本作品は不登校についての純粋なドキュメンタリーと、ドキュメンタリータッチ的ドラマ。二つの手法をあわせた作品だと言える。
ストリーとしては、不登校のフリースペースを中心にドラマは始まる。そこを利用する子どもと、居場所を運営する主人公をテーマにストーリは進行する。
それらのドラマや実際の事例をもとに、精神科医や教育行政職員など専門家のコメントが合間合間に挟まれていくという形式の作品だ。今見ても、通用する普遍性のある部分も多いと思う。また、不登校に対する意見をバランスよくまとめた作品ではないかなと思う。
ただ、不登校当事者にとっては、作品としてバランスよく意見を集めたため、ある点では当事者に厳しいと思われる意見もある。強いトラウマを持ったものが見るとしたら、厳しい面があるかもしれない。また、学校の教員にとっても指摘は厳しい部分があるとも言える。もちろん現在もドラマに書かれたような教員は複数存在する。しかしその数は15年前よりも減ったのではないかなと思う。
また、教員から見た不登校という観点では掘り下げが弱いとも思われる。現在ではSSWの存在や子どもオンブスの地方自治体での増加、小杉町にあったような、子どもの権利条例を持つ自治体の増加、いじめ防止対策推進法の制定など、過去とは違う面もある。また大検という制度のように、高卒認定に変化したものもある。その点は、作品の補足として入れても良かったのではないか。その部分を考慮し、星3つとした。
しかしながら、現在も不登校はほぼ、ドラマで述べられているような変わらない問題が、実際あり、私も今現在、耳にする。また作中に示される対処、も現在に通用する一つのテーゼとなるのではないだろうか。