鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

2014年11月21日のつぶやき

読書録「GIVE & TAKE」

・GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代
著者:アダム・グラント 監訳:楠木健
出版:三笠書房(Kindle版)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)



「ストーリーとしての競争戦略」は結構面白い本でした。その作者(楠木健氏)が監訳し、解説もしている作品ということで、購入。
…したんだと思いますw。
いやぁ、随分前に購入してDLしてたんですが、すっかり忘れてて、放置状態だったんですよねぇ。先日Kindleの「棚」の整理をしていて、「再発見」しまして…w。
しかし、読んでみると非常に面白い本でした。「放置」を後悔しております。



簡単に言うと、ビジネスパーソンを
ギバー:人に惜しみなく与える人
テイカー:自分本位で、なんでも手に入れようとする人
マッチャー:損得のバランスを考える人
と分類して、誰が最も成功するか…と言う点を考察した作品です。
題名の「GIVE & TAKE」だとマッチャーぽいですが、副題の通り、「ギバー」が有利…って話。いろいろな具体例が出てきて(これは欧米のビジネス書らしいですね)興味深いです。
マイケル・ジョーダンが「テイカー」として登場するのは、往年のファンとしては寂しい限りですが…(まあでも、そうでしょうねw)。



でも本書を読んでると、
「これって、『マッチャー』に近いんじゃないの?」
ってとこもあるんですけどね。
他人に食い物にされて疲弊してしまう「自己犠牲型」のギバーと、
そこを回避する「他者志向型」のギバー
の辺りの話は、実際論として重要だと思うんですけど、「他者志向型」ギバーとマッチャーの境界線て、結構微妙なんじゃないかと。
そういう意味では表題もナカナカ趣深いものがあるかもしれません。
単純な「お人好し」だと、それはそれで問題…ってことです。
倫理の本じゃないんだから、まあそうでしょう。



ただ「時代」がどんどん「ギバー」有利になってきている…っていいうのはあります。
ICTの進展、特にSNSによる人間関係や自分の行動・考え方の「可視化」がされるようになって、その中で「テイカー」はポジションを取りづらくなってきている(というより、「可視化」されることで「テイカー」が「マッチャー」や「ギバー」のように振舞うようになる)なんていうのは、結構納得感があります。
そういう中で「信頼」を積み重ねることができるのが「ギバー」。
でも成果を出していくためには、「マッチャー」的な戦略も取らなければいけない。
そう言う話かと。



ビジネスを一歩離れても「ギバー」が評価され、増える社会っていうのは、好ましいと思います。多くのひとが「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の資質を持っており、それが社会環境の中で「ギバー」の資質を強化していくようになってきている…としたら、それは社会の良いへんかと言えるんじゃないか…というのが僕の感想です。
「匿名性の暴力」なんかを考えると、
「それって外面だけの話じゃないの」
って意見も分かりますがね。
「外面」の「正義」が抑圧に変わる可能性を持っていることも認識しています。
でもそれを乗り越えていく「知恵」が人間にはある…と僕は思いたいんですよ。
「次世代」のためにもね。