この本は左翼やリベラルという人たちがなぜ一般の支持を得られないのか、極めて明快に理由を指摘している。
多くの国民が転落の縁に瀕してあえいでいるのに、一部の最貧困者が救済されるなら、本音の部分で当然反感を抱く、すくなくとも共感は抱かない。我々の社会はこういう弱者が弱者をたたく分断社会。目に見える貧困者を救えという主張が通らないわけだ。
著者は分断を克服するために必要な人全てにベーシックサービス(医療、介護、教育など誰もが必要とする)を提供し、その財源を消費税増税を中心とした税制改革とウソのない福祉政策の実行に切り替えよう、安心した人生を保証し、「敵意と憎悪から痛みを分かち合う社会」に社会改革しようという提言である。
最初の分断社会の背景と分析が特に面白いし説得的だ。しかし税制をあれこれ評価している部分はややこしく余り頭に入らない。
しかし全体として非常に説得的だ。これなら70%以上の国民が恩恵を感じるだろう。
「幸福の増税論」とは変なタイトルだが一読する価値がある。
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幸福の増税論-財政はだれのために (岩波新書) Kindle版
なぜ日本では,「連帯の仕組み」であるはずの税がこれほどまでに嫌われるのか.すべての人たちの命とくらしが保障される温もりある社会を取り戻すために,あえて「増税」の必要性に切り込み,財政改革,社会改革の構想を大胆に提言する,著者渾身の一冊.税や財政のしくみを変えれば,これからの日本,社会は大きく変わる!
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2018/11/20
- ファイルサイズ3706 KB
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登録情報
- ASIN : B07NDDMW7P
- 出版社 : 岩波書店 (2018/11/20)
- 発売日 : 2018/11/20
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 3706 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 239ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 208,547位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,620位岩波新書
- - 26,025位ビジネス・経済 (Kindleストア)
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2019年1月17日に日本でレビュー済み
レポート
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21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年2月8日に日本でレビュー済み
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財政学者が
1 「『共通の利益』や『共通のニーズ』……をみたしあうために作られた社会的、国家的連帯のしくみ(p.77)」である財政の原理に立ち返り
2 「社会的弱者を見殺しにしないかたちでのあらたな連帯(p.68)」のあり方として「医療、介護、教育、子育て、障がい者福祉といった『サービス』について、所得制限をはずしていき、できるだけ多くの人たちを受益者に(p.83)」し
3 それを「幅ひろい層の税負担でみたしあう社会(p.85)」
を構想・提案する。その社会のキーワードは、「家族の原理(pp.201-202)」(欲望と対置される意味での)「必要(p.203)」「自由、公正、連帯(p.229)」あたりになろうか。
著者の他著と重複する箇所も多いが、「僕の二〇年の学者としての積み重ねと、二年半の政治的な実践とが溶けあって本書は生まれた(p.235)」ということなので、これまでの著者の諸活動の集大成と言うことなのかもしれない。なお、「政治的な実践」とは「民進党の政策作りに深くかかわって(p.233)」いたことであろう。
なるほど「税をどれくらいあげるのか」の節で、「(消費税の)税率を一九%にすることで、財政収支の改善と相当程度の対人社会サービスの自己負担の解消とが実現できることになる(p.122)」と具体的な数値まで提案したり、「財政の将来の持続可能性を高めるためには、増税は避けられない」としつつ、まずは国民の租税抵抗を和らげるために「受益感にとみ、将来不安の軽減につながる増税案を示すことが不可欠(p.176)」と、戦略的な段取りを示したりしているところは研究者というよりは政党ブレーンとしての発言の匂いがする。
その点に批判もあるだろうが、こういうふうに社会科学の研究者がその専門性を生かして現実の社会や政治に関与することに私は賛成である。
著者の構想・提案はドラスティックなものだから、さまざまな立場からの批判が出そうだ。
本書では、その中でも主に、いわゆる左派・リベラルからの批判へ応答あるいは逆批判を展開している。著者によれば、旧来の左派・リベラルの「正論」は、人びとの心に届かないものになっている。そういう実感は確かにあるな。
終章はいささか急ぎ足。シェアリング・エコノミーやソーシャル・ワーク(ワーカー)についてはもっと丁寧な説明がほしい。
また、日本をより良くしたいという著者の想いの強さには敬意を表するが、「リベラルを自認する僕なりの知的努力は、その内側からリベラルを作りかえていくための苦悶とともにある(p.165)」「この本とともに、僕は自分を燃やし尽くすことだろう。(p.236)」などの、かっこよすぎる表現には引いてしまう。
民進党なきあと、著者の提案を採用する政党はどこになるのだろうか。
1 「『共通の利益』や『共通のニーズ』……をみたしあうために作られた社会的、国家的連帯のしくみ(p.77)」である財政の原理に立ち返り
2 「社会的弱者を見殺しにしないかたちでのあらたな連帯(p.68)」のあり方として「医療、介護、教育、子育て、障がい者福祉といった『サービス』について、所得制限をはずしていき、できるだけ多くの人たちを受益者に(p.83)」し
3 それを「幅ひろい層の税負担でみたしあう社会(p.85)」
を構想・提案する。その社会のキーワードは、「家族の原理(pp.201-202)」(欲望と対置される意味での)「必要(p.203)」「自由、公正、連帯(p.229)」あたりになろうか。
著者の他著と重複する箇所も多いが、「僕の二〇年の学者としての積み重ねと、二年半の政治的な実践とが溶けあって本書は生まれた(p.235)」ということなので、これまでの著者の諸活動の集大成と言うことなのかもしれない。なお、「政治的な実践」とは「民進党の政策作りに深くかかわって(p.233)」いたことであろう。
なるほど「税をどれくらいあげるのか」の節で、「(消費税の)税率を一九%にすることで、財政収支の改善と相当程度の対人社会サービスの自己負担の解消とが実現できることになる(p.122)」と具体的な数値まで提案したり、「財政の将来の持続可能性を高めるためには、増税は避けられない」としつつ、まずは国民の租税抵抗を和らげるために「受益感にとみ、将来不安の軽減につながる増税案を示すことが不可欠(p.176)」と、戦略的な段取りを示したりしているところは研究者というよりは政党ブレーンとしての発言の匂いがする。
その点に批判もあるだろうが、こういうふうに社会科学の研究者がその専門性を生かして現実の社会や政治に関与することに私は賛成である。
著者の構想・提案はドラスティックなものだから、さまざまな立場からの批判が出そうだ。
本書では、その中でも主に、いわゆる左派・リベラルからの批判へ応答あるいは逆批判を展開している。著者によれば、旧来の左派・リベラルの「正論」は、人びとの心に届かないものになっている。そういう実感は確かにあるな。
終章はいささか急ぎ足。シェアリング・エコノミーやソーシャル・ワーク(ワーカー)についてはもっと丁寧な説明がほしい。
また、日本をより良くしたいという著者の想いの強さには敬意を表するが、「リベラルを自認する僕なりの知的努力は、その内側からリベラルを作りかえていくための苦悶とともにある(p.165)」「この本とともに、僕は自分を燃やし尽くすことだろう。(p.236)」などの、かっこよすぎる表現には引いてしまう。
民進党なきあと、著者の提案を採用する政党はどこになるのだろうか。
2019年7月20日に日本でレビュー済み
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●「税金を貧しい人からは少なくお金持ちからは多く取り、医療、介護、教育、子育て、障がい者福祉などをベーシックサービスとしてみんなに平等に提供する」方式(図3-1)に変えるという主張ですね。(これを仮に井手方式と呼びます)
●しかし、医療・介護・障がい者福祉については、すでに公的保険によって井手方式になっています。また、教育についても、義務教育は税と公立学校によって井手方式になっています。幼・保・高校も1年以内に無償化つまり井手方式になります。大学も、国公立大学はかなり緩い所得制限で学費の全額/半額免除があります。比較的入りやすい国公立大学もあるので、それよりもレベルの低い私大に行って高卒よりも生涯収入が多くなるか疑問です。なので大学もほぼ井手方式と言えます。
●だから、もう井手方式のベーシックサービスは実現済みではないでしょうか。金持ちはこれらに関する保険料や税を多く払っていますが、受けるサービスはみな平等なんですから。
●しかし問題は、これらよりももっと基本的な、衣食住です。住居や食料をサービスとして全員平等に提供するのは不可能です。ベーシックサービスはそれなりに低規格にせざるをえないので、中流以上の人はもっと良いものを欲しがるでしょう。だったらベーシックな住居や食料のおカネを全員に配ることになります。これは、本書で否定していたベーシックインカムになってしまいますよ。
●ということで、本書で主張していた医療、介護、教育、子育て、障がい者福祉のベーシックサービスはすでに実現されており、そしてそれ以外の主要な家計負担のベーシックサービス化は不可能だ、ということになります。
●しかし、医療・介護・障がい者福祉については、すでに公的保険によって井手方式になっています。また、教育についても、義務教育は税と公立学校によって井手方式になっています。幼・保・高校も1年以内に無償化つまり井手方式になります。大学も、国公立大学はかなり緩い所得制限で学費の全額/半額免除があります。比較的入りやすい国公立大学もあるので、それよりもレベルの低い私大に行って高卒よりも生涯収入が多くなるか疑問です。なので大学もほぼ井手方式と言えます。
●だから、もう井手方式のベーシックサービスは実現済みではないでしょうか。金持ちはこれらに関する保険料や税を多く払っていますが、受けるサービスはみな平等なんですから。
●しかし問題は、これらよりももっと基本的な、衣食住です。住居や食料をサービスとして全員平等に提供するのは不可能です。ベーシックサービスはそれなりに低規格にせざるをえないので、中流以上の人はもっと良いものを欲しがるでしょう。だったらベーシックな住居や食料のおカネを全員に配ることになります。これは、本書で否定していたベーシックインカムになってしまいますよ。
●ということで、本書で主張していた医療、介護、教育、子育て、障がい者福祉のベーシックサービスはすでに実現されており、そしてそれ以外の主要な家計負担のベーシックサービス化は不可能だ、ということになります。
2019年12月16日に日本でレビュー済み
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この国の未来のための必読書だと思います
2019年1月2日に日本でレビュー済み
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Basic Incomeとしてすべての人へ一定のIncome(収入)ではなく、一定のサービス(教育等)を保証する、財政の方針
は、これからの日本の財政の方向性としては、十分に説得力はあると思う。ただ、
・日本の社会(少子高齢化等)/財政情勢(大幅な財政赤字等)の下で、どこまでの一定のサービスを実現できるのか
・小選挙区制のもと、民意反映の困難な政治情勢のもと、どうやって実現するのか、
等の議論にもっと踏み込んでもらいたかった。星4点の理由。
は、これからの日本の財政の方向性としては、十分に説得力はあると思う。ただ、
・日本の社会(少子高齢化等)/財政情勢(大幅な財政赤字等)の下で、どこまでの一定のサービスを実現できるのか
・小選挙区制のもと、民意反映の困難な政治情勢のもと、どうやって実現するのか、
等の議論にもっと踏み込んでもらいたかった。星4点の理由。
2019年1月18日に日本でレビュー済み
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今、消費税増税を全国民と話したいという論考があります。デフレ下での緊縮は経済を回復させません。中野剛志氏と松尾匡氏と貨幣について議論してください。消費税を7%上げると基幹税に完全になります。消費税の滞納が大きいのを井手教授はご存じでしょうが、滞納が大きいのにどうして今消費税増税が必要なのでしょう。
2018年12月13日に日本でレビュー済み
湯浅誠『反貧困』、阿部彩『子どもの貧困』(ともに岩波新書)に続く、
貧困撲滅へのダメ押し的名著と思われる。2か月ほど前に出たばかりの
PHP新書『貧困を救えない国 日本』と共に読む価値があると考える。
場違いな指摘になるかもしれないが、対象が社会であっても自然であっ
ても、基本的には博士とそれ以外の人間の見方・考え方は異なっている。
質的にすぐれているのは、もちろん、よく勉強した前者だろうと感じる。
「天然資源が乏しいなかで(中略)、中長期的に見れば『博士』の果た
すべき役割・活躍する場がこの国で増えていくことに疑念はない。」(
名古屋大学出版会『博士号のとり方』P.346の「訳者あとがき」)の正
しさが本書などにも現れている。
この新書を世に問うた財政学者と出版社の主張に、国内外、増税反対論
者かどうかを問わず、まず耳を傾けて思考と議論の基礎にしよう!と思
わせる一冊だ。右でも左でもない「学の独立」が、この本の真価ですな。
貧困撲滅へのダメ押し的名著と思われる。2か月ほど前に出たばかりの
PHP新書『貧困を救えない国 日本』と共に読む価値があると考える。
場違いな指摘になるかもしれないが、対象が社会であっても自然であっ
ても、基本的には博士とそれ以外の人間の見方・考え方は異なっている。
質的にすぐれているのは、もちろん、よく勉強した前者だろうと感じる。
「天然資源が乏しいなかで(中略)、中長期的に見れば『博士』の果た
すべき役割・活躍する場がこの国で増えていくことに疑念はない。」(
名古屋大学出版会『博士号のとり方』P.346の「訳者あとがき」)の正
しさが本書などにも現れている。
この新書を世に問うた財政学者と出版社の主張に、国内外、増税反対論
者かどうかを問わず、まず耳を傾けて思考と議論の基礎にしよう!と思
わせる一冊だ。右でも左でもない「学の独立」が、この本の真価ですな。