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従来メディアとネットメディアの「コンテンツ」はすごく違う

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従来メディアにおける「コンテンツ」というのはリロケータブルだと思います。逆に、ネットメディアにおける「コンテンツ」は、リロケータブル性がないと思います。


ここで、「リロケータブル(再配置可能)」という言い方が適切か分からないのですけど、ボクが昔、マシン語でプログラムを書いたときの感覚でいうと、メモリ上のどこに持って行っても動くみたいな感じがします。


つまり、従来メディアにおける「コンテンツ」というのは、たとえば紙系の媒体であれば、小説であったり、コラムであったり、何かの解説であったり、とりあえず活字の束ですけど、どの媒体に置いても機能するわけです。つまり、「リロケータブル(再配置可能)」。


もちろん、その場合だって媒体を選ぶというのはありますけど、それって媒体によってリーチできる人たちが変わるとかそういう話であって、コンテンツそのものをダメにするものではないと思うのです。


逆に言うと、従来メディアにおける「コンテンツ」を考える人たちは、媒体によってコンテンツそのものをダメにするという考え方はしないように思うのです。


検討される話題は、コンテンツはリロケータブルで毀損しないということを前提にして、どの媒体(メディア)に置くことが効果的な配布になるか、とか、マネタイズがうまく行くかという考え方をされるような気がします。


たぶん、これは、動画(映画・ドラマ)とか音楽コンテンツに関しても似ていて、従来メディアの人は、コンテンツの配布方法に関して、ディスクか、放送か、ネット配信かなどなど議論ありますけど、基本的に、どのメディアで配布することが効果的か、マネタイズがうまく行くかという話で、そこにある前提は、動画コンテンツも音楽コンテンツなども、リロケータブルでどのメディアに置くことが出来るし、ダメにならないというものがあるような気がします。



紙メディアの人は、たぶん、活字が大好きに思えます。たぶん、映画メディアの人は映画大好きだし、音楽メディアの人は音楽大好きでしょう。


だから、それゆえに、コンテンツそのもののリロケータブルであることや、媒体によってダメにならない普遍性というものを前提にしているような気がちょっとします。



というのも、ボクはネットの側なので思うのですが、ネットにおける「コンテンツ」って、こんな普遍性はないし、リロケータブルではないですよね?


ネットでヒットしたコンテンツというのはほとんどが、普遍性ないし、媒体に依存し、媒体と一体となって、当然にリロケータブルではないように思うのです。


ネットのヒットコンテンツというものは、基本的に媒体にすごく依存していて、媒体の機能や技術性能ゆえに面白さを発現していて、媒体とコンテンツが一体となっているように思えるのです。



たとえば、ニコニコ動画


あれ、テレビで見てもきっとつまらないし、DVDになって楽しめるシロモノではないですよね。ニコニコ動画のサイトで見てはじめて楽しめるものです。でも、あれはコンテンツではないのか?というと、コンテンツなんですけど、従来メディアの言うようなリロケータブルで普遍性あるコンテンツではないように思うのです。



たとえば、mixiの日記。


mixiという友達が見るコミュニティだからこそ成り立つわけで、媒体ありきですよね。



たとえば、2chのスレ。


匿名で集まって書き込みしあう2chでこそ楽しめるものですよね。



たとえば、携帯小説


携帯だからこそ楽しめるものですよね。読むシチュエーション、携帯の小さな画面でこそ。



たとえば、ブログ。


ライフハック系のブログでは金稼ぎ記事ではダメなように、ブログの専門性に合わせてこそ楽しめるものです。



たとえば、製品に対するコメント。


kakaku.com掲示板、2chの製品情報スレ、そうしたところでこそ役に立つ個人レビューですよね。




つまり、ネットのコンテンツでよいものというのは、媒体に密着していて、リロケータブルではないものなんですよね。



思うに、そうしたところでアマチュアが活躍するのも、アマチュアゆえに、新しいネット媒体で、その特性に合ったコンテンツを作り出せる柔軟性があるからではないかと思うのです。プロだと、従来メディアを使ってきているだけに、普遍性のあるものを志向してしまうために、逆にうまく行きにくいのではないかと。



だからこそ、従来メディアの人が、こんなすばらしいコンテンツをネットに置くからヒットするだろうと思ったらそれほどでもないというのが起きたりするのは、そういうところにあるような気がするのです。


意外に、この、コンテンツの普遍性、リロケータブル性に関しては、従来メディア、ネットメディアで理解しあえない壁なんじゃないかなあと思うのです。



written by asotetsu Oct 8, 2008