アンジェイ・ズラウスキー Blu-ray BOX
フォーマット | 色, ドルビー |
コントリビュータ | アンジェイ・セヴェリン, クリスティナ・ヤンダ, アンジェイ・ズラウスキ ー, イェジー・トレラ, ラジーナ・ディラグ |
言語 | ポーランド語 |
稼働時間 | 6 時間 29 分 |
この商品を見た後にお客様が購入した商品
商品の説明
カルト的人気を誇るポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキー監督(1940-2016年)が10年以上の歳月をかけて製作した、ポーランド版「2001年宇宙の旅」とも言われる超大作SF映画「シルバー・グローブ」を新規作成されたHDニューマスターでBlu-rayリリース。BOXのみズラウスキー監督初期作品「悪魔」「夜の第三部分」を同時収録。
【シルバー・グローブ】
地球ではない星、銀球。そこに不時着した人類たちが、惑星の住民たちと出会い、争いながらも生き延びようとする。ポーランド政府により強制的に撮影中止に追い込まれ、フィルムの一部が消失しながらも、ズラウスキー監督が執念で完成させた超大作。VHS発売時タイトル「シルバー・グローブ/銀の惑星」
出演:アンジェイ・セヴェリン/クリスティナ・ヤンダ/ラジーナ・ディラグ/イェジー・トレラ
監督:アンジェイ・ズラウスキー
脚本:アンジェイ・ズラウスキ/イェジー・ズラウスキ
原作:イェジー・ズラウスキー
原題:ON THE SILVER GLOBE,NA SREBRNYM GLOBIE/1987年/ポーランド/160分/ヨーロッパ・ビスタ/音声:ポーランド語Dolby TrueHD5.1ch/日本語字幕/2層/リージョンA
(C)On The Silver Globe, dir. Andrzej Zulawski, 1987 c KADR Film Studio
【悪魔】
動乱の19世紀ポーランド。精神病院に入れられていた若者が、“悪魔"の手助けによって脱走する。悪魔にそそのかされた若者は家族をはじめとした人々に凶刃を振るっていく―。
ヴォイチェフ・プショニャック/レシェック・テレシンスキ/イガ・マイエル/マウゴジャータ・ブラウネック
監督・脚本:アンジェイ・ズラウスキー
製作:ヤン・モチドウォフスキー
撮影:マアチェイ・キヨフスキー
音楽:アレクサンデル・ゴウェンヴィオスフスキー
原題:THE DEVIL,DIABEL/1972年/ポーランド/122分/ヨーロッパ・ビスタ/音声:ポーランド語リニDolby TrueHD5.1ch/日本語字幕/1層/リージョンA
(C)The Devil, dir. Andrzej Zulawski, 1972 c KADR Film Studio
【夜の第三部分】
「第1の天使のラッパで血混じりの雹と火が地上を襲った。木々の3分の1と全ての青草が燃えた。第2の天使のラッパで巨大な火の塊が海に落ち海の3分の1は血となった―」第二次大戦下のポーランドでナチスに家族を殺された男を襲う、さらなる悪夢とは。
レシェック・テレシンスキ/マウゴジャータ・ブラウネック/ヤン・ノヴィツキ
監督:アンジェイ・ズラウスキー
脚本:アンジェイ・ズラウスキー/ミロスワフ・ズラウスキ
撮影:ヴィトルド・ソボチンスキ
音楽:アンジェイ・コジンスキ
原題:TRZECIA CZESC NOCY,THE THIRD PART OF THE NIGHT/1972年/ポーランド/107分/フル16:9/音声:ポーランド語Dolby TrueHD5.1ch/日本語字幕/1層/リージョンA
(C)Third Part Of The Night, dir. Andrzej Zulawski, 1972, license KADR Film Studio
★封入特典★解説ブックレット
解説:柳下毅一郎/ダニエル・バード(予定)
【Blu-ray3枚組】
※「悪魔」「夜の第三部分」は単品リリース予定がございません
発売・販売:TCエンタテインメント
協力:ザジフィルムズ
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : ポーランド語
- 製品サイズ : 30 x 10 x 20 cm; 340 g
- EAN : 4562474190534
- 監督 : アンジェイ・ズラウスキ ー
- メディア形式 : 色, ドルビー
- 時間 : 6 時間 29 分
- 発売日 : 2018/4/4
- 出演 : アンジェイ・セヴェリン, クリスティナ・ヤンダ, ラジーナ・ディラグ, イェジー・トレラ
- 字幕: : 日本語
- 言語 : ポーランド語 (Dolby Digital 5.1)
- 販売元 : TCエンタテインメント
- ASIN : B078C8YCC3
- ディスク枚数 : 3
- Amazon 売れ筋ランキング: - 79,842位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,701位外国のSF映画
- - 6,754位ブルーレイ 外国映画
- - 7,421位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
ポーランドの鬼才、アンジェイ・ズラウスキー。日本では中々お目にかかる機会のなかった初期3作品が、国内ソフト化だ!
狂気に染まる覚悟はありや!?「 向こう側」への扉が、いま開かれる!!
◆『夜の第三部分』('71)
ズラウスキー長編監督デビュー作。’72年にアンジェイ・ムンク賞 最優秀新人監督賞受賞。日本では’95年に、シネマアルゴ新宿にて公開。
第二次世界大戦下のポーランド。妻と子をナチスに殺された男が、妻に生き写しの女性と出逢う。彼女は妊娠していて、間もなく出産。主人公はその女と赤子を守るため、ナチスによる発疹チフスのワクチン作りに協力する。それは、シラミに自分の血を吸わせるという、大変気持のワルい生体提供だった。主人公は拘束中の彼女の夫も助けようと考え、病院に忍び込むが、そこで彼が目撃したのは・・・。
ズラウスキーの父、ミロスラフの体験を元に作られた映画で、旧ポーランド領ルブフ(現ウクライナ領リヴィウ)にあった「ルドルフ・ヴァイグル研究所」について描かれた、貴重な作品でもある。これはナチスドイツ国防軍に発疹チフスのワクチンを供給していた施設で、占領下ポーランドの知識階級の人たちがワクチンを作るための「シラミへの血液供給者」として保護されていたのである。それに協力する事は身の安全の保障を意味し、ナチス占領下で地下活動を行っていたミロスラフにとっても、格好の隠れ蓑になったという。
作品としても高い評価を受け、数々の賞を受賞。この処女作で早くもズラウスキーのスタイルは完成されており、何かに取り憑かれたような、強迫観念的で狂気漂う世界が展開。特に、血液を採取するシーンの気色悪さ・・・顕微鏡カメラの大写しの中で、シラミのケツに注射針が刺され、身悶えするシラミ・・・。観ているだけで「もうやめてくれ〜!!」と叫びそうになってしまう。ラストの病院も、目を背けたくなるような死臭漂うシーンが次々と展開する。この時代にほとんど無かった手持ちカメラで撮影をし、疾走するズラウスキー・カメラワークは、早くもこの第1作で芽吹きはじめている。
ズラウスキーは、映画の完成後、主演女優マウゴジャータ・ブラウネックと結婚。(その後破局)彼女との間に生まれた息子も、映画監督になった。
本作の物語形式を説明する事はそのままネタバレを意味してしまうので、多くは語らないが、人々の喝采に包まれ、ここに「呪われた映画監督」が高らかな産声を挙げたのである。
◆『悪魔』('72)
ズラウスキー監督第二作。日本では’89年に新宿武蔵野館にてレイトショー上映されたのみで、半ば伝説と化している映画である。
「女は笑い、男は狂う。愛と狂気はいつも紙一重・・・。」
これは日本公開された時のキャッチコピーだが、その文句に偽りなし。『ポゼッション』すら凌駕する、ズラウスキー最狂映画だ。
18世紀末、動乱のポーランド。反政府分子として捕えられていた愛国者の主人公を、プロシア人の「謎の男」が助け出す。男は主人公に、故郷へ帰るよう巧みに説得する。しかし婚約者(マウゴジャータ・ブラウネック)はかつての友に寝取られ、彼女は精神に異常をきたしていた。
地獄のような祖国をさまよう主人公もまた精神の均衡を崩してゆき、謎の男から手渡されたカミソリで母や妹たちを衝動的に殺していく・・・さまよえる殺人者と化した主人公と「謎の男」の行く手に待ち受ける運命は・・・?
第2作にして早くもトレードマークと化した、めまぐるしく動き回る手持ちカメラ。初期ズラウスキー作品のミューズ、マウゴジャータ・ブラウネックは『ポゼッション』のイザベル・アジャーニそっくの身振り手振りで嗤い、狂う。どす黒い血のイメージ。荒涼とした風景の中、主人公の歩んだ後に残るのは累々たる屍のみ・・・。
「あまりにも過激で暴力的、かつ残忍」という理由でポーランド文化省から「上映禁止」処分を受け、ズラウスキーは早くも第2作にして「呪われた映画作家」の烙印を押されてしまう。
この映画を難解にしているのは、ズラウスキーの、この作品テーマへのアプローチがコントロール不能に陥り、暴走していくところである。
この映画は’68年にポーランドで起こった、検閲への異議や表現の自由を求めた学生デモの鎮圧事件(ポーランド秘密警察の工作員がデモを扇動した)への、ズラウスキーの怒りの抗議を秘めた、寓話的な側面を持つ作品である、とズラウスキーは語っている。故にズラウスキーは、この映画が公開禁止となった真の理由は「暴力的な表現」ではなく「政治的な理由」に違いない、と信じているらしい。
とはいえ、この映画は逆立ちして観ても社会派などには見えない。スパイと悪魔という、解釈の難しい二面性を持つ「謎の男」、愛国者である主人公が狂い、殺人者となっていく不条理な展開。デビュー時からその作品の裡にのたうつ「狂気」の方がいつしか「思惑」をおしのけ、どんどん暴走。背徳・冒涜・発狂・哄笑・流血・絶叫・・・熱にうかされたように物語は破滅に向かってつき進む・・・悪魔とは一体なにを象徴しているのか?この映画の結末に、政治的メッセージは見出せるのか? ひたすら、ズラウスキーの放つ狂気に身を委ねよ。
もうひとつ、ズラウスキーが本作に寄せたコメントを紹介しよう。
「この作品は臆病さや愛、共同作業、また私が絶えず追及している倫理と“歴史”とに関わる様々な問題についての映画なのです。つまり、いかに生くべきか、いかに行動すべきか、何が善で何が悪であるかという問いかけの映画なのです」('73年「ポジティフ誌」のインタビューより)
問題を提起し続ける、というのがズラウスキーの姿勢だということか。でもそれだけじゃこの映画の狂いっぷりは判らないね(笑)。
そして'86年、ポーランドの映画雑誌「フィルム」に掲載された批評では、本作は「ポーランドには成人のための真の映画がないという誤った神話を打ち崩すものであり、ポーランドの“思想の発酵を惹き起こすもの”」だと絶賛している。また、ドストエフスキーの「悪霊」から多大な影響を受けている、とも言われている。
実は本作は、ズラウスキー作品中最も有名な『ポゼッション』のルーツ、ともいえるのだ。
ズラウスキーは、前作『夜の第三部分』('71)の主演女優マウゴジャータ・ブラウネックと、映画完成後に結婚し一児をもうける。しかしマウゴジャータはその後、仏教に深く傾倒し'70年代後半、ズラウスキーの元を去り他の男と共にインドやチベットへ旅に出てしまう・・・。『ポゼッション』は、ポーランド時代のこの苦い思い出を投影した、私小説的な色合いの濃い・・・自作を弾圧した「社会主義」と「別れた妻」への愛憎をほとんどそのままぶちまけた作品、だったのである。
「この映画は私にとって自伝的な映画だった。最後の15分の非現実的な部分は除いて・・・これは実際に私に起こったことだ。女性が男性を裏切る・・・、不幸な子供がいる・・・。そんな現実からスタートしてコントロールできない夢が肥大してこの映画になったのだ」
『ポゼッション』の人物関係は、もうほとんどそのまま、ポーランド時代の投影である。二人の間には息子が一人いて、妻には愛人が。そして、そのさらに背後に存在するもうひとりの愛人=妻の妄想が創り上げた「怪物」は、ズラウスキーにとって太刀打ちできない存在=マウゴジャータがはまり込んでいった仏教の精神世界、を象徴していると解釈できる。
『ポゼッション』の中で、イザベル・アジャーニが嗤って狂って身体を激しく痙攣させる演技は、本作『悪魔』の中でマウゴジャータがしている演技と、身振り手振りがそっくりなのである。あれはアジャーニのオリジナル演技ではなく、ズラウスキーがアジャーニに「妻」そのものを再現させようとしていたもの、つまりズラウスキーの演技指導によるものだったのだ。
ズラウスキーの映画に内在する狂気は、見つかることのない答えを求めて、ひたすら繰り返される自問自答・・・救われる事はないと知りつつも、苦悩や悲しみにもがかずにはいられない性。延々とその作品の中でリフレインされ続ける魂の痙攣・・・その正体は容易につかむ事はできないが、デビュー作『夜の第三部分』で助走をはじめ、この映画から真の意味での暴走へと突入する、といえる事は間違いない。
◆『シルバー・グローブ -銀の惑星 -』('77〜'87)〔日本未公開・ビデオ発売のみ〕
ズラウスキーは『悪魔』の後フランスで、ロミー・シュナイダー主演の第3作『L'important c'est d'aimer(大切なのは愛すること)』('75・日本未公開)を監督し、シュナイダーのセザール賞受賞をはじめ高い評価を得た。そしてポーランドに戻って撮った第4作が『シルバー・グローブ』である。
ズラウスキーの大叔父にあたる作家イェジーの小説「月・三部作」が原作。あのスタニスワフ・レムが影響を受け“SF作家になるきっかけ”となり、フリッツ・ラングの『月世界の女』('28)にも影響を与えたと言われる、伝説的小説だ。
本作は、その第一部と第二部を中心に映像化した壮大なSF。宇宙飛行士たちが未知の惑星に不時着し、安住の地を求める旅路と、その子孫の辿る数奇な運命を描いた、狂気の年代記だ。全てを失った宇宙飛行士たちによる、文明の再現。生命(第2世代)の誕生、コミュニティーの構築、宗教の黎明 − 豊穣の女神 − 稲作 − 文明の勃興、新大陸の発見、シェルン(異民族の怪物)の襲撃・・・明らかにこれは、ズラウスキー一族による「創世記」への挑戦だ。そしてそのイメージは、キリスト教が道徳や倫理をもたらす前にこの世を支配していた、荒々しい生存本能の塊 ― 野蛮な原初的生命力とアヴァンギャルドの融合である。
ホドロフスキーやパゾリーニ、D.リンチの映画を濃縮したような、前衛と原始が交じり合ったようなアート感覚。ズラウスキーは黒澤明のファンで、「蜘蛛巣城」で山田五十鈴が血の幻影に怯えるシーンを、自ら再現できるほどだというが、カブキのような奇抜なメイクで、見たこともないようなファンタスティックな形の髷やフンドシといった、日本文化を意識したようなビジュアルも登場する。そして、ズラウスキー印とも言える、鬼気迫る取り憑かれたような演出はここでも健在。めまぐるしく動き回る手持ちカメラ、這いずり回り、のた打ち回り、狂ったように果てなき自問自答を繰り広げる登場人物たち。そして、どうやら人間の自己投影、とおぼしき怪物シェルンの正体・・・SFといいつつ、物語はエンターテイメントではなく、ひたすら思索の迷宮を彷徨い続ける。『スターウォーズ』が公開された年に、東欧の片隅で人知れずこのような凄まじいSFが製作されていた事は非常に興味深いのだが・・・。
狂信的ともいえる映画制作への没入、超過する膨大な制作費、宗教や文明への、怖れ知らずな挑戦・・・、ポーランド文化庁副長官と映画省次官が恐れたのは何だったのか―「製作中止」を決定。ズラウスキーは、『悪魔』に続き2度に亘って煮え湯を飲まされる事となった。傷心のズラウスキーは、映画製作の自由を求め、故国を捨ててフランスに渡る。以降『ポゼッション』('80)、『私生活のない女』('84)、『狂気の愛』('85)とフランスで映画活動を続ける。そして・・・製作中止令から10年後、民主化の波も手伝ってか、ポーランド政府はようやく態度を軟化し、製作再開の許可を出す。しかし、衣装や小道具のほとんどは破棄され、俳優は歳をとり、10年の歳月を経ての撮影再開は事実上不可能だった。
ズラウスキーはカメラを手にポーランドを駆け巡り、街並みや人々の顔、風景などを撮影。製作中断で未撮だった本編の5分の1を、現代の街や人々の映像と自らのナレーションで補完し、強引に完成させた。映画のラストは、製作が中止された経緯の解説と、命令に反して衣装の一部を家に隠していたスタッフ達への感謝の言葉で綴られる。やがて、ショーウィンドウに映る一人の男 、
「私の名はアンジェイ・ズラウスキー、『シルバー・グローブ』の監督だ」そして彼は、逃げるように走り去っていく・・・。
中断してしまった映画を、こうした方法で完成させたものとしては、同ポーランドのアンジェイ・ムンクの「パサジェルカ」がある。これは監督が撮影中に亡くなったため、友人達が写真とナレーションで補完したものだ。
映画製作を滅茶苦茶にしたポーランド政府への怒りもあっただろう。しかしその一方で、処女作『夜の第三部分』で賞の名に冠された、アンジェイ・ムンク監督へのオマージュでもあったのではないかと、筆者は密かに思っている。
『機動警察パトレイバー』や『攻殻機動隊』などで知られるアニメ監督の押井守氏が、実写映画『アヴァロン』を撮った時、単身ポーランドに渡り、たった一人ポーランドの俳優とスタッフを相手に映画製作をしたという逸話がある。その時、押井氏の脳裏にあったのは「『シルバー・グローブ』のスタッフと仕事をしたかった」という思いだったという。
本作は、『スターウォーズ』のように、多くの観客の喝采を浴びて、映画の花道を歩んでいくような作品ではない。しかし、押井氏のような映画人たちから、畏怖の念とともに密かに愛され続けていく「私だけのカルト作」なのだ。
映画評論家の河原晶子さんをはじめ、ズラウスキー映画の魅力に取り憑かれた人間は決して少なくない。ズラウスキーの映画には、一度観た者の脳内深く食い込み、中毒症状を呈するような危険な匂いが漂っている。そして、ズラウスキー映画は、ほかのどんな言葉にも変換不可能。他のどんな監督にもズラウスキーのタッチは真似できない。
フェリーニやケン・ラッセルと同じように、ズラウスキーの作品は「ズラウスキー映画」としか表現できない。
唯一無二の監督なのだ。
ついに、呪われた作品群の封印がここに解かれる! 心して浸るがいい、ズラウスキー・ユニバースに!!
【追記】
BOXが届き、内容などを確認。画質は問題なし。独特の暗さを持った映画なので、ハリウッド映画のリマスターのようなピッカピカの超高画質とはいかないが、現在、海外で発売されている他社のソフトと比べても最高レベルと呼んでいい画質になっていると思う。なによりも、ズラウスキー初期3作が日本語字幕で観れるのが嬉しいではないか。
今後、『夜の第三部分』と『悪魔』も単品発売して頂けるよう、商品担当者には努力をお願いしたい。
また、ブックレットは柳下毅一郎による、非常によくまとまった解説。特に、筆者のレビューでは調べきれずにあいまいに表現している部分を、具体的にフォローして下さっているようにも思えるのが嬉しい、と書くと「自惚れるなよ!」と怒られてしまうだろうか(爆)。
また、ズラウスキー研究者で、作品の復元にも尽力されているダニエル・バード氏によるズラウスキー語録はファン感涙の内容だろう。
ドキュメンタリー系の特典がなかったのは残念だが、商品担当者の熱意は伝わって来た。日本はズラウスキーの再評価が著しく遅れていたが、ここに来て世界でも最高レベルのクオリティのソフトを発売してくれた事で、多くの人に観てもらえる環境になった事を素直に喜びたい。
遺作『コスモス』のソフト化もよ・ろ・し・く(笑)。
最後に、チョット残念な話をしなければならない。
2022年9月末で、このソフトのの出荷可能期間が終了するとTCエンタテインメントから告知があった。
あとわずかしか時間がないが、未見・未購入の方はぜひこの機会に購入を!!
もうこの勢いでズラウスキー監督の全作品のHDニューマスター版を!
BOXセットでもBlu-rayでも構わないので。
どれだけ待った事でしょう、海外のDVDも絶版になっており、もう諦めかけていました。
画質は購入してから評価しますが、この3作品に敬意を表して☆5つです。
ところで、タイトルが「シルバーグローブ/銀球で」ってありますが、この「銀球で」って要ります??
「On The Silver Globe」の直訳っぽい。むしろ以前の「銀の惑星」の方がまだマシだった・・・。
とてもデビュー作とは思えない、すでに完全に自分のスタイルが出来上がっていて、尚且つグロテスクで過激で反体制でとギラギラした作風でありながら、しっかりとエンタテイメントしている“夜の第三部分”
とっつきにくく難解なストーリー展開をしますが、映像の迫力に思わず時間を忘れて見入ってしまう“悪魔” 私は途中までなかなか話に入り込めずにいたのですが、(いろんな解釈ができると思いますが)題名通りに狂言回しのように出てくる人物が悪魔なのだとしたらと考えるとスッと物語に入っていけました。
そして驚愕の地獄絵図のような映像がギュウギュウに詰まっていて息苦しいほどの“シルバー・グローブ” 人間版モズのはやにえシーンの空撮のすごいこと!
どれもこれも観るのに体力がいる映画ですが、時間がたてばまた何度も観かえしたくなる映画たちです。画質もこんな綺麗なマスターテープが残っていたんだと感激できるもので、私は初期のズラウスキーはかなり不遇だったのだと思っておりましたが、こんないい状態で映像が残されていたのならやはり理解者がたくさんいたのであろうと嬉しくもなったりしました。至福の3本セットです。3作とも素晴らしい!