鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

まあ面白くは読めましたが:読書録「ガンルージュ」

・ガンルージュ
著者:月村了衛
出版:文藝春秋(Kindle版)

ガンルージュ

ガンルージュ


「機龍警察」はシリーズとなってますが、他の作品は単発ものばかり。
まあ何となく、
「なめて〜た〜」(by宇多丸)パターンの作品が多いので(要は「ふつうの人と思ってたら実は・・・」ってやつ)、二作目以降はどうしてもインパクトが落ちてしまうって言うのがあるからかもしれません。


本作の主人公はシングルマザーの「主婦」と「中学教師」の女性二人。
「主婦」の息子と友人が韓国の政治闘争がらみの誘拐事件に巻きこまれ、その救出のために二人の女性がほん走する
というのがメインストーリー。
例によって、二人ともふつうの「主婦」と「教師」ではありません。


「主婦」の方は元・公安の特殊工作員。誘拐犯とは息子の父親を巡った「因縁」があります。
ま、こちらが本筋キャラですな。
で、「教師」の方は、元ロックバンドのボーカリストで、過去に新宿署の刑事と交際してた経験があり・・・


ん?
そうです。「新宿鮫」です。
この「教師」の設定は、「新宿鮫」の「晶」から取られてるんですね。
まあ「オマージュ」?
しかしここまで「まんま」だと、「ぱちくり」か「パロディ」としか…w。
完全にコメディパートを担っているので、どっちかっていうと「パロディ」ですかな。


この設定乗れるかどうか。
本作に関しては結構ここが大きいと思います。
僕の場合は「ギリ」ですかね。
「これじゃリアリティが…」
そういう向きもあるでしょう。割と敵との因縁話が上手くできてますから猶更にね。


作品としては中盤以降のエスカレートしていく展開は楽しめると思います。
ただちょっとワンパターンに陥りがちな部分もあるかも。
もう少し敵の人数を減らして、じっくり対決モードを描いたほうが良かったかなぁ。
もっともそうなると「教師」パートのコメディ展開がきつくなるかもしれませんがねw。


まず確実に「続編」はないでしょうが、それなりに楽しく読める作品でしたよ。個人的には。
とかいって、大沢在昌のOKが出て、シリーズ化されたりしてw。