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Newton(ニュートン) 2017年 05 月号 [雑誌] 雑誌 – 2017/3/25

4.8 5つ星のうち4.8 9個の評価

相対論の再入門 呼吸 石炭と炭素 侵食が生む地形
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商品の説明

この雑誌について

科学の話題を面白くビジュアルに紹介

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B01N14O54Z
  • 出版社 ‏ : ‎ ニュートン・プレス; 月刊版 (2017/3/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2017/3/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本

2018年9月8日に日本でレビュー済み
 Newton 先々月号はアルツハイマーについて、Newton先月号は、がん幹細胞について解説されていました。それで少し考えてみました。 
 がんの治療は、今はがん細胞を切り取る手術が主流ですが、近い将来は、飲み薬や注射など、手術以外の治療も主流になるかもしれません。 FLASH(2017/4.25号)や文藝春秋(2017/5月号)や過去のTV番組などをもとに少し調べてみました。
 FLASH最新号の辛坊治郎著『平均寿命の延びは再加速し、やがて100歳に近づく 不老不死の島「ニッポン」の医療最前線―[前編]画期的な抗がん剤登場 ガンで死なない時代が10年以内にやってくる』は、オプジーボなどのチェックポイント阻害剤(薬)の話です。
 今までの抗がん剤は、「延命効果があったらラッキー」って面もありました。抗がん剤でがん細胞を小さくしてから手術する、なども一般的ですし、有効性ももちろん言われていますが、「がん治療にはさまざまなケースがありますね。それからがんは苦しむというイメージがある。  基本的には、がんという病気は、適切な治療を行えば、最後まで普通の生活ができ、案外苦しまないものです。とくに高齢者で、積極的な治療をしないような場合はとりわけそうです。逆に、若いがん患者さんで、どんどん治療をする場合、ある薬が最初は効いていても、どこかで効かなくなる。次の薬しかない。そうやってA、B、Cという抗がん剤を次々に使っていく。これを繰り返していくと、薬に強いがん細胞が生き残っていくので、次第にがんの攻撃性が上がってきます。たくさん治療をした人のほうが、最後はつらい症状に苦しむことが多いように思います。」
 佐藤健太郎著『医薬品とノーベル賞』によると。昔は感染症などでの死亡が多く寿命が今よりずっと短く、そのためかがんの発症例も少なく、がんの原因などに謎が多かった。それゆえ、“がんに対する医療”の登場もかなり最近になってからです。今現在は、がんの三大療法と呼ばれているのは、外科手術・放射線療法・化学療法です。そのうち化学治療というと抗がん剤の投与を指します。
〈そのきっかけとなったのは、なんと化学兵器として用いられた毒ガスでした。 人工的に化学合成された毒ガスが、初めて用いられたのは第一次世界大戦のさなかでした。ドイツの化学者フリッツ・ハーバーが開発した各種の毒ガスは、ヨーロッパ戦線で猛威を振るい、多くの兵士の命を奪いました。そうした毒ガスのひとつが、マスタードガスと呼ばれるものです。1943年、このマスタードガスを積んだ船が空襲を受けて爆発し、兵士・一般市民を含めて1000人近い犠牲者を出す事件がありました。この被害者たちは、みな白血球が大幅に減少していることが判明します。マスタードガスは、白血球を作り出す骨髄細胞を破壊し、機能を失わせていたのです。 この結果に興味を持ったのが、イェール大学のルイス・グッドマンとアルフレッド・ギルマンという、2人の科学者でした。彼らは、このマスタードガスを薄めてうまく使えば、白血球が増えすぎる病気―すなわち白血病の治療に使えるのではと考えたのです。 彼らは、マスタードガスの親類筋に当たる「ナイトロジェンマスタード」という化合物を、悪性リンパ腫の患者に微量投与したところ、がん細胞が2週間で消滅することを認めました。残念ながらこの後でがんは再発し、患者は亡くなりましたが、これががんの化学療法の第一歩となりました。現在でも、ナイトロジェンマスタードを改良したシクロホスファミド、メルファランなどの抗がん剤が、臨床の現場で使用されています。〉
 〈広く用いられる抗がん剤のひとつに白金錯体、すなわちプラチナの化合物があります。指輪などに用いられるプラチナが抗がん剤になるとは意外ですが、その作用は偶然に見つかったものです。……こうした化合物がなぜ効果を表すのか?実は、ナイトロジェンマスタードや白金錯体は、DNAと結合しやすい性質を持ちます。これら薬剤はがん細胞のDNAにへばりつき、正常な複製を行なわせないことで増殖を妨害するのです。また、がん細胞に異常を引き起こさせることでアポトーシスを誘導し、「自爆」に導くケースもあります。 ちょっと待て―と言われる方もいるかもしれません。さっき、DNAに結合して正常な複製を妨げる物質は、発がん作用があると言ったではないか―と。その通りで、抗がん剤であるシクロホスファミドは、国際がん研究機関(IARC)の作成している発がん物質リストの、最高ランクであるグループ1に収載されています。同じ物質が、使用量及び使用対象の違いによって、発がん物質にもなり、抗がん剤にもなりうるのです。このあたりが、人の体と化学物質の関わりの難しさです。〉
 この本『医薬品とノーベル賞』には、いろいろな抗がん剤の発見の経緯などが紹介されています。しかしまた「抗がん剤の副作用」についてはこう書かれています。〈抗がん剤といえば、激しい副作用を伴うというイメージが強いことでしょう。先に列挙した抗がん剤は、メカニズムはいろいろですが、要するに細胞の増殖を邪魔する化合物たちです。しかしこれら抗がん剤は、がん細胞だけを選んで攻撃してくれるわけではなく、全身の正常細胞にも影響が及んでしまいます。特に、毛根や腸は細胞分裂が活発に起こっている場所ですので、抗がん剤によって強くダメージを受けてしまい、脱毛や下痢につながってしまうのです。がん細胞だけに抗がん剤を運び込むような仕組みができればよいのですが、これはなかなかうまくいっておらず、どうしても無差別攻撃にならざるを得ません。 いってみれば、これらの抗がん剤は「細胞に対する毒」を薬として使っているわけで、体へのダメージを覚悟した上で使用しなければなりません。しかも、苦しい副作用に耐えて治癒(ちゆ)するならまだしも、これら抗がん剤はよくていくらかの延命をもたらすだけ、というケースが実際のところです。がん細胞と正常細胞の区別がどうしてもつけられないことが、がん化学治療法の泣き所でした。〉〈また実際、がん細胞に対して抗がん剤を投与していると、徐々に効き目が悪くなってきます。がん細胞が増殖する中で変異を起こし、たまたま抗がん剤の攻撃をかわすような性質を持ったものが増殖し、生き延びてしまうのです。これは、環境の変化に生物が適応して進化するのによく似ています。〉
 「しかし、延命効果があることが証明されているから健康保険が使えるんだ。個人差はもちろんあるが、一般論として抗がん剤を使ったほうが長生きできる」(FLASH)
 FLASH最新号の記事では、画期的な抗がん剤である、オプジーボなどの免疫療法を説明しています。
 〈ところが近年、この抗がん剤に画期的な製品が現われはじめたんです。それは、直接ガン細胞を攻撃するんじゃなくて、体内のガン細胞を攻撃する免疫細胞を助ける薬です。 免疫機能の攻撃を逃れて成長を始めたガン細胞は、免疫システムからの攻撃を防御するバリアを自分で作るんです。検査で発見できる大きさに成長したガンには、免疫に対するバリアが備わっていますから、たんに免疫力を高めただけでは寛解(かんかい)は望めません。(寛解とは、全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること。) 過去さまざまな「免疫療法」が試されてきましたが、「確実に効く」って話をあんまり聞きません。確実に効くのなら、とっくの昔に健康保険の適用治療になっているはずですが、多くの免疫療法は保険外治療です。つまりこの治療方法はあくまでも、「効いたら超ラッキー」ってレベルなんです。  ところが、京都大学医学部の本庶佑(ほんじょたすく)博士の研究をもとに、近年画期的な薬が開発されました。この薬は簡単にいうと、ガン細胞が作り出すバリアの効果を奪うんです。この薬が効くと、ガン細胞は丸裸になって、免疫からの攻撃を防げなくなるんです。 ガン細胞は、人間の免疫システムからみると「異物」です。体内に細菌やウイルスが侵入しても、ほとんどの場合、免疫システムが破壊してくれます。ガンもバリアさえ取り除けば、「異物」として免疫機能が「処分」してくれるんです。この薬は遺伝子などの型によって、効く人とまったく効かない人がいますが、効果がある人の場合、患者本人が持っている免疫機能によって、手術や放射線治療ができないほど全身に散らばったガンですら、ほぼ完全に消し去ることができます。 今のところ、この画期的な抗ガン剤は残念ながら、劇的に効く人とまったく効かない人がいるようですが、ガンが持つバリアを壊して、人間が本来持っている免疫機能でガンを退治する仕組みが明らかになってきましたし、今後続々と、この系統の新薬が臨床現場に投入されるのは確実です。既存の薬と「相性」が悪い患者さんにも光が見えはじめました。〉

 また、がん幹細胞をねらった抗がん剤も研究・開発されつつあるようです。
 文藝春秋最新号の立花隆、金井好克(かないよしかつ)、緑慎也著『大特集 食と薬の常識が変わった 糖尿病とがん 「新薬」の破壊力 尿で糖を排出し、がん細胞の栄養を遮断するトランスポーター標的薬の新たな可能性』には、糖尿病の治療に画期的なトランスポーター治療薬の説明が載っています。
 〈そもそも血液中に糖が多いと、どういう問題が起きるのでしょうか。 糖は非常に反応性が高いので、いろんなタンパク質に結合して、血管などの老化を早めます。〉
 〈生命はさまざまな物質を体内に取り込んで蓄積したり、不要になると排出したりして、恒常性を維持しています。その物質を細胞の中に取り込む仕組みの一つに、トランスポーター(輸送体)というタンパク質があります。私が発見したのは「SGLT2」というトランスポーターです。 SGLT2は、グルコース(ブドウ糖)とナトリウムを取り込むトランスポーターです。細胞の外にあるグルコースとナトリウムが一緒にSGLT2に結びつくと、回転ドアがクルッと回るように向きを変えて、細胞内にグルコースを運び入れます。 腎臓では、毛細血管が球状の塊になった糸球体という組織で、血液が濾(こ)されて尿の元になる原尿が作られています。原尿には老廃物のほかに、糖などの栄養分も含まれます。これを糸球体から一番近い場所にある近位尿細管で再吸収して体内に戻すのがSGLT2の役割です。SGLT2は、腎臓の近位尿細管にしか存在しません。 健康であれば、糖分はSGLT2でほとんど再吸収されて、尿に糖が混じることはありません。しかし、糖尿病などで高血糖状態だと、SGLT2が糖を再吸収しきれず、尿糖(糖の混じった尿)が排泄されます。そこで、SGLT2の働きを邪魔して糖を再吸収できなくすれば、尿糖がどんどん出て、血糖値も下がるというわけです。このタイプの薬は「SGLT2阻害薬」と呼ばれています。〉

 がんの治療に対しても、トランスポーター標的薬の研究が発表されています。LAT1という、アミノ酸を細胞に取り込むトランスポーターですが、がん細胞にしかないトランスポーターで、しかもほんとんどすべてのがん細胞にあります。LAT1が取り込む多くのアミノ酸は必須アミノ酸です。つまり、生体が自分で作ることができない、食べ物で補給するしかないアミノ酸です。LAT1の機能を阻害すれば、がん細胞はアミノ酸を取り込めず、成長できなくなります。 (アミノ酸を取り込むLAT1をブロックするなんて、まるで兵糧攻めですね。)
 がんを兵糧攻めして攻撃しようという発想は、以前からあります。がんの血管新生のシステムをストップさせる、血管新生阻害因子がいろいろ作られましたが、がんが作る血管を止めようとしても、結局は他の正常な組織にもダメージを与えてしまい、なかなかうまくいかなかった。 本当にがん細胞だけに作用するのなら素晴らしい。  またオプジーボは抗体医薬と呼ばれるもので、作るのにどうしても費用がかかりますが、開発中のLAT1阻害薬は、低分子化合物ですので、あれほど高額になることはありません。

 また、がんの粒子線治療にも応用できます。LAT1の働きを邪魔できるのであれば、逆にLAT1の機能を利用して、抗がん剤を送りこむことも、とてもいい考えです。すでにホウ素中性子捕捉療法と呼ばれる放射線療法の一種で、LAT1は利用されています。LAT1を通してがん細胞にホウ素化合物を送りこみ、中性子を当て、がん細胞だけを破壊するもので、進行がんに対して効果の高い治療法です。  中性子を作るのは原子炉からなんですが、2011年の福島第一原発の事故以来、全国の原子炉がストップしたので、今では、加速器で中性子を作るタイプの装置が開発されています。

 かなり前なのですが、2013年9月19日にクローズアップ現代で、「がん“根治”の時代は来るか ~“がん幹細胞”研究最前線~」を放映していました。
 慶應大学の佐谷秀行教授が注目したのは、がん幹細胞の表面にある特殊なポンプです。
 がん幹細胞は、このポンプで栄養を吸い込んで、外部からのストレスに対抗する力を身につけています。佐谷さんは、このポンプの入り口にふたをしてしまえば、がん幹細胞を弱体化できるのではないかと考えました。そして海外の論文を調べ、ポンプのふたになる物質を探したところ、リウマチの薬にその効果があることが分かったのです。 佐谷さんはマウスにこの薬を投与しました。投与から4週間後、がん幹細胞がほとんどが消えていました。「このマウスの実験では、私たちが想像した以上に、がん幹細胞を抑制する作用があったようです。」実際の患者で、その安全性と効果を確かめる臨床研究がスタートしています。 参加したのは、現在の治療法では効果が期待できなくなった、胃がんの患者です。のんでいるのはリウマチの治療で、すでに使われている薬です。

 また、「がん幹細胞に“弱点”を作れ」と言うのは、九州大学生体防御医学研究所中山敬一教授です。 がん幹細胞の分裂のスピードを変えることで、抗がん剤が効くようにできないか研究を進めています。がん細胞は分裂するときに、DNAの二重らせんがほどけ、不安定になります。 抗がん剤は、その瞬間を狙い撃ちします。がん細胞は頻繁に分裂するため、抗がん剤がよく効きます。一方で、がん幹細胞は、分裂の頻度が非常に低いため、抗がん剤が効きにくいのです。ここにヒントがありました。 「分裂さえ始めれば抗がん剤が効いてくれるので、それによってがん幹細胞も全部死ぬというふうに考えたんです。」中山さんはもともとがんの研究者ではなく、細胞分裂の仕組みを研究していました。そのとき発見したのが、細胞の分裂を抑制する、Fbxw7という遺伝子です。がん幹細胞を調べると、この遺伝子が活発に働き、分裂を抑えていることが分かりました。この遺伝子の働きを弱めることができれば、分裂しやすくなり、抗がん剤がよく効くようになるのではないか。 中山さんは白血病のマウスで実験しました。 抗がん剤を投与しただけのマウスは、ほぼ100%、白血病を再発しました。 一方、遺伝子の働きを弱めて、がん幹細胞を分裂しやすくしたマウスは、再発率が20%と、5分の1にまで減らすことができたのです。 「私たちのこの方法は、がん幹細胞を殺す方法なので、転移も再発も防げると考えられますし、希望を与えるような方法になると思います。」

 がん幹細胞の特徴ですけれども、今お伝えしたように、がん細胞を作る、あるいは抗がん剤が効きにくいということのほかに、分裂が遅い、そして、いつ活動を始めるか分からない、こういった特徴もあるんです。 抗がん剤が効きにくい、これは確かに非常に重要な性質なんですけど、その原因の1つとして、がんの幹細胞の分裂が遅いことがあります。これまでの抗がん剤は分裂が活発な細胞に対して効く、そういうことを目標に作られてきましたので、そういう意味からは、分裂が遅い、このがんの幹細胞には、従来の薬は効きにくいと思うんですね。 (どれくらい遅いんですか?) それは、なかなか数字としては表しにくいんですけど、イメージとしては、ふだんはじっとしていると。それがあるときに分裂をして、がん細胞を作っていく、そのタイミングその時期、なかなか予測難しいと思うんですけれども、基本的には非常にじっとしているというイメージだと思います。

 まさに、そのがんの幹細胞の性質を明らかにする研究は、もう世界中で展開されているわけですけれども、そういうことが分かってきて、やはり効果的にがんの幹細胞を攻撃するには、その性質をよく知る必要があると。そういった意味では少しずつ、まだ難敵ではありますけれども、答えが見いだせつつあると。そういう1つの例として、今の事例が示されていましたけど、これからもやはり、その性質を明らかにすることによって、より効果的に効率よくがん幹細胞を攻撃する、それが世界中で展開されていると、そういうふうに思いますね。
 (がん幹細胞特有の遺伝子などが見つかった場合、その遺伝子を攻撃するような化合物か何かをまた見つけていくということになる?)
 そうですね。がんの幹細胞の性質をやはり解明するには、それを手に取って、増やして調べる必要があります。 例えば、シャーレの中で増やしていく方法も1つですし、今説明があったように、動物のモデルを使って、そこでは、がんの幹細胞の性質を決めているような遺伝子を操作することによって、それを検証するわけですね。
 そういうモデルができれば、そういうモデルを使うことによって、非常に、より効果的な治療薬の開発、そういうものができる、そういう材料、ツールはできたというふうに思います。

 これまで、がんの治療と言うと“標準治療”があり、これは外科手術、放射線療法、化学療法の“がんの三大療法”によるものでした。しかし、いずれの方法も副作用も大きく、正常の細胞も傷付けるものでした。 しかし、かなり怖かった今までの治療法が見直されつつあります。今までの“標準治療”である“がんの三大療法”が、大きく見直されつつあるのです。 ガンは手術で切り取るだけではなく、抗がん剤の飲み薬・注射薬や粒子線治療で切らずに治すのも、普通の治療法になりつつあります。今回、がん幹細胞を直接狙った、新しいタイプの治療法の研究状況については詳しくは調べていません。しかし、今後のがん治療は、外科手術による治療だけでなく、(1)オプジーボなどの免疫療法、(2)がん幹細胞を直接ねらった、新しい発想の抗がん剤、または(3)効果の高い副作用の少ない粒子線療法、も主流になっていきそうです。
 
・〈オプジーボなどのチェックポイント阻害剤は、効くがんと効かないがんがある中、本当に効く人をどう選び、副作用が出ないように投与していくか、課題は多い?そこでまさしく、今後われわれがやっていかないといけない研究で、効く患者さんというのはやはり遺伝子変異が多い患者さんだろう、これを遺伝子解析という方法で見つける。あるいは、このPD-1という分子にブレーキをかけている、その腕である「PD-L1」という分子がたくさん出ているものほどブレーキが強くかかっているので、そのような患者さんにやはり効きやすいんじゃないかと、このような研究を介して、どのような患者さんに効くかということに研究が進んでいる。
 また10人に1人程度、非常に重篤な副作用が起こりますので、やはりそのような患者さんを同定するための研究というものがされております。〉(クローズアップ現代、2015年10月27日放映『がん治療が変わる ~日本発の新・免疫療法~』
・〈胎児の細胞にはLAT1がありますが、LAT1は、生まれてくるまでには成人タイプと入れ替わります。ところが、成人でも細胞ががん化すると、再びLAT1が現れるのです。 胎児やがんの細胞でLAT1が現れるわけですが、成人にも、ごくわずかな間だけLAT1が出てくる細胞がある可能性もあり、そういうところに薬がどう作用するか、注意深く見ながら開発していかなければならない。〉(文藝春秋)
・先々月号のNewtonの特集はアルツハイマーでした。認知症をきちんと治す薬も認知症を予防する薬も現在はまだ開発されてはいないですが、認知症の治療薬や認知症の予防薬が切望されています。
・東田勉著『親の介護をする前に読む本』の第8章は、「医師は教えてくれない認知症医療の「真実」 病院選びを間違うと廃人に!」です。
 〈認知症を引き起こす原因疾患は70以上あると言われますが、これらを正確に鑑別することはかなり困難です。最大の要因は加齢なので、老いてきた人の脳にはさまざまな病気が合併していると考えなければならず、それを薬物で「治そう」とするのには無理があります。実際、私が見聞きした範囲では、多くの医師が認知症をこじらせていますし、神経内科や精神科を転々としたお年寄りはろくな目に遭っていません。〉〈講演や本で「認知症は、抗認知症薬(とその増量規定)でつくられた側面がある」と語る長尾医師ですが、「認知症はない」と言っているわけではありません。65歳未満で発症する若年認知症は明らかな脳の病気として存在します。問題は、75歳以上の後期高齢者になってから発症する認知機能の低下まで病気と考え、薬物治療を行うべきかどうかです。 かつて、医師も痴呆症という病名を使っていた時代に戻って考えてみましょう。当時は、多くの老人性痴呆症の人とわずかなアルツハイマー病の人に分かれていました。65歳未満の中年から初老期に発症した痴呆症はアルツハイマー病でしたが、65歳以上になるとそんな病名はつけませんでした。 わが国では1990年代中頃から65歳以上の老人性痴呆症もアルツハイマー病と同じだという意見が出始め、認知症という病名ができてからは年齢に関係なくアルツハイマー型認知症になりました。ここに、重大な過ちがあった気がしてなりません。 かつての医師は、治療法の存在しない老人性痴呆症には匙を投げていたのです。ところが1999年以降、抗認知症薬を用いた保険診療が認められるようになり、かつて老人性痴呆症の診断名がついていたお年寄りにも薬物治療を行う道がひらけました。 治療には年齢の制限がないため、かなりの高齢者にも規定量の抗認知症薬が処方されるようになりました。抗認知症薬のアリセプト、リバスチグミン、レミニールは興奮系の薬です。これらを処方されると陽性の行動・心理症状(興奮、暴言、暴力、徘徊、不眠、昼夜逆転、妄想、幻覚、介護抵抗など)がひどくなることがあり、それらを抑えるために向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など)が処方されます。するとお年寄りは、取り返しのつかないダメージを受けるのです。 抗認知症薬には、「根治させる効果はなく、わずかに進行を遅らせる程度の限定された効果」しかありません。一方で抗認知症薬にはさまざまな副作用があり、進行抑止効果以上の有害事象のほうが目立ちます。もちろん、アリセプトなどが有効に作用しているお年寄りもいるので、ことはそう単純ではないのですが…。 お年寄りへの行きすぎた薬物療法は、何とかして昔の状態に戻せないものかと思います。〉
・うつ病患者への多量投薬、抗がん剤の多量投薬、認知症患者への多量投薬、などが疑問視問題視されています。アルツハイマーは老化現象でもあるので、抗認知症薬や抗精神病薬やパーキンソン病の薬や抗うつ薬など、“認知症は脳の病気だから、脳に作用する薬で治そう”と考えることが、根本的な危険を孕(はら)んでいる。老人の脳はもろい面があり、多量の投薬で脳がダメージを受け、廃人化していく恐れがあります。
・「今後期待されるのは、やはり認知症の治療薬でしょう。すでにいくつかのアルツハイマー病などを対象とする薬は出ていますが、いずれも進行を遅らせる程度で、完治にはほど遠いのが現状です。たとえばアルツハイマー病治療薬として初めて世に出た塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)は、服用を始めて1~2年は症状の進行を遅らせるものの、3年目以降はほとんど効果がなくなるといわれます。その他にもいくつか治療薬は発売されていますが、いずれも脳に働きかけて記憶力を賦活する(活力を与える)ことを目指した薬であり、根本的な治療を望めるものではありません。 アルツハイマー病患者の脳にはアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が蓄積していることがわかっています。このアミロイドベータが脳細胞を破壊しているのでは、というのがアミロイド仮説です。そこで、このアミロイドベータを作らせない薬や、これに結合して蓄積を防ぐ抗体などが試されましたが、今のところうまくいっていません。他の仮説に基づく医薬も開発され、臨床試験が進められていますが、なかなか画期的なものは見えてきていない状況です。 脳の薬はさまざまな面で研究が難しく、まして原因すらもよくわかっていない疾患が相手ですから、治療薬開発も手探りにならざるを得ません。認知症の治療薬は、創薬研究者にとって究極の挑戦といってもよいでしょう。」(『医薬品とノーベル賞』2016年9月10日発行)
・認知症と同様に、がんも老化現象でもあります。がんの新しい画期的な治療法でも、思わぬ予想外想定外の副作用が心配でもあります。自然の摂理をどういう風に受け入れるか。薬で治したいと思うのは、やまやまですが、認知症もがんも老化現象の一つである面も考えなくてはいけないようです。人はいつかは必ず死を迎えるのが必然です。
・また、2016年11月20日放映のNHKスペシャル『“がん治療革命”が始まった
~プレシジョン・メディシンの衝撃~』では、がん細胞がもつ遺伝子変異を詳細に解析し、効果が期待できる薬を選び出して投与する、プレシジョン・メディシンを紹介していました。
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2017年4月16日に日本でレビュー済み
Newton、普通に雑誌と同じものを電子版で出せばそこそこ収益は回復するのではないの?
雑誌版、科学もブームで経済成長期と違って高い感はんぱないんだよ(当時でも800円くらいだったっけ?)。
高くて売れない、売れないから値段上げるしかない、悪循環のような。
元々の電子版(Kindleも含めて)は雑誌とリンクせず独自進行。どちらも内容がどうこうでなくて何か違う感。
雑誌読み放題すらあるこの時代に何故独自すぎる?

見開きのビジュアル雑誌だからスマホでは確かに魅力半減以下。KindleをPCで見る人もあまりいないだろう。
でも新しい原稿とか取材とか要らないんだから、出しときゃいいんじゃない?
毎号完全紙面再現版800円台、やや記事削除ありなら650円とかなら俺いつも買うよ!!
基本好きだし。
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2020年8月27日に日本でレビュー済み
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ニュートンに文句があろう筈もない!!