鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「野心のすすめ」

・野心のすすめ
著者:林真理子
出版:講談社現代新書



妻が林真理子ファンなので、購入。
僕自身はあまり興味ないんだけど、「面白かったよ」との感想に、読んでみることにした。



手練れのエッセイストだけに意外だったんだけど、「初の人生論」とのこと。
確かに自分語りの多い御仁だけどw、「上から目線」じゃないもんなぁ。改めて考えてみると、そう言う意味での作者のスタンスは嫌いじゃない。「小説家」として意欲的に頑張ってるとも思ってるしね(その点は本書を読むとよく分かる)。
ただ興味の方向性が違う。
ま、そう言うことだ。



作品としては「人生論」「自己啓発本」の部類に入るんだろうけど、内容的にはどうかなぁ。
作者自身、認識してるけど、「時代が違う」ってのは、やっぱり感じざるを得ないかなぁ。
宇野千代、瀬戸内寂聴、田辺聖子と言った女流作家の脈々とした系譜につながりながら、エッセイストとしてスタートし、美人でないながら(失礼)自分を主張する」という事をポジティブに打ち出し、それを社会的にも認知させた。
これはもう「林真理子」のポジション。
すでにその「席」は埋まっちゃってるんだよねぇ。
もちろん誰しもが文筆家を目指してる訳じゃないんだけど、社会的な現象になっちゃっただけに、「林真理子」ってのは一つのモデルになっちゃってるんだよ。そことの距離感を図るってのは止むを得ない部分はあるし、その大元に、
「私はこうだった」
って言われても…ってのが正直なとこかな。
ま、言ってることは至極真っ当なんだけどね。



僕自身は人生論としてというよりは、「真面目な林真理子の自分語り」として本書を楽しんだ。
色々な局面での意見はあっちゃこっちゃで言ってるけど、こういう形でまとまった話って、あんまりないんじゃないかなぁ。
そしてヤッパリそこには聞くに値する「何か」はあると思う。
タダもんじゃないよ。この姐さんはw。



かと言って、積極的に彼女の作品を僕が追っかけることは、やっぱ、ないかなぁw。
それだけ明確な方向性が林真理子にはあるってことだから、それはそれでイイとは思うんだけどね。
(ちなみに帯の作者の面構えはナカナカのもんだと思います)