日本のメタルバンド、通称デンカレが2017年に出した、オリジナルとしては2作目となるアルバムです。
サントラやタイアップ曲を集めたベスト盤とは違い、「Detonator」(2014年) と同じくメタル方面に特化しています。疾走感と突進力を備えたスラッシュメタルをベースとしながらも、北欧メロデスや今風のメタルコア、王道のジャパメタ、その他様々な音楽要素が見え隠れする多彩なアルバムでもあります。
クラシカルなピアノで静かに幕を開ける#1 "Pantasmagory"。静かなピアノのイントロが終わり切り込んでくるリフ。ギターソロに入ってからの3分43秒あたりからの展開とかもうたまりませんね。ある意味お約束通りの展開と言えるのかもしれませんが、そこから曲の終盤に向けて盛り上がっていくところなどはやはり燃えます。
#2 "ディオスクロイ戦記" の突進力のあるリフは2000年前後の、メロデス路線からメタルコア路線にシフトした時期のIn Flamesを思わせます。この重量感と疾走感。勢い任せに疾走しながらドラマ性もあるかっこいい曲です。
#3 "Vatican Cameos" はキャッチーな歌メロと忙しげに動き回るリフが好対照。ほんの一瞬ですがブラストビートも効果的に使われており、これもまた聴き手を暴れさせることに特化しまくった曲です。
#9 "碧き孤島のアングゥィス" は戦闘系アニメのオープニング曲みたいな熱い曲。動きの複雑そうなリフのAメロBメロからキャッチーなサビへの繋ぎが絶妙。1コーラス目が終わった後の、華憐様の「フッ」という吐き捨てるような音が好き。
相変わらず最高の曲が詰まったアルバムです。オリジナルアルバムということで、トータルでの統一感&一貫性もばっちり。全曲リーダートラックと言っていいレベル。ギターの音もかつてなく荒々しく凶悪で、ヴォーカルよりリフに重きを置いたミックスも個人的には好印象。この凶悪さ&攻撃性と、キャッチーな歌メロ、ゴシックな雰囲気の絶妙な融合が、独特の世界観を作り上げています。