「文藝春秋」というと芥川賞の受賞作品を廉価で読めるので、年2回は購入するのですが、それ以外の号も特集の魅力にひかれて購入しています。
今号は「【大特集】定年後の常識が変わった」について、80ページ以上にわたって様々な方の持論が展開されており、リタイア後の生活に思いを馳せながら読了しました。
楠木新さんの「『良い定年後』と『悪い定年後』」は、新書『定年後』で書かれた内容に近いわけですが、それを読んでいない方にお勧めします。「居場所がない定年退職者」というくだりは切実でしょう。
内館牧子さんと重松清さんの対談「『終わった人』と『定年ゴジラ』に学べ」も興味深かったですね。両氏が書かれた同名の書籍は読了しており、それぞれの方の意見もその小説で展開された内容でしたが、そこでも「第二の人生には居場所が必要」と書かれていました。リタイアして仕事から離れられる喜びとは裏腹に「居場所」の課題は痛切に伝わってきました。
岩崎日出俊さんの「老後資金一億円をどう作るか」では様々なアドバイスが紹介されていました。既知のことが多かったわけですが、資産活用でのリスクの取り方など、「資産を増やそうと欲張らない」という戒めをしっかりと受け取らせてもらいました。資産はありませんが、考え方は共感できました。
この定年後に関しての大特集以外に、文藝春秋編集部の「豊田真由子議員独占告白 秘書への暴行報道後、初めて口を開いた」は実に興味深い内容でした。渦中の豊田真由子議員が沈黙をやぶり、「このハゲーッ!」という発言に至った経緯や気持ちが掲載されています。事件として捜査中の案件ですが、弁明にしても結構話しているという印象を持ちました。やはり、文章量に、ある程度のボリュームがないと真相には近づけませんから。
その他、宮本信子さんの「『ひよっこ』の時代と伊丹十三さん」もいいですね。『ひよっこ』のみね子と宮本信子さんの年代の近さや境遇など重なる点もあり、演技者の視点も知ったわけで、『ひよっこ』ファンには必読の内容ではないでしょうか。タイムリーです。
口絵のカラーグラビア「東京百年建築」で紹介された東京国立博物館・表慶館、東京国立近代美術館・工芸館、求道会館、清泉女子大学・本館、渋沢史料館・暁香慮、日本工業倶楽部会館などの美しい建造物に見とれてしまいます。明治の建築物の美しさをすぐに伝えられるような見事な写真でした。さらっと紹介してありますが、これだけでも価値があると感じました。
丹羽宇一郎さん、川上高司さん、宮本悟さんの鼎談「米軍は核を使いたがっている トランプ vs 金正恩『チキンレース』の行方」もそうですし、森金融庁長官の強い指導力が伝わる記事もそうですが、いずれも読み応えのある内容でした。
いつも感じているのですが、『文藝春秋』はオピニオン・リーダーの役割を果たしている雑誌であるとともに、コストパフォーマンスに優れた月刊誌だと思っています。

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文藝春秋 2017年 10 月号 [雑誌] 雑誌 – 2017/9/8
「第二の人生」の新常識
著者について
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元外交官で文筆家。ロシア情報収集・解析のエキスパート。魚住昭/ジャーナリスト。ノンフィクションに著作多数。青木理/ジャーナリスト。元共同通信記者。『日本の公安警察』『絞首刑』など著作多数。植草一秀/経済学者。日本経済、金融論が専門。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 (ISBN-13:978-4838721566)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年9月9日に日本でレビュー済み
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2018年6月8日に日本でレビュー済み
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定年特集は大変面白かったです。いろんな生き方があるなと思いました。出来れば勢古浩爾さんも載せて欲しかった。今の自分の心境に近いので
2017年9月16日に日本でレビュー済み
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特集楠木新氏の「定年後の常識は変わった」に注目した、サラリーマン出身が書いた
著書「定年後」が20万部のベストセラー、それだけ定年後の生活に関心を持ってい
る定年退職者が多いからだと思う、今回のコラムのなかでも「社会とのつながりや自
分の居場所がなければいい顔にはなれない、お金があって健康であっても社会とのつ
ながりがなければ充実した老後とはいえない」と言い切ってる、しかし私自身の経験
から言わせればお金と健康があれば十分、老後はその人その人の価値観で生きればい
いのではと思う。
著書「定年後」が20万部のベストセラー、それだけ定年後の生活に関心を持ってい
る定年退職者が多いからだと思う、今回のコラムのなかでも「社会とのつながりや自
分の居場所がなければいい顔にはなれない、お金があって健康であっても社会とのつ
ながりがなければ充実した老後とはいえない」と言い切ってる、しかし私自身の経験
から言わせればお金と健康があれば十分、老後はその人その人の価値観で生きればい
いのではと思う。
2017年10月9日に日本でレビュー済み
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購読何十年かかさず購読しております。毎月号時期を得た話題の特集を何時も一番に読んでいます。
2017年9月25日に日本でレビュー済み
『定年後』がベストセラーになっている、
楠木新氏の記事にあった、
「会社を離れたらなにもやることがない。
ゆっくりできる場所がない」という言葉が、心に残った。
楠木氏自身がうつ病で休職したときに、それを痛感したという。
定年退職すると、家には居場所がなく
外でゆっくりできるのは
図書館、書店、スーパー銭湯ぐらい、という指摘に
都立広尾図書館の光景を思い出した。
窓際の、小机と椅子を専有できる
特等席に、シニア男性がずらりと貼りついていた。
新聞の閲覧コーナーにも。
開館前から「場所取り」の行列ができる図書館も多いという。
図書館で長時間過ごすシニア女性は少ない。
夫を追い出して家でゆっくりしているか、
あちこちお出かけしているのかな。
レストランのランチタイムは図書館と対照的に、
シニア女性がワイワイ盛り上がっている。
「お金や健康だけ気にしていても、充実した老後は望みにくい。
“孤独”の問題が大きい」と楠木氏。
女はほっといても大丈夫だけど
シニア男性の「居場所難民」「孤独」の問題は、
どんどん深刻になっていきそうだ。
楠木新氏の記事にあった、
「会社を離れたらなにもやることがない。
ゆっくりできる場所がない」という言葉が、心に残った。
楠木氏自身がうつ病で休職したときに、それを痛感したという。
定年退職すると、家には居場所がなく
外でゆっくりできるのは
図書館、書店、スーパー銭湯ぐらい、という指摘に
都立広尾図書館の光景を思い出した。
窓際の、小机と椅子を専有できる
特等席に、シニア男性がずらりと貼りついていた。
新聞の閲覧コーナーにも。
開館前から「場所取り」の行列ができる図書館も多いという。
図書館で長時間過ごすシニア女性は少ない。
夫を追い出して家でゆっくりしているか、
あちこちお出かけしているのかな。
レストランのランチタイムは図書館と対照的に、
シニア女性がワイワイ盛り上がっている。
「お金や健康だけ気にしていても、充実した老後は望みにくい。
“孤独”の問題が大きい」と楠木氏。
女はほっといても大丈夫だけど
シニア男性の「居場所難民」「孤独」の問題は、
どんどん深刻になっていきそうだ。
2017年10月17日に日本でレビュー済み
アベノミクスはいつの間にか"日銀が昔とった杵柄"となり、その過程を当事者としてみてきた木内氏の稿に注目。黒田緩和に対する専門家の意見は勢いを増す一方、本稿を読むと、一国の金融政策を司る委員の不思議に突き当たる。
9人という構成で賛否が5対4に割れることの何が異常なのか、中央銀行の意思決定部隊?ってこうなのか、と政府との絡みも含めよくわかる。
日銀の政策委員とは、それぞれの専門性の融合ではなく、主軸に対しての距離ありきなのかとも思った。
金融や投資とは無縁、経済よくわかんないっていう方にもお勧めできる人間ドキュメント満載。
9人という構成で賛否が5対4に割れることの何が異常なのか、中央銀行の意思決定部隊?ってこうなのか、と政府との絡みも含めよくわかる。
日銀の政策委員とは、それぞれの専門性の融合ではなく、主軸に対しての距離ありきなのかとも思った。
金融や投資とは無縁、経済よくわかんないっていう方にもお勧めできる人間ドキュメント満載。
2017年10月22日に日本でレビュー済み
特集に引かれて、出張の旅のお供に成田空港の本屋さんで購入。あまり手にすることのない雑誌でしたが、内容の充実ぶりに脱帽でした。定年後の将来を考える、いろいろな視点の啓示を受けました。書いている人も多様ですし、内容も面白い。一般的な週刊誌の10倍以上の読みごたえは確実にあります。帰国してからも少し読み続けようやく読み切りました。定年後を考えるには、多角的で、かなり掘り下げられていて、いい内容の記事が揃っていました。なんかこの雑誌が面白く読める、自分の年齢にちょっと感嘆!!