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世にも奇妙な人体実験の歴史 (文春文庫) Kindle版

4.4 5つ星のうち4.4 245個の評価

マッドサイエンティストの世界へ、ようこそ
性病、コレラ、放射線、毒ガス……。人類の危機を救った偉大な科学者たちは、己の身を犠牲にして、果敢すぎる人体実験に挑んでいた!

自身も科学者である著者は、自らの理論を信じて自分の肉体で危険な実験を行い、今日の安全な医療や便利な乗り物の礎を築いた科学者たちのエピソードを、ユーモアたっぷりに紹介します。
解剖学の祖である十八世紀の医師ジョン・ハンターは、淋病患者の膿を自分の性器に塗りつけて淋病と梅毒の感染経路を検証しました。十九世紀の医師ウィリアム・マレルは、ニトログリセリンを舐めて昏倒しそうになりますが、血管拡張剤に似た効果があると直感。自己投与を続けて、狭心症の治療薬として確立するもとになりました。二十世紀、ジャック・ホールデンは潜水方法を確立するために自ら加圧室で急激な加圧・減圧の実験を繰り返し、鼓膜は破れ、歯の詰め物が爆発したといいます。
その他にも放射能、麻酔薬、コレラ、ペストなどの危険性の解明に、自らの肉体で挑んだマッド・サイエンティストたちの奇想天外な物語が満載。その勇気と無茶さに抱腹絶倒するうち、彼らの真の科学精神に目を開かされる好著です。

解説・仲野徹
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

性病、コレラ、寄生虫……人類の危機を救った偉大な科学者たちは、己の身を犠牲にして、果敢すぎる人体実験に挑んでいた!
自身も科学者である著者は、自らの理論を信じて自分の肉体で危険な実験を行い、今日の安全な医療や便利な乗り物の礎を築いた科学者たちのエピソードを、ユーモアたっぷりに紹介します。
解剖学の祖である十八世紀の医師ジョン・ハンターは、淋病患者の膿を自分の性器に塗りつけて淋病と梅毒の感染経路を検証しました。十九世紀の医師ウィリアム・マレルは、ニトログリセリンを舐めて昏倒しそうになりますが、血管拡張剤に似た効果があると直感。自己投与を続けて、狭心症の治療薬として確立するもとになりました。二十世紀、ジャック・ホールデンは潜水方法を確立するために自ら加圧室で急激な加圧・減圧の実験を繰り返し、鼓膜は破れ、歯の詰め物が爆発したといいます。
その他にも放射能、麻酔薬、コレラ、ペストなどの危険性の解明に、自らの肉体で挑んだマッド・サイエンティストたちの奇想天外な物語が満載。その勇気と無茶さに抱腹絶倒するうち、彼らの真の科学精神に目を開かされる好著です。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B01N3OUHLP
  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2016/11/10)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/11/10
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 2177 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで
  • 本の長さ ‏ : ‎ 417ページ
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 245個の評価

著者について

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トレヴァー・ノートン
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多分、こういう人たちの献身的な人体実験が今の医学、常識の礎となっている。
感謝しなくてはと思いつつこういう時代に生まれなくて本当によかった。
2023年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちょっと気持ち悪い内容もありますが、科学者さんが体を張って自ら実験したり、凄いなと思います。
2024年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白く読ませていただきました。本当にありがとうございました。
2016年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「面白い本」というものは世に山ほどありますが、実際に「ぶふっ」と吹き出してしまうほど笑える本、しかもそれが基本的には(過激とは言え)マジメな
本だとしたら、そのような本はこの世に何冊あるのでしょうか。本書はそんな数少ない、マジメ(で過激)な本のくせに、「ぷっ、ぷーっ!」と何度も
吹き出してしまったほど笑ってしまった物凄い本です。

そのタイトルにあるように、本書は「奇妙な人体実験の歴史」の本なのですが、まず一読して感じたことは、本書に登場する学者は二つの種類に
分けられるということです(後述する各章の感想を見ればわかりますが、本書に登場するのは学者先生ばかりではないのですが)。
すなわち、あらゆる意味で危険な実験を崇高な理念でもって自らに課する科学者の鑑と、自分可愛さのあまり、躊躇なく他人に危険な実験を
試すことのできる死神博士のような科学者の二種類です。

本書にはとにかく、常識の範疇を超えたワケのわからない実験が山のように登場し、それらがあるものは我が身に、あるものは他人に試されます。
その結果、ある者は栄冠を掴み、ある者は身に破滅を呼び込み、ついでに読み手のこちらは、笑うやら怒るやら泣けてくるわと大忙しの内容です。
加えて本書では、必要に応じてその章の中で取り上げた問題が現代に繋がる場合には、その後現代においてどうなったかまでを解説してくれるので、
とても親切。

以下に各章の感想を少し。購入の参考になれば(なお、各章タイトルの隣の☆については後述。評価の☆ではない)。

   第1章 淋病と梅毒の両方にかかってしまった医師(性病)

ジョン・ハンターという「初歩的な教育しか受けていなかった」くせに、「外科を商売から科学へと変えた」男の物語。「解剖は外科医学の基礎です。
これが頭に知識を与え、手に技術を覚えさせ、外科医に必要なある種の残酷さに心を慣れさせるのです」と語るハンターと、彼が率いる医学校のために
大量の遺体が必要となり、巻き起こる大騒動。さらに、「一人の患者が同時に淋病と梅毒に罹患することはない。よって、淋病と梅毒とは単に進行段階が
異なるだけで同一疾患であるに違いない」という仮説を証明するために、自身のオチンチンに傷をつけて、淋病患者の膿みをそこに塗りつけるハンター。
1972年に全米で暴露された、アメリカが40年にわたって極秘に行っていた梅毒研究プロジェクトの顛末も紹介されていて、ハンターが見た地獄とともに
第1章からアクセル全開。

   第2章 実験だけのつもりが中毒患者に(麻酔) ☆

ジョン・ハンターの兄であるウィリアム曰く、かつて外科医は「刃物で武装した野蛮人」だったらしく、それほどまでに麻酔がない時代の外科手術は
ホラー映画を歯牙にも掛けぬほどの凄惨な現場だったらしく、本書の著者であるトレヴァー・ノートン氏は、我が国の華岡青洲の麻酔術が鎖国のせいで
世界に広まらなかったことを嘆いています。本章では、麻酔の誕生とその黎明期のお話。ホレス・ウェルズを中心に、誰が麻酔を生み出したのかで
大喧嘩。そして、エーテルやクロロホルム、コカインなどを使った実験は爆笑必至。

「(コカインの)注射を終えてから30分間、(ドイツ人外科医のアウグスト・)ビールは夢中になって(助手のアウグスト・)ヒルデブラントの足の裏を
羽でくすぐり、皮膚をピンセットでつまみ、ランセット(穿刺針)を太股に骨まで突き刺し、陰毛をむしりとり、火のついた煙草を皮膚の上でもみ消し、
向こうずねを重いハンマーで思い切り殴り、最後は睾丸を激しく押しつぶしたり引っ張ったりした。完璧主義者ビールは、ヒルデブラントの下半身を
くまなく痛めつけた。幸い、ヒルデブラントの下半身はまったく痛みを感じなかった(コカインの効果が切れるまでは)」

   第3章 インチキ薬から夢の新薬まで(薬)

冒頭は「インチキ医師が処方するインチキ薬」のお話。痛み止めにアヘンを使っても、「その結果アヘン中毒になっても、中毒止めの薬はなかった」という
ような危険な話が山ほど紹介されているのですが(ニトログリセリンを舐めてみたフィールド医師とか)、個人的に衝撃を受けたのが、2006年3月に
ドイツのバイオ企業が起こした事件。新薬の臨床試験に選ばれた8人のうち、6人が倒れ悲惨な結果に。この問題の新薬は「TGN1412」と言い、
「T細胞と呼ばれる白血球」に働きかける薬だそうですが、「T細胞」といい、この結果的に倒産したテジェネロ社(「我、汝を創造す」という意味)といい、
ほとんど「バイオハザード」。アンブレラか、お前ら。

   第4章 メインディッシュは野獣の死骸(食物)

「ハリネズミのローストを食う」「動物園の死骸を片っ端から試してみた」「昆虫食」などの過激なタイトルに満ちた章ですが、その中でも「おそるべき
日本のグルメ」を著者のトレヴァー氏が推しているのは、やはり文化の違いゆえ?「日本人にとって、フグは単なる食物ではない。フグはドラッグであり、
儀式であり、食のイベントである。フグの刺身は美食の極みである」と、ある意味大絶賛。最後には、なぜか我が旧軍が開発した人類初の大陸間渡洋兵器
「風船爆弾」まで登場し、「これはどんなことがあっても食べてはいけない」と警鐘を鳴らして章を締めます。

   第5章 サナダムシを飲まされた死刑囚(寄生虫)

サナダムシの侵入経路を解明するために、死刑囚にこっそりとサナダムシを飲ませたキュッヘンマイスター博士や、アメリカの巻き貝が住血吸虫という
寄生虫に感染するかどうかを確かめるために、自らの体内に吸虫を住まわせて、はるばるエジプトからアメリカへ帰っていったクロード・バーロウ博士の
お話。現代に繋がる話としては、とくにマラリアが「再び姿を現した」ことに、著者のトレヴァー氏は警戒しています。

   第6章 伝染病患者の黒ゲロを飲んでみたら(病原菌) ☆

19世紀前半のコレラの世界的大流行に対して、様々な治療法が誕生します。中でも凄かったのは、「患者の寝具に熱風を吹きかけるという治療法」。
なんと、「ベッドに火がつくという効果」まであるのですから驚きです。コレラの感染経路を見抜いた、ハンター医学校出身のジョン・スノー医師の説は
世に受け入れられず、若くして世を去ったスノー医師の仇を討ったのは、それぞれ別個に「細菌説」を展開していたパリのルイ・パストゥールと
ベルリンのロベルト・コッホでした。ただ、それで終わらないのが本書の凄いところで、コッホが名付けた「コレラ菌」に対して、ドイツ人化学者の
マックス・ペッテンコーファーが「嘲笑し」、コッホが用意したフラスコの中のコレラ菌を自身が飲む実験を行い、見事にぶっ倒れます(運良く助かる)。
時を現代に移すと、この手の「従来信じられていたことを覆す新発見に対する偏見」というものは今でもあるようで、ビックリしてしまいます。

   第7章 炭疽菌をばら撒いた研究者(未知の病気)

冒頭、エボラ出血熱にまつわる数々の逸話は、本書の名文句である「壮絶」の一言。話はやがて2001年フロリダ州のある新聞社で起こった
「炭疽菌テロ」に。アメリカ・イギリス・ロシアそれぞれの生物兵器研究所の管理体制とその杜撰さを解説するとともに、1979年にウラル地方で
起こった炭疽病流行事件とロシアの研究所の関わりも紹介。因みに、本章では「日本軍は対中戦争で炭疽菌爆弾を使用し、都市や村全体を
感染させた。あるとき運悪く風向きが変わり、1万人以上の日本兵が発病し、2千人近くが死亡した」そうですが、以前、旧軍を舞台にしたマンガを
描くために陸海軍の資料を200冊ほど揃えたことがありましたが、寡聞にして知りませんでした。これ、出典は何なのでしょう。本書の参考文献を
見てもよくわからないのですが。

   第8章 人生は短く、放射能は長い(電磁波とX線) ☆

言わずと知れた放射線の話ですが、まずは電気に興味を持ったルイ15世の逸話が秀逸。ルイ15世は、「修道士たちに手をつながせて回路を作らせ、
巨大な蓄電池を使って修道士たちに電気を流してみた」そうです。「その効果は『絶大』」で、修道士たちは「人体が電気の伝導体であることを証明する
とともに、隠遁生活にもかかわらずまだダンスのステップを忘れていないところを示した」そうです。さらに、電気を悪用した様々なインチキ商売や
狂っているとしか思えない実験の数々を経て、話は本筋の放射線へ。ヴィルヘルム・レントゲン以外のレントゲン技師を待ち受けていた悲惨な運命、
キュリー夫妻の悲劇などを解説し、時代を現代に移し、今もはびこる「あやしげなラジウム商法」を紹介。

   第9章 偏食は命取り(ビタミン)

海洋ものの本の中ではテッパンのネタである壊血病が、古くからレモンやライムを食べていれば大丈夫だということが知られていた(東インド会社は、
レモンジュースを船旅のお供に推奨し、主な寄港地には柑橘類の木の植林までしていた)にも拘らず、この予防法がなかなか浸透せず、
なぜインチキ薬が長きにわたって幅を利かせたのかを解説。ただし、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、イギリスの若い女性の「毎朝たくさん
ビタミン剤を飲んでるから、朝ご飯なんて食べる気になれないの」という言葉に、著者のトレヴァー氏は(自国のことだけに)嘆いています。

   第10章 ヒルの吸血量は戦争で流れた血よりも多い(血液) ☆

そのタイトルのある「ヒル」の話は、せいぜい冒頭の3ページぐらいで、本章の骨子は血液型と輸血法の発見。そして何よりも、血液疾患の
自己実験の総本山、「『カミカゼ・クリニック』の愛称で知られるセントルイス・ワシントン大学医学部」の「壮絶」な物語。一読、彼らこそが学者の、
医者の鑑だと素直に感動。本書の中でも数少ない、ブラックなユーモアがほとんどない章。

   第11章 自分の心臓にカテーテルを通した医師(心臓) ☆

聴診器の発明すら、「無用な発見」と考える医師が当時いたことにも驚きましたが、「20世紀に入ってからでさえ、保守的な医師の中には耳を
患者の皮膚に直に当てて診察したほうがいいと考える者もいた(それが患者のためなのか医師のためなのかは不明である)」という話に至っては呆然。
本章のキモは、「人類史上初のカテーテル」を自身の体で実験したヴェルナー・フォルスマンのお話。最初の実験では注射針が神経を直撃し、
電気ショックのような衝撃を受けたそう。危うく脊髄に刺さって、一生麻痺が残ったかもしれなかったらしく、とても「壮絶」。そんなフォルスマンのような
立派な医師がいたかと思えば、「自己実験を回避してリスクを患者に負わせようとした外科医」もいたようで(患者、大量出血の大事故)、にも拘らず
フォルスマンの功績が1950年代に入るまで無視されてきたことに無性に腹が立ちます。

   第12章 爆発に身をさらし続けた博士(爆弾と疥癬)

何といっても、第二次大戦中にイギリスで(文字通り)死ぬほど活躍した、ドイツ軍が投下していった爆弾の不発弾を処理する志願部隊の話が凄い。
「イギリスの爆弾はいろいろ見せてくれたが、ドイツの爆弾は一個しか持っていなかった」という教官の教えのもと、「洗練さ」のひとかけらもない
手作り感満載の道具を片手に、彼らはいかにして不発弾に立ち向かっていったのか。やがてドイツ軍は爆弾の外被に記された認識番号までも
デタラメに記して、処理はさらに複雑化。知恵と勇気と運が試された戦士たちの衝撃の物語。彼らを見舞ったチャーチルが、「壮絶」という言葉は
彼らにこそ相応しいと絶賛したのも当然の、熱い章。

   第13章 ナチスドイツと戦った科学者たち(毒ガス兵器と潜水艦) ☆

「空気の質が人間の健康に与える影響について熱心に研究していた」ジョン・スコット・ホールデンは、息子のジャックに対し幼い頃から坑道の
奥深くへ連れて行ったり、メタンガスを吸わせたりと厳しい訓練を課していたら、長じて父親を凌ぐ学者になったという、科学版「巨人の星」のようなお話。

ドイツ軍の毒ガスから、兵隊さんたちを守るためのガスマスク開発のために、直接毒ガスを吸ってみたり、「潜水艦事故における乗組員の生存率を
向上させるためには、高圧の空気中の二酸化炭素濃度が徐々に上がっていく場合に人体がそれに対してどのような反応を示すかを調査する必要が
あります」と「海軍本部に掛け合い、認められた。こうして彼は、イギリス陸軍省のために秘密の調査をおこなった、数少ない(イギリス)共産党正規党員の
一人となった(ジャック・ホールデンは1937年にイギリス共産党に入党。1950年に離党)」。

ジャック・ホールデンの両耳の鼓膜は破れ、詰め物をしていた歯は爆発し、脊髄骨折と股関節脱臼を経験しても彼は自身への実験をやめませんでした。
世界は広いです。アカにも立派な人がいるということを思い知らされた素晴らしい章でした。

   第14章 プランクトンで命をつないだ漂流者(漂流)

海に落ちたパイロットを救うにはどうすれば良いのか?を取り扱った章。救命胴衣の研究をしていたエドガー・パスクは、「ついさっき溺れて呼吸が
停止している人」がいなかったので、自身が実験台となり何度も生死をさ迷います。続いて若きフランス人医師アラン・ボンバールは、「海岸で難破した
船から救助された乗組員の手当のために呼ばれ」るも、「43人の遭難者を一人も蘇生させることができなかった。これがきっかけとなり、
彼は難破の恐ろしさに目を向けるようになった」。ついには食料も水も持たずに漂流し、海で調達したものだけで生き延びる実験をするために、
救命ボートで大海原に飛び出すボンバール。「海水を飲むのは」という話は必見。語る人によって意見が真っ二つに割れていることがよくわかりました。

   第15章 ジョーズに魅せられた男たち(サメ)

1916年7月1日、ニュージャージー州の海岸に現れて、川を遡って大暴れした巨大人喰いザメの詳細な解説が圧巻。この、映画「ジョーズ」の
元ネタになったと言われる「全米初の人食いザメ」事件は、「超危険生物(学研)」をはじめ多くの本で紹介されていますが、詳しい内容が今まで
分からなかっただけに、個人的にはこれだけでも本書の買う価値アリ。腕を喰いちぎられてもサメを追いかけ続けた学者も登場したりと、
本書の中でも一、二を争うほど血しぶきが飛び交う章。

   第16章 超高圧へ挑戦し続けた潜水夫(深海)

潜水病を防ぐにはどうすれば」良いのか?コンピュータが進化して、大深度ダイビングの減圧を計算してくれるようになるまでの死屍累々の記録。
本書には自身への人体実験を敢行した学者たちが掃いて捨てるほど登場しますが、意外と死んでしまった人は少ないです(勿論タダでは済みませんが)。
ただし、本章だけは話は別で、冒頭のゼッターストレムをはじめ多くの人間がバタバタと死んでゆきます(ゼッターストレムに至っては、父親の
立ち会いのもとで)。

   第17章 鳥よりも高く、速く飛べ(成層圏と超音速) ☆

「マッハの壁」をいかに克服するかを扱った最終章。若き戦闘機乗りだったチャック・イェーガー大尉と航空医官ジョン・スタップ大佐の物語。
とくに、過酷を極めた訓練と隊内のやっかみを物ともせずに音速の壁に挑み続けたイェーガー大尉の話には素直に感動するとともに、
「確かに、イェーガーは空軍勲十字章に線章を加えられたし、その後、平時栄誉賞などの栄誉を山ほど与えられはした。しかし、自分の手柄を
公表して金儲けをすることは禁じられていたし、大尉から少佐に昇進したのも7年も経ってからのことだった」という、大尉の軍内での処遇に関しては
いたく同情。

・・・以上です。とにかく本書に登場するものは、人物、逸話、実験、社会状況、どれをとってもぶっ飛びすぎて驚きの連続です。
しかも全て実話ですから、なお凄い。さらに、著者のトレヴァー氏のブラックな文章を訳者の赤根女史が上手く訳しているので、非常に読みやすく、
トレヴァー氏のブラックなユーモアが損なわれることなく堪能できます。本編だけで327ページの本ですが(全編合わせて約380ページ)、
一気に読んでしまう面白さなので、死んでもオススメの一冊です。

なお、本書のような「自分の体で実験した人」の本としては、本書より遡ること5年前に
「自分の体で実験したい ~命がけの科学者列伝~ (紀伊國屋書店・2007年)」という本が既に出ていましたが、個人的には肌が合いませんでした。
この本、全10章から成る本なのですが、そのうち七つまでが本書に掲載されていた話でした。上記の目次の☆は、その章を示す目印。

具体的には、第2章のホレス・ウェルズ、第6章のジェシー・ラジアとダニエル・カリオン、第8章のキュリー夫妻、第11章のヴェルナー・フォルスマン、
第13章のジャック・ホールデンとジョン・ホールデン、第17章のジョン・ポール・スタップがそれに該当します。
この本は元がアメリカで子供向けの書籍だったためか、文章が淡々とし過ぎていて、途中で眠くなってしまったほどマジメな本でした。
本書よりもいくつかの話に限っては深く掘り下げていたのと、本書と違い、各章には数枚の写真が添えてあるので読む価値はあります(とくに終章は
秀逸)が、とにかく本書とは向いている方向が明らかに違うド直球のマジメな本なので、本書のような過激な内容を期待している人はご用心。

このレビューが参考になれば幸いです。 (*^ω^*)
78人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年12月19日に日本でレビュー済み
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訳が直訳っぽい感じで所々読みにくい。文末がほとんど「~た」で終わっているのがかなり気になってしまった。内容は面白いのに訳が邪魔してる。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年1月15日に日本でレビュー済み
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状態も良く、内容も自分の好みに合っていたので良かった
2023年6月27日に日本でレビュー済み
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現代の研究実験では、倫理的に無理な実験が多いが、彼らの実験があったからこそ今があるのかなという印象を受けた。知らない世界を知れてよかった
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年3月14日に日本でレビュー済み
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麻酔や薬、ビタミン剤など、今ではあって当たり前のものを、マッドサイエンティストと呼ばれる人たちがいかに苦労して作り出したか、というエピソードがぎっしり詰まった本です。

黄熱病患者の嘔吐物を飲んだり、白血病患者の血液を自らに中に注入したりなど、命の危険を顧みない彼らの飽くなき探究心には脱帽するばかりです。
「医学は人体実験の積み重ねで発展した」という言葉が印象深い、巻末掲載の大阪大学の教授のシラバスも必見です。

下ネタくさいエピソードがちらほらありますので、お食事の直前に読むのは推奨しません。
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