アメリカに来てからは、ベン・ウェブスターと同居し、連名でアルバム『Soul Mates』も レコーディングしている。だが彼のアイドルはデューク・エリントンだった。それはエリントンの レコーディング現場に、トラで呼ばれたナット・アダレイと一緒に行った時のエピソードで 示されている。ザビヌルはこの時、エリントンの前で「Come Sunday」を弾いた。この曲は、 ザビヌルがキャノンボール・アダレイのコンボに入ってからもレパートリーとなり、ザビヌルの 長いソロで曲は始まる。 『Money in the pocket』でも、ウェザーリポートでも、ザビヌルが追求したのは、彼なりの ジャングル・ミュージックで、エリントンの音楽に響いていた楽園性だったのかもしれない。 『Money in the pocket』からは、彼がジャズシーンに登場した頃に興隆したモード・ジャズや フリーの方へは、ほとんど見向きもしない彼の姿勢、音楽性が伝わってくる。
M3では、ザビヌルがソロで、スタンダード「My One and Only Love」を演奏する。これは最初に シナトラが取り上げ、コルトレーンとジョニー・ハートマンも録音し、オスカー・ピーターソンも 『We got requests』に収録しているが、「Come Sunday」を思わせるリリカルで温かな名演。
M1「Money in the Pocket」、M2「If」(Joe Henderson) 、M3「My One and Only Love」 (Guy Wood, Robert Mellin)、M4「Midnight Mood」、M5「Some More of Dat」 (Sam Jones)、M6「Sharon's Waltz」(Rudy Stevenson) 、M7「Riverbed」、 M8「Del Sasser」(Jones)