アニメーション版リメイク『打上花火、下から見るか?横から見るか?』公開に合わせて出版された、実写版原作の原作小説。
とは言えども、その後の岩井俊二監督作品のように、あらかじめ(企画書の代わりに書かれた)小説があったのではなく、TVドラマ版公開から24年の歳月を経て、改めて執筆された小説です。
典道の一人称で描かれています。
典道がいない灯台への冒険は、
後日談として、中学校、高校で再び同級生となった和弘、純一から聞いた話として成立させています。
「ifもしも」は棄却し、全編を通し、リアリティー小説です。
また、原作実写版
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD
]のメイキングDVD
少年たちは花火を横から見たかった [DVD
]
で紹介されている(奥菜恵と山崎裕太が朗読する)モチーフとなった(監督が大学生の時に着想した小学生の駆け落ち物語「檸檬哀歌」も取り入れられています。
おなじDVDで紹介されているモチーフとしての宮沢賢治
銀河鉄道の夜
もプラネタリウムをみながら及川なずなが引用を指摘するシーンとして登場します。
ただし、同DVDで岩井俊二監督が読んだと言う、筑摩書房が徹底的に研究/考察し、ばらばらの宮沢賢治原稿の組み替え、校正を行う以前の小説=カムパネルラの死を知りながら銀河鉄道を冒険するジョバンニのモチーフまでは、引用していません。(そこまでやったら、マニアに過ぎますよね。)
以上のような、小説として正当な組み替えがあるにもかかわらず、
原作=実写版の物語=みずみずしいジョブナイル作品としての魅力はそのままで、
あたかも、自分自身の夏休みの一日の思い出を、なぞったような、記憶を呼び覚ます感動があります。
なぜでしょうか。
これこそ「岩井美学」と称される、(たとえ子どもであっても)人に対する丁寧な、描写、モチーフに対する愛情の発露なのかもしれない。と思いました。
小説を読んだ僕にも、かつてあった少年の日々。
夏休みの冒険は、永遠の宝物であった。と再認識しました。
Kindle 価格: | ¥475 (税込) |
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少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫) Kindle版
やがてこの町から消える少女なずなを巡る典道とその仲間の少年たち。花火大会のあの日、彼らには何があったのか。少年から青年になる時期の繊細で瑞々しい時期の友情と初恋の物語。映像化されなかった幻のエピソードを復刻し、再構成し、劇場アニメ版にあわせて書き下ろされた、ファン待望の小説。テレビドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のOAから、24年の歳月を経てよみがえる、原点ともいえる物語。岩井版の『銀河鉄道の物語』。本書の本編のあとに書き下ろされた「短い小説のための長いあとがき」には、本作品を、始まりの部分から深く楽しむための創作秘話が書かれている。
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2017/6/25
- ファイルサイズ1480 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
著者について
●岩井 俊二:宮城県仙台市出身。1993年、テレビドラマ『if もしも~打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。同作品は再編集され94年劇場公開。95年、初の長編映画『Love Letter』監督。『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス(ショートフィルム)』など代表作を次々発表。2015年、長編アニメーション作品『花とアリス殺人事件』、16年『リップヴァンウィンクルの花嫁』を公開。
登録情報
- ASIN : B071KDQVSZ
- 出版社 : KADOKAWA (2017/6/25)
- 発売日 : 2017/6/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1480 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 130ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 278,300位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2017年11月29日に日本でレビュー済み
レポート
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3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年6月24日に日本でレビュー済み
24年の時を経て、あの夏が帰ってきた。映像では描かれなかったエピソードを加えて、復活した物語。 頭の中で、当時の奥菜ちゃんや裕太や反田たちが、聞き慣れていない台詞のキャッチボールをしていて、未公開映像を観ているような、得した気分になった。
以下はネタバレになるので、未読の方は注意。
なずなのお母さんを単なる鬼母で終わらせなかったのは、◎。 しかし、なずなが転校することを典道が知っているという設定はいただけない。 「今度会えるの二学期だね?」の台詞のチカラが薄れてしまう。
批判的なことも書いたが、この物語は今後も決して色褪せることなく、瑞々しく輝き続けるだろう。
以下はネタバレになるので、未読の方は注意。
なずなのお母さんを単なる鬼母で終わらせなかったのは、◎。 しかし、なずなが転校することを典道が知っているという設定はいただけない。 「今度会えるの二学期だね?」の台詞のチカラが薄れてしまう。
批判的なことも書いたが、この物語は今後も決して色褪せることなく、瑞々しく輝き続けるだろう。
2017年12月14日に日本でレビュー済み
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ヒロインが転校する事主人公が知ってたら駄目でしょう!
ちょっとほの悲しい感じが全面に出過ぎなような、大人っぽ過ぎるような気がした。
ちょっとほの悲しい感じが全面に出過ぎなような、大人っぽ過ぎるような気がした。
2017年8月6日に日本でレビュー済み
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『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のファンでなくても、事前の知識が無くても、独立した短編小説として十分楽しめる作品です。
島田典道、林純一、笹本稔、佐藤和弘、安曇裕介の小学6年生男子5人組と、1学期初めに転入してきて夏休みの間に転校して消えてしまう女子、及川なずなの物語。中心は典道となずなの関係であり、多くの部分が典道の視点で語られます。一部は高校2年生になってからの振り返りで語られたり、語り手、時が飛んだり、いろいろですが、分かりにくくなることはありません。
感覚だけで動く子どもと理由を考えて自分を納得させる大人の境目に居る典道たちの、半端なだけに純粋な様子は、読んでいて実に切なく、くすぐったいものでした。自分の小学生の頃を思い出します。例えば「なずなの異様に不機嫌なオーラに気圧されて」というところで、レビュアーは6年生の頃のクラスメートを思い出しました。活発で魅力ある女の子でしたが、なぜか頻繁に不機嫌オーラを出すので、自分も含め周りの男の子たちはいつも戦々恐々。懐かしいなあ。
映像的にも美しいラストでの典道の思いには心を大きく揺さぶられました。
カバー絵は38頁のなずなを乗せて自転車をこぐ典道です。二人の視線は絡みあわず、そっぽを向いていながらも、心の中では相手と話しているのが伝わる素敵な絵ですね。
夜のプールのシーンはちょっと甘く、それ以上にすっぱい。水に浮かんだ二人が星空を見上げて夏の大三角形を見ている様子は「化物語」のひたぎと暦を連想しました。アニメ映画が楽しみです。
島田典道、林純一、笹本稔、佐藤和弘、安曇裕介の小学6年生男子5人組と、1学期初めに転入してきて夏休みの間に転校して消えてしまう女子、及川なずなの物語。中心は典道となずなの関係であり、多くの部分が典道の視点で語られます。一部は高校2年生になってからの振り返りで語られたり、語り手、時が飛んだり、いろいろですが、分かりにくくなることはありません。
感覚だけで動く子どもと理由を考えて自分を納得させる大人の境目に居る典道たちの、半端なだけに純粋な様子は、読んでいて実に切なく、くすぐったいものでした。自分の小学生の頃を思い出します。例えば「なずなの異様に不機嫌なオーラに気圧されて」というところで、レビュアーは6年生の頃のクラスメートを思い出しました。活発で魅力ある女の子でしたが、なぜか頻繁に不機嫌オーラを出すので、自分も含め周りの男の子たちはいつも戦々恐々。懐かしいなあ。
映像的にも美しいラストでの典道の思いには心を大きく揺さぶられました。
カバー絵は38頁のなずなを乗せて自転車をこぐ典道です。二人の視線は絡みあわず、そっぽを向いていながらも、心の中では相手と話しているのが伝わる素敵な絵ですね。
夜のプールのシーンはちょっと甘く、それ以上にすっぱい。水に浮かんだ二人が星空を見上げて夏の大三角形を見ている様子は「化物語」のひたぎと暦を連想しました。アニメ映画が楽しみです。
2018年6月8日に日本でレビュー済み
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《タイムマシンの物語においてタイムパラドックス問題を解消しようとした挙げ句、タイムマシンを物語からカットしてしまった。》
そのような原案に、パラレルワールドの過去に移動すればタイムパラドックスは生じないという回答を示したのが、アニメ版の『打ち上げ花火・・』であり、こちらの本はその原案の方の小説化である。パラレルワールドの移動装置(もしも玉)が存在しないパラレルワールドの話であり、アニメとは違った人物設定で話は進行する。
十一章からなる本編の小説と、実写版の制作秘話というべき長いあとがきから構成されており、冒頭の一節は長いあとがきに登場する言葉である。また、本編とあとがきの間には、なずなという名の由来についての文章が挟まれている。
岩井俊二の作家性は、嚢中の錐のようなものである。他と交わって仕事をしていても、必ずこの人特有の尖った部分が出てしまう。その尖った部分を好きと思うか嫌いと思うかで、この人に対する好き嫌いが分かれると思うが、この小説に関して言えば、尖った部分が表現しているものが無常観である。従って少年少女を主人公にしていながら、少年ものやライトノベルとは違った奥行きを含んでいる。その奥深さ故に、新房昭之総監督はこの原案をアニメ化したいと考えたのではあるまいかと考える。
そのような原案に、パラレルワールドの過去に移動すればタイムパラドックスは生じないという回答を示したのが、アニメ版の『打ち上げ花火・・』であり、こちらの本はその原案の方の小説化である。パラレルワールドの移動装置(もしも玉)が存在しないパラレルワールドの話であり、アニメとは違った人物設定で話は進行する。
十一章からなる本編の小説と、実写版の制作秘話というべき長いあとがきから構成されており、冒頭の一節は長いあとがきに登場する言葉である。また、本編とあとがきの間には、なずなという名の由来についての文章が挟まれている。
岩井俊二の作家性は、嚢中の錐のようなものである。他と交わって仕事をしていても、必ずこの人特有の尖った部分が出てしまう。その尖った部分を好きと思うか嫌いと思うかで、この人に対する好き嫌いが分かれると思うが、この小説に関して言えば、尖った部分が表現しているものが無常観である。従って少年少女を主人公にしていながら、少年ものやライトノベルとは違った奥行きを含んでいる。その奥深さ故に、新房昭之総監督はこの原案をアニメ化したいと考えたのではあるまいかと考える。
2017年8月31日に日本でレビュー済み
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こちらの作品の後続となる映画の主題歌を耳にしてそのプロモーションと花火、綺麗、というごくごくシンプルな理由で映画館に足を運び観に行きました。
その後過去の自分の経験上の色んな伏線が繋り購入しました。悔いないです。
関わる全てのものが実は好きなものの集合体でした。
ただ綺麗だと、見てたときには気づかなかったなにかの歴史を紐解いているようで、色々楽しめました。
ちなみにまだ、中身は読めてません。
ワクワクしながら少しずつ読み進めます。
他人の褌で、という意見も、それぞれのプロに、という意見も全ての感想を咀嚼して、個人的にこちらの作品はやはり好ましい。
是非、比べるのではなく、自分の好きにだけ注目して個々に価値を見出だせればと思います。
その後過去の自分の経験上の色んな伏線が繋り購入しました。悔いないです。
関わる全てのものが実は好きなものの集合体でした。
ただ綺麗だと、見てたときには気づかなかったなにかの歴史を紐解いているようで、色々楽しめました。
ちなみにまだ、中身は読めてません。
ワクワクしながら少しずつ読み進めます。
他人の褌で、という意見も、それぞれのプロに、という意見も全ての感想を咀嚼して、個人的にこちらの作品はやはり好ましい。
是非、比べるのではなく、自分の好きにだけ注目して個々に価値を見出だせればと思います。
2018年1月6日に日本でレビュー済み
24年ぶりの原作者による改訂版。
ifもしもというギミックを使わないバージョン。
まあ重複もするし、元の話読んでおけば、こちらは別に読まなくても良かったと個人的には。
ファンならいいのかも。
ifもしもというギミックを使わないバージョン。
まあ重複もするし、元の話読んでおけば、こちらは別に読まなくても良かったと個人的には。
ファンならいいのかも。