入学から一定の期間を過ぎてしまえば「適当な理由」から入学した半野次馬的な学生がドロップアウトし、
それなりの理由を持って入学した学生のみが真面目に講義に顔を出すようになった時期から物語は始まる。
愁の周りに集う学生の動機や背景もAV制作という場に積極的に足を踏み入れるだけあって
中々に「訳あり」な人物が多い。
一巻から複数の女性が登場する辺りはライトノベルっぽいのだが、
「出演者」希望=未来のAV嬢を目指すヒロインが多くを占める中、
愁にもっとも深く関わる事になるのがアダルトメディアに関わる人間に対する興味から大学を辞めて
ライター修行の為に成専に入った九重と、
ずば抜けたフェロモンをまき散らし、既にAVへの出演歴があると噂されている近八という点もなかなかユニーク。
物語は愁がこの二人のヒロインのほかに、成専に入学することで将来AV嬢が所属する
プロダクションを立ち上げようと出会う女性全員のプロフィールをかき集めようとする悪友・三ツ田や
ジュニアアイドル出身で「自分をどう見せるか」という技術の達人である五十嵐、
「いつでも旅に出られそうだから」という不可解なぐらいに軽い理由でAV嬢への道を選んだ天然キャラの七崎と
その友人で常に行動を共にする二道といった面々とともに講義を受け、課題をこなし、
そして当然の事ながらAV製作の現場へと足を踏み入れる姿が描かれる。
劇中でもっとも愁が自分自身を揺さぶられる事になるのが、このAV収録の現場での経験である。
当然の事ながらAVの製作現場ではこれまで愁がサムネイル越し、あるいはパッケージ越しに選び
モニターを通じて鑑賞してきた「見せるための性行為」がもろに展開されるのである。
エキストラとして立ち会うことになった大物AV監督タダノが仕切る撮影現場で
出演者である紗村朱音が複数の男優から目の前で凌辱される姿を演じる場面は
ライトノベルというカテゴリーを軽々と飛び越えた描写が用いられるのだが、
そのモニター越しではない生々しい姿を目の前に突き付けられて圧倒される愁の戸惑いと、
全てを収録の対象=被写体として捉えて淡々と出演者に指示を出し続ける
タダノの対照的な姿が非常に印象的であった。
この経験を転機に愁が同じ成専で学ぶ女性たちが
いつかはあのカメラの向こう側で性行為を演じる事になるのだと気付かされ、
物語は彼女たちの「内側」へと向かっていくことになる。
課題製作においてライター志望の学生・九重と組んで出演者希望の学生に
AVの世界を目指す理由を探るようなインタビューを繰り返す愁だったが、
返ってくる答えはまさに十人十色で、
あの生々しい世界に女性が飛び込む理由を求め続ける愁の戸惑いは深まり続ける。
課題製作が壁にぶち当たってしまった愁はふとしたきっかけから
AV出演歴があると噂され続けてきた近八と関わる事になるのだけど、
その噂に違わず並外れたフェロモンを放ちながら妙に距離が近い近八を
ポートレートに納めるべく自分の下宿がある中野の町に出た愁は
トラブルで池に落ち、着替えるために自分の部屋に戻る事になるのだが、
部屋の中で妙に下着姿での撮影に誘うなど挑発的な姿勢を取る近八を前に
陥落寸前になった愁が「いつかは被写体として不特定多数の前に性行為を晒す女性と
関係を持つべきなのか」という究極の選択を突き付けられる場面は
モニター越しの存在としての女性と自分の目の前にいる生身の女性との間で揺れ続ける
本作における愁のブレの頂点とでも言うべきシーンであった。
終盤で女性の側から出演者志望の成専の学生に
「なぜ脱げるのか?」を問い続けてきた九重も
愁と交代でコンビを組む事になった五十嵐の「脱げば分かる」という言葉に従って
ギリギリの所まで脱ぐ決意を示すなど、もう一人の「見せる性」の世界に戸惑う存在として
一歩成長した姿を見せるなど物語はまだまだ始まったばかり、という印象を受けた。
プロとしては尊敬するが人間としては全く受け入れられない傲岸不遜なタダノと
自分の類似性を突き付けられた愁がこの先、「見せる性」の世界とどう関わり合い、
自分の女性観を作りあげていくのか関心は尽きない。
AV製作という物語の舞台とその描写、「見せる性」の捉え方というテーマ、
激しくブレ続ける主人公の女性観、と
題材とした全ての要素が既存のライトノベルをひっくり返すレベルの破壊力を持つ恐るべき一冊。
ガガガ文庫というライトノベルの壁を打ち破るために存在し続けるようなレーベルが
更に激しく燃え上がっている事を世に知らしめるような驚天動地の一冊であった。
十年一日なヌルいライトノベルを出して売り上げだけを誇っているような作家や出版関係者に
「お前らはこの作品を前にして、これから何を出すつもりだ」と激しく問いたくなる、
そんな目が覚めるような一冊であった。
ここからはレビューではなくAmazonレビュアーの妄言だから無視して宜しい。
それにしても…この作品、刊行に至るまでの経緯も信じがたい。
2012年の秋に刊行された前作「セックス・バトルロイヤル!」の
あらゆる場で酷評された核地雷レベルの不出来から
「もうこのデビューの経緯がさっぱり分からん正体不明の作家の作家人生は終わったな」と思っていたのに
2014年春に本作の刊行が発表された時には「嘘だろう?」と思わされた。
その年の夏に予定されていた発売が遅れ続け
「そりゃ、あんなどうしようもない作品を出したのに次は無いよな」とお蔵入りと思っていたら
二年半経って本当に刊行された事に仰天。
そしてこの化けっぷり…いったい何がどうなっているんだ?
四年間何の作品も発表せずに一人の作家がここまで化けるという事があり得るのだろうか???
ほとんど別人じゃないか!
無論、編集者がダメを出し続けながら的確かつ熱心な指導を繰り返して成長を促し続けた、と
見るのが本筋なのだろうけど…作家の成長が読者の反応というフィードバックなしに得られるかと
非常に疑問が生じる。
一体どういう形でガガガ文庫はこの作家を育てたのだろう?
一つの推測として「別名義で作品を発表させた」と考えることもできる。
ライトノベルを発表する上で何の意味が、とも思うがゴーストライターを必要とする作品が絶無かといえば、
そうとも言えない。
例えば作者名が芸能人になっている、いわゆるタレント本の類ならどうだろう?
2012年以降、現在に至るまでガガガ文庫で発表されたタレント本…「業界物」っぽい舞台、
未熟さが強調された主人公、一人称なのに妙に突き放したような雰囲気…
一つ思い当たる「中の人」が正体不明の作品があるのだが…どうなんだろうか?
考えるだけで空しくなる様な状況があるにも関わらず、
そして少なくとも日本人の半数は確実にお世話になっている(もしくは「なってきた」)にも拘わらず、
そのアダルトメディアに映し出される女性の存在を「個人」として捉える事はひどく少ない。
「実用」に用いる場合、鑑賞者の側が捉えるのは誰かが構えたレンズの向こう側に存在する
「被写体」としての彼女たちであって、様々な人生を背負った「個人」ではない。
たまに「〇〇さんはAVに出演したことがあるらしい」という噂話を耳にする事があると、
自分の知っている人物とAVという特殊なメディアの中に納められた存在を重ね合わせる事が難しい
不思議な距離感に戸惑いを隠せなくなる人がほとんどであろうかと思われる。
本作は世の中の男性諸氏にとって決して縁遠い存在ではないアダルトメディアの製作を通じて、
この不思議な距離感に戸惑い続ける若人の姿を描いた青春群像劇となっている。
物語の主な舞台は成人映像専門学校、略して「成専」と呼ばれる専門学校。
国内市場が頭打ちとなり海外市場へと目を向けた製作から製造・流通までを一手に引き受ける
日本最大のアダルトビデオメーカー「ホットサン」が次代のアダルトメディア製作者、そして出演者を育てるべく
格安の授業料を売りに立ち上げた育成機関である。
主人公の渡戸愁は懐具合と家庭の事情に端を発した若干特殊な女性観・恋愛観ゆえに成専の門を
叩いた18歳の高校を出たばかりの青年である。
最初に申し上げれば、この主人公、ひどく不安定な人間である。
18歳の、つい最近まで高校に通っていた半分子供みいな人物が安定している筈も無いのだが、
こと他人との距離感という点においては戸惑い続きで読んでいる側が
「この青年はこの後無事に社会を渡っていけるのだろうか?」と不安になるぐらいに悩みっぱなしなのである。
世に溢れているライトノベルにおいては「オタク」「ニート」「引きこもり」とコミュニケーションに難を抱えるタイプに
カテゴライズされる主人公は決して珍しくもないのだが、意外なほどにコミュニケーションという点において
困難に陥る場面が描かれることは多くない。
しかし本作の主人公・愁は常に、特に女性相手に「なんで彼女はこんな事をしているのだろう?」、
「どうして彼女はこんな態度で自分に接するのだろう?」と戸惑い続けるのである。
同時に自分自身に対しても、どこかしら突き放した様な姿勢を撮り続けている所が特徴的でもある。
物語自体は愁の一人称で語られるのだけど、視点そのものは終始どこかしら愁を含めた風景を
一定の距離を置いた点から眺めているような不思議な雰囲気が漂っていた。
要するに愁自身も自分自身が成専というアダルトメディア製作者の育成機関に入学したものの、
自分が何をしたいのか、アダルトメディアというものやアダルトメディアの製作者や出演者と
どう向き合えば良いのかを掴み損ねている様な部分があり、
それ故の愁自身の不安定さに悩み続ける姿こそが本作を通じて作者が描こうとしたものなのかもしれない。
特に上で書いた愁の女性観に関しては大いにブレ続けている。父親の記憶が無く、
母親が常に男を取り換え続け家に様々な男たちが入れ代わり立ち代わり出入りしながら、
男の事で泣き続ける母親の姿を目にし続け、
しかも自分自身はなぜか中高生の間、女生徒から恋愛関係の相談を受け続けた結果
女性の心変わりというものに晒され続け、
大切なものを思う気持ちが簡単に覆る事が自分には理解できないと思うに至り、
決して自分の恋愛には足を踏み入れようとせず
ネット上に無数に存在するアダルトサイトでサムネイル越しに決して心変わりする事のない
「被写体」としての女性を見続ける事を良しとしてきた、
そんな青年が初めてアダルトメディアの出演者や制作者を目指す女性たちに囲まれて
自分自身の女性観のブレに戸惑い続けるのである。
登場人物の多くは愁と同じ成専の学生なのだが、現実に存在する多くの専門学校がそうである様に、
入学から一定の期間を過ぎてしまえば「適当な理由」から入学した半野次馬的な学生がドロップアウトし、
それなりの理由を持って入学した学生のみが真面目に講義に顔を出すようになった時期から物語は始まる。
愁の周りに集う学生の動機や背景もAV制作という場に積極的に足を踏み入れるだけあって
中々に「訳あり」な人物が多い。
一巻から複数の女性が登場する辺りはライトノベルっぽいのだが、
「出演者」希望=未来のAV嬢を目指すヒロインが多くを占める中、
愁にもっとも深く関わる事になるのがアダルトメディアに関わる人間に対する興味から大学を辞めて
ライター修行の為に成専に入った九重と、
ずば抜けたフェロモンをまき散らし、既にAVへの出演歴があると噂されている近八という点もなかなかユニーク。
物語は愁がこの二人のヒロインのほかに、成専に入学することで将来AV嬢が所属する
プロダクションを立ち上げようと出会う女性全員のプロフィールをかき集めようとする悪友・三ツ田や
ジュニアアイドル出身で「自分をどう見せるか」という技術の達人である五十嵐、
「いつでも旅に出られそうだから」という不可解なぐらいに軽い理由でAV嬢への道を選んだ天然キャラの七崎と
その友人で常に行動を共にする二道といった面々とともに講義を受け、課題をこなし、
そして当然の事ながらAV製作の現場へと足を踏み入れる姿が描かれる。
劇中でもっとも愁が自分自身を揺さぶられる事になるのが、このAV収録の現場での経験である。
当然の事ながらAVの製作現場ではこれまで愁がサムネイル越し、あるいはパッケージ越しに選び
モニターを通じて鑑賞してきた「見せるための性行為」がもろに展開されるのである。
エキストラとして立ち会うことになった大物AV監督タダノが仕切る撮影現場で
出演者である紗村朱音が複数の男優から目の前で凌辱される姿を演じる場面は
ライトノベルというカテゴリーを軽々と飛び越えた描写が用いられるのだが、
そのモニター越しではない生々しい姿を目の前に突き付けられて圧倒される愁の戸惑いと、
全てを収録の対象=被写体として捉えて淡々と出演者に指示を出し続ける
タダノの対照的な姿が非常に印象的であった。
この経験を転機に愁が同じ成専で学ぶ女性たちが
いつかはあのカメラの向こう側で性行為を演じる事になるのだと気付かされ、
物語は彼女たちの「内側」へと向かっていくことになる。
課題製作においてライター志望の学生・九重と組んで出演者希望の学生に
AVの世界を目指す理由を探るようなインタビューを繰り返す愁だったが、
返ってくる答えはまさに十人十色で、
あの生々しい世界に女性が飛び込む理由を求め続ける愁の戸惑いは深まり続ける。
課題製作が壁にぶち当たってしまった愁はふとしたきっかけから
AV出演歴があると噂され続けてきた近八と関わる事になるのだけど、
その噂に違わず並外れたフェロモンを放ちながら妙に距離が近い近八を
ポートレートに納めるべく自分の下宿がある中野の町に出た愁は
トラブルで池に落ち、着替えるために自分の部屋に戻る事になるのだが、
部屋の中で妙に下着姿での撮影に誘うなど挑発的な姿勢を取る近八を前に
陥落寸前になった愁が「いつかは被写体として不特定多数の前に性行為を晒す女性と
関係を持つべきなのか」という究極の選択を突き付けられる場面は
モニター越しの存在としての女性と自分の目の前にいる生身の女性との間で揺れ続ける
本作における愁のブレの頂点とでも言うべきシーンであった。
終盤で女性の側から出演者志望の成専の学生に
「なぜ脱げるのか?」を問い続けてきた九重も
愁と交代でコンビを組む事になった五十嵐の「脱げば分かる」という言葉に従って
ギリギリの所まで脱ぐ決意を示すなど、もう一人の「見せる性」の世界に戸惑う存在として
一歩成長した姿を見せるなど物語はまだまだ始まったばかり、という印象を受けた。
プロとしては尊敬するが人間としては全く受け入れられない傲岸不遜なタダノと
自分の類似性を突き付けられた愁がこの先、「見せる性」の世界とどう関わり合い、
自分の女性観を作りあげていくのか関心は尽きない。
AV製作という物語の舞台とその描写、「見せる性」の捉え方というテーマ、
激しくブレ続ける主人公の女性観、と
題材とした全ての要素が既存のライトノベルをひっくり返すレベルの破壊力を持つ恐るべき一冊。
ガガガ文庫というライトノベルの壁を打ち破るために存在し続けるようなレーベルが
更に激しく燃え上がっている事を世に知らしめるような驚天動地の一冊であった。
十年一日なヌルいライトノベルを出して売り上げだけを誇っているような作家や出版関係者に
「お前らはこの作品を前にして、これから何を出すつもりだ」と激しく問いたくなる、
そんな目が覚めるような一冊であった。
ここからはレビューではなくAmazonレビュアーの妄言だから無視して宜しい。
それにしても…この作品、刊行に至るまでの経緯も信じがたい。
2012年の秋に刊行された前作「セックス・バトルロイヤル!」の
あらゆる場で酷評された核地雷レベルの不出来から
「もうこのデビューの経緯がさっぱり分からん正体不明の作家の作家人生は終わったな」と思っていたのに
2014年春に本作の刊行が発表された時には「嘘だろう?」と思わされた。
その年の夏に予定されていた発売が遅れ続け
「そりゃ、あんなどうしようもない作品を出したのに次は無いよな」とお蔵入りと思っていたら
二年半経って本当に刊行された事に仰天。
そしてこの化けっぷり…いったい何がどうなっているんだ?
四年間何の作品も発表せずに一人の作家がここまで化けるという事があり得るのだろうか???
ほとんど別人じゃないか!
無論、編集者がダメを出し続けながら的確かつ熱心な指導を繰り返して成長を促し続けた、と
見るのが本筋なのだろうけど…作家の成長が読者の反応というフィードバックなしに得られるかと
非常に疑問が生じる。
一体どういう形でガガガ文庫はこの作家を育てたのだろう?
一つの推測として「別名義で作品を発表させた」と考えることもできる。
ライトノベルを発表する上で何の意味が、とも思うがゴーストライターを必要とする作品が絶無かといえば、
そうとも言えない。
例えば作者名が芸能人になっている、いわゆるタレント本の類ならどうだろう?
2012年以降、現在に至るまでガガガ文庫で発表されたタレント本…「業界物」っぽい舞台、
未熟さが強調された主人公、一人称なのに妙に突き放したような雰囲気…
一つ思い当たる「中の人」が正体不明の作品があるのだが…どうなんだろうか?
2021年3月29日に日本でレビュー済み
架空のAVスタッフ専門学校を舞台にした群像劇。エロいものを題材にしてますがエロいシーンはありません
狂言回しがAV監督なんだけど、その名前がなんとタダノ、通称TDN。そのタダノが「俺は男には興味がない」と言わせる、このセンスに脱帽
狂言回しがAV監督なんだけど、その名前がなんとタダノ、通称TDN。そのタダノが「俺は男には興味がない」と言わせる、このセンスに脱帽
2017年1月31日に日本でレビュー済み
まずAV専門学校に通う主人公という設定の時点で常軌を逸しています。
およそラノベレーベルとしてグレー(というかブラックなのでは)と思わざるを得ない過激な性描写。
素人であるヒロインにAV出演を強要するシーンから始まる冒頭。
そして五人の内、四人がAV女優志望というある意味破滅的なヒロインズ。
単にエロで釣るだけに留まらない生々しいAV業界の実状。
これホントにガガガ文庫から出していいの?なんて疑念はあるが、読み終わった後はそんなこともどうでも良くなった。
とにかく主人公とヒロインズの行く末を見守りたい。ハッピーエンドだろうが血を吐くバッドエンドだろうが、とにかく続きを読ませて欲しい。
そう心から切実に思える一冊でした。
およそラノベレーベルとしてグレー(というかブラックなのでは)と思わざるを得ない過激な性描写。
素人であるヒロインにAV出演を強要するシーンから始まる冒頭。
そして五人の内、四人がAV女優志望というある意味破滅的なヒロインズ。
単にエロで釣るだけに留まらない生々しいAV業界の実状。
これホントにガガガ文庫から出していいの?なんて疑念はあるが、読み終わった後はそんなこともどうでも良くなった。
とにかく主人公とヒロインズの行く末を見守りたい。ハッピーエンドだろうが血を吐くバッドエンドだろうが、とにかく続きを読ませて欲しい。
そう心から切実に思える一冊でした。
2016年10月25日に日本でレビュー済み
アダルトコンテンツ専門学校での青春です。
なのでAV女優志望がいたり、過去にAVに出てた人がいたりします。"もし好きな人が女優志望だったら"という複雑な心境などを18歳という大人になりきれない年齢で描いています。
個人的には生々しくてえぐいところも多いと思いましたが、それでも最後まで読んで良い青春小説としてまとまってると思いました。
続きが気になるので是非続きを書いてもらいたいです。
なのでAV女優志望がいたり、過去にAVに出てた人がいたりします。"もし好きな人が女優志望だったら"という複雑な心境などを18歳という大人になりきれない年齢で描いています。
個人的には生々しくてえぐいところも多いと思いましたが、それでも最後まで読んで良い青春小説としてまとまってると思いました。
続きが気になるので是非続きを書いてもらいたいです。