鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「真夏の方程式」

・真夏の方程式
著者:東野圭吾
出版:文春文庫



「ガリレオ」シリーズ第6作。
コレが出てるのを失念してて、先に7・8作を読んでしまい、文庫化をキッカケに遡って読了。
ま、それで困るわけじゃないんだけどねw。



シリーズでは「容疑者Xの献身」が頭抜けてるとは思うけど、本作もナカナカの出来かと。
どっちも、
「ここまでやるかな?」
ってとこはあるんだけど、物語の中では「あり」と思わせるから、コレは作者の腕でしょう。
電子書籍に対するスタンスには思うとこあるけど、東野圭吾が上手い小説家なのは間違いないねぇ。



本作の根っこにあるのは「コミュニケーション不全」。
「出来てない」んじゃなくて、主要人物たちは「察し合い」ながら人間関係を成立させている。
それは互いの「思いやり」に根差しており、「愛情」がその関係を支えている。
言葉にして確認するよりも、そこにはもっと情の深い関係が成立しているように思う。
まあ、実に「日本的」とも言えるかな?



でもその「察し合い」から漏れてしまったものがある。
言葉にして確認しなかったことで、互いの関わり方が不安なものとなり、そこから亀裂が生じて「悲劇」が生まれる。
加害者にも被害者にもその構図が成立することが本作のキモだろう。
「察し」ながら、全てを言葉にせず、行動した男が手を合わせるシーンの陰影は印象的だ。



本作も映画化がされ、もうすぐ公開。
さてどんな出来かな?
僕は割と「容疑者X」は良かったように思うので、ちょっと興味はある。
ま、劇場では観ないだろうけどねぇw。