12月4日に入手し、時間の許す限り繰り返し聴いているが、
素晴らしい出来栄えだと思う。
崎山蒼志の楽曲はYOUTUBEを通じて多くを視聴することが可能だが、
このCDを通しで聴くことで、この若きミュージシャンのガイドによって、
未知の場所を案内され、
見たことも無い景色を見せられたような気分を味わうことができた。
彼の奏でるギターの旋律はどこへ向かっていくのか予測も付かず、例えるなら、
くねくねと曲がる小道を抜けたら不意に絶景を目の当たりにした・・というような、
スリリングで衝撃的な音楽的体験だったと思う。
その景色には「既視感」というものが無く、様々なジャンルの音楽を手当たり次第に聴き漁り、
音楽的知識を拡充することにより自身の「末聴感」を少しでも埋めていこうと躍起になっていた
若い頃の気分が思い出されたりもしたのである。
音楽的体験が蓄積されることによって知識が増えると、自身の中での「末聴感」が解消され、
自分の中での評価基準が確立されていくが、その事と比例するように、
新鮮な音楽的体験に巡り会うのは難しくなっていくものだ。
崎山蒼志の示してくれた楽曲群は、そんな、自身の中で凝り固まっていた悪しき「評価基準」、
「音楽観」みたいなものを、瞬時に更新してくれたように思う。
例えていうなら、視野狭窄になっていた視界がパッと開けて目の前が急に明るくなったような感じである。
そしてそれと同時に、未知のものに出くわしたときに感じる微かな違和感や不安感も
しっかりと味あわせてくれた、とも思った。
そして最後に、この一枚のCDから、彼の「決意」がはっきりと伝わってきたのも、
とても良かった。
月並みな言葉しか浮かんでこないが、本当に稀有な存在が現れたものである。
これからも、崎山蒼志を追いかけていきたい。