Kindle 価格: | ¥825 (税込) |
獲得ポイント: | 8ポイント (1%) |
を購読しました。 続刊の配信が可能になってから24時間以内に予約注文します。最新刊がリリースされると、予約注文期間中に利用可能な最低価格がデフォルトで設定している支払い方法に請求されます。
「メンバーシップおよび購読」で、支払い方法や端末の更新、続刊のスキップやキャンセルができます。
エラーが発生しました。 エラーのため、お客様の定期購読を処理できませんでした。更新してもう一度やり直してください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書) Kindle版
巨大な負債を抱え、会社解体の危機に喘ぐ東芝――いや、東芝だけではない。かつて日本企業を代表する存在だった総合電機が軒並み苦境に陥っている。東芝・ソニー・日立ほか大手8社の歴史や経営を詳細に分析することで日本の総合電機がはまった巨大な陥穽を描く。名著『失敗の本質』総合電機版とも言える1冊。
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2017/5/17
- ファイルサイズ6709 KB
この本を読んだ購入者はこれも読んでいます
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
大西 康之
大西康之(おおにし・やすゆき)
ジャーナリスト。1965年生まれ。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。産業部記者、欧州総局(ロンドン駐在)、編集委員、「日経ビジネス」編集委員などを経て、2016年に独立。企業や業界の深層を、人物を中心に描き出す手腕に定評がある。『稲盛和夫 最後の闘い』(日本経済新聞出版社)『ファーストペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(同)など著書多数。『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(日経BP社)は第13回新潮ドキュメント賞最終候補となった。最新刊は『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア』(新潮社)
大西康之(おおにし・やすゆき)
ジャーナリスト。1965年生まれ。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。産業部記者、欧州総局(ロンドン駐在)、編集委員、「日経ビジネス」編集委員などを経て、2016年に独立。企業や業界の深層を、人物を中心に描き出す手腕に定評がある。『稲盛和夫 最後の闘い』(日本経済新聞出版社)『ファーストペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(同)など著書多数。『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(日経BP社)は第13回新潮ドキュメント賞最終候補となった。最新刊は『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア』(新潮社)
登録情報
- ASIN : B071467JVS
- 出版社 : 講談社 (2017/5/17)
- 発売日 : 2017/5/17
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 6709 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 229ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 198,692位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,183位講談社現代新書
- - 4,748位ノンフィクション (Kindleストア)
- - 49,368位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

大西康之
1965年生まれ。愛知県出身。1988年、早大法卒、日本経済新聞入社。1998年、欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に「稲盛和夫最後の闘い JAL再生に賭けた経営者人生」「ファーストペンギン 楽天三木谷浩史の挑戦」(以上日本経済新聞)、「三洋電機 井植敏の告白」「会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから」(以上日経BP)、「ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア佐々木正」(新潮社)、「起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」がある。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年11月30日に日本でレビュー済み
レポート
Amazonで購入
株式上場廃止、消えゆく東芝…。一企業が構築されてきた時間の重みを歴代社長は本当に分かっていたのか、否。国策という一面に官僚から翻弄された経営者、トップの座の奪い合い。結論、企業の体をなしていなかった。戦争と同じ、国民・社員は哀れだ。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2022年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読んでいくと、どんどん気持ちが暗くなります。ですが、これが事実だということで、読み進めました。では、どうすればよいかは、判りません。事実として認識する大事さを強く意識しました。
2017年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東芝、sharpなど最近一躍有名になったところはかなりの量があるが、三菱電機のように巧みに経営し、株価も他社の比ではない会社は読者の関心を惹かないせいか扱いが浅薄。
2023年8月30日に日本でレビュー済み
日本経済新聞社出身のノンフィクション作家、大西康之さんによる日本の電機メーカー各社の失敗の歴史を解説した本です。
副題に「東芝解体」とあるので東芝に多くのページが割いてあると思って読みましたが、そうではなくて、東芝から始まって、NEC、シャープ、パナソニック、ソニー、等々、各社にそれぞれ30ページ前後の分量で個別に説明している形です。
あとがきにもありましたが、本書は大東亜戦争でのそれぞれの戦局の失敗を解説した本である「失敗の本質」に倣った体裁になっています。それもあって、本書を読むと、太平洋戦争で欧米を打ち負かす勢いだった日本が敗戦して、その次に高度経済成長で欧米を打ち負かす勢いだった日本がまた負けてしまったという構図に、読後は同じ日本人として情け無い気分になってしまいます。
確かに大艦隊を作って負けるはずがないと思い込んでいた頃と、バブルで「ジャパン アズ ナンバーワン」などと思い上がっていた頃はイメージが重なるものがあります。巨大な液晶パネル工場を作りまくっていたパナソニックは、さながらレイテ沖海戦の最期の大艦隊だったのかも知れません。
私も80年代終わりから90年代にかけて電機メーカーで働いていたので本書を読んであの頃の構図に今更ながら納得しました。よく談合とも言われていましたが、国からの案件を仲良く各社でパイの山分けをして仕事は勝手に落ちてきましたし、会社の上層部は皆技術系だったので、みんな技術の話で盛り上がってはいたけれど経営指標など一度も聞いたことはありませんでした。技術さえ磨いておればカネなど後からついてくると言ったところでしょう。
本書を読んで全体的に言えるのは確かに「失敗の本質」と重なるところが多いのですが、共通しているのが、「海外進出ベタ」ということがあるかと思います。調子に乗ってか、乾坤一擲か、とにかく海外の会社を買収しては失敗したケースが多いように感じました。成功したのは唯一ソニーのコロンビア買収だけじゃないですか?それもかなり危なかったのを海外経験豊富な出井さんがなんとか切り抜けた様が書かれています。
日本にいるとあまり感じませんが、私はシンガポールに住んでいた時、あっちの電機量販店で華々しくサムソンのテレビが展示されてる横で、ソニーやシャープのテレビが半ば投げ売りのように積まれているのを見てショックを受けたことがあります。ああ、完全にひっくり返ってしまったな、と感じました。
エルピーダ、ルネサス、パンゲア等々、国策会社がずっと失敗してきているのに、再び国策でラピダスが立ち上がる報道がされました。国に2兆円を要請しているとか。過去の失敗をきちんと学んで対策しているのでしょうか?ポストとカネに群がる50代以上の爺さんたちが会議ばっかりしているような気がして、失敗する予感しかしません。
副題に「東芝解体」とあるので東芝に多くのページが割いてあると思って読みましたが、そうではなくて、東芝から始まって、NEC、シャープ、パナソニック、ソニー、等々、各社にそれぞれ30ページ前後の分量で個別に説明している形です。
あとがきにもありましたが、本書は大東亜戦争でのそれぞれの戦局の失敗を解説した本である「失敗の本質」に倣った体裁になっています。それもあって、本書を読むと、太平洋戦争で欧米を打ち負かす勢いだった日本が敗戦して、その次に高度経済成長で欧米を打ち負かす勢いだった日本がまた負けてしまったという構図に、読後は同じ日本人として情け無い気分になってしまいます。
確かに大艦隊を作って負けるはずがないと思い込んでいた頃と、バブルで「ジャパン アズ ナンバーワン」などと思い上がっていた頃はイメージが重なるものがあります。巨大な液晶パネル工場を作りまくっていたパナソニックは、さながらレイテ沖海戦の最期の大艦隊だったのかも知れません。
私も80年代終わりから90年代にかけて電機メーカーで働いていたので本書を読んであの頃の構図に今更ながら納得しました。よく談合とも言われていましたが、国からの案件を仲良く各社でパイの山分けをして仕事は勝手に落ちてきましたし、会社の上層部は皆技術系だったので、みんな技術の話で盛り上がってはいたけれど経営指標など一度も聞いたことはありませんでした。技術さえ磨いておればカネなど後からついてくると言ったところでしょう。
本書を読んで全体的に言えるのは確かに「失敗の本質」と重なるところが多いのですが、共通しているのが、「海外進出ベタ」ということがあるかと思います。調子に乗ってか、乾坤一擲か、とにかく海外の会社を買収しては失敗したケースが多いように感じました。成功したのは唯一ソニーのコロンビア買収だけじゃないですか?それもかなり危なかったのを海外経験豊富な出井さんがなんとか切り抜けた様が書かれています。
日本にいるとあまり感じませんが、私はシンガポールに住んでいた時、あっちの電機量販店で華々しくサムソンのテレビが展示されてる横で、ソニーやシャープのテレビが半ば投げ売りのように積まれているのを見てショックを受けたことがあります。ああ、完全にひっくり返ってしまったな、と感じました。
エルピーダ、ルネサス、パンゲア等々、国策会社がずっと失敗してきているのに、再び国策でラピダスが立ち上がる報道がされました。国に2兆円を要請しているとか。過去の失敗をきちんと学んで対策しているのでしょうか?ポストとカネに群がる50代以上の爺さんたちが会議ばっかりしているような気がして、失敗する予感しかしません。
2017年6月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
80年代に我が国産業の最先端業種として誰もが期待した電気メーカーが、
なぜ今日衰退の憂き目を見ているのか。本書は東芝のみではなく、主要な
電気メーカーが辿った「衰退史」を各メーカー毎にまとめている。
各メーカー毎の事情はそれぞれ異なるが、本書を通読して、
・技術を過信し、消費者視点を忘れた商品開発
・「安い製品を大量に製造する力」を軽んじてしまった製造体制
などが、共通の衰退要因ではないかと感じられた。
また、各社が全盛時代であった80年代においても、実は原子力力と通信
という国策事業に依存した体質であった、という点も興味深い事実であった。
「技術的に優れたもの」が良い製品ではなく、「売れるもの」が優れた製品
である、という本書の指摘は、業種を問わず「ものつくり」に係る会社が、
常に心すべき指摘であろう。
なお、他のレビューでも指摘されているが、本書には情報源の引用がない。
後書きにある通り、記載内容は著者の記者時代からの取材メモとスクラップ
によるとのことである。この点を主観的とするか客観的とするかは読者次第だ。
ただ、記載内容にはそれなりに説得力を感じた。なにより読み物としては
面白かった。
なぜ今日衰退の憂き目を見ているのか。本書は東芝のみではなく、主要な
電気メーカーが辿った「衰退史」を各メーカー毎にまとめている。
各メーカー毎の事情はそれぞれ異なるが、本書を通読して、
・技術を過信し、消費者視点を忘れた商品開発
・「安い製品を大量に製造する力」を軽んじてしまった製造体制
などが、共通の衰退要因ではないかと感じられた。
また、各社が全盛時代であった80年代においても、実は原子力力と通信
という国策事業に依存した体質であった、という点も興味深い事実であった。
「技術的に優れたもの」が良い製品ではなく、「売れるもの」が優れた製品
である、という本書の指摘は、業種を問わず「ものつくり」に係る会社が、
常に心すべき指摘であろう。
なお、他のレビューでも指摘されているが、本書には情報源の引用がない。
後書きにある通り、記載内容は著者の記者時代からの取材メモとスクラップ
によるとのことである。この点を主観的とするか客観的とするかは読者次第だ。
ただ、記載内容にはそれなりに説得力を感じた。なにより読み物としては
面白かった。
2017年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
生き残る電機メーカーはどこか?
東芝、三菱電機、ソニー、日立製作所、シャープ、NECなどの日本メーカーについて、何か失敗だったのかを個社別に書いてある。とても面白い本だった。
日本の家電メーカーは復活してきている企業もあるが厳しい状況だ
90年代、日米半導体摩擦で、ダンピングとたたかれ、競争から離脱してしまった。
日米半導体協定が1987年に締結され、日本の半導体にとって、打撃だったのは日本市場の外国製半導体がシェア20%に高めることをモニタリングされたこと
すっかり骨抜きにされた半導体業界、NECは半導体業界のどまんなかにいたが、DRAMなど半導体が競争力を失った。NECは遠藤社長時代に随分会社が縮小されてしまった。
シャープはユニークな家電製品を世に出したが液晶で世界を制覇しようと、大型投資に踏み切った。65インチが主流になるという無謀な夢は実現せず、堺工場はあっという間に赤字の要因になってしまった。
日本メーカーの復活を常に心から願う。これだけの苦境なのだがメーカー数は減らない。
もう一段の再編と統合が必要なのではないか
東芝、三菱電機、ソニー、日立製作所、シャープ、NECなどの日本メーカーについて、何か失敗だったのかを個社別に書いてある。とても面白い本だった。
日本の家電メーカーは復活してきている企業もあるが厳しい状況だ
90年代、日米半導体摩擦で、ダンピングとたたかれ、競争から離脱してしまった。
日米半導体協定が1987年に締結され、日本の半導体にとって、打撃だったのは日本市場の外国製半導体がシェア20%に高めることをモニタリングされたこと
すっかり骨抜きにされた半導体業界、NECは半導体業界のどまんなかにいたが、DRAMなど半導体が競争力を失った。NECは遠藤社長時代に随分会社が縮小されてしまった。
シャープはユニークな家電製品を世に出したが液晶で世界を制覇しようと、大型投資に踏み切った。65インチが主流になるという無謀な夢は実現せず、堺工場はあっという間に赤字の要因になってしまった。
日本メーカーの復活を常に心から願う。これだけの苦境なのだがメーカー数は減らない。
もう一段の再編と統合が必要なのではないか
2017年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経営者が経営者として判断できる「範囲」は,国家の介入によって無限ではなくなってしまい,国家によってつくられたクモの糸に絡め取られた企業群のルポである.
日本が世界から「奇跡的」と呼ばれた経済成長を達成したのは過去二回ある.
一回目は,「明治の奇跡」であった.維新からたかだか30年ほどで,戦術的にロシアを敗るまでの実力をそなえた.この時期の日本人の平均寿命が50年程度だったことを思えば,それがいかほどの爆発的な成長だったかわかるだろう.
世界遺産になった富岡製糸場も八幡製鉄も,官業から民間に移譲されのを「払い下げ問題」とはいうものの,この時期,政府の官僚制が未完であったことがポイントである.元武士階級からの役人登用では間に合わないから,東京大学(明治10年)をつくり,その後は帝国大学(明治19年)として官吏養成の体制を整える.たばこが専売になるのは明治31年だから,東京大学卒業生による「業績」ではあるまいか.そして,明治末までにさまざまな規制が発布される.大正から昭和初期の停滞は,官僚体制の完成度と反比例するのだ.
二回目は,自ずと知れた戦後昭和の高度成長だ.「優秀な経済官僚(大蔵・通産)」による傾斜生産などの成果であるとのデマを垂れ流したのは,城山三郎とエズラ・ボーゲル『ジャパンアズナンバーワン』(TBSブリタニカ, 1979年)や チャルマーズ・ジョンソン『通産省と日本の奇跡』(TBSブリタニカ, 1982年)である.戦後の混乱とは,役所が大企業を統制すればおさまるような話ではない.むしろ,すさまじい敗戦の混乱で,官僚機構がマヒしたことによる民間の底力(どさくさ)が急成長の動力なのだ.
高度成長が止まったのは1973年の第一次オイルショックであるという「定説」もおかしい.オイルショックの原因となった第四次中東戦争は1973年の10月に勃発しているが,「月次」経済統計では6月に大きく中折れした.つまり,高度成長を止めた犯人は,地方に回収の可能性がない税金投入でばらまきを徹底した田中角栄内閣である.そして,戦前から連綿と続く,わが国の官僚制が完成したのが田中角栄内閣のときである.もちろん,これを理論的に支えたのはケインジアンたちである.
国家が経済に介入すると,経済は行き詰まることを理論的に解明したのはミーゼスだ.
本書は,ミーゼスの「ミ」の字もでない(減点1)が,ルポとして読めば納得もできよう.
政府が関与しないバルミューダの成功が,本書の意図と合致するだろう.
日本が世界から「奇跡的」と呼ばれた経済成長を達成したのは過去二回ある.
一回目は,「明治の奇跡」であった.維新からたかだか30年ほどで,戦術的にロシアを敗るまでの実力をそなえた.この時期の日本人の平均寿命が50年程度だったことを思えば,それがいかほどの爆発的な成長だったかわかるだろう.
世界遺産になった富岡製糸場も八幡製鉄も,官業から民間に移譲されのを「払い下げ問題」とはいうものの,この時期,政府の官僚制が未完であったことがポイントである.元武士階級からの役人登用では間に合わないから,東京大学(明治10年)をつくり,その後は帝国大学(明治19年)として官吏養成の体制を整える.たばこが専売になるのは明治31年だから,東京大学卒業生による「業績」ではあるまいか.そして,明治末までにさまざまな規制が発布される.大正から昭和初期の停滞は,官僚体制の完成度と反比例するのだ.
二回目は,自ずと知れた戦後昭和の高度成長だ.「優秀な経済官僚(大蔵・通産)」による傾斜生産などの成果であるとのデマを垂れ流したのは,城山三郎とエズラ・ボーゲル『ジャパンアズナンバーワン』(TBSブリタニカ, 1979年)や チャルマーズ・ジョンソン『通産省と日本の奇跡』(TBSブリタニカ, 1982年)である.戦後の混乱とは,役所が大企業を統制すればおさまるような話ではない.むしろ,すさまじい敗戦の混乱で,官僚機構がマヒしたことによる民間の底力(どさくさ)が急成長の動力なのだ.
高度成長が止まったのは1973年の第一次オイルショックであるという「定説」もおかしい.オイルショックの原因となった第四次中東戦争は1973年の10月に勃発しているが,「月次」経済統計では6月に大きく中折れした.つまり,高度成長を止めた犯人は,地方に回収の可能性がない税金投入でばらまきを徹底した田中角栄内閣である.そして,戦前から連綿と続く,わが国の官僚制が完成したのが田中角栄内閣のときである.もちろん,これを理論的に支えたのはケインジアンたちである.
国家が経済に介入すると,経済は行き詰まることを理論的に解明したのはミーゼスだ.
本書は,ミーゼスの「ミ」の字もでない(減点1)が,ルポとして読めば納得もできよう.
政府が関与しないバルミューダの成功が,本書の意図と合致するだろう.